「春こん。」と松下耕先生のツイート

東京都合唱連盟主催のアンサンブルコンテスト「春こん。」。
http://www.jcanet.or.jp/tokyo/spcon/guide.html
2回目となる今年は


2月11日(祝月) School Choir Contest(中学校の部・高等学校の部) 
2月16日(土)  ジュニアの部、ユースの部、
フォルクロア部門、ジャズポップス部門
3月 2日(土)  ルネサンス・バロック部門、宗教音楽部門 
3月 3日(日)  クラシック・現代音楽部門


…と演奏曲の様式によって部門が分けられています。
この点だけでも興味深いのですが、
さらに興味を惹かれるのは評価基準のこと。




作曲家であり指揮者である
松下耕先生のツイートから
https://twitter.com/Matsushita_Ko
転載させて頂きます。

春こん。に出場すると、
「音程・リズム・演奏解釈・発声および声のブレンド・表現力」という
5つの評価基準をそれぞれ20点で評価した、
合計100点満点の審査表が審査員5人分届きます。
日本のコンクールによくある、
「講評用紙」が届く訳ではありません。
受け取るのは数値だけです。

団体によっては、数値だけでは物足りない、
と思う人達もいらっしゃるかも知れませんが、
これは審査員が各団体の演奏に集中するのに
大きく役立っています。
文章を書くのは、大変な労力が必要です。
そして、書いている最中はほとんど演奏を聴いていません。

書きたい漢字が浮かんでこない、
自分より目上の指揮者の団体への文言の気配りなど、
審査員は音楽以外のストレスを多く抱えることになります。
実際、今年の春こん。でも、
「ああ、今回は電子辞書いらないんだね」と
喜んでくださった方がいらっしゃいました。

そして、5つの評価基準が明確になっていることによって、
審査員の情緒的、感覚的、感情的な判断がされにくくなり、
より客観的な評価が下されやすくなります。
審査会議では、ほかの審査員より
特別な高評価、低評価をした審査員は
必ずその評価の理由を求められます。

今回の審査会議が、日によってとても長かったのは、
審査会議をとことん行い、審査員全員の納得を得てから
最終評価を下しているからです。
順位の決定も、
5人の平均点が85点以上の団体が1位資格を持ち、
80点以上が2位資格、75点以上が3位資格と、
はっきりしています。

これは、今までの日本のコンクールで行われていた
「どこまでを金賞にしましょうか」という、
情緒的な判断ではなく、
はっきりとした基準を定めていることにより、
審査員の感情的なバイアスが
かからなくするための措置であります。

ですから、合唱団の皆さんにとっては、
点数で表される評価表はまだまだ慣れないかも知れませんが、
受け取った点数から、
審査員の示唆や激励をどうか受け取っていただき、
今後の皆さんの活動の糧にしていただければ、と思います。

春こん。は順位点ではありません。
ですから、1位、2位なしの3位、とか、
1位と3位は出たけれど、2位はなし、といった、
今年のような状況も生まれます。
つまり、春こん。は、今の皆さんの合唱団のレベルを
客観的に知っていただき、
今後の練習の方向性の決定に役立つことを
第一義としているのです。

順位点で評価するコンクールは、
あくまで参加した合唱団同士の比較により賞を決めます。
その年のレベルが低くても、金賞になる。
これでは、自分たちの音楽レベルは
なかなか窺い知ることは出来ないのです。
音楽は、本来他者との比較ではない。
春こん。の審査方法は、その事を大切にしています。

春こん。に出場した皆さんは、
「◯◯合唱団よりウチが上だった」とか
「チクショウ、◯◯合唱団に負けたぜ」(笑)
といった感覚になりましたか?
「なんだよ、もっといい点数つけたっていいじゃんか」(笑)
といった感覚はあったかもしれませんね。
こりゃ仕方ないな(笑)

つまり、明確に点数化にすることで、
審査員も真剣にならざるを得ないということなのです。
審査員もまた、その人の見識を試されている。
情緒的な文言でごまかせないのですから、当然ですね。


…素晴らしい!そして面白い!!
松下先生だけのご提言では無いのかもしれませんが
海外のコンクールへの参加、審査経験が豊富な
松下先生の知見が大変活かされた評価基準と感じました。


自分も浅薄ながらいろいろ思うことはあるので、
それは次回に(笑)。