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芸術の神様が降りてくる瞬間

芸術の神様が降りてくる瞬間

 

 脳科学者:茂木健一郎氏と
町田康、金森穣、山下洋輔立川志の輔荒川修作ら諸氏との対談。




 これは大変興味深い対談。
 表現者であるそれぞれの分野のプロに、
仕事の才能、閃きや姿勢を
脳科学的に解き明かしていこう、というテーマが奥にあるような。


 作家の町田康、舞踏家の金森穣、落語家の立川志の輔
建築家・コーデノロジストの荒川修作
どの人も「おお、そんな風に考えているのか!」
「なるほど、この人の思考の道筋はこうか・・・」という
発見があって面白かったが、
音楽という分野で、山下洋輔氏と茂木健一郎氏が
即興演奏について語られた部分。


 音楽としての言葉、
そして同時に二人がそれぞれの音楽を(言葉を)奏でて
コミュニケーションが成り立つ音楽というものの
不思議さ、面白さが特に興味深かった。


 この対談で、実際に二人が即興演奏をしてみるのだが
「アンサンブル」というのは結局なんだろう?
どうすればいわゆる「アンサンブル」が身に付くのか?
…などと考えている私にとっては
こういう「即興演奏」というアプローチも有効かな、と思ったけど
山下洋輔氏という「即興演奏」のプロが相手したからこそ、
とも思えるし、やっぱり難しいかな。



 「そんな風に何でも理詰め、脳方面だけで解釈できるの?」…と
芸術分野だけに抵抗が多い方もいるかもしれないが、
言葉にしたり、「なぜ?」と理詰めで追っていく事で
これだけ広がり、深みを増す世界があるのだから、
私はこの本を力いっぱい肯定します。


 しかし茂木健一郎氏のある意味子供のような
(いや、子供のようだからこそ?)
知的好奇心は素晴らしいよね!