Chorsal《コールサル》9th Concertのお知らせ

 

「珠玉のハーモニー」選者であり合唱ブロガー:ぜんぱくさんこと大村善博さんが指揮者の、松山の意欲的な合唱団「Chorsal《コールサル》」さん。
9回目となる演奏会のお知らせです。


Chorsal《コールサル》9th Concert 

-光をもとめて-


日時:2021年2月14日(日)
13:30開場/14:00開演(15:15終演予定)


会場:松前総合文化センター 広域学習ホール

 



指揮:大村 善博
ピアノ:大澤 宣晃


チケット:一般500円 / 高校生以下 無料(全席指定)
 ※チケットのご購入はコチラから。
座席数を限定しておりますので、お早めにお買い求めください。
※当日券はご用意する予定ですが、当日の混雑を避けるため可能な限り事前購入をお願いいたします。座席は、当団で決定しますので、購入者様による座席指定ができません。

※ご来場前にコチラを必ずご一読いただき、ご理解ご協力をお願いいたします。


プログラム
❖1st stage -ルネサンスの歴史をたどって-
 Ave Maria (グレゴリオ聖歌)
 Miserere Mei, Domine (Orland di Lasso 曲)
 Prophetiae Sibyllarum より"Carmina Chromatico"(Orland di Lassus 曲)
 O magnum mysterium (Tomas Luis de Victoria 曲)
 Sicut cervus (Giovanni Pierluigi da Palestrina曲)
 Sitivit anima mea (Giovanni Pierluigi da Palestrina曲)


❖2nd stage  -宮沢賢治の世界-
 混声合唱組曲「心象スケッチ」 (宮沢賢治 詩/髙田三郎 曲)
 1.水汲み
 2.森
 3.さっきは陽が
 4.風がおもてで呼んでいる

❖3rd stage
 混声合唱とピアノのための組曲「雨ニモマケズ」より
 Ⅱ.告別(2) (宮沢賢治 詩/千原英喜 曲)

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ルネサンスの歴史を語るにふさわしい3人の作曲家ステージ。
そして同じ宮沢賢治をテキストとしても髙田作品と千原作品では約30年の隔たりがあります。
その構成の妙を味わうのも楽しそうです。

 

この時期に演奏会を開催されるのは、さぞかし気苦労も多いことと思います。
サルさん側からは「細心の注意と対策を講じた上で、厳重な安全管理に努めます」とのこと。

団員みなさんの想いが実る、良い演奏会になりますように!

 

 

ハーモニー冬号に心臓が止まる

 

遅ればせながらハーモニー冬号を読みました

 

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いつもなら全国大会の審査員座談会があるんですが、残念ながら今回はなし。

しかし他にもなかなか読み応えのある記事が。

 

まず人気番組「プレバト!!」のプロデューサーである上野大介氏へのインタビュー。

上野氏は春日丘高校合唱部、同志社グリークラブで学生指揮者を務められたガチの合唱人。

「情熱大陸」など人気番組の裏側や、コロナ禍でのテレビ番組、合唱、音楽の今後など興味深い記事でした。

実は私、「プレバト!!」まだ見たことが無くって。

短歌バトルなど凄く面白そうなので来週時間があったら見てみよう。

 

 

ふたつめは作曲家:上田真樹先生を囲む座談会。

 

 

毎回作品の完成が遅れに遅れるので、他出席者全員に責められ、涙目になる上田先生(かわいい

東京混声合唱団の委嘱作品である「夢の意味」はエポックメイキングな作品だったという山田和樹氏の発言。

「現代曲というものに、歌うことで感動するという原点を突きつけたわけ。ひねくれた人は、東混には感動よりも斬新さを求めるかも知れない。だけど、音楽っていうのは現代音楽だろうが何だろうが、人と人との心が触れ合い、通い合い、ぶつかり合い、震えることですから。これは全然違う震えがあった金字塔的作品ですね。」

 

上田先生の作品って、優しく、耳に心地良く、ともすれば自分はイージーリスニング的に聴いてしまうんだけど、今後はもっと真正面から向き合わねばな、と思わせる記事でした。

