全国大会あれこれ・前編

 



全国大会で起こったあれこれを紹介する「全国大会あれこれ」。

 

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札幌Kitaraホール。


北海道・札幌開催の今年は・・・。

 

 

 



「試される大地、北海道」


128年ぶりに遅い初雪になるか?と期待されていた北海道の天気。
それほど暖かく、全国大会へ出場されるみなさまが雪を体験することはできないだろうなぁ…などと思っていたら、突然の寒波!
23日の金曜日にはマイナス3度まで下がり、路面が凍りエライ事に。

 

 

 


このブログでも、私が2年前札幌の凍った路面で滑り、足首を骨折したことから注意喚起していたのですが・・・。
不幸にも、出場される合唱団の団員さんで転倒し、右ひじを骨折されてしまった方が。
腕を吊った姿でステージに上がられる姿は痛々しかったです。
どうか一日も早く治られることを願っています。

 

 


仲間内で夜のススキノを歩いていたんですが 「歩きスマホをしている人がいない!」 そりゃそうだ、滑って転んで怪我に直結するからね。
関西在住の、いつもは大変お酒を召し上がる方とバーへ行ったんですが、軽く飲んだ後どちらともなく「飲み過ぎると危ないから、今日はこの辺で・・・」と早くお開きになりました。

ところが25日、日曜には気温が上がり、路面の雪もかなり融け、夜には雨まで降る始末。
雪と思って傘など用意していなかったからずぶ濡れ!

「た、試される大地、北海道・・・」と思った方も多かったのではないでしょうか。


 

 

 




「うまいぞ北海道グルメ!」


「ジンギスカン最高!」そうでしょうそうでしょう。
「回転寿司でこれはすごいですね!」そうでしょうそうでしょう。
「スープカレー初めて食べたけど美味しい!」そうでしょうそうでしょう。
「ラーメンどれも凄くウマイ!」そうでしょう、そうで…新千歳空港の北海道ラーメン道場は確かに名店揃いだけど、ハシゴして2軒食べるのは凄いな。

ちなみに飲み会2次会で「シメパフェ食べたい!食べたい!」と道外からの知人に言われて連れて行った店でこれが出され、「プレモル・・・」とつぶやいて固まっていた。ごめん。

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「グランツェさんの全国大会」


大学ユース部門、午前11時過ぎ、6番目に出場された混声合唱団名古屋大学コール・グランツェさん。
いつも以上に気合がみなぎった演奏。
特に自由曲の「絶え間なく流れてゆく」では最初から最後まで張り詰めた緊張感の中、詩人:原民喜の哀切さが伝わる彫の深い演奏で金賞第2位を受賞。
私も観客賞の一票をグランツェさんに投じました。
後から聞くに、なんと前日の飛行機が欠航し、当日のリハーサル直前にKitaraホールに着かれたとか。
詳細について、団長の安藤さんからメッセージを送っていただきました。
  


* * * * * * * * * *  * * *

弊団は元々金曜日の夜中に中部国際空港から新千歳空港まで移動、札幌で一泊し土曜日の本番を迎える筈でした。
しかし、中部国際空港で告げられた言葉は搭乗予定の便が欠航という事実。
欠航理由は「機材繰り」…。
言葉も出ませんでした。

ただ、団長である自分がここで自分を見失ってしまってはならない。
何とか全員をKitaraの舞台に乗せなくてはならない。
と気付いたときは自然と気持ちは落ち着いて、やるべきことを明確に把握できました。

その後は各飛行機会社の受付へ行き、何とか明日の本番の時間までに間に合う便を探しました。
そして運良くある飛行機会社の羽田からの始発が何便か空きがあり、合計で120名乗せることが出来ると判明。
直ぐに飛行機を一便一便押さえ、それと平行して団員を10数にグループ分け。
各グループごとで羽田へ向かわせました。

そして羽田に向かう途中でも、120人分の飛行機代の工面、バスの手配、ホテルのキャンセル、万が一のことを考え合唱連盟や先生方への連絡など…目に見えない些細な業務まで総当たりで行い24時過ぎに何とか全員羽田へ。
ロビーでの雑魚寝、次の起床は午前4時頃。
全員に注意事項を伝えた後に少しでも早く休憩を取らせました。
立ち替わり空港のシャワー室を使いながら眠れない団員も多かったですが、各自少しでも体力を温存。
そんな中でも勿論執行部は改めて翌朝の飛行機の搭乗の対応に追われて寝ずに、気付けば朝を迎えました。
(何と大変申し訳ないのですが、ピアニストの小見山先生も団員と共に行動していたので、羽田にて雑魚寝していただいたのでした…。)

そして本番当日、ほとんど寝ていない中でも団員はてきぱきと行動してくれ、飛行機に全員乗り込むことに成功、新千歳空港に着いたのは8:30頃。
団体の集合時間は10:20頃だったので、練習が行えないことは明白でした。
バスの中で少しでもストレッチ、発声を行いながら北の大地をバスで駆け抜けていきました。
そして10:10ごろに遂にKitaraホールへ到着。
伊東先生の顔を見たときは涙が溢れそうになりました。
合唱連盟の方々も僕たちのことを気遣い、暖かい言葉をたくさん掛けていただきました。

そしてリハが開始してあっという間の本番。
リハでは伊東先生からとにかくよく来てくれた、全員で歌う喜びを心から噛み締めようというお言葉をいただけたことを覚えています。
全員で歌えたことだけでも心から嬉しかったですが、金賞2位を頂けたことはそれに勝る喜びでした。
今思えば、しっかりとコンディションを整えて臨めたらもっと良い演奏ができたとは思わず、あの極限状態で団員全員が本当の意味で一つの方向を向き、歌える喜びを噛み締めながら歌ったからこそ出来た改心の演奏でした。

伊東先生は欠航が決まった段階から、とにかく冷静に落ち着いて全員で歌う方法を考えようと暖かい言葉を掛け続けてくださいました。
また、ピアニストの小見山先生は本来ならば先生に急に移動させ雑魚寝をお願いするなどあってはならないことにも関わらず、むしろ常に僕たちのコンディションを気遣い、文句一つ言わず共に札幌まで移動し、本番ではあの素晴らしい演奏をしてくださいました。
そして合唱連盟の方々も常に僕らと連絡を取り合ってくださり、不測の事態が起きた際に何とかして僕らが歌えるようにと、多くのご配慮をいただきました。
本当にあらゆる方々からの手助けを受け成り立った奇跡のステージでした。
会場の皆様の「よく来たね!」言わんばかりの暖かい拍手、素晴らしいホールのあの夢のような景色は忘れることができません。

全員で歌うことの尊さを心から味わうことの出来たあの激動の2日間はきっと団員の胸に深く深く刻まれたことと思います。
あの作品をあの日あの場所で全員で歌えたこと、そして何があっても着いてきてくれた120人の団員たち一人一人を誇らしく思います!

