2007年ベスト <本編> 第11位〜7位まで

 まあ、マンガ以外の本ってことで・・・。
 「今年出版された本のベスト」、ではなく
 「今年初めて読んだ本のベスト」、ね。念のため。




 第11位
 「大人になると、なぜ1年が短くなるのか?」 一川 誠, 池上 彰

大人になると、なぜ1年が短くなるのか?

大人になると、なぜ1年が短くなるのか?

 タイトルの疑問に対してよく言われる
 「10歳の子供にとっての1年は人生における10分の1で、
  50歳における1年は人生における50分の1なので
  年齢の分母が多い大人の方が1年を短く感じる」
 ・・・という答えはこの本によると信憑性が無いそうで。


 じゃあ何故? という問いに対する答えの本。
 認知科学の領域になるのかな。
 時間に対する様々なネタを仕入れることが出来ますよ。



 第10位
 「今日からおいしくなる洋食のシンプルルール」 水島弘史

今日からおいしくなる洋食のシンプルルール

今日からおいしくなる洋食のシンプルルール

 「肉の焼き方、最初は強火、は間違い!」 −火のルール
 「切り方さえ変えれば玉ねぎを切っても涙が出ない!」 −切るルール
 「肉でも魚でも野菜でも、重量の0.8%がおいしい塩加減」 −塩のルール


 かなーり「目からウロコ」の料理本。
 3つのルール、それぞれに科学的で納得がいく説明があるのも◎
 特に「火のルール」はえええええっ!!!という感じ。



 「弱火・中火・強火以外の第4の火加減」=「弱い中火」で焼くこと!
  フライパンは熱さず、冷たい状態のまま材料を置いて、弱い中火にするんだ」
 「弱い中火って?」
 「鍋底に火がついていない状態のことさ!」
 「よーしやってみよう!!」



 ・・・ウチ、電磁調理器だった・・・。 ○| ̄|_


 (※念のため。電磁調理器でも一応、本の焼き方は出来ます。微妙に違うだろうけど)



 第9位 
 「おいしいワインが出来た!」 岩本順子

 日本人女性が単身、ドイツの名門ワイン醸造所、
ケラー家に飛び込み、ワイン作りを体験するというドキュメンタリー。

 
 当たり前のことなんだけど、ワインって葡萄作りなんだなあ・・・と。
 本文のほとんどが葡萄栽培、収穫について書かれていて。
 鳥、雹、害虫、疫病の被害。
 間引きの重要性、農薬とヴィオワインの関係性、などなど。
 過酷な環境で、それでも高い品質のワイン作りに誇りを持って、
一家で働くという幸せを伝えてくれる優れた本。


 ケラーのワイン、なかなか手を出せなかったのだけど
つい最近、思い切って買っちゃいました。
 クヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート(QmP)、
肩書き付き上級ワインの6つある等級で
5番目のシュペートレーゼと呼ばれるもの。


 ・・・甘い。しかしなんて美味しい甘さなんだろう!
 軽く発泡もあって、酸がその高貴な甘みを支えている。


 買ったワインショップの人は
 「酸味などは少し薄れますが、
  開けても一ヶ月は充分飲めますよ」とのこと。


 まあ、一ヶ月様子見るどころじゃなく
一晩で空けちゃったんだがな!


 いつか、最高級のトロッケンベーレンアウスレーゼや
凍っている、わずかな時間で収穫された葡萄で作られる
アイスワインも飲んでみたい!!


 ワインクーラー代わりのボールに入れたケラーのワイン。
 氷を張った状態の水で、かなーり冷やして飲むと私好みでした。




 第8位
 「ねにもつタイプ」 岸本佐知子

ねにもつタイプ

ねにもつタイプ

 岸本佐知子さんという名前は、
ニコルソン・ベイカーの超ヘン小説「中二階」「フェルマータ」の訳者、
として名前を憶えていたが、このエッセイ集もヘン。超ヘン。


 世界そのものへの違和感を書く章、
妄想が膨れ上がって捻じ曲がり別の世界を出現させてしまう書く章、
そうかと思うと切なく、郷愁を起こさせる幼年連祷的なものも。


 題名の「ねにもつ」というのは一般に思われる
 「他人から受けた仕打ちを忘れない…」というのではなく、
自身の「根」っこに持つ感覚、記憶、物や人の見方、と思っていいかも。
 ほとんどの人が忘れ、あるいは慣れ、流してしまったことを
岸本さんは決して忘れずに、大人になってもそれを常に見つめている。


 「ねにもつタイプ」はあらゆることが心に引っかかるので
確かに一般社会にはなかなか馴染めなさそうだけど、
しかし、岸本さんのその引っかかりはとても不思議で魅力的だ。


 このエッセイ集で得た感覚、物の見方のいくつかは
おそらく10年経っても憶えている気がします。
 短く、奇妙で、それでいて実に面白いエッセイ集。オススメです。



 第7位
 「音さがしの本―リトル・サウンド・エデュケーション」 R.マリー・シェーファー 

音さがしの本―リトル・サウンド・エデュケーション

音さがしの本―リトル・サウンド・エデュケーション

 米光氏の「こどものもうそうblog」関係で
 『のだめカンタービレ』を楽しむための3冊+α。
 

 「サウンド・エデュケーション」、ではなく。
 子供向けの
「音さがしの本 リトル・サウンド・エデュケーション」を読んでみました。

ほんの少しのあいだ、すごく静かにすわってみよう。
そして耳をすましてみよう。
今度は紙に聞こえた音をぜんぶ書き出してみよう。

 そんな言葉で始まる100の「音さがし」。
 学校で多人数でやるようなものは、想像するしかないけれど。
 それでも充分面白い!


 ふだん耳も、心も “閉じて”、聴かないようにしていた
様々な音へ意識を向けることによって、
世界が広がっていくような感覚を味わえる素敵な本。

 『サウンド・エデュケーション』、『世界の調律』、
次に絶対読もうと思っています。