そう言えば5年前の中国大会で松江市民合唱団さんによる上田先生の「鎮魂の賦」を聴いて涙したことがありました。

 

芸大時代の先生であり、上田先生との共作者でもある林望先生の「歌と詩」へのお考えも大変刺激に。

 

 

 

そして楽しみにしていた

 

「全日本合唱コンクール、そこから得たもの、そこに求めるもの」

 

 

司会役の清水敬一先生の「考えられる最高のメンバーにお集まりいただくことがかない」という言葉のまま雨森文也先生、栗山文昭先生、藤井宏樹先生、松村努先生という豪華参加者!

「迷うから出る、迷うからやめる」「コンクールは勉強の場」「コンクールはぶら下げたニンジン」などなど。

コンクールを止めた理由、続ける理由が、それぞれの音楽観に密接に関わっていて、コンクールアンチの方にも読んでいただきたい、実に示唆に富む座談会でした。

(個人的にはコンクールは「卒業」ではなく、「引退」と記してほしい……。だって「卒業」なら、続けている人のほとんどが「留年中」みたいじゃん!)

 

コンクールの舞台はせいぜい10分程度ですが、その凝縮された10分に演奏者のみならず、聴いた人もどれだけ人生を変えたことか・・・。

 

2017年の記念大会で藤井先生が指揮された「樹の会」による過去の課題曲演奏が大変素晴らしかったと雨森先生。

(私も当時、その演奏の素晴らしさを記していました)

今後の提言として、雨森先生が仰るように全国大会、審査発表の前に栗山先生、藤井先生が指揮される演奏が実現したらとても有意義なことだと思います。

他にも、全国大会出場者全員が「生きる」を練習してきて、審査発表前までの30分間で栗山先生にレッスンをしてもらうというのも大変良いアイディアかと。

 

「史上かつてない2次会」にも触れられて「ぼくが合唱に関わるようになった40年前には考えられないくらい、自由にいろんな人たちどうしで交流して話をしている」と清水先生。

もちろんコンクール自体の意味、賞を与えることでの格付けや技術向上などは今後も討議されなければいけないのでしょうが、それ以外の、付随するもの。

すなわちコンクール外の優れた演奏や音楽を知る場としての意味や、合唱人どうしの交流を盛んにするという付加価値を高めて欲しいですよね。

 

それにしても今回の座談会、プロフェッショナルの手によるものへ大変不遜なんですが、読みやすく、構成が良いなぁ、と。

特に司会役の清水先生の一言で、話の流れを決めるのが鮮やか、上手いなあ・・・と読み進めていたら

 

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突然自分の名前が出て、心臓が止まるかと!

 

 

・・・え~、ハーモニーを読まれてこのブログへ来られた方もいらっしゃると思うので、合唱団まいさん観客賞第1位の座談会を載せておきましょう。

 

 

おまけに一昨年の京都大会で観客大賞(すべての部門でもっとも良かった演奏に与えられる賞)の合唱団お江戸コラリアーずさんの座談会も!

 

 

記事中の主催者側が観客賞を実施、というのは長崎で全国大会の時、伊藤理事長とお話ししたことがあったんですが、実現せず。

そのときは投票条件である「各部門全団体を聴くのを取りやめる」……みたいなことを話しましたけどね。

今後どうなるのかな~。

主催者側に協力していただけるんだったら、集計や座談会の会場に頭を悩ませなくてもすむようになるのかな~(苦笑)。

 

 

クリスマスに合唱を



お久しぶりです。
毎日残業、毎週休日出勤で疲弊しているため、なかなかブログ記事を書く時間がとれず・・・。
それでもお話をお聞きした団体さんについては必ず!書くつもりですので!!
今しばらく、いや申し訳ありませんがけっこう長く、お待ちください。
(2月くらいからもう少しヒマになるのでは?という予想です。本当にすみません)