またこれからも団員一同、より良い演奏が出来るよう精進して行きます。



混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ団長 安藤風士


* * * * * * * * * *  * * *

 



安藤さん、ありがとうございました。
読みながら、不運を嘆かず、現実を変えていこうと前向きに行動される、グランツェのみなさんの姿に胸が熱くなりました。

安藤さんからは「決して美談ではなく、ましてや各方面にご迷惑とご心配を多大にお掛けしまった話なので、そちらも考慮していただけると幸いです。」とも書かれていたのですが、諦めずにあのステージに立とうと前向きに努力し続けたことは、誰が何と言おうとも賞賛されるべきだと思います。

「今思えば、しっかりとコンディションを整えて臨めたらもっと良い演奏ができたとは思わず、あの極限状態で団員全員が本当の意味で一つの方向を向き、歌える喜びを噛み締めながら歌ったからこそ出来た改心の演奏でした」という言葉から、演奏というものの不思議さと同時に、グランツェさんのあの演奏に納得の気持ちが湧いてきました。

グランツェのみなさん、良い演奏を本当にありがとうございました!


(「全国大会あれこれ」後編に続きます)

 

 

 

観客賞・同声合唱、混声合唱部門発表

《観客賞結果発表・同声合唱部門》

第5位VOCI BRILLANTI

第4位La Pura Fuente

第3位monosso

第2位Men’s Vocal Ensemble“寺漢“

そして第1位は…

 


合唱団お江戸コラリアーず

 


でした。おめでとうございます!

 

続いて

《観客賞結果発表・混声合唱部門》

同率第7位 パナソニック合唱団 鶴岡土曜会混声合唱団

第5位合唱団こぶ

第4位Combinir di Corista

第3位クール シェンヌ 

第2位合唱団 やえ山組

そして第1位は…

 


CANTUS ANIMAE

 


でした。

さらに

《観客大賞結果発表》

 

全48団体から選ばれた『観客大賞』は!

 


合唱団お江戸コラリアーず

 


おめでとうございます!

 

座談会を終え、これから編集に入ります。

どうか気長にお待ちください。

ご投票と座談会に参加されたみなさま、ありがとうございました!

観客賞・大学ユース、室内合唱部門発表

《観客賞結果発表・大学ユース部門》

第5位混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ

第4位北海道大学合唱団

第3位ジュニア&ユースコーラス“Raw-Ore“

第2位都留文科大学合唱団

そして第1位は…

 


Coro Ponte

 


でした。おめでとうございます!#大学ユース18

 

 

《観客賞結果発表・室内合唱部門》

第6位合唱団「い〜すたん」

同率第4位Chor Doma 女声合唱団ソレイユ

第3位倉敷少年少女合唱団

第2位Delmo

そして第1位は…

 


合唱団まい

 


でした。おめでとうございます!#室内合唱18

観客賞スポットライト 混声合唱部門 最終回

 

 

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札幌の天気予報。

土曜日 曇一時雪。
日曜日 曇一時雪か雨・・・だそうです。


まだ数日後なので予報が外れる場合もありますが、防寒と靴の滑り止めはしっかりと!
(…飛行機、ちゃんと飛べば良いけど)

 


11月1日から連載してきたこの企画も今回が最終回!
今日は混声合唱部門最後の2団体をご紹介します。



私の地元岡山県から心に訴える選曲をされる団体の登場です。

 

 





13.岡山県・中国支部代表

合唱団こぶ

https://www.facebook.com/kobsoja/

(35名・10年連続出場・第62回大会以来10回目の出場)



こぶという団名は指揮者:大山敬子先生のイニシャル「K」と中学校での教え子「OB」たちの文字をつなげた「K + OB」から。
今では教え子の中学出身以外の団員さんも多くいらっしゃるそうです。

昨年は観客賞第4位。
座談会では


課題曲G3「子どもは……」凄い良かった!

ゆったりと、丁寧な演奏でしたね。

そう、丁寧にフレーズを作っていく・・・。
演奏に想いがありました。

自由曲(林光先生「原爆小景」から)「水ヲ下サイ」は
迫ってくるような・・・。

こういう昔の名曲を今やることに意味がありますよね。

そこからの「夕焼け」! 泣けた!

(あれは泣けた、ズルい、など口々に)

まさに「絶望からの希望」でしたね。

あのバイオリンの音に、もう…(泣く)。

わかってんだよ! 
バイオリンが来るとわかってんだけど!(涙)

コンクールとしての評価が
得られるかどうかはわからないけど
こういう場でああいう曲を演奏することに
意味があったんじゃないかな。

課題曲から自由曲までの全3曲に
こぶのみなさんの想いが貫かれた、
コンクールでは無い、
演奏会の1ステージのような演奏でした。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/18/091212


今年のCORO MIWOさんとのジョイントコンサートでは松本望「永遠の光」を演奏され。
まっすぐな心で素直に感動を伝えようとする印象でした。
最後に全国大会で多くの人を泣かせた信長貴富「夕焼け」を。
バイオリンの美しい旋律とピアノ、合唱の絡み合いから平和への強い願いが紡がれ、心を打ちました。


こぶさん、今年の演奏曲は
課題曲:G2 Chor der Engel(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Franz Schubert 曲)
自由曲:ぼくの村は戦場だった 〜あるジャーナリストの記録〜 から
第二章 111000000
第三章 ぼくは兵士だった
第四章 ねがい
原文/山本 美香 テキスト構成・作曲/信長 貴富

おお、大学ユース部門で出場の都留文科大学合唱団さんが昨年演奏された曲を!
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/11/04/184249

(都留文さんは合唱完全版を来月9日の演奏会で初演されます)
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/11/16/181244



指揮者の大山敬子先生からメッセージをいただきました。

 


七夕の日に巡り合ってしまった水害の難儀を越えて、今総社・真備のまちのいたるところに復興への強い意志と希望が感じられます。
そしてこぶの被災したメンバーのうちの一人はやっと帰って来られ、一緒に北海道に行けることになりました。

私たちは9年前、全日本合唱コンクールで初めて全国大会に出場することができました。
その時の舞台が今年度と同じ、札幌のKitaraホールでした。自由曲に松下耕先生の「今年」を演奏いたしました。
「涙があるだろう今年も 涙ながらの歌があるだろう・・・生きていくかぎり 否むことのできぬ希望が」と歌った舞台から9年目の今年、同じホールで全国大会の舞台に立つことができます。

そして今年の自由曲で私たちが歌うものも「希望」です。
シリア内戦の取材中に銃撃を受け逝去された、フォトジャーナリスト山本美香氏の伝えたかった「希望」を私たちは正しく伝えることができるのか?
戦争を遠い国の出来事としてしか認知していない私たちが歌ってよいのだろうかとも躊躇します。
でも「目をそらしても現実が変わるわけではない。目を凝らし、耳を澄ませば見えなかったこと、聞こえなかったことに気づくだろう。伝えることで、いつの日か、何かが変わるかもしれない。そう信じて紛争地を歩いている。」と書き残された美香さんの言葉に勇気をもらい、曲と向き合っていきました。

自分たちという小さな器のフィルターを通した音楽があるのではなく、楽譜が望んでいる音楽の世界に身を置いて自らを変化させ、発信(歌う)していくことが、正しく伝えることなのだと思い練習しています。
道半ばになるかもしれません。
でも現実とそして希望から目をそむけない覚悟だけは、Kitaraホールに響かせたいと願っています。

 

 

