観客賞座談会・室内合唱の部 その3

 

前回は室内合唱部門、第3位のChoeur Premierさん、第2位の女声合唱団ソレイユさんについてお話ししました。

それでは2025年観客賞・室内合唱の部

1

 

こそり(混声20名)

 

一同 拍手!

 

 

文 課題曲G4「不思議」、

 泣いちゃいました!

 

 

A 「不思議」は今日一番かも。

 

 

 いや、今大会の一番かもしれない(笑)

 自然で気負わない、

 彼らの心から出たような表現が

 とても魅力的で。

 43小節のデクレッシェンドの哀しさに

 「こういう曲だよね!」って。

 

 

B 自分は32小節のテノール、

 「ah」を抑えめなニュアンスからの

 「ふしぎ」が明瞭なのが良かったな。

 

 

 やっぱり「不思議」は

 就活アピールみたいな曲じゃ

 ないと思うんだよね。

 

 

B 就活アピール?

 

 

「はいッ!わたし、

  この不思議も、あの不思議も

  わかります!!」みたいな(笑)

 ……金子みすゞの生涯と重ね、

 どこかに哀しさを滲ませる、

 こそりさんの演奏が好きだったな。

 

 

C 指揮者がいなくても

 合わせる呼吸感が凄い!

 

 

A あのアンサンブル感は

 とても良かったです。

 ここが銀賞なのはなんか・・・

 

 

文BC 納得いかない!

 

 

文 自由曲:森田花央里さんの

 「2.三味線草・弐」が審査員には

 今ひとつ届かなかったのかなぁ……。

 

 

B 指揮者無しが審査に響いたのかも。

 

 

A 別に「阿吽」で回ってたから

 良いんじゃないの?と思いますけどね。

 

 

文C うんうん。

 

 

B 指揮者がいたら

 もっと良くなったのにな、

 という部分があると

 やはり審査に影響してしまうかなあ。

 

 

 おそらく指揮者がいたら

 「三味線草」はより合唱をドライブさせて、

 音楽を明確に伝えられていたのかも。

 ただ、この曲はそんな曲?とも思って。

 

 

B どういう意味?

 

 

 竹久夢二が描いた遊女との恋情、

 言わば密室の睦みごとが

 題材じゃないですか。

 それを開けっぴろげに

 「どうだーッ!」って?

 

 

ABC (笑)

 

 

 襖を少し開けて覗き見するような……

 そんな遠くで不明瞭な表現こそが

 この曲にふさわしいんじゃないかって。

 

 

A でも全国大会って、

 そういう“覗き見の美学”を

 評価する場なのかな?

 

 

B 自分は合唱とピアニストが

 せめぎ合いをして欲しかったなと思って。

 

 

 いや、ピアノは

 合唱を底で支えている感じが

 良かったですけどねぇ。

 曲としても新鮮味があって。

 森田さん自身も

 「この曲が理解されるには

  20年かかるだろう」と書かれていて。

 でも、こそりのみなさんは

 初演から5年で

 自分たちのものにした気がする。

 楽譜も買っちゃいましたよ。

 

 自分が思う良い合唱というのは

 優れた表現がたまたま合唱。

 合唱の前に、

 表現したいものが先にあるというか。

 こそりさんの演奏で

 「いい声ってなんだろう、

  いい表現ってなんだろう」

 改めて問い直したくなった。

 

 

B こそりのみなさんが醸し出す雰囲気と

 「三味線草」がとてもマッチしていた。

 でも、表現として

 「意識して作られたもの」がないと

 全国大会という場では

 評価されないのかも。

 彼らがこの曲を好きなのは

 とても伝わったんだけど

 もうひとつ何か表現するにあたっての

 エッセンスがあれば良かったかな。

 

 

 まぁ、それも

 わからないでもないですけどね。

 でもそれって、

 インディーズバンドがメジャーデビューして

 昔からのファンが

 「良さが失われた!」

 って嘆く未来が見える!