話変わって。
何やら今日はクリスマスイブだそうで。

今月の20日にYouTubeで公開された
「都留文科大学合唱団第55回定期演奏会」。
これがねぇ、演奏が良いのはもちろん、選曲や合間の団員さんの言葉が「今歌うことの意味」を強く感じさせてくれる素晴らしいものだったんですよ。


 

最初は全員マスク姿にちょっと驚きましたが、伸びやかで磨かれた声とホールトーンを生かした響き、自然なフレーズ感にすぐ魅了されました。
アンコールには少し涙腺が緩み……。
9名の男声はじめ、都留文科大学合唱団のみなさんのご多幸を強く願っています。

 

 


プロ合唱団の東京混声合唱団からも、こんな演奏のプレゼントが。


 
こちらも多彩なクリスマスソングが、さすがプロ!の表現力で演奏されています。
東混のみなさん、ありがとうございました!

 

 



海外からはラトヴィア。
しかもAVE SOL!


 
24日21:30から配信予定ということ。
これは全曲聴くのが楽しみです!!






「Zero8」「amarcord」「Latvian Voices」「New York Polyphony」という錚々たる団体のクリスマスコンサートも24日21:00から配信されるそうです。

  

 
こちらも楽しみですね~!

 

 


最後に。
クリスマスには関係ありませんが、さきほど観てぐっときたCMを。



 

医療従事者のみなさん。
すべての一歩に、感謝を。

 

 

 

クール シェンヌ第18回演奏会のお知らせ

 



「珠玉のハーモニー」CDでも大トリとして、一番最後に収録されたクール シェンヌさん。
12月末に第18回となる演奏会を開催されるということ。





クール シェンヌ第18回演奏会

日時:2020.12.27(日)
15:00開演(14:00開場)

場所:DMG MORIやまと郡山城ホール

 

 

チケット料金:一般 2,000円 学生 1,000円
 http://chene.jp/ticket.html

(チケットはPassMarketでの「QRコードチケット」のみの販売で、紙のチケットや当日券の販売はございません)




【演奏曲目】
※演奏曲目は変更の可能性があります

Komm, Jesu, komm BWV 229 J.S.Bach
Warum ist das Licht gegeben dem Mühseligen Op.74-1 J.Brahms
Friede auf Erden Op.13 A.Schönberg
Nänie Op.82 J.Brahms
くちびるに歌を(混声合唱とピアノのための「くちびるに歌を」から) 信長貴富

主催:クール シェンヌ http://chene.jp/



バッハ、ブラームスのモテット、「哀悼歌」、そしてシェーンベルク「地上の平和」に信長「くちびる」。
まさに王道を行く印象の選曲です。

さらにクール シェンヌFacebookでは演奏曲の紹介も!
確かにこの記事を読んでから演奏会へ伺うとより楽しめそうです。



《カウントダウン企画~演奏曲のご紹介~【その(1)】》
今回から、シェンヌが第18回演奏会で演奏します曲のご紹介をして参ります。
曲の背景を知ってから演奏を聴いて頂くと更にお楽しみ頂けるかも!

 

 



コロナウイルス対策としてもチケットをはじめ、考えうる限りの対策を考えておられるようです。


【新型コロナウイルス対策について】
 クールシェンヌでは、政府及び地方自治体の方針を踏まえ、全日本合唱連盟、及びホールのガイドラインに沿うとともに、最大限の感染予防と拡大防止のための対策を実施した上で主催公演を開催しております。ご来場を予定されているお客様におかれましては、「マスク着用・咳エチケット」「こまめな手洗い・手指消毒」「物理的身体的距離の確保(最低1メートル)」などご留意いただきますようお願いいたします。
 ホールまで足をお運びくださるお客様に安心して演奏会をお聴きいただけるよう、細心の注意と対策を講じた上で、厳重な安全確保に努めます。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

《お客様へのお願い》
1.新型コロナウイルス感染症を示唆する発熱や咳などの症状がある方はご来場をお控えください。
2.「マスク着用」にてご入場、ご鑑賞をお願いいたします。
3.「物理的身体的距離(最低1メートル)」を保っていただきますようご協力をお願いいたします。
4.感染者が発生した場合、チケットご購入者様の個人情報は、必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただきます。