こぶ団員の藤原さんからは


今年のコンクール、特に今年は初めて全国大会を経験したKitaraの舞台ですから、個人的には気持ちもいつも以上に特別です。
あのとき立ったメンバーが本番舞台に立つ約半数の15人おり、メンバーの入れ替わりが大きかったのに、こんなにも!?と、ちょっとびっくりした半面、胸がいっぱいになります。
いっぱい笑い、時には涙を流しながらやってきたメンバーですから。

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中国支部大会での写真ということです。

 

 

大山先生、藤原さん、ありがとうございました。
被災された団員さんも一緒に北海道へ行けるようになったこと、本当に良かったですね。
そして昨年に続いて強いメッセージ性を感じられる選曲です。

「楽譜が望んでいる音楽の世界に身を置いて自らを変化させ、発信(歌う)していくこと」

大事なことだと思います。
しかし、実現するには大変に難しいことです。
これは全ての問題に通じることなのかも。
世界中の紛争も、楽譜が望む音楽にも、現実と希望から目をそらさないこと。

こぶさんの演奏を聴くことで、遠ざけていた問題を自分の側へ引き寄せることになるかもしれません。
10度目の記念すべき全国出場。
めぐりめぐった札幌で、こぶのみなさんがまた強く、真摯に「希望」を伝えて下さることを願います。




札幌の全国大会、最後の団体!
ひとりひとりがソリストとして、豊かな音楽性を披露してくれる団体は?

 

 


14.奈良県・関西支部代表

クール シェンヌ

 

(53名・17年連続出場・第50回大会以来18回目の出場)


昨年の座談会では


素晴らしかったですね…。

参りました・・・。

いや、本当に。
課題曲G1、あれだけ良い声で歌ってくれると
「こんなフレーズだったかな?!」って(笑)。

声が良過ぎると全く別の曲に聞こえてしまうという(笑)。

これぞ「シェンヌクオリティ」!

豊かな、リッチな音が鳴っていて。
それでいて必要な箇所では
テノールのひそやかさが上手くて・・・。

自由曲のJohannes Brahms
「Vier Quartette Op.92」
 (4つの四重唱曲)」
やー、良かったねこれも!

前から好きな曲なんですけど、
それをこんな良い演奏で聴ける…幸せでした。

本当に海外の団体みたい! 凄いな!

やっぱり余裕を感じさせる、
オトナの音楽と言うのが素敵ですね~。

うんうん頷きながら聴いちゃいましたよ。

素晴らしい演奏には言葉が出ないですよ(笑)。
「不幸はさまざまだが、幸福は似ている」
じゃないけど、
「良かった!」という言葉に収斂されちゃいますね。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/31/144324



団員の山氏@安芸さんからメッセージをいただきました。

 


奈良市からこんにちは。クール シェンヌは今年創立35周年を迎えました!

今年の課題曲は悩みに悩みました。バードもシューベルトもどちらも良い・・・。
8月の合宿でも指揮者も団員もどちらも捨てきれず、1曲に絞るはずが、結局両方共合宿中歌い込んでしまいました(笑)。
あ、最終的にはG1のW.バードになりました♪

【自由曲について】
1曲目はJ.ブラームスの「5つの歌 op.104」から「夜警 II」
※変ホ長調、3/2、6声部(S,A1,A2,T,B1,B2)

冒頭、「Ruh'n sie?(眠っているかい?)」の呼びかけが、ホルンを表すEs→BのSop下降音で歌われます。
そして同じ音形がT→B1→B2と2分音符で繋がっていき、その間を他声部が音価の違う四分音符、八分音符で縫うように動いていきます。
冒頭のこの短い4小節で、聴く人を一気に音楽の中に連れて行ってしまうところが、流石ブラームス♪

その後全音符のⅠの和音で「Sie Ruh'n!(眠っているよ!)」と歌われ一旦曲は落ち着いた後、属調の変イ長調への転調から半休止。
そして遠隔調の変ハ長調への転調と目まぐるしく進みますが、最後には原調の変ホ長調が戻ってきて曲は締め括られます。

もう1曲は、M.レーガーの「3つの合唱曲 op.6-1」から「慰め」。
※ハ短調、3/4

「慰め」という表題から受ける印象と違い、冒頭のピアノの八分音符での2オクターブの下降、左手の3連符が緊張感を生み出します。
最初に、アルトがC→Es→Gの分散和音で「地上には痛みなど無い」と噛みしめる様に歌い出します。
他パートとの会話を通して納得したかの様に、一瞬同主調のハ長調が支配し平安を感じさせますが、またすぐに打ち消され、次の歌詞「そして死は存在していない」が同じ旋律で、今度はバスに声部を移して歌われます。

最後に、「神に心を寄り添うのだ!」と解決方法が示され「慰め」を手に入れたことにより同主調のハ長調に完全に転調し、「神の愛によって守られている者は、本当に忠実な愛を持っている」と安らかに歌われ、ppで曲は締め括られます。

【広報・渉外 山氏@安芸】

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関西支部大会での写真ということです。

山氏さん、素晴らしい楽曲解説をありがとうございました!
軽やかなブラームスの「夜警 II」と、レーガーの複雑な感情を表す美しいフレーズの「慰め」。

シェンヌさんはメシアンやシェーンベルクのいわゆる現代音楽ももちろんお上手なんですが、こういうロマン派(…レーガーでそのレッテルはややためらいますが)の作品演奏は、本当に聴く者を唸らせますね。
昨年の座談会でも出た「声が良過ぎると全く別の曲に聞こえてしまう」は多くの人が思うことなのでは。
もちろん声だけではなく、フレージング、和声の重ね方…音楽を構成するものに、ひとつとして手を抜くこと無く、積み上げているからこその演奏。

話は違いますが、今年の9月に「エストニア国立男声合唱団」の演奏会を聴いて、その「フィンランディア讃歌」で涙してしまったんですね。
まさかこの曲で泣いてしまうとは自分でも思わなかったので、色々理由を探してみたのですが。

自分が出した答えは、シェンヌさんの演奏と同じく「あるべき音が、足りないところも、そして力みもなく、あるがままに響いていたこと」でした。
楽譜が望む美しい音が、まさにそのように響き、聴く者に届く。

今回シェンヌさんが演奏される曲は、ひょっとしたら和声やリズムだけで捉えれば、難曲として扱われないかもしれません。
しかし、シェンヌさんの演奏を聴けば、その譜面にある真の美しさや陰影、輝きを実感できる。
それこそが芸術というものの奥深さであり、シェンヌさんが本物を求めてきた証だと思うのです。

札幌での全国大会、最後の演奏。
シェンヌさんの演奏で「コンクール」ではなく、それを忘れさせるような豊かな「音楽会」になりますように。



<ありがとうございました>

これで大学ユース、室内合唱、同声合唱、混声合唱部門、全48団体のご紹介を終わります。

この札幌での全国大会は思い入れがありまして。
もちろん出身地ということもあるのですが、初めて大学や一般の部を聴いた全国大会でもあり(28年前の北海道厚生年金会館!)、合唱団員として最後に立った全国のステージでもあります。

4年前のmonosso指揮者:山本さんとコールサル指揮者:ぜんぱくさんとのお話でも触れていますが、初めての全国大会というのはそりゃあ記憶に残るものです。

 

