観客賞座談会・大学ユースの部 その1

 

越後富士遠望

 

お待たせいたしました。
観客賞の座談会、大学ユースの部をお届けします。

観客賞とは…? 

11年前から当ブログで始めた観客賞。
各部門の、全団体を聴かれた方の投票で決定する賞です。

この観客賞の意義を説明しますと。
音楽のプロフェッショナルである審査員による順位、賞の決定は、それぞれ真剣に誠実に演奏へ向かわれた結果であり、尊重すべきだと思います。

しかし、
「傷はあったが凄く良かった!」
「コンクールに向いてない選曲はわかるけど涙があふれた!」

……などという声を多く聞いていた自分は、
「観客による投票を行ったら コンクールの賞とは違う、新しい価値観が生まれるのではないか?」と考えました。
さらに「この団体が銅賞だったから私は投票する!」……のような判官贔屓を無くすため、投票は審査結果前に締め切っています。

生演奏、そして今回も配信で聴かれた方からX(旧:ツイッター)、メールで投票を募りました。
(※配信にトラブルがあり、投票について満足なアナウンスが出来なかったことをお詫びいたします)

ご投票していただいたみなさま、感想を送っていただいたみなさまに深く感謝いたします。


終演後、有志4人は某グルメな先生にお勧めされた新潟駅に近い居酒屋へ。
(刺し盛りタワーに驚きました!)
私、文吾が司会となって座談会開始。

 

今回は同票第5位の2団体を。


観客賞:大学ユース部門
5

中部支部代表・愛知県
混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ

https://chor-glanze.jimdofree.com/

https://twitter.com/chorglanze

(混声88名)

 

文吾(以下「文」
 男声が良かった印象がありますね。
 特にテノールがデリケートな歌い方で。
 勢いだけじゃなく、
 フレーズの最後まで歌い切る
 意識があったと思います。


A 課題曲(G4 I-空と涙について-)
 大人数を生かした
 音楽作りをしていると思いました。
 男声が文吾さんの言うように柔らかく、
 ゴリゴリ歌うんじゃなく、
 マイルドなサウンドで持って行っているので、
 そこでまず好感が持てました。


 この曲って、まず男声が上手くないと……


C 印象が決まってしまう(苦笑)。


B パートソロの言葉の扱いが良かった。
 たとえば「月影に」で「」の助詞が
 ちゃんと助詞のニュアンスで
 統一されていたり、
 言葉として聞こえてきた。


 「たえてつれなき」の箇所なんて
 弱声なんだけど、
 言葉と想いが伝わってきましたよね。
 自由曲:クリス・アートリー
  「O magnum mysterium」、
 ここでみなさん正面を向いたのかな?


B いや、課題曲から向いてたよ。


 そうなんだ、
 自分は自由曲から気づいて。
 ひとりひとりの祈りとして
 正面を向いた姿と歌に感じるものがあって
 うるっとしました。


A 自分の中できちんとテンポを決めて歌ってる。
 フレーズの中に自分のカウントがあるから
 フレージングも凄く良いなあと。


 テノールにしみじみとした祈りがあり、
 聴く者を抱きしめるような
 柔らかさがありました。


C 最初の多声部を重ねる箇所がスッキリして
 色彩感を感じたんですね。
 人数が多くても足かせになっていない。
 2曲目のジェイク・ルネスタッド「Alleluia」
 ハンドクラップが大人数だと映えますね。


B クライマックスへ向かって
 高揚感があれば更に良かったかな。
 ハンドクラップの人を減らして
 勢い良く叩く選択肢もあったのでは?
 揃える意識へやや傾いていた気も。


C いやいや、やはり全員での
 ハンドクラップが効果的です!
 素晴らしかった。


A あの……演奏じゃ無いんですけど、
 女声が全員髪を上げていたのが。


B 昔、宮城第三女子高というところが
 全員オデコを出していて……


AC文 あったね~~~!


 オデコを出した方が響きが良くなる?