《会場での感染症対策について》
ご来場を予定されているお客様にはご不便をお掛けいたしますが、感染予防のため、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
1.ご来場時の混雑緩和のため、開演1時間前から開場いたします。
2.非接触型の体温計でホール入口にて計測いたしますのでご協力をお願いいたします。お早目のご来場をお願いいたします。
※計測の結果、平熱と比べて高い発熱があることが計測された方や37.5度以上の発熱があった方は、ご入場をお断りいたします。あらかじめご了承のほどお願い申し上げます。
3.プログラムの手渡しは行いません。
※所定の場所からご自身でお持ちください。
4.スタッフは全員、マスクを着用いたします。
※主催者のチケット窓口、受付でお客様と接するスタッフは、マスクを着用してご案内と対応をさせていただきます。
5.客席、ホワイエ等でのご歓談、お客様同士の近距離での会話はお控えくださいますようお願いいたします。
6.「ブラボー」などの掛け声は禁止とさせていただきます。
7.終演後は、アナウンスに従って退出していただけますようご協力をお願いいたします。退場時は密集しないよう、物理的身体的距離を考慮し、適度な距離(最低1メートル) を保ってご退場ください。
8.終演後の団員によるロビーでのご挨拶は行いませんのでご了承願います。
9.団員および団へのプレゼントや差し入れの受け取りは辞退させていただき、会場での預かりブースは設置いたしません。


※チケット購入後やむを得ずキャンセルする場合は、お手数ですが問い合わせ先(藤下)までお問い合わせください。
TEL : 080-2514-0207
FAX : 0744-46-4372
MAIL : webmaster@chene.jp

 

 

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いろいろあった今年を締めくくる意味でも、シェンヌさんの演奏会へ行き、合唱の本質と魅力を味わうのも良いかもしれません。
良い演奏会になることを願っています!

鶴岡土曜会混声合唱団第69回定期演奏会のお知らせ



「珠玉のハーモニー」Vol.10にも収録された鶴岡土曜会混声合唱団さん。
作品に対する真摯な姿勢が魅力の団体です。

当ブログでも「作品そのものが立ちあがる 鶴岡土曜会混声合唱団さん」として記事にしています。




毎年、全国大会の前後に演奏会を開催される団体なのですが、今年は全国大会は無いものの、11月28日(土) に第69回定期演奏会を開催されるそうです。

 


鶴岡土曜会混声合唱団第69回定期演奏会

日時:2020年11月28日(土) 
開場 18:15
開演 19:00

会場:荘銀タクト鶴岡

 


1ステ:「Sicut cervus」や「O vos omnes」など、ヨーロッパの宗教曲
2ステ:「水のいのち」全曲
3ステ:「ジグザグな屋根の下で」など、信長先生の作品を中心に といった内容の予定です。

 

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フライヤーを読むとさまざまな感染症対策に加え、「過去2週間以内に感染拡大地域への訪問歴のある方は、ご来場をお控えください」とされていますので、なかなか「多くの方に来て欲しい演奏会です」とは書けないのですが。
それでも、考えうる対策をしっかりされた上で、前へ進もうとされる鶴岡土曜会混声合唱団のみなさんを応援します!

 

 

2つの演奏会のお知らせ

 




このコロナ禍でも感染に十分注意しながら演奏会を開催する団体があります。
どちらもライブ配信、そしてアーカイブ(録画)が観れる、私のような地方在住には嬉しい演奏会。




東京混声合唱団第253回定期演奏会

2020年10月24日(土)


開場14:30 開演:15:00


会場:東京文化会館小ホール


三ツ橋敬子先生の指揮の東京混声を聴くのは初めてなのがまず楽しみだし。
信長貴富先生新編曲のフォーレ・レクイエムも楽しみだし。
そして林光「黒い歌」!!
これ、今でも耳を惹きつける魅力がある名曲だと思うんですが、アマチュアには相当難易度が高い曲なんですよ・・・。
プロフェッショナルが余裕を見せる演奏を期待しちゃいます。