1990年に初めて聴いた全国大会は、高度な技術もそうですが、高い緊張感が続く演奏ばかりで途中で気分が悪くなり、会場のベンチで横になる始末。
おかげで「凄い演奏があった!」という衝撃は残っているものの、具体的な団体の感想はまったく憶えていません、もったいない。
以前からラジオ放送やレコード、CDで全国大会の演奏を聴いていたはずなのに、それだけ生で聴く演奏は衝撃でした。


話は変わるようですが、「全国大会の会場は固定にするべきだ!」という意見もあります。
もちろんその意見の理由を尊重すべきなのは承知しているのですが、それでも自分は今のままの「地方持ち回りの全国大会」に票を投じます。
なぜなら、例えばこんな光景が目に残っているから。

2016年鳥取での全国大会、合唱団まいさんの演奏する「唄」で、あふれる涙をそのままに流し続け聴いていた、地元の女子高生。
2015年長崎、お江戸コラリアーずさんの演奏する「飛ぶものへの打電」に、まさに身を乗り出すように聴いていた九大混声合唱団の男子学生たち。
2012年富山、アンジェルス&ウィステリアさんの「ウミガメの唄」で仕事中に泣いてしまう富山県合唱連盟のスタッフさんたち…。
いくらでも、そんなエピソードは挙げられます。

「地元で全国大会があるから、手伝いのついでに軽い気持ちで聴いたらぶったまげた。
 あれがあったから自分も新しく合唱団を作る気になった」
そんな話を何度聞いたことでしょう。

そして断言できるのは、あの時の札幌全国大会が無ければこのブログもこの企画も、間違いなく存在しなかったこと。

ベンチで横になっていた自分は具体的な演奏は憶えていないけれど、こんなことをずっと考えていました。
(…ひょっとしたら、自分が思うよりずっと合唱の世界は奥深く、広いのかもしれない・・・)

28年経ち、自分は全存在を賭けて当時の自分に言えます。
「そうさ! 28年経っても未だにそう思うぐらい合唱は奥深く、広いぞ!!」…と。


自分は今回の連載を、28年前の自分に向かって書きました。
こういうブログをやっていると現役大学生と会うこともあるんですが、賢く、コミュニケーション能力が高く、明るい人ばかりなんです。
パッとしない、石を転がして這い出てきた虫をいじめていたような、学生時代の暗い自分を思い出すとまぶしさにめまいがします。
でも、当時の自分と同じ、そういう人たちにこそ、この全国大会を聴いて欲しいなあと思い、書きました。
札幌でこの連載を読んでいる人がいるのかはわかりませんが。


インターネットはとても便利で、もちろんこれが無ければこの連載は一行だって書けやしません。
でもいつも思うのは、ネットの世界だけで完結するのではなく、リアルに触れるきっかけとしてネットがあって欲しいということ。
この連載をきっかけに、「札幌の全国大会に行ってみようかな」と思ってもらえれば最高だし。
そうじゃなくても、次の全国大会や、他の演奏会、記されている曲を聴こうと思うことでも。

28年前の自分が感じた衝撃。
「この世界には自分が想像できないほど奥深く、広いものがあるんだ!」

この連載を読まれたあなたの、そんなきっかけになりますように。

  

 

 

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新千歳空港へ向かう車窓から。

 

* * * * * * * * * * *


今回も本当に多くの方にお世話になりました。
すべての合唱団のみなさまにお礼を申し上げるのはもちろんですが、メッセージをご寄稿して下さった方、団員さんをご紹介して下さった方、写真を送って下さった方・・・などなど。
もう一度この場で、お名前だけを記して、この連載を終わりにしたいと思います。


都留文科大学合唱団ツイッター担当者さん、西川さん、河野さん、いつつばさん、SHIGEさん、りかさん、新潟大学合唱団ツイッター担当者さん、高橋さん、うえのみおうさん、安藤さん、まのさん、といさん、岡田さん、Coro Ponteツイッター担当者さん、島根大学混声合唱団Uさん、島根大学混声合唱団Sさん、わふーおさん、北海道大学合唱団中の人さん、渡邉さん、エリカさん、合唱団「櫻」Sさん、難波夕鼓先生、天馬さん、藤森さん、鈴木さん、まやさん、合唱団まいKさん、合唱団まいTさん、M.L.R.ツイッター担当者さん、寺田有吾先生、Chor Doma:Kさん、まぐろ。くん、細てつさん、合唱団「い~すたん」Yさん、女声合唱団ソレイユIさん、松本さん、合唱団お江戸コラリアーずマネージャーIさん、古作敦さん、山本啓之さん、さゆさん、加藤崇子先生、大原靖久先生、歌うコンシェルジェさん、山氏@安芸さん、おのださん、きらりんさん、ケンゴさん、湘南はまゆうAさん、muffさん、MARさん、CANTUS ANIMAE:Fさん、ひしきさん、Mariさん、M園さん、合唱団やえ山組ツイッター中の人その4さん、村上信介先生、富吉さん、パナソニック合唱団Wさん、Le camarade:Cさん、黒川和伸さん、梅さん、岡崎混声合唱団Oさん、岡崎混声合唱団Hさん、今くる代さん、なってぃさん、Combinir di Corista:Eさん、阿部さん、大山敬子先生、藤原さん、shokoさん、合唱倉庫さん、阪本健悟さん、鯖くん、全日本合唱連盟中の人さん、帰ってきたぜんぱくさん。

お名前が漏れた方がいらっしゃいましたら大変申し訳ありません。

他にもこのブログにスターを付けて下さった方、読者になって下さった方、ツイッターで「いいね」やリツイートをして下さったみなさま、Facebookで「いいね!」やシェアして下さったみなさま、感想を寄せて下さったみなさま、そして最後に。

読んで下さったみなさまに心から感謝を申し上げます。

ありがとうございました!


(観客賞スポットライト2018 おわり)

 

 

観客賞スポットライト 混声合唱部門 その5

 

 

 

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札幌Kitaraホール

 



 

 


札幌も雪が降り始め、積もりだしたもよう?!
防寒と滑り止め対策はしっかりしたいですね。

 

・・・ところで。

 

 

 

おっと、史上かつてない2次会、まだ募集しているようですよ。
もちろん前もっての申し込みが有り難いでしょうが、当日でもOK!とのこと。
今回は出演者に限らず、どなたでも大丈夫!

 


〇2次会概要
会場:ホテルノースシティ 2F宴会場 金柔の間
(北海道札幌市中央区 南9条西1丁目)
時間: 22:30 - 0:15(予定)
会費: 3,500 円(予定)
※各団の打ち上げ後の開催と言うことで、
 開催時刻が遅い時刻となりますことをご了承下さい。

 

メールで送るならアドレス:magro*crux.ocn.ne.jp まで
(* を @ に替えて下さい)

 

 

 


さて、唐突に「KitaraマニアさんによるKitara豆知識のコーナー」!



