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「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(その10)

 

 

3年前の記事で恐縮ですが、ふと思い出したもので。

 

 


「一員か代表か」
http://bungo618.hatenablog.com/entry/20121129/1354200191



富山の全国大会でリハーサル室担当として働いていた方の言葉。

 


気持ちの良い演奏をする団体のメンバーほど、
リハーサル室への入退場の時に挨拶を
きちんとされていくなぁとも思いました。
ステキな笑顔の人が多かったですね。

 

…そういうものかもしれないなあ、
などと思うのですよ。

そういえば長崎の全国大会で
スタッフとして働く予定の女の子の

「全国、すっごく楽しみ!」

というツイートを見かけました。
きっとその子には素敵な体験になることと思います。
・・・なるよね? なって欲しいな~。




さあ、今日の2団体で混声合唱部門全15団体中、
半分まで過ぎたことになります。


それではご紹介しましょう。
こちらも母体となった高校が大変有名で
毎回、知性が感じられる演奏をされる団体です!




















7.愛知県・中部支部代表

岡崎混声合唱団

(62名・2年連続出場・第57回大会以来11回目の出場
 岡崎高校コーラス部OB合唱団も含めると
 第49回大会以来13回目の出場)






優れた発声と高い集中力で
昨年はペンデレツキのAgnus Deiを
見事に演奏された岡崎混声合唱団さん。



岡崎混声さんの今年の演奏曲、
課題曲はG3
知覧節(「12のインヴェンション」から)
(間宮芳生 曲)



自由曲は信長貴富作曲
混声合唱とピアノのために
「寺山修司の『新・餓鬼草紙』による2つの素描」より
「第二章 母戀餓鬼」


信長先生の曲としては聴いたこともない、
見たこともない曲名です。
どんな曲なんでしょう。
岡崎混声合唱団団員さんに答えていただきました。



信長貴富先生がご紹介して下さったご縁で、
今作品
『寺山修司の「新・餓鬼草子」による2つの素描』の
演奏を決定いたしました。
この楽曲は、町田市民合唱団さんによる初演以来、
未だ演奏されていないもので、まさに隠れた名曲です。


信長先生による、この楽曲の紹介を引用いたします。
――――――――――――――――――――――――――――
寺山修司の「新・餓鬼草子」は
仏教の六道思想に基づく絵巻物
「餓鬼草子」の内容と文体を
下書きとして書かれている。
寺山のパーソナリティが色濃く吐き出された
グロテスクな内容となっている。
第二章「母戀餓鬼」は、
寺山の人生の中心テーマであると言っても良い
"母捨て"を扱った文である。
母への愛と罪悪感は、
寺山のみならず全ての男が共有する
コンプレックスではないかと思う。
寺山が青森県出身であることに因んで、
西津軽の子守唄を曲中に引用している。
――――――――――――――――――――――――――――

少年は、大人になる過程で妻を持ち、
いつの間にか母から離れていきます。
一方で、夫をなくした母にとっては、
子供こそが何よりの生き甲斐です。
子供に執着し、愛を注ぎ続ける母の姿を、
寺山は常に飢えと渇きに苦しむ
「餓鬼」に重ね合わせ、
痛々しいほど哀しく表現しています。

演奏に当たっては、
文語体のリズムを表現するために
能の「詠い」のような喋りにこだわってきました。

飢餓や戦のはびこる平安末期に描かれた餓鬼草子と、
現代日本の寂れた裏町の情景。
母への愛や憎悪、罪悪感。
演奏の中で、濃密にそれらが重なり合い、
輪郭が浮かび上がるような構成になっております。

愛と煩悶の混在する、
寺山修司の世界をお楽しみいただけたら嬉しいです。

 


おおお、凄そうな曲です!
テーマは寺山修司の「母捨て」。
音楽としても西津軽の子守唄に
文語体のリズムを表現するための能の「謡い」。
どんな曲なんでしょう、聴くのが楽しみです!




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東京でのコンサートの写真とのこと。

 

 




全国大会に向けた意気込み、伝えたいことは…との問いには

 


合唱とピアノとの協奏曲のような
スケールの大きな音楽を描きつつ、
熱さの中にも
「水も漏らさぬ緻密さ」を持った音楽に
仕上げたいと思っています。


今年も全国の舞台に立たせていただくことができ、
感謝でいっぱいです。
他の団の皆さんの素敵な演奏を、
とても楽しみにしています。

 

岡崎混声団員さん、ありがとうございました。
人気曲の演奏も重要ですが
岡崎混声さんのように「隠れた名曲」を
演奏するのも、とても意義のあることです。

信長先生の新しい作風、
また、岡崎混声さんの新しい一面を
見つけることができるかもしれません。
期待したいと思います!









