観客賞バックステージ 室内合唱の部 その4

 

 

黒崎上空より(新潟市)

 

前回は倉敷少年少女合唱団さん、女声合唱団「歌姫」さんをご紹介しました。


ところで全日本合唱連盟公式Xアカウントさんも、小学校の全国大会から新潟全国へとシフト。

 

新潟物産ブース?! 日本酒の試飲はないのかな?
ご当地キャラもご来場!!……って新潟のご当地キャラってなんだっけ??

・・・などといろいろな思いが浮かびます。
開催まで、そして当日も全日本合唱連盟公式Xアカウントさんをチェック!!

それでは室内合唱部門、最後の3団体をご紹介します。
再活動がふたたびの全国大会!東北の実力合唱団は?


福島県・東北支部代表
合唱団「櫻」

https://twitter.com/chor_sakura

(混声・5年ぶりの出場・第71大会以来2回目の出場)

2009年に福島県立喜多方高校の音楽部(合唱部)のOB合唱団として活動を始められた櫻さん。
現在は福島県内の高等学校卒業生も在籍中。

5年前の出場時には課題曲にバード、自由曲に三善晃「I.私が歌う理由」「V.地球へのピクニック」を演奏され。
三善作品の楽しくアンサンブルされる空気も良いものでしたが、特にバードの教会を思わせる響きと女声の安定した歌が評判を呼んでいました。
 
櫻さんはコロナ禍もあり、今年度が久しぶりの再活動で全国出場だそう。
前回も結成したばかりなのに全国大会初出場ということで、その実力の高さが伺えます。

 
櫻さん今回の演奏曲は
課題曲
G3 水上(「三つの無伴奏混声合唱曲」から) 北原白秋 詩 柴田南雄 曲

自由曲
「Advent-Motetten Op.176(9つの待降節のモテット)」より
「2.Universi」
(作曲 Josef Gabriel Rheinberger)

「3 Psalms, Op. 78(3つの詩篇)」より
「Psalm 43 / Richte mich, Gott(詩篇43篇/私を裁いてください神よ)」
(作曲:Felix Mendelssohn Bartholdy)

ドイツ・ロマン派の、宗教曲を数多く作曲したラインベルガー、メンデルスゾーンの名曲を。
刻むようなことばから「憐れみたまえ」と主に訴える旋律の美しさ。
2分に足らないほどの短い曲ですが、「アレルヤ」の変化の末の希望を感じさせる明るさにラインベルガーの非凡さが光ります。

「何らかの折に都を離れし者が、再び神殿に詣でることを祈りつつ、神に救済を願う」詩篇第43番。
男声と女声合唱の短調の厳かな始まりから、高揚感ある長調、惹きつける音楽的な起伏を経て、最後は温かなコラールで締めるメンデルスゾーンの傑作です。


先月に開催された高松の全国大会では、櫻さんの指揮者:佐藤朋子先生が指揮される郡山高校の演奏を聴かせていただいたのですが、音楽的に豊かで表現力も素晴らしいものでした。
合唱の王道を進むような選曲、今回も聴くのが非常に楽しみです。

 

ラスト2団体はどちらも東京の団体!


10.東京都・東京支部代表
杉並学院・菊華女声合唱団
(女声・4年ぶりの出場・
 杉並学院・菊華混声合唱団としては
 第64回大会以来6回目の出場)
(菊華アンサンブルとしては第59回以来8回目の出場)
(※リンクは菊華アンサンブルHPのもの)

4年前は自由曲:Ēriks Ešenvalds「LUX AETERNA」を力強く、Joan Szymko「HODIE」はどこまでも出るようなソプラノに爽快感まで。
OG合唱団ということで、揃えた声のフォルテッシモに力を感じさせる杉並学院・菊華女声合唱団さん。

今回の演奏曲は
課題曲
F2 Sanctus(「Messe à trois voix」から) André Caplet 曲

自由曲
Estou amor aqui
作曲:Julio Dominguez 

Isten Veled!
作曲:Bartók Béla

1965年生まれのスペインの作曲家:Julio Dominguezの作品。
同じスペインの若くして亡くなった女性詩人:Xela Ariasのテキストで愛を優美に、時に激しく訴えるリフレインが心に訴えかける曲です。