<お化粧室の場所>

お化粧室は一階も二階も下手側が女性用、上手側が男性用なので座席選びの参考にどうぞ。
今回のコンクールで解放してるかわからないけどP席(ステージ真後ろ)入り口付近にもお化粧室あります。
3階はLC/RCブロックそれぞれの入り口しかありません。
3階中央CCブロックへは2階CB1/CB2扉から上へ。

あとこれは時と場合によるけど、開場直後は入り口近くの1扉と、2階中央席に入れるCB扉近辺の動線が混むので、1階奥の2扉から入るとサクッと上手側のいい席見つけられたりします。
ちなみに2扉近くには知る人ぞ知る(?)小さなKitaraギャラリーがあるのでぜひ。

 

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トイレの場所は重要ですよね!



<近辺のコンビニ情報>

昔と変わってなければ、Kitaraは一般のお客様が入れるエリアに自動販売機を設置しておらず、ホワイエ内にお水飲み場が数カ所あるだけです。
出演者用の楽屋口には一応自販機があります。
が、数が多くないので今回のような多くの方が関わるイベントはペットボトル飲料を買って、ご自身で用意する方が◎
カフェやレストランを利用するのもおススメです。

最寄りのコンビニは楽屋口近くの小さな橋を渡った先にあるセブンイレブン札幌山鼻店です。
徒歩5分くらいかな。
行く前に買うなら地下鉄中島公園駅1番出口すぐにもローソンがあります。
キタラ最寄りは3番出口なので注意。
駅から市電通りに向かって歩くとセイコーマートもあります。

 

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セコマ! セコマ!!
Kitaraマニアさん、ありがとうございました!
・・・ン?

 


パイプオルガンのパイプ数は全部で4976本。
語呂合わせでヨクナル(鳴る)です。

 

へ、へぇー・・・。


 札幌コンサートホール Kitara


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中島公園にあるバーンスタイン像。

 

 


では出場団体のご紹介を始めましょう!

昨年混声合唱部門金賞2位、観客賞も第2位。
出場された前9回すべて金賞という超・実力合唱団と言えば?







11.東京都・東京支部代表

Combinir di Corista

(36名・5年連続出場・第61回大会から10回目の出場)



団HPによると。
多様なレパートリー、すなわち「品揃え」にこだわり、コンビニエンスストアーにちなんで団名を「コンビーニ・ディ・コリスタ」とされた、通称コンビニさん。

昨年の座談会では

 

大好きでした!

課題曲の「子どもは……」
最後の和音がこの曲を演奏した中で
展開形が一番きれいに響いてました。

非常に練られた発声で
力強く、説得力ある演奏。

課題曲も含めて、凄いストイックでしたね。
演奏、音楽の全てに対し緊張感がみなぎっていて。

自由曲のGyörgy Ligeti「Lux Aeterna」は?

人の声とは思えないさまざまな音が、
またこの東京芸術劇場というホールの力で
ステージ上からだけではなく全方位から聴こえてくる!
 
良い意味で人の声じゃない。
「楽器は鳴らしてないよね?」と疑っちゃう。

目をつぶって聴くと
本当に変容する時間と空間を感じられたんですよ。

「音楽は時間をデザインすること」という言葉を
体現するような演奏だったね。

「宇宙の響き」と称した人もいましたが、
別世界に持っていかれてしまうような
得難い演奏体験でした。

 

 http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/26/002738



コンビニさん、今回の演奏曲は
課題曲:G2 Chor der Engel(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Franz Schubert 曲)
自由曲:和合亮一作詩、信長貴富作曲「混声合唱とピアノのための 静寂のスペクトラム」より「とてつもない秋」


コンビニ店員さんよりメッセージをいただきました。

 


こんにちは!コンビニことCombinir di Coristaです。

今年7月、私たちコンビニは第10回定期演奏会にて信長貴富さん作曲『混声合唱とピアノのための 静寂のスペクトラム』を委嘱・初演いたしました。

本コンクールの自由曲では、4曲よりなるこの曲集の最後の曲『とてつもない秋』を演奏いたします。

『静寂のスペクトラム』は詩の選択から信長さんにお任せし、“視覚詩”を中心とした意欲的な作品となりました。
今回演奏する『とてつもない秋』は、“ツイッター詩人”して今をときめく和合亮一さんの作詩なのですが、一見つながりのない言葉の羅列、多用されるエクスクラメーションマーク…!!
この詩をどうやって音楽に!?という印象の詩です。

信長さんは、おそらく主人公が“ある光景”を見て「とてつもない秋だ」と感じたところから、連想ゲームのように「秋を感じるもの」のイメージが次々に溢れ出したのではないか…と解釈され、「秋を感じるもの」のイメージが次々に浮かぶ様子をそのまま音楽として作られました。

スピード感溢れるイメージの洪水が音楽となり、最終的に「とてつもない秋だ」と感じた“ある光景”にたどり着きます。
「ああ、信長さんの音楽だ」とどこかホッとしつつも、凄みのある締めくくりとなっています。

コンビニ店員としては、詩の中にある大量の「!!!!!」を信長さんがどのようにして音楽で表現されたのか、楽しみながら聴いていただきたいです。
わが店自慢のピアニストが合唱団と一体となって弾くピアノにも是非ご注目ください。

一方、課題曲はシューベルトのChor der Engelを演奏します。
店長とともに、美しい和音をひたすら追求して参りました。
課題曲と自由曲、方向性の違う2曲の良さをそれぞれ表現したいと思っています!

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合宿での写真ということです。



店員さん、ありがとうございました。

コンビニさんの委嘱曲であるこの「静寂のスペクトラム」、今年のハーモニー誌秋号での「わたしたちの委嘱作品」記事も大変興味深く読ませていただきました。
2年前に観客賞1位を受賞された「春と修羅」がきっかけで委嘱されたそう。

 

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ハーモニー誌記事中ではメッセージにも書かれているように「!」の多さが特徴的な、迫力ある詩ということ。
「1行のほとんどが『!』という行もあるのですが、その部分の信長先生の表現方法が素晴らしく、なるほどな、とニヤリ。」
さらに「ダイナミックさや疾走感、みずみずしさがありながらも、侘び寂びも感じさせる美しい曲」だそうで、これは聴いてみたくなります!
曲名で検索してみると「信長作品の新たな傑作!」などという評価も多いんですね。

コンビニさん、今年の7月に開催された東京国際合唱コンクール混声合唱部門でも金賞2位。
課題曲でのパフォーマンスの質の高さ、ブラームス、ロッティ、ブルックナーの曲をすべて過不足無く、集中力を切らさず、幅広い表現力に圧倒されました。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/08/24/124053

高い実力を持たれるコンビニさんが、満を持して思い入れのある作曲家に委嘱されたこの「静寂のスペクトラム」。
「Combinir di Coristaは品数豊富で、現代から古典まで曲を選ばず、あらゆるスタイルの実現を目指す合唱団だと思っています。そういった団だからこそ、自分の作曲の幅としては最先端のところで勝負したいという気持ちがありました」と「わたしたちの委嘱作品」記事中での信長先生のご発言。
「最先端のところで勝負したい」!

演奏まであと4日、店員さんの「信長さんがどのようにして音楽で表現されたのか、楽しみながら聴いていただきたいです」が実現する時間、待ち遠しくてたまりません!






続いて、澄み切った音と大人の音楽で“通”を魅了する合唱団と言えば?

