新・珠玉のハーモニーに寄せて

 

 

「珠玉のハーモニー」
全日本合唱コンクール全国大会名演復刻盤


ブレーン株式会社さんより2020年9月下旬 Vol.6~10(5枚同時発売!)

 

 

 

 

 

「新・珠玉のハーモニーに寄せて」



「令和になった今、平成の『珠玉のハーモニー』を作りたい。ついては収録曲を文吾くんにも選んでほしい」とブレーンさん経由でぜんぱくさんからお誘いがあったのは昨年の春ぐらいだったろうか。
それは大変名誉なことと快諾し、ふふふ、私の審美眼が認められたのか!とほくそ笑んだが、単純に全国大会の観客賞を私が主宰していることが理由だろう。


ぜんぱくさんの住む尾道、私の住む倉敷でブレーンさんの担当編集者:イケメン原さんを交え、何度も話し合いをした。
全国大会の名演について語ることはとても楽しく、その一方で(約30年分の膨大な演奏から選りすぐった名演を集めたCDなんて、なかなか決まらないだろうなー……)などと呑気に思っていた。

状況が一変したのはこの新型コロナウイルス禍。
数々の演奏会、合唱イベントと同様、今年11月に山形県山形市で行われる予定だった全国大会も中止になってしまった。
代わりになるものを、と考えられたのでは無いかもしれないが、結果この「珠玉のハーモニー」企画も実現へ大きく進むことになった。

さぁ楽しい時間が地獄の苦しみに変わったのはそれからである。
CD5枚分はかなり長い時間のように思われるだろうが、話し合いで挙げられていた演奏曲の合計時間はその軽く2倍、いや3倍を超えるものだったのだから。
思い入れがある団体、演奏曲を削ってしまわなければならないこの辛さ!

ぜんぱくさんとの話し合いもエキサイトし、卓上の皿は飛び、コップは割れ、お互いの胸ぐらを掴み・・・ということはZoomミーティングなので無かったが、かなり白熱する瞬間が何度もあったように記憶している。
結果、譲ったり譲られたり、判断をブレーンさんのお任せにしたり。
このCDの収録曲をご覧になられた方は「なぜこの団体が収録されていないんだ!」「なんでこの演奏曲が!」とご不満な方も大勢いらっしゃると思う。
そのお気持ちは十分すぎるほどわかります、いや本当に。
そういう方はブレーンさん&全日本合唱連盟さんのコラボ企画「心に染みた珠玉のハーモニー大募集!」
https://www.brain-shop.net/shop/pages/gem.asp


ぜひとも推しの名演をツイッター(ハッシュタグ #珠玉のハーモニー)で、つぶやいて欲しい。
書き込まれた団体や演奏曲に私も「いいね!」と反応してしまうかも。



多くの演奏会やイベントが中止になり、生の合唱演奏が聴けなくなり、実は腐っていた。
「これからは食と酒のおっさんになる。合唱? そういう趣味もありましたね」みたいに考えていた自分もいた。
でもこの「新・珠玉のハーモニー」を聴いたとき、「こんな良いものは滅ぼしちゃダメだ!」と叫びそうになった。

全日本合唱コンクールは、合唱文化の中で単にひとつのイベントに過ぎない、と考える人はいるかもしれない。
それでも約30年の期間で選ばれた曲は、音楽、合唱の変化というだけではなく、それぞれの時代背景を映し出す、幅広く、奥深いものになっている印象を受ける。
なによりどの収録曲からも今を生き、未来へ歌う人たちの熱い思いが伝わってくる。

どうか聴いて欲しい。
そしてできれば自分と同じように思って欲しい。
「またこんな演奏を聴きたいなぁ!」
それこそが合唱の未来への力になるはずだから。

 

 

f:id:bungo618:20200918082730j:plain




(次回:コラボ記事 「●聴かずに土下座した日 ~ 日立コール・システム・プラザさん ~」 9/20日曜更新予定です)