ハンガリーの作曲家:バルトークの「Isten Veled!(神様がともにおられますように!) 」は民謡の旋律とリズムを活かしたバルトークらしい作品。
中学・高校生によく演奏される作品ですが、改めて聴くとリズムとハーモニーの切り替わりが目まぐるしく、かなりの難曲。
大人の雰囲気が香る演奏を期待したいですね。

昨年、「合唱の祭典2022 作曲家が選び、振るこの一曲!」という企画の配信を聴きまして。

杉並学院・菊華女声合唱団さんが演奏される、尾形敏幸先生の「序の歌」を先生ご自身の指揮で聴かせていただいたのですが、尾形作品独特の煌めく響きをしっかり表現していて、後半の盛り上がりに代表作を感じ、尾形作品ファンとして嬉しくなりました。

今回のカプレ、ドミンゲス、バルトークの選曲もそれぞれの作品の響きを追求していただけると思い、楽しみです。

 

続いては初出場の団体!しかし、指揮者先生が……?


11.東京都・東京支部代表
Chor Alyssum

https://twitter.com/ChorAlyssum

(混声・初出場

初出場おめでとうございます!
東京都内を拠点として、2023年4月に活動を開始されたという、出来てホヤホヤの混声合唱団さん。
なんと初舞台が東京都合唱コンクールで、そのまま全国出場!
しかも大学職場一般部門の最優秀団体へ贈られる「東京都知事賞」も受賞されたというから驚き。

そんな凄い団体の指揮者は?
実は、この室内部門6番目に初出場のEnsemble Nisiさんも指揮される上西一郎先生!

Chor Alyssumさん、今回の演奏曲は
課題曲
G1 Wenn mein Stündlein vorhanden ist(「Psalmen und Christliche Gesäng」から) Hans Leo Hassler 曲

自由曲
「Mignons Lied」
作曲:Hans Sommer  編曲:Clytus Gottwald

12 Madligaleより
「Trink aus!」
作曲:Paul Hindemith

Nesciens mater (「Funf Weihnachtsmotetten」より)
作曲:Max Beckschäfer


課題曲、自由曲の最初の2曲は、アリッサム公式Xアカウントさんが素晴らしい解説を書かれているので、引用しちゃいます(笑)。

G1 Wenn mein Stündlein vorhanden ist
東京都合唱コンクール室内部門でG1を歌うのはアリッサムだけだそうです!
主イエス・キリストへの思いをポリフォニックな音楽にのせて歌います。

”Drei Lieder”よりMignons Lied
F.シューベルト「ミニヨンの歌」でも有名なゲーテの詞に、ドイツの作曲家・数学者でもあるハンス・ゾマーが作曲した曲。
ドラマティックな部分が非常に多い曲ですので各声部の色や、そこから織りなす音楽のダイナミックさを感じて頂けたらと思います!

《Zwölf Madrigale》より〈Trink aus!〉
ドイツの作曲家ヒンデミットが作曲した12のマドリガルのうち、第4曲目です。
1曲目のゾマーの曲と比べると雰囲気がガラッと変わります。
「さぁ!みんなで飲もう!」
ドイツ語の詩に乗せて、ヒンデミットならではの響きをお楽しみ下さい。

Xアカウント中の人、ありがとうございました。
3曲目のマックス・ベックシェーファーもヒンデミットと同じくドイツの現代作曲家(1952年生)。
「Nesciens mater」は「Funf Weihnachtsmotetten」(5つのクリスマスモテット)」の3曲目。
上西先生が指揮される別団体の演奏で、残念ながら曲集の5曲目しか聴いていないのですが、明るく輝く曲想で締めていただけるのではと予想しています。

課題曲にこの室内部門唯一のハスラー、そして自由曲もドイツの作曲家3名とこだわりが感じられる面白い選曲。
東京都大会を聴かれた方には「精緻な織物」という感想があり、期待が高まります。

熟達の技をお持ちの上西先生と、初登場の新鮮なアリッサムさんの歌声で、この新潟全国大会1日目を見事に飾っていただけますように!

 

(※同声合唱部門のご紹介に続きます)