 

 

 

 



12.山形県・東北支部代表


鶴岡土曜会混声合唱団

https://twitter.com/tsuruokadoyokai

(54名・3年連続出場・第50回大会以来12回目の出場)

 


昨年は課題曲の三善晃先生「子どもは……」を自由曲に選ばれました。
座談会では


大好き!

課題曲G1がとても清潔な感じで…。

一同 わかる!(など、口々に)

旋律の線が美しかったですよね。

良いソプラノがメリスマも含め、
しなやかに流れを作っていって。

繰り返しで徐々に高まってくのが
「上手いなー、ヤルなーっ!!」

そして自由曲ですよ。
三善晃先生の課題曲「子どもは……」を
自由曲2曲目に持って行く!

「その手があったか!」

この選曲は効いてましたね。

組曲で聴く理由が納得できたよね。

一同 うんうん。

もう「すいませんでした!」と思ったもん(笑)。
「子どもは……」を最初に課題曲として聴くのと
こんなに印象が違うのか!と。

歌い上げる温かさがより一層感じられました。

「願い 一少女のプラカード」の最初に
うるうる来た!

私もそうなんです。
「生きていてほしいんです…」
凄く丁寧に歌われて。

大人が集まって歌われることに意味のある演奏でしたね。
そういうところに泣けてしまう。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/31/144324


鶴岡土曜会さん、今回の選曲は
課題曲:G1 Agnus Dei (「Mass for Four Voices」から)(William Byrd 曲)
自由曲:谷川俊太郎詩、三善晃作曲「クレーの絵本 第1集」より「あやつり人形劇場」
高田敏子詩、三善晃作曲「五つの童画」より「風見鳥」

今年も三善先生の作品ですね。
代表の阿部さんからメッセージをいただきました。 

  


昨年は「名曲シリーズ」の中から自由曲を選ぶというややトリッキーな選択をしましたが、選曲パターンとしては今回も”課題曲はG1、自由曲は三善晃作品” となりました。
ここ数年の選曲(とくに自由曲)については ”名曲を演奏したい”という思い(とくに指揮者の思い)が強く反映されております。

「あやつり人形劇場」については、個人的には平成17年の全国大会における会津混声合唱団の演奏が強く思い出されます。
きれいな言葉が澄んだ音色に乗って流れていく、とでも言えば良いのか、こんなに素敵に歌えるものなんだなとえらく驚いた記憶があります。
同じように歌うことはできないにしても、私たちなりの ”言葉” と ”音色” でこの歌の世界に少しでも近づきたい、少しでも潜ってみたいと思います。
また「風見鳥」については、鶴岡土曜会としては9年ぶりの挑戦となります。
当時とは団員の顔ぶれが少し変わり、今の私たちがどのように演奏できるのか、楽しみでもあります。

”挑戦” というのにはもうひとつ理由があって、この曲を歌った9年前には東北支部大会を突破できず、札幌kitaraでの全国大会に出場できなかったというほろ苦い記憶があるためです。
「この曲で、また今年も?…(^^;」という弱気の虫が顔を出したりもしましたが、今回は晴れて全国の舞台で演奏できることになり、何かジンクスを打ち破ったような安堵感があります。
この曲については「あやつり〜」よりも客観的な姿勢や表現が必要なのではないかと感じていますが、これがなかなか難しく、本番までにどれくらい練り上げることができますか…。

自由曲は2曲とも「絵・画」をテーマとした詩によるものですが、その情景や場面を自分たちがいかに共有しつつ歌うことができるのか、そんな私たちの”挑戦” の成果をお聴きいただければとてもありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

阿部さん、ありがとうございました。
なんと、9年前の札幌全国大会に進めなかった時の曲が「風見鳥」!
ジンクスを破ることができて、本当に良かったですね。

東北支部大会を聴いた方の感想では「奇をてらわない選曲でも確かな実力に下支えされた誠実な演奏で、私の心にはとても沁みるものがありました」…ということでした。

「あやつり人形劇場」と「風見鳥」。
詩はそれぞれ谷川俊太郎氏と高田敏子氏ですが、どちらも自分の意志を失い、外部要因によって己の行く末を左右されてしまううすら寒さを感じます。
鶴岡土曜会さんの誠実な大人の合唱で、きっと作品の奥深さを感じさせてくれることでしょう。

 

そして鶴岡土曜会さん、昨年は全国大会3日前に定期演奏会を開催されましたが、今年は…?


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さて、鶴岡土曜会混声合唱団では、今年開館しました鶴岡市の新しい文化会館 ”荘銀タクト鶴岡” にて、12月8日(土)に第67回定期演奏会を開催いたします。
「フォーレのレクイエム」がメインステージとなりますが、ソプラノには新進気鋭の佐々木麻子氏(鶴岡市出身)、バリトンには黒田博氏をお迎えしての演奏です。
もし、ご興味とお時間が相当ありましたら、ぜひおいでください (^^;

 

 

全国大会2週間後という、普通の団体なら非常にタイトなスケジュールですが、昨年よりはだいぶ余裕がありますね(笑)。

多くの方が訪れる演奏会になることを願っております!

 

 

 

 

 (明日に続きます)

 

 

 





 

札幌食紀行 第4回「スイーツ」

 

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ジンギスカン、ラーメン、スープカレーと続いたこの「札幌食紀行」、今回の「スイーツ」で最終回です。
ちょっと待て文吾! 海鮮、特にカニは?お勧めの回転寿司とか触れずにいきなりスイーツ??
……なんて声も聞こえてきそうですが、正直、海鮮でお勧めできる店をそんなに知らないのと、カニについては内地の人より道民は醒めてるっていうか、それほど熱を持って「食べたい!」とか無いんじゃないかなあ……。
あ、回転寿司は「根室花まる」が北海道ならではのネタがあるし、札幌駅隣接のビルに支店もあるのでお勧めですよ。(時間帯によっては凄く混みますが)

 

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海鮮(その他)なら実にタイムリーな今月号の「BRUTUS 札幌の正解」を読むべき!

 

BRUTUS(ブルータス) 2018年 11月15日号 No.881 [札幌の正解]

BRUTUS(ブルータス) 2018年 11月15日号 No.881 [札幌の正解]

 

  
私も購入しましたが、知人に勧めた店が2軒もかぶっていて苦笑してしまいました。

とにかく今回は「スイーツ」。
北海道は昔からスイーツ、お菓子が美味しい土地柄と評判のようで、酪農が盛んで質の良い牛乳やクリームが手に入ったり、進取の気性で海外の菓子を積極的に学び活かしてきたという理由があるようです。

北海道の菓子店といえば「六花亭」が有名で、その中でも一番有名な「マルセイバターサンド」。
本店にあるカフェではその「マルセイバターサンドの〇〇〇」が食べられるって知っていましたか?
窓から庭園の緑を見下ろし、しばし待てば。

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「溶けやすいのでお早めにお召し上がりください」と美人さんに運ばれてきたのは……!


マルセイバターアイスサンド!


