「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」 その1


さて、今年も
「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」始めたいと思います!


ちなみに昨年の「あれやこれや:出張版」はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20081116/1226836628


(※交換日記相手さんが書かれていた
「隙が無い」なんてことはないですよー。
 隙だらけ、穴だらけの文章ですよーーー)



9年前の全国大会は、今年と同じ札幌でした。
その年から私は毎年連続して聴き始め、今年で全国大会10回目。
出身地である札幌から始まり、そして10回目がふたたび札幌、という
個人的に記念すべき回になります。


コンクールが全てではもちろんありませんが、
この全日本合唱コンクールという大会で知り得た団体、
知り得た人たちは非常に多い。
そんな親交があるみなさまに感謝するとともに、
この紹介記事でもご協力いただければ・・・と今回は考えました。


ご協力いただいたみなさまに心よりお礼申し上げます。


そういった事情のため、連日の更新とはなりませんが
ご容赦のほどを。


なお、曲名などの間違いのご指摘、よろしくお願いします。



それでは11月21日土曜日、札幌コンサートホールKitara
15:15分から始まる予定の一般部門Aグループの出場団体紹介です。




最初の団体は・・・



中国支部代表 島根県 
ゾリステン アンサンブル
(混声24人・4年連続出場)



今年の5月に
「PVD・シェンヌ・ゾリステン ジョイントコンサート vol.1 in島根」
という藤井宏樹先生指揮のEnsemble PVD、
上西一郎先生指揮のクール・シェンヌ、
そしてこのゾリステン アンサンブルがジョイントコンサートを開き、
私も松江まで聴きに行きました。


その時のゾリステンは単独ステージで、
今回の課題曲G1:ジェズアルドを含むルネサンス期の作品を3曲演奏し、
それがなんとも素晴らしい出来だったんですね。
会場のプラバホールはとっても良いホール。
その良い響きを味方につけたように空気の流れが旋律と重なり、
曲中の力感も自然で効果的。
他2団体のステージと比較しても、
全く遜色の無い、充分聴き応えのあるステージでした。


そしてゾリステンはこの全国大会では過去、自由曲に
コスティアイネン、ヒナステラ、ベルイなどの現代曲を取り上げ、
指揮者:西さんの
空間へ音が及ぼすセンスが冴える演奏を聴かせていたのですが
今年はなんと!
ブラームス「5つの歌」から4曲!!


へえー、凄い方向転換。
これは是非とも理由を聞かねばなるまい、と指揮者の西さんへメール送信。
お、メールが返ってきたぞ、早いなあ。
なになに、今年ブラームスを選曲した理由は・・・えっ?!
なんと!! ・・・なるほどねそんな理由が。ふうむ・・・。
おお、それならゾリステンがブラームスを選曲したのも納得です。


…あれ? 西さんのメール、最後に

>・・・あんまり選曲の理由を引用していただくのはご遠慮して欲しいかと。
>文吾さんらしいメッセージでお願いしたいです。
>松江の印象とか(^^;)。


ええっと、松江は宍道湖の渡る風が気持ち良い文化栄える街という印象でしたよ。それと同じ島根県内の益田にある日本一の居酒屋という評判の「田吾作」へ行ったら評判通り凄い店で隣のお客さんと意気投合して一緒に2軒目の「かすり」へ行ったら全国の地酒飲み放題という夢のような企画をやっていてさらにそこにいたお客さんと意気投合して一緒に3軒目まで行ったときには10人ほどの宴会になっちゃって・・・俺は何の文章を書いてるんだ?


ブラームス、晩年の作品である「5つの歌」は
曲名の「3.最後の幸福」「4.失われた青春」が表わすように
後悔や絶望などの暗いトーンが全体を占める曲想。
しかし、暗いだけではなくほのかに光差すような絶妙の転調など、
その奥深さはさすがブラームス!という曲です。
個性的な人材が揃っている印象だったゾリステン アンサンブル。
団員さんそれぞれの個性と人生が、
このブラームスというゾリステン方向転換の演奏に
奥行きを与えてくれることを願っています。



さて、続いても島根県の団体です。



中国支部代表 島根県
女声合唱団フィオーリ
(女声25人・2年ぶりの出場)


24年前に斐川西中学校のOGを中心に結成されたというフィオーリ。
言葉が明瞭で流れるような音楽が印象にある団体です。
今年の課題曲はF3:「機織る星」。
高田三郎先生の作品は詩を伝えることが大切ですね。
フィオーリの発語の明瞭さが
村上博子さんの詩世界を伝えてくれることを願って。


自由曲は与謝野晶子:詩、鈴木輝昭先生作曲の
女声合唱とピアノのための組曲「詩篇」から「1.恋」。


フィオーリは全国大会に何度も出場している団体ですが、
ここ10年ほどの間で全国出場した時の自由曲は
ほとんど鈴木輝昭先生の作品だったような。


今回の、与謝野晶子の「恋」は激しい恋歌。

わが恋を人問ひ給ふ。
わが恋を如何に答へん、
譬ふれば小き塔なり、
礎に二人の命、
真柱に愛を立てつつ、
層ごとに学と芸術、
汗と血を塗りて固めぬ


(与謝野晶子「恋」より)

汗と血を塗りて固めぬ、か・・・凄いですね。


激しく華麗なピアノと重層的なヴォカリーズ、中間部がちょっと抒情的で
…鈴木輝昭作品らしい曲です。
そういや6年前、九州の全国大会で福島県橘高校の演奏で聴いたなあ。


ずっと鈴木輝昭作品を演奏し続けているという厚み。
高校生とはまた違った演奏の魅力を聴かせて欲しいですね。




(続きます)