長崎《祈りの合唱の祭典》をめぐる記 :その4

 

熱気の残る聖堂をあとにしつつ、翌日はまた別の“祈り”のかたちを聴くことになります。

 

2日目、開始時間を間違えて(14時と思っていた)高校生合同合唱と長崎アカデミー男声合唱団さんは聴けず!ごめんなさい!

続く十八親和銀行合唱団さん(24名)は若い方も多く、爽やかで気持ちの良い演奏。

西下航平先生の「うたうこと」は団のカラーに合っており、信長貴富「とむらいのあとは」Jake Runestad「Alleluia」と鎮魂と祈りのあと、Simon wawer「Ave Maria」も軽やかさの中に清らかな響き。

 

そして2日目の目玉のひとつ、佐賀・MODOKIさんの公開リハーサルを待ちます。

 

MODOKIさん(57名)、30分の公開リハーサル。

伊藤理事長の

コンビニさんが公開リハをするなら、ぜひウチも!と言ってくださって」に

「言ってませんって!!」とツッコむ指揮者の山本啓之さん漫才からスタート。

 

磔のイエス像に一瞬目をやって

「ふだんの練習をそのままやったら神様に殺されますんでね…」とボヤき、笑いを誘いながら合唱団に何を指示したかというと・・・

 

なんと、団員さんに後ろを向かせて歌わせたり、横を向かせ歌わせたり!

これは天井の高さまでの響きや、壁と声との反響を確認するもの。

 

リハ中はさらに段から降り、客席の横まで広がって一列に並び、客席を囲むように歌わせて。

この並びは巨人の掌に包まれるような、自分の身体の内側から音が湧き起こるような……優しく豊かな響きに教会中から拍手喝采!

 

山本さんはラインベルガーとオルガンとの関係や、Credo《信仰告白》の意味をさりげなく述べ。

これが演奏を聴く際の集中へ繋がっていたと思いますね。

 

そして「合唱団の並びを、お聴きのみなさんの投票で決めます!」と宣言し、観客に挙手で投票させ、結果は段に上がって演奏することに決定!

 

さて実際の演奏は……2年前の新潟全国大会で「外国語がわからない自分の心にも届いた!」との感想が上がったMODOKIさんのラインベルガー。

細かな綻びはあるものの、天主堂の響きがこの曲の魅力をさらに増し。

全てを肯定し、受け入れてくれるようなKyrieから涙腺を刺激されることに。

Credoのフレーズでは群衆が同調するさま。

Agnus Deiのひとりの祈りが聴く皆の心へ静かに広がっていく《pacem》と、宗教と音楽の関係性を実感させる、素敵なリハとコンサートでした。

そしてMODOKI団員:田中健路さんが演奏後にこんなポストをされていました。

 

日が変わって昨日の本番。ラインベルガーのミサの終曲Agnus Dei の dona nobis pacem なる平和への祈りのフレーズの際に、客席の中に手を合わせて祈られている方に目が留まり、浦上天主堂でミサを歌うことの貴重さを改めて実感。

 

 

このポストの後、田中さんからは

客席で祈りを捧げられていた方のお姿は、当日ステージに立った他の団員も気づいていたと思います。

最後の ppp の pacem で、山さんが手を合わせて祈りを表現されていましたが、その姿が客席で祈られていた方とシンクロしていて、本当に祈りに満たされた空間が創られたと感じました。

 

コンクールや演奏会など、コンサートホールでの演奏においても、祈りを込めた演奏を常々目指しているのですが、終わりなき作品の美の世界の追究に支配されがちです。

本当の祈りとは何か、演奏を通じて学ぶことができた、非常に貴重な機会でした。

関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

田中さん、ありがとうございました。 

Dona nobis pacem」……「我らに平安を与えたまえ」。

 

「歌うことは祈ること」とはよく目にする言葉ですが、この日のMODOKIさんの演奏と、田中さんの言葉のおかげで、その意味を強く実感できたような気がします。

 

 

(次回に続きます)