見た目ちっちゃ!と思ったけど味が濃厚で充分満足しました。

こちらも非常に混むそうですが、開店間際だと楽に入れたという情報アリ。
札幌で有名な菓子店「きのとや」のカフェも知人がお勧めしていましたね。

 



さて、ここからが本来のテーマ。
札幌で着実に広がっている「シメパフェ」ですよ。

 

デイリーポータルZのこの記事、文明として高度かどうかはともかく、凄く面白いです。

 

 

 

札幌の合唱団Le camaradeさんもお勧めしています。「夢のようにうまい。」(笑)

 


私も以前にバーラーペンギン堂へ1時間強待って入店したことが。
本格的なパルフェに好きな酒を合わせるというもの。
パルフェ自体が上質で、ちょっとしたバーの同じ価格帯で生フルーツのカクテルを頼むよりは、遥かに楽しくコスパに優れているのでは。


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個人的にお勧めは半分ほど減ったパルフェに酒を入れて混ぜ合わせ。
苺とヨーグルトのパルフェにシャンパンは天上の美味!でした。


今回の札幌旅行、高度な文明のシメパフェ……どうですか?!
(・・・でも深夜のラーメンと比較して、どちらが罪深いのかなあ?)

 

 

根室花まる JRタワーステラプレイス店
〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西2 札幌ステラプレイスセンター6F
1,600円(平均)

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ペンギン堂
〒064-0804 北海道札幌市中央区南四条西1-6-1

 

観客賞スポットライト 混声合唱部門 その4

 

 

 

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札幌ホワイトイルミネーション。
今年は11月22日木曜日から!






今週に入って、急に冷え込んできましたね。
そこで毎年恒例?某合唱団MLに流れた看護師さんたちの
「なんちゃって健康のお便り」をご紹介します。



* * * * * * * *  * * * 


最近、急に寒くなり、朝晩暖房を入れたり、自販機のあったか~い飲み物が急激に増える季節ではありますが・・・。
年末を控え残業が増え、ストレスがたまりやすく風邪をひいたり体調が崩れやすい季節でもあります。
しかしこれからコンクール、演奏会と盛り沢山!
風邪をひいてる場合ではありません。
そこで少しでもよいコンディションにもっていけるようこのメールで誘導して参ります。


1、寒さを凌ぐ

外出時に首周りは冷やさないようにしてると思いますが、注目は足元です。
特に女性は筋肉量が男性に比べ、少ないことも多く冷えやすいです。
足を冷やすと自ずと心臓に戻る血液も冷えます。
その間、通る内臓も冷やしてしまいます。
体の冷えは万病の元とも言われますし、コンクールは北海道です。
当日に向けて日々の服装から注意してみてはいかがでしょうか。
※男性も靴下の穴にご注意を!


体を内側から温めましょう。
鍋が美味しい季節になってきました。
お野菜の値段も少し落ち着き、買い時です。
飲み会のときのお鍋はグツグツさせすぎるのが常ですが、美味しく食べてください。
アク取りもポイントですね。
生姜やニンニク、ねぎたっぷり。
唐辛子などピリリと効かせて・・・ですが、取りすぎは注意です。
刺激のある食べ物やアルコールの摂取は、喉の炎症が酷いときなどは控えましょう。


ストレスは溜めないで下さい。
精神的なストレスは自律神経の働きを乱し、エネルギーの生成を阻害します。
まずは練習でいい音楽にどっぷり浸ってストレスを軽減させてください。
仕事で疲弊したあとの平日練習のあと、なんだか軽い足取りで帰宅出来てませんか?
そんな人は練習のついでにストレスも解消出来てる?!
練習で困ったことがあった時は帰り道に解決!
ぜひ◯◯さんに相談してみてください。
(◯◯はこのメールを読んでいる際につい入れてしまったあの人…の名前です。みなさんきっといます)



2、良い睡眠をとる!

皆さん色々快眠対策をされているとは思いますが・・・。
寒くなってきましたし、湯船につかって血液の循環を良くして凝り固まった筋肉をほぐしてから寝ましょう。

良い睡眠で スッキリとした脳に入ってくる音楽は、寝不足の日に聞こえてくる音楽の何倍も質が良いはずです。
通勤中に聴く練習録音もハッキリと聞こえてきます。
しっかりほぐれたからだ全体を使ってバンバン歌いましょう!
なんだか合わなかったピッチやテンポもバッチリ合うようになるはずです。
全国会前日はきっと皆さんホテルですよね?
じゃんじゃんお湯を使いましょう。
きっとホテル代は変わりません。
そして、ご存知とは思いますがアルコール、栄養ドリンクやコーヒー紅茶烏龍茶などカフェインの入ったものを寝る前にとると、中々眠れなくなる、眠っても体が休まらないなどの影響かあります。
そんなときはお砂糖一つ入れたチンしたあたたかい麦茶やおしゃれにハーブティーを飲んでみてください。
きっと快眠効果あります。





3、喉を休める。耳を休める。

風邪などで声枯れまでしているとき、喉が痛くて声が出ないときなどは、歌わなくても音が聴こえると、声帯やその周囲の筋肉は反応して、歌わなくても歌っているように動いてしまいます。
歌ってないのにのどを疲れさせるなんて悲しいです。
声帯を休めたい、喉を休めたいときは、音をイヤホンなどでシャットアウトするのも手です。
そんなことしてたらみんなに迷惑をかける・・・と心配な方へ朗報です。
音を制限し耳をすます時間を作ると聞こえが良くなることがあります。
朝の通勤時間など、危険がない範囲で周囲の雑音をイヤホンなどでシャットアウトして、無音に近い時間を過ごしてみてください。
しばらくしてイヤホンを外すと、いつもより周りの音が大きく聞こえたり、いつもは聞こえなかった新鮮な音が聞こえたりするはずです。
練習前などに行って、後ろで歌ってる人の声や、隣の隣の人の声までよく聴こえたら・・・より音楽の幅が広がるかもしれません。

喉の炎症を治すために薬を飲まれているかたがほとんどと思いますが、その他に緑の濃い野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)・鮪や鯖や秋刀魚など脂がのってるお魚、オリーブオイル、ブルーベリー・ラズベリーなどの果物に抗炎症作用が期待できます。




ここまで読まれて、明日の音楽が変わりそうな予感がしていただけたら…と思います。
コンクールではぜひ素敵な音楽を全世界の皆さんにお届けしてきて下さい。

なんちゃって看護師会より

* * * * * * * *  * * *

 


なんちゃって看護師会のみなさん、ありがとうございました。
元気で北海道へ向かいたいものですね!






17分の休憩後、混声合唱部門の後半の始まりです。
地元:札幌の合唱団が登場!


