観客賞座談会:室内合唱部門 その2

 

 

 

 

観客賞座談会:室内合唱の部、
続いて同率3位の団体です。

 

 

 




混声合唱団Pange(混声24名)

 


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/11/233351
(↑ リンクは当ブログ「あれやこれや:出張版」の記事)


f:id:bungo618:20151111231552j:plain

 

 

 





課題曲G1、パートごとに声が揃っていました。





まとまりがありましたね。





深い、良い声を作っていたし。




音のハモリも良かったですよ。





柔らかい印象でね。





この曲のテンポの取り方で
2分音符の頭にビートの重心があるので
凄く音楽が進んでいた印象です。
これが2分音符の真ん中に重心があると
どうしてもノタノタ止まりそうに聞こえてしまう。
その点、聴きやすかったな。





経験を積んで、それが表れた演奏。





そう、真摯にまじめに取り組んでいるような!





好感が持てましたね。





指揮者の坂本先生が包み込むような指揮で・・・。





母性を感じさせる・・・(笑)。







自由曲
E.FISSINGER作曲
「By The Waters of Babylon」





課題曲と同じテキストで狙った選曲がハマった!





思いつくけど実際やろうとは思わない!(笑)





そういう選曲に研究の熱心さを感じていいな、と。





エネルギッシュに声を出している割に
和音がガチッと決まっているので好感が持てました。





劇的な曲だけど、それだけじゃなく、
抑えて上手に弱音を作り、
じわー…っとやったのが良かったです。





曲の力もあるし、それを上手くまとめていましたね。





ソプラノのソロは20歳ですよ!





一同、それは凄い!…と驚く。




この曲の他の団体の演奏を聞いたり、
歌ったりした人からは
「男性の語りや音色が明るすぎたのでは?」との声があり。





この曲ってどん底まで沈んで歌うバージョンか
今日のPangeさんみたいに
希望を持って歌うやり方があると思うんですよ。


例えば中森明菜の歌う「難破船」は
希望も何も無い絶望の底で歌うのに対し、

 

 

 

 

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 加藤登紀子の「難破船」は希望を示す歌い方。

 

www.youtube.com

 

 

 




《文吾の感想》

中森明菜の「難破船」動画を色々聴き比べてしまいました(笑)。



Pangeさんは以前聴いた時よりも
遥かに声がまとまり、音の整理がされていたのが
嬉しい驚きでした。
苦手だと言われていたポリフォニーも
しっかり練習を積み上げた音が鳴っていて。

自由曲は発言でも出ていましたが
音色の明るさはあるにせよ、
弱音、特にウィスパーボイスなどで
聴く者をぐっと惹きつける力が
演奏に宿っていましたね。

一般合唱団としては
四国全体では徳島合唱団以来15年ぶり、
そして高知県としては初の金賞受賞だそうです。
おめでとうございます!



 

 

 

 

 

 

 



そして、第1位となんと一票差の第2位!

 

 

 

 

 

 


ルックスエテルナ(混声17名)


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/08/210009


 

 

f:id:bungo618:20151108180700j:plain

 

 

 



課題曲G1、素晴らしかったですよね!




うん、あの遅めのテンポで流れているというのが凄い!




熱さがあり、粘り、粘性を感じさせて。
それが良い方向に作用していました。




これだけ短いフレーズの中に
こんなにたくさんのニュアンスが入るのか!と驚きました。




言葉のアクセントが生きていたかな。




そうだね、単語の語感が良かった。




そそそ! ラテン語のネイティブ感!




一同「ラテン語のネイティブ?!(笑)」




課題曲のテンポが遅すぎたのでは?との声あり。




やや重めに感じたかな。
でも、テキストも含め、そういう曲なんじゃ?




支部大会でウチの団は審査員から
「この曲は悲しみを表したテキストだから
 テンポはもっとゆっくりであるべきだ」
と言われたんですよね。




音楽として重くなりすぎるのは駄目だけど…。




でも速いテンポで悲しみが伝わる演奏ができるか?って。




そこは葛藤だよねえ。
抒情的にやり過ぎるとどんどん遅くなるし。
私はこのテンポと音楽、良いと思ったけど。




会場の長崎ブリックホールは意外と難しいホールで。
他の団は山台に上がっていたけど
エテルナさんは17人ベタ1列で。
大丈夫かな…と思っていたけどちゃんと鳴っていましたね。




鳴ってましたねー。
歌い手ひとりひとりが凄く歌えるんだろうな。




アルトの存在感が…。




アルト! あった、あった!の声多数。



 

ポリフォニーの線の綾なす中で
アルトが生きていましたね。




素敵でしたね~。
アルトがあったからこその音楽。
下手したらアルトがリードしているんじゃないかと(笑)。




そうそう! 凄い素敵なアルト!
ウチの団員にも聴かせたかった!(笑)




混声合唱はアルトがいないと成り立たないですからね。




ちょっと上手いぐらいじゃ褒められないけど
今回みたいに本当に上手いアルトさんだったら
大絶賛!!




