ハーモニー夏号・合唱には愛が足りない?!

 


ハーモニーの夏号が届きました。
ピアニスト:前田勝則さんのエッセイから始まり、音響エンジニア:徳平佳久氏へのインタビュー、私も配信で聴いた声楽アンサンブルコンテスト全国大会や、訪れた姫路でのJCAユースクワイア(演奏がYouTubeで聴けますね!

https://www.youtube.com/playlist?list=PLFrNoG58J6HYCl0NOsrSWxox0LA6_3neP

のレポートなど盛りだくさん。

 


しかし!読んで自分が「これはっ!!」と思ったのは・・・

「今、広報を問う!!」

と題した、坂元編集委員が4人の広報関係者との座談とインタビューを交えた記事。
これが、合唱団の中の人はもちろん、指揮者や団員さん、そしてこんなブログをやっている自分には必読の内容なのでした。

 

最初は「あの」武蔵野文化会館で独特のワープロチラシを作られた栗原一浩さんと、その部下であった山根悟郎さんとの座談。
どれほどユニークなチラシだったかというと ↓ の反応をどうぞ。


【炸裂!】武蔵野文化会館のチラシ(フライヤー)が独特すぎる

 

この独特のチラシがどういう経緯・意図で作られたのか……。

「音楽マニアではなく、普通の人が来ればいい。だから
 『この演奏家はここがこういう風にいいんですよ』
 って判りやすく書かないとならない」

 

「マニアに向けてものを作らない、
 8割の常連客、
 この店(団体)が好きというお客さんを作ることが大事」

 

「一般のお客さんに、
 どういうストーリーとしてこの人は刺さるのか」
「自分たちが何を目指しているのか?」
そこから逆算した理念としてチラシを作る。


自分たちを知ること、目指すものを明らかにする(それは満席の客席?それとも演奏に満足した客?)ことから逆算し、行動を決めることの重要性。

「合唱団の人ってみんな結局歌いたいだけなんだよ」と痛烈な言葉を挟み、じゃあ他団体に興味を持たせ、聴きに来てもらうためにはどうすれば良いのか。
もちろんチラシだけではなく(もうチラシの寿命はそんなに長くないとか)、SNSでの広報も視野に入れ。

畳み掛けるように厳しい言葉はこう続きます。

クラシック、合唱の人はお客さんに対して「ありがとう」が無い、だから客が来ない。

栗原さんがライブハウスで長年ロックバンドやアイドルを聴いてきた体験から。
クラシック、合唱には「ありがとうが無い」、感謝が足りない、愛が足りない、と。
なるほど、比較すると合唱団では、プログラムに形式的な感謝、あるいは演奏前に指揮者が儀礼的な感謝を述べるくらいで、出演者から「来てくれた事への感謝」を感じることは少なかったかも。

「人間としての根源的な愛とか感謝とかいうものを前提としたコンサート作りをしなければいけない」・・・うぅむ。


続く東京フィルハーモニー交響楽団広報渉外部の伊藤唯さん、株式会社プレシャスパートナーズ執行役員:北野由佳理さんが語られることも実に興味深いです。

「コンサートの魅力を言語化し、外へPRする」
「人にフォーカスする、単なる『もの』ではなく背景にストーリーを」

……などの言葉はとても響きます。
「誰がどんな背景で発案したプログラム(選曲)なのか?」も。

これらの文章で自分は合唱団ばかりを批判してきたようですが、もちろんそんなことは無く。
自分自身も大いに反省するべきものと勉強になりました。

合唱団をブログ記事やツイッターで紹介したとき、過去の形式と同じようになっていないか?
「合唱団員」としての塊で見てしまい、それぞれ個性ある「人」として見ていなかったのでは?などと。


北野由佳理さんは「全員広報、全員人事」という言葉を挙げ、「合唱団全員が『全員広報』という考えを持って発信したりすれば、もっと楽しい世界になるんじゃないかなと思います」と語られています。
自分の所属する合唱団が他の合唱団へ、また合唱の世界の外へ、全員が「広報」していければ確かに楽しいですね。
ここに記した以外でも、合唱の広報として非常にためになる言葉があり、ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思いました。


そんなわけで、とても良い特集だったので読もう!ハーモニー!!