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こちらも配信チケット1500円。
アーカイブは1週間だそうです。

 

 

↓ のツイートに購入方法が詳しく。

 

 

 

ふたつめは和歌山県で意欲的な活動をされている

 

アンサンブル・ミカニエ第13回定期演奏会

2020年10月25日(日)

 

開場16:30 開演17:00

会場:ザ・フェニックスホール


指揮者に伊東恵司さん、阪本健悟さん。

さらにピアニストに千原英喜先生、松本望先生。

委嘱初演も行うという豪華な演奏会!


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4Kカメラ5台で本格ライブ配信とのこと。

 

mikanier.stores.jp

チケット1500円は ↑のHPから購入できるようです。


どちらの演奏会も実際に伺うこと、ライブ配信視聴も難しいのですが、アーカイブを楽しませていただきます!

 

 

 

歌のある空間を求めて 千葉大学合唱団さん





1987年の冬、全国大会上位入賞団体の番組がNHKラジオで放送された。
初めて聴く名、「千葉大学合唱団」。

衝撃だった。
単純な技術の巧拙とは違う次元、大げさに言えば、そこに世界があった。
「夜のうた」という題、暗闇の底から祈るような、目を閉じた瞬間ふっと香水を嗅ぐような。
高みに向かうと思えばたゆたい、ひそやかに、そしてときに華やかに奏でられるピアノと絡む合唱。
変幻自在に繰り広げられるフランス音楽に、どこか大人の匂いも感じ。

「こんな合唱曲があるのか!」と札幌の高校生は驚き、何度も繰り返し聴き込んだ。
千葉大学合唱団、栗山文昭の名前は、そこで刻み込まれた。


今回、この「珠玉のハーモニー」企画が「平成(+α)の大学職場一般部門」となっているのは、私が「どうしても昭和の千葉大学合唱団の演奏を入れて欲しい!」とワガママを言ったからである。
それが無かったらブレーンさんも「平成!」と(+α)無しで銘打てたわけである。
ブレーン担当者:原さんへのメールで「私は最低、87年の千葉大学の自由曲が残れば良いので!それさえ残っていれば、あとはぜんぱくさん推しの演奏ばかりでも文句は言いません!」とまで書いた。
(その後、ぜんぱくさん推しの演奏に文句はさんざん言った。ごめんなさい)


「夜のうた(Le chant de la nuit)Op.120」は、1870年フランス生まれの作曲家:Florent Schmitt(フローラン・シュミット)が1951年に作曲された作品。
副題に「Ode à Frédéric Chopin,op.120(フリードリック ショパンに寄すオード)」と付けられたように、ショパン没後100年を記念して作曲されたものであり、ショパン:ノクターン第13番ハ短調Op.48-1からの引用が随所に認められる。

作詩はあの有名な哲学者:Frédéric Nietzsche(フリードリヒ・ニーチェ)の言葉を、伝記作家:Guy de Pourtalès(ギー・ド・プルタレス)がフランス語へ訳したもの。
フランス語に堪能ではない自分には意味がつかめず。


「珠玉のハーモニー」発売をきっかけに合唱団響団員:高田さんから当時、千葉大学合唱団に在団されていた方をご紹介していただいた。
高田さんに多大なる感謝を!