…こんなにアルトが褒められる団体があっただろうか・・・。




一同(笑)。





自由曲は
"Missa Ave regina coelorum"より「Credo」
作曲:G.Dufay




素晴らしかった!




うん、良かった!!




場面転換がかなりあって、それが鮮やかで。
指揮者も一緒に歌っているのに
音楽がその都度新しく立ち上がり、
音色が変わるのが素晴らしかった。




しかもあの17人という人数で!




デュファイのお洒落な感覚が
団員さんの体の中にしっかり入っている!




曲を自分たちのものにしていましたね。




メモに「一筆書き」って書いてるんですよ。




わかる! との声がいくつも。
水墨画の一筆書き!、と。




音楽が鳴り始めたら止まらないんですね。
息を吐く時間が全く無くて
ずーっとビートが鳴り続け、
音楽が進み続いて・・・
それが、美しかったですね、凄く。




これぞ室内合唱という真髄を見ました!





選曲も自分たちのスタイルを貫いていて。





「俺たちはルネサンスしかやらねぇんだ!」(笑)





もちろん、そういう人しか入ってこないんでしょうけど
「この時代の、こういう曲が大好きなんだ!」
それが伝わるのが、もう、ね。




やっぱりさ、やらされているんじゃなくって
自分たちが選んだ曲は演奏から伝わるよね。
「好きなんです!」って。




その気概ですよね!


 


つくづくカッコイイと思いますよ。
そういう室内合唱の魅力を
発信し続けて欲しい。


 


こういう演奏が評価されて欲しいし、
そのために室内部門を作ったんじゃないの?!
…僕はそれくらい、ここの合唱団が
好きなんですけど・・・。




うん、応援したいね。




関東大会を抜けたり、
抜けれなかったりするかもしれないけど、
出続けて、また全国大会に来て欲しい。




こういう団体が出てこないと
「室内部門」を作った意味が無い!




「そうだ!」の声がいくつも。




いやあ、室内合唱の良心みたいな団だから
審査でも評価されて欲しいですね・・・。




一回評価されてしまったら
そこからガッと行く可能性はありますよね。
合唱団MIWOがコンクールへ出ていた時に
最初は銅賞ばかりだったけど
92年、いきなり金賞第1位、コンクール大賞も取って。
それからずっと金賞だったんですよね。




一同「お~」




たぶん、金賞を取る前とそれ以後で
MIWOの団員さんは何も変わっていないんじゃないかな。




「食ベログで高評価だったし!」みたいな話かな(笑)。




それ、わかりやすい(笑)。
本人は同じことをやっているのに
周りの見る目が変わるってこと、ありますよね。




ツイッターでルックスエテルナの団員さんを
何人かフォローしてるんですけど
「今回も銅賞でした」みたいなツイートがあって…。




「そうじゃない!」「そうじゃないよ!」との声が・・・。




「俺は…俺は!良かったよ!良かったんだよ!」
ということを声を大にして言いたい!!
だって、そのための観客賞でしょ、文吾さん?!




《文吾の感想》

お、おう・・・。

2年前の観客賞座談会の時もそうだったけど、
ルックスエテルナさんの時は
みんな熱くなりますね(笑)。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2013/12/15/165236


今回の座談会、私の発言はほとんど抜いているのに
それでも熱く語る人が何人も。



課題曲G1は発言にもあったように
やや遅めのテンポで。
しかしちゃんと前へ進んでいたし、
心の底からにじみ出る熱さがあり、私は好きでした。
どのパートもフレーズの入りが良く、
隅々までデリケートな表現だったのも良かった。

デュファイは打って変わって軽やかに流れる!
音楽の鮮やかな切り替わり。
中間部の変拍子のリズムも
団員さん同士のかけあいとして
弾み、転がり、跳ね、即興音楽のようにあふれ出す。

課せられた音楽のポイントを
段階的にクリアするのではなく、
デュファイの音楽そのものが団員さん一人一人に
ちゃんと入っていて、
それを個人がどう表現するかに心を砕いている…
ルックスエテルナさんの演奏からは
そんな印象を持ちました。


・・・うん、素敵な音楽の時間でした。


今年の5月、
ルックスエテルナさんのホームグランド、
栃木県宇都宮市の松が峰教会での
演奏会へ行ってきたんですが。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/05/20/214402


2年後、また松が峰教会で行われる演奏会へ
この座談会で熱く語った人たちと
いっしょに聴きに行けたらいいな。





(第1位の感想に続きます)