 


8.北海道・北海道支部代表

Baum

(65名・5年連続出場・第64回大会以来7回目の出場)



Baumさんは2009年に札幌で創立。
指揮は同声部門で出場の、HBC少年少女合唱団シニアクラスも指揮される大木秀一先生。
大木先生は札幌の名門合唱部、札幌旭丘高校の指揮者を一昨年までされていました。

Baumの団員さんは大木先生のもとに集まった人たちで、完全な札幌旭丘高OB合唱団というわけでは無いそうです。
団名のBaumはドイツ語で「木」の意味。
大「木」先生を慕い集まって作られたことによる団名なのでしょう。


Baumさんの今年の課題曲は
G2 Chor der Engel(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Franz Schubert 曲)
自由曲はEric Whitacre「Three flower songs」より「1. I hide myself(自らを潜ませ)」
Ivo Antognini「There will come soft rains(やわらかい雨がやってきて)」

しっとりした美しさのウィテカーの作品。
そして自由曲2曲目のアントニーニの作品は、2年まえに新潟大学合唱団さんが演奏されていて、ジャズ風味のリズム、ハーモニー、口笛が効果的に使われたオシャレな曲です。
アントニーニ作品はHBCさんでも選曲されており、さらに昨年のBaumさんでも「Canticum Novum」を演奏されています。
大木先生、お気に入りの作曲家のようですね。

 

 

 

そしてなんとBaumさんHPによれば地震の影響により定期演奏会を延期し、この全国大会の一週間後に開催される予定とか。


2018年9月9日(日)キタラ小ホールにて、定期演奏会を行う予定でしたが、胆振東部地震に伴い、延期になりました。
2018年12月1日(土)キタラ小ホールにて開演予定です(18:30開場、19:00開演)。
皆様のお越しをお待ちしております。

 


コンクールで「勝負!」よりは癒しの優しい選曲をされるBaumさん。
聴く者と、そして自らを演奏で慰め、私たちの拍手で演奏会へ向かわれますよう。



 



そして九州からふたたび言葉の魔術師が!







9.福岡県・九州支部代表

混声合唱団うたうたい

(47名・第66回大会以来6年連続出場)

 


同声合唱部門、大阪からのメンズ・ウィードさんと同じ高嶋昌二先生を指揮者に抱く結成10年目の団体。
今年の2月に第2回目となる演奏会を開催されたそうです。

昨年の座談会では


課題曲の「子どもは……」、
やはり高嶋先生だけあって
助詞にも気を配ってたね。

フレーズと語感の結び付きが良かった!

自由曲の信長先生「人さし指秘抄」も
フレーズの始まりが良かった。

力感がフレーズにありましたね。

気怠い感じが出ていたね。
2曲目の「ヒスイ」も良い流れを作っていて。

繰り返しの曲だけど、工夫していましたね。
テノールの声の浮かせ方が良かったな。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/30/113807


今年の演奏曲は
課題曲G3 まいまい(「12のインヴェンション」から)(間宮芳生 曲)
自由曲:千原英喜「Agnus Dei = 空海・真言・絶唱」

おお、この自由曲は今年も大学ユース部門に出場の、ジュニア&ユースコーラス”Raw-Ore”さんが昨年初出場で、観客賞1位を受賞した曲じゃないですか!

 

 

Raw-Oreさんの演奏は若々しさが魅力でしたが、やや年代が上のうたうたいさん。
言葉にこだわりがある名匠:高嶋先生ということもあり、同じ曲でも、きっと違った魅力を聴かせて下さることでしょう。



 


続いては知性に秀でた実力合唱団の登場です。




 

 

 




10.愛知県・中部支部代表

岡崎混声合唱団


(77名・2年連続の出場・第57回大会以来13回目の出場
 岡崎高校コーラス部OB合唱団も含めると
 第49回大会以来15回目の出場)




母体は今年も全国大会へ出場された岡崎高校コーラス部という実力合唱団。
昨年の座談会では


全体に安定感がさすがでしたね。

課題曲「子どもは……」は安定に加え
力強さも感じられました。

自由曲Krzysztof Penderecki作曲
「Иже херувимы(ケルビムの歌)」は
男声の語りがとても説得力あって。

フォルテッシモのクラスター、
音の壁がドーンと出てきた!

クラスターからピアニッシモで
テノールが出る箇所があったでしょう。
あの繊細さが素晴らしかったな。

フォルテッシモで高い音域でも崩れない。
そういうところに技術の高さを感じました。

バスの「アリルイヤ」、
低音で重ねていくところ、ゾクソクと!

凄く短く感じた演奏でした。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/30/113807


このように安定した実力で優れた演奏を聴かせて下さる団体です。
さて、今年の演奏曲は?

団員さんからメッセージをいただきました。

 


今年も我が団をご紹介いただきありがとうございます。
この場をお借りしまして演奏曲について書かせていただきます。


課題曲
間宮芳生 作曲「12のインヴェンション」より『まいまい』

「12のインヴェンション」は3年前のコンクールでも選曲しました。
日本の民謡を歌うというのは、その地の風景を感じその地に暮らす人々を知るということと言えます。
『まいまい』では富山の山村、春・冬の情景が描かれます。
平家の落人伝説も伝わるこの地の、うたの源流にある「雅」。
その雅さを表出したい、優雅さを感じて歌いたいと思います。

 


自由曲
三善晃 作曲「嫁ぐ娘に」より『戦いの日日』『かどで』

私たちは委嘱作品を含め三善先生の作品を多数歌ってきました(ここ10年の定期演奏会では8回、三善先生の作品を歌っています)。
先生の作品にのめり込むきっかけとなったのは、1994年、愛知県で開催された「わかしゃち国体」。
三善先生作詩作曲の式典曲などを我が団の指揮者、近藤惠子先生が県内の様々な合唱団へ教え回ったことがきっかけで三善先生とのお手紙のやりとりが始まりました。
三善先生からの直筆のお便りが団員にも回覧されたことで、「私たちの先生」という意識が団員の中に芽生え、先生の作品から伝わるメッセージをプレゼントと思い大切に大切に歌い継いできました。
第40回記念定期演奏会を控え、年代的に親の立場となる団員も多くなった今だからこそ「償われることも限られることもない」親子の愛を歌う三善先生のこの作品を、と選曲しました。
岡崎混声合唱団として、コンクールの自由曲で先生の作品を演奏するのは今回が初めて。
この曲をどのように歌い表現したら良いか自らに問い続け、作品と向き合いました。
繰り返し繰り返し歌うたびに、楽譜に溢れ出す三善先生の愛に導かれてきました。
作品に込められた願いや想いを「訴う」演奏をお届けします。

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今年3月に開催された定期演奏会の写真ということ。




団員さん、ありがとうございました。
私が知らなかった三善先生と近藤先生、そして岡崎混声合唱団さんとの心の繋がり。
「私たちの先生」と大事に思われる気持ちが、こちらにも伝わってきました。

「嫁ぐ娘に」は娘が生まれた時から、嫁ぎ、家を出るまでを描いた、高田敏子さんの詩がテキストになっています。
三善先生は、母である高田敏子さんがご自分の娘さんへ送る詩に(当時独身で男でもある自分が)作曲することに不安だったと記していましたが、続けて。

 


これは、高田さん母娘の真情の絆ではあろう、が、高田さんの言葉がその「個」の情感を経る前にここに、ひとりの人間の祈りがある。 
高田さんは、お嬢さんへの語りかけを通じてそれを綴ったのだ。

 

 

と書かれています。
親子の愛、三善先生の愛、そして、ひとりの人間の祈り・・・。

団員さんからいただいたメッセージはこう結ばれていました。

作品に込められた願いや想いを「訴う」演奏をお届けします。

「歌う」の語源は「訴う」という説があります。
コンクール自由曲として初めて演奏される、大事な三善先生の作品。
どうかみなさんの思いの丈を、ぞんぶんに歌い、訴えて欲しいと思います。



(明日に続きます)