C (笑)舞台映えを考えたときに
 顔はよく見えますよね。


文 「美しい私たちを見て!」
 そんな狙いなのかな?
 グランツェさんは次回、
 女声のオデコにも
 注目してみましょう(笑)。


【メール、Xの感想です】

指揮者と歌い手がしっかり同じ音楽を目指している


パートの声がまとまっている。
やわらかなフレーズが素晴らしい。


今までに多いパターンだったクラスターや音圧で圧倒って感じではなく、曲の美しさが伝わる演奏だった
和音のグラデーションをあそこまで整理して綺麗に聴かせられるのはお見事としか言いようがない


人数多いながら音の重さが皆無でバスの倍音もゴリゴリくるものじゃないのがまた良かった


ゆったりとした課題曲はピークへ持っていくための準備だったのねと感じました。
自由曲はどちらも曲の良さを感じました。
ありがとうございます。


大迫力の80人超え!なのに全体でぴったり揃っていたのが印象深い。
背景のオルガンも相まって教会での演奏に思えた。


これまでみたいな大人数のクラスターで圧倒させるような選曲ではなく、音楽そのものをじっくり聴かせてくれるような選曲でよかった
音が整理されていて和音が素直に届いてくるので聴き疲れることもない

 

 

同票第5

東京支部代表・東京都
なにやらゆかし合唱団

https://nychoir.amebaownd.com/

https://twitter.com/Choir_Yukashi

(混声24名)

 


文 課題曲(G4 I-空と涙について-)、
 ピアノの松本陽先生が
 非常に情念的に弾かれて……


A 名前は「陽」先生なのに!(笑)


 もちろん明るい音は
 ちゃんと輝いていたけど
 暗めな音色に
 聴く者を惹き付けるものが。


B 独特な影の魅力があって
 素晴らしかった。
 

A そう、ピアノが音楽を
 引っ張っていた気がするんですよね。


C 影……合唱も、実力はあるのに
 100出すんじゃ無く
 静かに燃えているような。


 男声がイケメン歌唱で!


ABC 「イケメン歌唱」?!(笑)


 顔はよく憶えていないけど(笑)
 歌がイケメンだった、特にテノール。


C テノール、旋律が素晴らしかったですね!


 あと和声感や響きの作りも良かったですよ。


B 少人数ながらしっかり音楽も作って。


 「かたみかは」のフォルテッシモは
 「自分たちの、いまの歌」として
 本当に心に迫りました。
 自由曲:木下牧子「水底吹笛」は?


A 丁寧に作っていましたよね。
 指揮者も歌い手も若く、感性が同じ。
 だから良い意味で「学生合唱団」の
 香りがしたな。
 そして良い意味で「浅い」。


 「良い意味で浅い」??


A 誤解を生みそうだけど(笑)。
 われわれおっさんが
 変にこねくり回すんじゃ無く。
 若い感性で感じたものを
 ストレートに伝えてくれるのが
 とても良かったな。


C コンクールで金賞獲るぞ!じゃなく
 「仲間たちで良い音楽をやろう!」が
 見えたのは凄く嬉しかったですね。


B 若い彼らの透き通った……それこそ
 「しんしんと」からの水のイメージ。
 本当に透明な水の底から歌われているような。


 同意なんだけど自分の言葉なら「深い」。
 「どんだけ君たちこの曲好きなんだ?!」ってね。
 あまりにもすべて深掘りして、
 全体の起伏はやや足りなく思う箇所も。
 それでも
 「今の彼ら彼女たちの音楽」が確かにあって。
 

B 激戦区の東京支部を抜け出た
 初めてのユース団体なだけはありましたね。
 指揮者の和田太郎先生と団員みなさんの
 この曲に対する愛が伝わってきました。


【メール、Xの感想です】

室内部門相当の人数ながら人数以上の豊かなサウンドが良い
音楽の流れが自然で安定感がある


目指す音楽、世界観を丁寧に歌う


曲への愛が詰まってた
一つ一つの歌い口にハッとさせられ、の連続で……よかった………


課題曲、素晴らしいですね。
私も取り組みましたが、G4の音楽の解釈はこの団体が一番共感できました。


課題曲の流れるような展開と自由曲のじっくりしっとりとした感じで聴き応えがあった


なにやらゆかしさん課題曲うまい。


みんなが自由に歌っているのが印象的でした!


課題曲の最後の2ページの男声、全てを演奏していた。
自由曲は、思わず左目から水が…。


課題曲も自由曲も工夫 ケレンもあって楽しめた ピアニストブラボー👏👏


最古参ファンです
水底吹笛への愛がすごい
こだわり抜かれた世界が良きでした

 

 

(大学ユース部門観客賞第4位の団体に続きます)