元・千葉大学合唱団員「ちよ」さんによると、この詩はニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」第2部の冒頭なのだという。



夜はきた。すべてのほとばしる泉はいまその声を高めて語る。わたしの魂もまた、ほとばしる泉である。
夜はきた。すべての愛する者の歌はいまようやく目ざめる。わたしの魂もまた愛する者の歌である。
鎮まることのない、鎮めることもできないものが、わたしのなかにあって、声をあげようとする。愛したい、とはげしく求める念がわたしのなかにあって、それ自身が愛のことばとなる。わたしは光なのだ。夜であればいいのに! この身が光を放ち、光をめぐらしているということ、これが私の孤独なのだ。

(「ツァラトゥストラはこう言った」より 氷上英廣 訳)



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※ちよさんから、当時の対訳・発音資料もお送りいただきました。



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この曲を想うと、艶やかで真っ暗な夜の闇と銀色のしぶきをほとばしらせている噴水が脳裏に浮かびます。
歌詞がフランス語。
その発音が難しくてとても苦労しました。
特に覚えているのがJaillisantes (噴出する)という単語。
フランス語特有の鼻にかかる鼻母音、空気を含ませた摩擦音とともに発音する半母音。
それを噴水のイメージで。
やってもやってもOKがもらえなくて・・・。

フランス語をご指導くださったのは、当時千葉大で一般教養のフランス語を担当していたガブリエル=メランベルジェ先生。
たまたまお願いして来ていただいたのですが、実は音楽にとても理解があり、歌って美しく聞こえるフランス語を根気よくご指導くださる、私達には大正解の先生でした。
栗山先生ともすっかり意気投合して、その後合唱団OMPでもご指導いただきました。

* * * * * * * * * *


同じく、当時在団されていた中嶋美穂さんによると


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フランス語には初挑戦で、メランベルジェ先生にいらしていただいてフランス語の特訓をしました。
メラン先生のパワフルかつ笑いの絶えないレッスンで、私達はフランス語の作品がますます好きになりました。
栗山先生もフランス語が千葉大に合っていると思われたのでしょう。
その後も数年間はフランス語の作品が続いたと記憶しています。
ニーチェの詩は難解で、シュミットの音楽も夜のように正体無い感じで、初めはとっつきにくかった印象があります。
栗山先生からは、(もともとよく言われていたのですが)「お前らはみんなグンゼのパンツを履いている!」と揶揄され、表現の稚拙さを思い知らされながら悪戦苦闘したことを覚えています。
ピアノの田中瑤子先生が見るに見かねて、私達4年生を呼んで、優しくかつ厳しい言葉で𠮟咤し励ましてくださいました。
瑤子先生が真摯に不甲斐ない若者達と向かい合ってくださったことに感謝しています。

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「グンゼのパンツ」!
なるほど、演奏から当時感じた「大人の匂い」は栗山先生のこういう言葉からもわかります。
そして名ピアニスト:田中瑤子先生のエピソード。
中嶋さんが語られたように、団員さんへ対し、厳しくも優しいお人柄が感じられますが。
ふたたび、ちよさんによると



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瑤子先生。
そうなんです、叱咤激励、容赦なく(笑)。
学生にとっては、実はちょっと怖い。
でもとっても可愛らしい一面もあり、、、。
私たちにとっても、栗山先生にとっても単にピアニストにとどまらない大きな存在だったと思います。


千葉大は、当時ぐんぐん力をつけていましたが、吉村信良先生率いる王者、京都産業大学グリークラブさんに一歩及ばず長らく銀賞に甘んじていました。
東京(関東)で開かれる40回記念大会。
大会実行委員長は我らが栗山先生。
ピアニストに田中瑤子先生を擁し、いつにもまして、今年こそはという思いが強かったと思います。
そんな中で、大会前日、実行委員長で多忙を極めた栗山先生が倒れ、東京医科大へ救急搬送されたのです。
先生の容態はどうなのか。
栗山先生の代わりに学指揮が振ることになるかも。
最後の仕上げとなるべき練習が終始不安で落ち着かないまま終了しました。

そんな私たちに向かって瑤子先生がおっしゃいました。
「栗山先生は大丈夫。きっと来ます。でも、万一来られないとしても 私達だけでがんばりましょう。」
いつも、静かに陰で支えてくださっていた瑤子先生が、この時は前に出て私たちを奮い立たせてくださいました。
その言葉がとても心強くありがたかったことを覚えています。

本番当日。
栗山先生は奇跡的にいらっしゃいました。
一緒に舞台に立てているというだけで幸せ。
多分満足のいく演奏ができたと思うのですが、私の記憶の中ではなぜか前日のことばかりで・・・。

