観客賞座談会・室内合唱の部 その3

 







f:id:bungo618:20200101110157j:plain

常寂光寺
京都フリー写真素材

 



それでは2019年観客賞室内合唱部門、第1位!


合唱団まい

 

f:id:bungo618:20191106180132j:plain

(混声24名)


 

 


一同 拍手!

 いやぁ~相変わらず凄かったです。
  課題曲G3「蜂が一ぴき…」
  テンポを縦横無尽に変えていて。
  これ、まい劇場はもちろん、
  「雨森劇場」では?!

A いや、楽譜を見ながら聴いてみたら
 色々やってるんだけど
 全部納得がいった!

B そう!説得力があった!

A 楽譜から離れたことをやる時って
 説得力が無いといけないんだけど、
 今日の演奏にはありましたよね。
 詩の内容を色々な変化に
 しっかり活かしていました。

 もちろん良い演奏なんですけど
  この宮澤賢治のテキストを
  どう読むかが難しい問題で。
  妹の死への情動を抑えているために
  作曲もそのようになっているのかなと。
  まいの演奏は悲しみに振り切れていて。
  凄い緊張感があり、死を感じさせる。

A 四分音符が短めで余韻があって。
 65小節、「もう」の「う」が
 本当に置くだけの感じなんだけど
 それが余韻を残している。
 他にも20小節目、助詞の「は」。
 短めで消えていくようだから
 間の休符があっても
 次につながっているような
 ニュアンスがあって。
 …俳優がセリフを言う時に
 間があるんだけど、
 プツンと切れているんじゃなく、
 つながっている感じ。
 まいは本当に演技派だなぁ・・・と。

B 最初の音から命、
 生き生きしたものが伝わってきました。
 終盤は「けむっている」から
 妹への悼みがあふれて。
 ピアノで「標本をいっぱいもって
 気持ちが再び込み上げたメゾフォルテで
 「わたくしは
 最後、八分休符の間があり、
 ピアニッシモでポツンと
 「宗谷海峡をわたる」・・・
 寂寞、何とも言えない余韻で、
 胸にじーん…と広がるものが。

文 自由曲、信長貴富作曲
  混声合唱による
  うたの劇場「不完全な死体」より
  「Ⅰ 書物の私生児」
  「Ⅵ〈終曲〉流れ星・流れ星」。
  雨森先生が指揮を
  振らなかったのにビックリ!
  しかも三味線が中央だったでしょ?
  誰がアンサンブルを進めたんでしょうね?

A たぶん練習の時に
 要所を確認して進めていたのと
 平林先生のピアノをみんなで共有し、
 自分の中身を入れて
 歌っていたんじゃないかな。
 ソリストは三味線の横に
 ちゃんと陣取っていたから。

 なるほど。

A 特にテノールの若いソリストさんは
 都都逸っぽいとでも言うか、
 日本的なニュアンスを
 上手く捉えていましたね。

 都都逸・・・聴きながら
  「あ~オレって日本人だな~」って(笑)。
  合唱も民謡、昭和歌謡、都都逸なり
  「ここから変えました」じゃなく
  流れの中でさりげなく、
  シームレスに変わっていくのが
  良かったです。

B けっこうリフレインが多い曲と思ったけど
 それを同じように演奏するのではなく
 それぞれ違った歌い方に変えていたのが
 やはり、まい凄いぞ!って。

A それにしても今年は声に艶があった印象が。
 若返った?と思っちゃった。

 ・・・そんなに団員さんは
  入れ替わっていないはず(笑)。

A そうだろうね(笑)。
 このホールに
 まいの発声が合っていたのか、
 色々な音楽体験をしてきた人たちなので
 ステージに立って声を出してから
 最適なように修正したのか。
 凄くつやつやした声が届いてきました。

B その届いてきた声は表現力が幅広く、
 本当に劇場でやっているような。
 動きは無かったけどひとつの舞台として
 日本語のミュージカルを観ているようでした。

 そうだね、自分は大衆演劇とか
  他にも黒テントや天井桟敷、
  小劇場の雰囲気を少し感じたな。
  図書館で調べても残念ながら
  確認できなかったんだけど
  「流れ星・流れ星」は
  寺山修司の戯曲「疫病流行記」から、
  という情報があって。
  戯曲の劇中歌かもしれないので、
  演劇を思わせるのは当然だったのかも。

B 今回はコンクール版で
 けっこうカットしているそうだから
 全部観てみたくなる演奏!

 他の団体のDVDで観たけど
  なかなか凄い曲集ですよ。
  …でも聴きながら
  「これは審査難しいだろうなあ」って。
  ある意味審査員に
  「どうだっ?!」と問いかける
  選曲と演奏でしょう?

A 自分は文部科学大臣賞行くかな?って
 思ったんだけどね。

 うーん、評価が分かれるんじゃないかなと。
  観客賞は絶対上位だなと思いましたけど(笑)。

A 今までまいの弱点と思っていた
 表現や発声の粗くなりがちなところが
 無かったと思う。
 今年はいろんなものが伝わってくるけど
 粗くない。
 だからパワーアップした演奏に感じたんだな。

C 自分には
 「コンクールなんて本当にどうでもいいや!!」
 そんな風に思わせる演奏でした。




メール、ツイッターの感想です。

 

まいは、自由曲が良いですね。
三味線とソロはなんか都々逸を聴いてるようで、こんな世界も良いなと思いました。
かねごん@よどこん最低(音)

 

始まった瞬間からコンクールじゃなくてまいさんのステージが始まった!って感じがした
まいさんのまるで劇見てるような感じ、とにかく最高

 

G3も信長も言葉と音と音楽を自分達のものにしている 聴き惚れた

 

課題曲も素晴らしかったですが、なんといっても自由曲!
一人一人が楽しんで歌ってる感じが伝わってきました。

 

伴奏者の化学反応○
まいの意地○

 

G3はまさに「生きたアンサンブル」。
自由曲は読んで字のごとく「うたの劇場」。
劇団まいの熱演が刺さりました。
所属している団の都合上色々な意味で目標となっている団体ということもあり、こう歌えたらなぁと思いました。
本当に素敵でした。

 

改めて結果です。

《2019年観客賞・室内合唱部門》


同率第3位の3団体

合唱団「い〜すたん」
倉敷少年少女合唱団
女声合唱団ソレイユ


第2位 アンサンブルVine

そして第1位は…


合唱団まい


でした。


室内合唱部門第1位ということで、まい団員さんよりメッセージをいただいております。

* * * * * * * * * * * *


観客賞の企画、今年もありがとうございました。
そして観客賞1位、多くの方に投票をいただき、感激しております!!

自由曲については昨年と同じく信長先生の「不完全な死体」から選曲しましたが、今年は、どちらかといえば寺山修司の所謂アングラ劇な側面に焦点を当てた選曲でした。
けっして万人受けするものではなく、もしかしたら歌詞に嫌悪感を覚える人もいるのでは、という心配があったことも事実で、まさか観客賞1位をいただけるとは思っていませんでした。

信長先生が見事に描き出した寺山修司の世界。
その一端を多くの皆様にお伝えできたことを大変嬉しく思います。
ありがとうございました!!


* * * * * * * * * * * *


まい団員さん、ありがとうございました。
昨年と同じ曲集から、ここまで振り幅の広い世界を堪能できるのか!と驚いた今回の演奏。
それは寺山修司、信長貴富、そして合唱団まいという存在の振り幅かもしれません。

次回聴かせていただく時は、どんな世界を見せていただけるのか?
今後の活動に、また大きく期待しております!





(同声合唱の部の感想に続きます)