続いては昨年初出場だった
若い団員さんが多い若い合唱団の登場です。












 

 




8.愛媛県・四国支部代表

I.C.Chorale

(35名・2年連続2回目の出場)

 





昨年は信長先生の「くちびるに歌を」を
爽やかに演奏された
"I.C.Chorale"(アイ・シー・コラーレ)こと
通称「いよコラ」さん。
昨年3月に結成され、平均年齢も約21歳と
歴史も団員さんも若い合唱団です。

 

 



今年の演奏曲は
課題曲G3
知覧節(「12のインヴェンション」から) 
(間宮芳生 曲)


自由曲は松下耕作曲
混声合唱とピアノのための「この星の上で」から
「今年」





指揮者の村上信介先生に選曲について伺いました。

 

 

【各曲の選曲理由】

課題曲:G3「知覧節」

課題曲の発表があった際、
間宮作品があるのを見て即選曲したいと考えました。
私、間宮作品が大好きなんです。
40年、50年前に書かれたはずなのに、
今でも新しい音楽。
民謡の土臭さを感じさせつつも、
西洋音楽の様式も併せ持つ独特のサウンド。
古いはずなのに、本当に新しい。
「知覧節」も間宮作品ならではの魅力が
詰まっていると思います。

ここ2年、アンサンブルコンテストで
「合唱のためのコンポジション 第1番」に
取り組んだことも選曲の後押しとなりました。
民謡を題材とした土着的な音楽というのは
我々四国の人間の持つサウンドに
合っているとも考えています。
「四国の音楽はどこか垢抜けない」
なんて揶揄されることもありますが、
それがプラスに働くとも思います。
また、「知覧節」は
若者の恋愛を歌った作品でもあることから、
若者集団である我々いよコラが
取り組むにふさわしいのではないかと考えました。



自由曲:「今年」(松下耕)

昨年は「くちびるに歌を」を選曲し、
創団して1年にも満たない中で
全国大会に出場させていただきました。
今年のコンクールの選曲に際し、
作品の難易度的なものはもとより、
我々の創団の原点でもある、
「歌に対する純な思い」をぶつけられるような曲を
歌いたいという気持ちは忘れてはならないという
思いは常にありました。
そう考えた時に、
自然と松下耕先生の「今年」が浮かんできました。

私は大学時代にこの曲に出会ったのですが、
初めて聴いた時から好きになって。
谷川俊太郎先生の詩に共感し、
松下耕先生の音楽に感動し、涙しました。
昨年歌った「くちびるに歌を」もそうなんですが、
「今年」も私の苦しい時の希望になってくれて、
何度も何度も私を救ってくれました。

ひょっとしたら、
優劣を競うコンクールで選曲するような作品では
ないかもしれません。
それでも、団員の曲への共感というのが
本当に溢れてるんです。
この曲を歌っている時の団員の満ち足りたような笑顔、
あるいは目に溜まってくる涙。
それだけで「今年」に取り組んで
良かったなという思いになります。

また、この曲を通して
団の成長というのもひしひしと感じられました。
四国大会前日、ようやく30人を超えたメンバーが
集まったのですが、
1つの指示ですぐに音楽が変わっていくんですね。
音楽に対する素直な共感が、
気持ちだけでなくちゃんと音に表出されている。
「涙があるだろう」に込められた過去への痛切な反省、
繰り返される「ほんの少し」という言葉から
溢れる未来への希い、
90~91小節目に出てくる、
最後の「今年も」という言葉の持つ思いの重さ、
感情の集大成ともいえるVocalise・・・。
共感がすぐに音に変わっていく。
こんなにもすぐに音楽は変わるのものなのかと驚きました。
まだ結成して1年半程度しか経っていませんが、
素直に「いい合唱団になったな」と
実感して少し涙ぐみそうになりました。


もちろん、まだまだまだまだひよっこで
足りない部分は多いですし
目指すべき目標というのは
遥か高いところにあるとは自覚しているんですが、
それでも、成長を喜ばずにはいられませんでした。
(まあ、「そんなに歌えるんならもっと早くからやってよ」
とも思いましたが(笑)

「歌う」ことの語源は「訴う」ことです。
この作品の持つ希望を、願いを、
若者の溢れるエネルギーを全力でぶつけて歌い、
訴えたいと思います。



今年も歓びがあるだろう
生きてゆくかぎり
いなむことのできぬ希望が


誰しも過去があるから今があり、そして未来がある。
我々自身が誰かの希望になることができれば幸いです。

 

 

 

村上先生、ありがとうございました。
昨年の「くちびるに歌を」もそうでしたが
「自分たちが心から共感して歌える曲」というのは
やはり演奏に表れるものですね。





この全国大会に対する意気込みは…という問いには

 