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あの演奏にそんなエピソードがあったとは!
ブレーンさんHPの1987年第40回大会のプログラムによれば。


栗山先生は大学の部:千葉大学合唱団さんの他に、次の日の一般の部A部門で「宇都宮ジンガメルアカデミー」さん、一般の部B部門で「合唱団OMP」さんと計3団体にご出場。
その上、大会の実行委員長を務められたのでしたら、さぞかし激務だったことでしょう。
ちなみに宇都宮ジンガメルアカデミーさんは20秒オーバーで失格。
OMPさんはコンクール大賞を受賞されました。
コンクール大賞も当時にしかない賞ですね。
当時は高校部門も同じ場所での連日開催だったので、高校・大学・職場・一般の全部門でもっとも優れた団体へ贈られる賞でした。


ちよさんのお話はこう続きます。


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そして、また金には手が届きませんでした。
でもそんなことは小さなことですね。
千葉大が初めて金賞を受賞するのは、その3年後です。

 

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※パートリーダーさんのお言葉。
演奏へ懸ける意気込みが伝わってきます。
「当時はガリ版を切って輪転機で刷って作ってました」とのこと。
団員数は80人から90人くらいだったそう。




ひとつおまけ。
瑤子先生が大会を通じての(サプライズの?)特別賞「フレデリック・ショパン賞」を受賞されました。
瑤子先生は一般の部B部門でコンクール大賞を受賞した合唱団OMPでも弾いていらっしゃいます。
(実は私もこの時、OMPの一員で出演しました)
その時の賞の名前が OMPの演奏した「海」ではなく、千葉大の「夜のうた」に由来している(と思われる)ことがちょっと誇らしかったりして・・・。

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当時は金賞団体が1団体だけだったのですよね。
さらにそんな特別賞があったとは。
ピアニストにも光を与える賞、再開すれば良いのになあ。

ちよさん、中嶋さん、大変貴重なエピソードを本当にありがとうございました。


いま改めて「夜のうた」楽譜を眺めながら聴くと、自在なテンポ感と、ぜんぱくさんが書かれたように、栗山先生の優れた構成力と音楽性が感じられます。
その音楽の説得力、音楽だけではなく大学生の年齢を超え「大人」を匂わせる世界に、33年前と変わらず心が震えました。


千葉大学合唱団さんとはその後、「本家マザーグースのうた」CDを回数が忘れるほど聴き返し。
(黒テントの役者さんが出演されたこのCDは、音楽劇としても実に楽しく秀逸なもの。現在も十分聴く価値があるCDだと思います)
音楽監督の座を栗山先生から佐藤洋人先生に譲られての現在は、YouTubeで演奏を楽しませていただいています。

 

 



千葉大学合唱団さんは演奏にも影響されましたが、栗山先生のお言葉も心に強く残っていて。
この記事の題「歌のある空間を求めて」は1988年ハーモニー誌春号で、千葉大学合唱団さんを取材された記事のものを使わせていただきました。


記事中の栗山先生のお言葉。


「たとえば好きな子の家に電話をしたとして、いくら待っても相手が出ないとする。
 その取り上げられなかった受話器と、どこかにいる相手との間にある空間、そこに歌があるんだよ。
 そういう歌のある空間を一人一人が持ってもらいたいんだな」


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携帯電話が普及した今、栗山先生の言葉は力を失ってしまったか? いや、そんなことは決して無いはず。
1987年、ラジオから録音したカセットテープに手書きで「夜のうた 千葉大学合唱団」と記してから33年。
今、手元にはその団体と曲名が、活字で記されたCDがある。
この感慨と喜びは到底伝えきれない。

札幌と千葉、1987年と2020年という離れた空間と時間。
栗山先生が仰られたように、確かにそこには「歌」があったと思う。
想いかえせばそれは、とても幸せなものだったと。



 




千葉大学合唱団さんの演奏は「珠玉のハーモニーVol.6」に収録されています。

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