 

 

ABC (笑)

 

 

B 去年も「三味線草」からの選曲で。

 来年は何を選ぶのかな?って。

 こそりさんは何でも歌える団体だと思うから。

 

 

 AF合唱団さんにも

 似たようなことを思ったけど、

 「往年の名曲」を

 こそりさんならではの解釈で

 聴いてみたい気もするな。

 

 

B こそりさんも

 「人の痛みを知る人たち」だと思うから……。

 

 

 そうそう、やっぱりそういう

 心の柔らかいところに触れる演奏には

 惹かれてしまいますよね。

 賞としては銀賞だったけど、

 観客賞で1位だったのは

 納得というか嬉しかったな。

 

 

A 楽譜に書かれてないところを

 凄いたくさんやっている。

 楽譜から自由になった

 【自分たちの歌】を歌っている団体だから。

 また聴かせてもらうのが本当に楽しみですね。

 

 

【メール、Xの感想です】

※感想をお寄せいただいたみなさま、

引用を許可していただいたみなさま、ありがとうございました。

 

これだけは言わせてください。

こそりさんの演奏で唯一泣きました。理由はわからん。

 

弱音の表現が、美!!

ピアノ全開はやばい?と思ったのに、そこもバランス◎ さすがです!

 

グイグイ押すような感じでなく自然体に音楽が推進する曲展開で好きだった

 

温かなサウンドの上質なアンサンブル、第一声から惹き込まれる。

Pfとのコミュニケーションによる夢二の世界。素晴らしい。

 

(課題曲)

・入りのテノールのオブリガート◎。

・ハーモニー、音楽の流れ、ともに良い。

・中間部も素晴らしい。音楽の流れ、ディナーミクも良い。

・ワクワク感のある演奏。私の解釈とも近く、個人的にはこのG4がベストだった。

(自由曲)

・各パートとも、表現力、歌唱力、ともに申し分ない。

・ディナーミク含め、音楽の流れもいい。

・アゴーギク、そしてポルタメントを含め歌い回しも良い。

・弱音部の表現、素晴らしい。

※個人的には「金賞」と思いましたが…。

 

つややかな声や歌いまわしが好みです。

互いの息遣いを感じる姿勢が一番「室内アンサンブルをしている」ように見えました。

 

全体通して唯一泣きました😢

指揮なしアンサンブルの良さが全て詰まった演奏だったのではないでしょうか。

パートからパートへの受け渡し、全てのパートが全てのパートをわかって歌っている。。。

三味線草でしっとり泣いちゃいました。

素晴らしかったです👏

 

こそり、まじで凄い凄かったです!即売データ買っちゃった。

柔らかく響いて私にとって音楽ってこれだなあって、私が死ぬときにはこんな声が流れててほしいと思いました。

 

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こそり団長のじろうさんからメッセージをいただいております。

 

 

全国大会という大舞台で、観客賞1位という光栄な評価をいただき、胸がいっぱいです。

この賞は、ある種いちばん嬉しい賞だと感じています。

課題曲「不思議」では、金子みすゞの詩でありながら“自分ごととして歌う”ことにこだわり、作者の物語として距離を置かず、自分の言葉として表現することを目指しました。

「三味線草」では、この2年間、遊女の恋の重さや複雑さ、狂乱の心を研究し、こちらも自分ごとに落とし込み、昨年よりさらに深度のある表現に挑戦しました。

綺麗にまとめるだけでなく、思い切って感情を爆発させる勇気も得られたと思います。

これからも“聴く人に感動を与える演奏”を磨き、こっそり鍛錬を積んでいきたいです✨

 

 

じろうさん、ありがとうございました。

「自分ごととして歌う」というお言葉に納得し、こそりさんの演奏が生き生きと思い返されるような素敵な文章と感じました。

さて、2026年3月8日にこそりさんがゲスト出演される演奏会があるとか?

 

 

合唱団 ぬっく 第5回演奏会

2026年3月8日(日) 13時開場

小金井 宮地楽器ホール 大ホール

この演奏会では、こそりさんがゲスト出演され、コンクール自由曲でもあった森田花央里さんの《三味線草》が全曲演奏される予定とのこと。

お近くの方も、そうでない方も、3月8日は小金井 宮地楽器ホール 大ホールでこそりさん、ぬっくさんの演奏をどうぞ!

 

 

【2025年度観客賞・室内合唱部門】

改めて観客賞:室内合唱部門の結果です。

 

同票第4位 

AF合唱団

Chor Alyssum

 

3位 Choeur Premier

 

2位 女声合唱団ソレイユ

 

そして第1位は…

 

こそり

 

でした!

 

ご投票いただいたみなさま、感想を書いてくださったみなさま、感想転載の許可をくださったみなさま、本当にありがとうございました。

また、室内合唱部門において入賞には至らなかったものの、特に印象に残った団体については、混声部門の入賞団体座談会の公開後に掲載する予定です。

 

(観客賞:同声合唱部門の感想に続きます)