 

まず何より、悔いのない、
全員笑顔で終われるような演奏をしたいです。
まあ、笑顔ではなくて(喜びの)涙が
溢れてたらそれはそれで問題ないです(笑)

また、今年は、四国大会で
Chorsal《コールサル》さんと一騎打ちをした結果、
全国大会出場を決めたわけですが、
そんなコールサルさんや、
県大会で涙を飲んだ団体の思いも含め、
四国の代表として誇りを持って
舞台に立ちたいと思います。
加えて、恐らくコールサルさんの演奏を
楽しみにしていた方も
全国には多くいらっしゃると思いますので、
そんな人たちを失望させない、
「四国にはこんな合唱団もあるんだよ!」と
胸を張って言えるような演奏をしたいと考えています。

また、コンクール的な話(?)をすると、
昨年は混声合唱の部で最下位だったので、
1つでも上の順位を目指したいという思いもあります。
ちょっと目標が多いかもしれませんが、
若者らしく全力でぶつかっていきたいと思います。

 

 

 

まあ、混声合唱部門はかなりレベルが高いですからね!
全国出場できるだけでも立派だと思います。


そして聴く人に伝えたいことは…
 

 

 昨年も書かせていただきましたが、
I.C.Choraleは通称“いよコラ”と呼ばれ、
平均年齢20~21歳の若者の集団です。
どこかでお会いした際には、
気軽に“いよコラ”と読んでいただけると嬉しいです。
詳しくは、昨年の文吾さんのブログ記事をご参照ください↓
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/11/16/232614

また、コンクールとは関係の無い話ですが
演奏会の宣伝をさせてください。
来年、平成28年2月28日(日)に広島県で、
「合唱団ぽっきり」さん(広島県)、
「Ensemble Musics」さん(京都府)との
ジョイントコンサートを開催します。

合同ステージの客演指揮には
藤井宏樹先生をお招きして、
高田三郎先生の「水のいのち」を演奏します。

今回のコンクールで興味を持たれた方は是非、
2月末は広島県にお越しください!!

 

 

 

おお、ぽっきりさんは伸び盛りの団体ですが、
Ensemble Musicsさんも今年、
宝塚国際室内合唱コンクールで初めて聴き、
その個性と実力に注目した団体です。
そして客演指揮が藤井宏樹先生!
さらに演奏曲が「水のいのち」!
これはかなり行きたくなる演奏会ではないでしょうか。




最後にいよコラさんの「我が団のこの人!」です。

 

 

Tkhsという私の1学年下の、
イケメンテノールパートリーダーを紹介させてください。
彼は大学時代立命館メンネルコールで学指揮を務め、
魅力あふれるテノール声で
多くの女性や男性を魅了してきました。
現在は広島県で勤務しながらも、
日曜日が休みならば
土曜夜の仕事終わりに車を飛ばして松山まで駆けつけ、
深夜0時から飲み会をスタートさせ、
翌日の練習に参加して帰る…と、
とにかくバイタリティに溢れています。
酒を飲むとしばしばロストメモr
(■プライバシー保護のため自主規制■)

そんなTkhsとは小学校時代からの知り合いで、
中学校から合唱部で一緒に歌い始め
足掛け10年ほどですが、
音楽面でこれほど頼りになる人間はいません。
10年間常に頼れる後輩であり、
私のライバルでした。
彼を目標にし、
彼に目標にされながら歌ってきました。
彼がいなければ私は今ここで
歌っていなかったかもしれません。

大学時代は共に歌うことはなかったものの、
社会人になってからこうして
彼と共に本番の舞台立てることが増え、
非常に嬉しく思っています。
ノリが良く歌も上手いイケメンですので、
お会いする機会があったら是非皆さんお声掛けください。
(添付写真の寝っ転がってる奴です。)

 

 

 

 

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 四国大会終了後の写真とのこと。






小学校時代からの親友が、
今も一緒に夢を追いかける相棒になっている…
イイ話じゃないですか!


村上先生は最初に伺った選曲理由で

>「歌に対する純な思い」を
>ぶつけられるような曲を歌いたいという気持ち

と書かれていました。
コンクールというのはやはり演奏の優劣を競うもので
そこには向いている選曲や演奏の傾向はあるものですが
「この曲を歌いたい」という
始まりであり大切な思いは忘れてはいけないと思います。


谷川俊太郎氏の「今年」は
人間の普遍的な営み、感情を挙げていき、
未来への希望を抱く人間への賛歌、そして
生きることの賛歌とも言うべき詩です。

いよコラさんが共感された、心から歌いたい「今年」が
聴く人々への希望に繋がりますように。












(明日に続きます)