4月29日、今年で21回目になるTokyo Cantatの企画である
「第5回若い指揮者のための合唱指揮コンクール」へ行ってきました。
https://www.facebook.com/events/459527850921319/
2年に1回開かれるこのコンクール。
ビデオでの事前審査は日本人の合唱指揮者で行われ、
この日の予選へ進まれた12人は
海外の合唱指揮者である
ノルウェーのカール・ホグセット氏、
オーストリアのエルヴィン・オルトナー氏、
ラトビアのシグヴァルズ・クラーヴァ氏の3人に審査されます。
35歳以下の文字通り「若い指揮者」によるコンクール、
一度見学してみたかったのですがようやく実現しました。
ただ、岡山からは始発で行っても
審査開始の午前10時には間に合わず。
最初の審査は寺嶋陸也先生による新曲を
15分の譜読み後、初見演奏するというもの。
見学した人の話によると
「それぞれテンポが違ったり、最後の伸ばし方が違ったり、
面白かったよ!」…ということでした。
会場の第一生命ホールに私が入ったのは
ちょうど2つめの審査が始まるとき。
18世紀以前の作品を12分のリハーサルで演奏する審査。
曲は
Leonhard LECHNER/Gott b'hute dich
Henry PURCELL/With drooping wings[ Dido and Aeneas]
Quirino GASPARINI/Adoramus te, Christe
から1曲。
ホールに入ると、客席上手側最前列に
審査員3人が座っており、
さらにその前に大型のディスプレイが設置されています。
このディスプレイは指揮者正面カメラからの映像が
映し出されるもの。
最初はG.U.Choir指揮者でもある
山口雄人さんのリハーサルから。
・・・いやあ、面白いと評判を聞いていましたが、
このコンクール、本当に面白いです!
バトンテクニックの知識などは出場者のみなさんの
足元にも及ばないので、
「この人の指揮で歌う合唱団員だったら…」と
想像した視点での感想を。
12分という短いリハーサル時間での
バトンテクニック、音楽性はもちろん重要なんですが、
本当に大事なのは、
合唱団に自分の音楽を伝え、理解させるという
「コミュニケーション能力」なのでは?と。
自分の音楽をどれほど、どれだけ伝えられるか。
情報量の多寡もそうですし、バトンテクニックも含めて
合唱団員に理解して、歌として反映させてもらうための技術。
自分の考えの一方的な押し付けではなく、
合唱団員の反応、表情を見て、柔軟に伝え方を変えていく。
そんな伝え方の技術、コミュニケーション能力が
特に重要だったように思います。
モデル合唱団のアンサンブルPVDは
この課題の時点では16人ほどだったかな?
素晴らしいとは噂に聞いていましたが
高度な発声技術だけではなく、反応の良さ、
この長丁場で最後まで集中力を切らさない
実に賞賛すべき団体です。
12人の指揮者はそれぞれ個性豊かでした。
指揮法が違うのはもちろん、
練習の進め方も、最初に通して歌わせる、
リズム歌唱的に朗読させる。
自分で歌の見本を示す。あくまでも言葉だけの指示に留める。
曲のイメージを挟む。具体的な指示だけ。
淡々と進める。熱く引っ張る。
音楽の骨格にこだわる。細部を練り上げる…などなど。
リハーサルの終了時間が迫ると
ステージ上手側に座っている女性が
「3分前」「1分前」と大きく表示されたものを掲げ
ラウンドガールよろしく(?)
合唱団の後ろ側真ん中まで動き、指揮者に知らせます。
リハーサルの終わりにはベルを鳴らし。
指揮者「では、そこの所をもう一回!」 チーン
指揮者「・・・終わります」
会場、笑い、みたいな(笑)。
午前10時からの初見審査、
18世紀以前の作品演奏が終わり、
16時過ぎに本選へ進む6人の発表。
その審査発表は出場者12人をステージに並ばせ、
アルファベット順に本選出場者を発表。
そして選ばれなかった6人は即退場って厳しい!
コンクールってそういうもんだけど!!
本選6人の出場者と課題曲。
出演順も課題曲もその場のくじで決められます。
本選の課題曲一覧。
Felix MENDELSSOHN Bartholdy
: Jauchzet dem Herrn, alle Welt [Psalm 100]
Anton BRUCKNER
: Christus factus est
Claude DEBUSSY
: Dieu! qu’il la fait bon regarder [3 Chansons-1]
KODÁLY Zoltán
: Esti dal
Francis POULENC
: A peine défigurée [7 Chansons-2]
Trond KVERNO
: Corpus Christi carol
本選はリハーサル時間が15分に増え、
モデル合唱団のアンサンブルPVDさんの人数も40人ほどに。
6人のリハーサルが終わり、
麻山皓太さんと谷郁さんの指導に特に好感を持ちました。
その二人の後を、白井智朗さんと市川恵さんが追いかける印象。
結果は
1位
麻山皓太
2位
谷 郁
3位
白井智朗
・・・だったので、私の感想も
そう捨てたもんじゃ無いということでしょう(笑)。
(単なる偶然でしょうが)
後編は入賞者のリハーサルについて感想を。