観客賞:混声合唱部門。
今回が最終回。
第2位と第1位の団体です。
●第2位
ヴォーカルアンサンブル《EST》
山本 ウチの団員、呆れてたもん、上手すぎて。
そうそう(笑)。
山本さんの隣の女性団員さん2人と私が
ESTさんの演奏が終わった瞬間
山本 「ふーーーッ…」って大きなため息してね(笑)。
いやあ、あのウィテカーは凄まじかったですよ。
声が眼前まで迫って圧倒されて。
もう限界だろう…と思ったらさらに何度も何度もそれを越えて。
ホールの天井が壊れないか心配したくらい(笑)。
山本 うん、今回の仕上がりは凄かった。
ESTさんとウィテカーの組み合わせはモノスゴイものがある。
最初のソリストにしても
「アレルゥーウゥ…」って5回ぐらい繰り返して全く狂わない。
奇跡じゃない?!
奇跡(笑)。
山本 簡単に聞こえるけどさ、普通は音変わっちゃうよ!
凄いぞ、この人!と思ったよ。
あの民族音楽風な歌い方もカッコ良かったし。
あれ、良かったですよねえ。
センスを感じました。
そういえばESTさんは
昨年全国大会に出場できなかったんですよね。
山本 そう。
昨年出場できなかった、
失った時間を取り返したいという気持ちもあるだろうし。
志の高さを感じたね。
あのウィテカーを聴きながら
「刺されそう…」と思ったよ、ちょっとだけね。
刺されそう?!
山本 なんか気合と言うか気迫と言うか・・・。
ああ、わかる気がします!
今まで聴いたESTさんの演奏の中でベストですね、私には。
山本 本当に素晴らしかった。
言うこと無いんじゃないかな、自由曲は。
ESTさんの感想を求めるとやはりまず
「凄かった!」と賞賛の声が多数上がりました。
私と同じように
「今まで聴いたESTさんの演奏で一番面白かった!」なども。
演奏については
「きっちり計算して作っている印象」と音楽の組み立てを賞賛する声。
「どんな練習してるんだろ?!」なども。
そして山本さんも言っていた「気合、気迫」に関して
「2年ぶりの全国大会ということで
そういう気持ち、気合が伝わりました」との発言に
「うんうん、伝わった!」と同意する声が多かったです。
「声の強さ、存在感、
とにかく発声の練られ方が素晴らしい」
「あれだけ歌えるって凄い」
「うん、あれだけ歌えたら気持ちいいだろうねー」と
発声を讃える声も多くありました。
それに関係して、
EST団員さんで出産してからすぐ
ステージに立った方がいらっしゃるそうで。
そのこと自体も凄いことですが、出産後に発声が変わったとか。
それを聞いて
「子供産んであんな風に声が変わるなら、
オレも産みたいわ・・・」と。
いやいやいや!(笑)
ESTさん、山本さんとの対談でも言いましたが
この全日本や宝塚での演奏などを何回も聴いた中で
あのウィテカーの「アレルヤ」は間違いなくベストの演奏でした。
本当に「どこまで行くんだ!?」みたいな。
多くの人が言っていましたが2年ぶりの全国大会という
気持ちと気合がこもった素晴らしい演奏でしたね。
スケールの大きさが実に気持ち良かったです。
そして第1位!
《CANTUS ANIMAE》
CAさん、凄い得票数で。
なんと半分以上の人がCAさんに投票しています!(笑)
山本 そらそうだろう(笑)。
まあ…もう、全てが噛み合ってたね。
課題曲の屈折率はまずピアノが…
山本 そうなんだよ!
ピアノと合唱のアンサンブルってどういうものなのか。
それを教えてくれるピアノだったね。
まず音取りから前奏のつながりもね。
あの音取りの時点で世界を作ってましたよね!
この課題曲ではいろいろなピアノを聴きましたけど
この音取り、そして前奏で
「ようやく巡り会えた!」みたいな(笑)。
そして自由曲の「であい」ですが・・・
聴く前からかなり期待が高まっていたんですよね。
そして、いざ、演奏を聴いたら!
山本 そうなんよ!
自分の中でかなりハードルを上げていたのに
さらに2段階上があった!みたいな。
山本 ギアサードまで行っちゃってたね~。
最終形態はどこまであるんだろう、と(笑)。
・・・いやあ、凄かった。
凄かったですねえ。
山本 なんかさ、「聴きに行った」んじゃなくて
「泣きに行った」みたいなさ(笑)。
泣きに(笑)。
でも本当ですね。
山本 今日は聴いた!じゃなく
今日は泣いた!!
自分も聴いている最中に涙を拭おうと思いつつ、
一瞬足りとも聞き逃したくなくて、
結果、顔に2本の筋ができました(笑)。
入場時の拍手も凄かったですけど、
退場時も拍手が止まらなかったですね。
山本 や、前が観えないのよ、泣いちゃって。
・・・その涙も悲しみじゃなく、
嬉し泣きみたいな感じだったかな。
あぁー。
山本 MODOKIの女声団員たちがさ、
CAさんの演奏を聴き終わって
「私たち、なんか、間違ってました。
…練習したいです」って。
「おぉー!」
「いいなあ、MODOKIの人!!」
(…と、この対談を聴いていた周囲から賞賛の声)
山本 自分もそれ聞いて
「本当に練習しようかな」と思ったもんね。
・・・それ言いながら彼女たち、飲みに行っちゃったけど(笑)。
一同爆笑(笑)。
「きれいにオチた!(笑)」
山本 いやでもね、「くやしい!」と思ったよ。
ここまでやり切られたら何も言えねぇ。
それがくやしくってね…。
そこで「くやしい!」と思えるところが凄いですね。
山本 コップにどれだけ入っている、じゃなくって
コップを満杯どころか、
表面張力から、さらにこぼれたものを聴いている。
そんな気がしたよ。
演奏の奥に広く、深いものを感じました・・・。
山本 CAさんは昨年も「行っちゃった!」って演奏だったけど、
今年はもう・・・。
たぶんコンクール史上に残る名演だと思うよ。
もう、ちょっと、これほどの演奏はなかなか聴けないんじゃないかな。
今日来てない人はほんっとうにモッタイナイ!
CANTUS ANIMAEさんの感想は他に
「課題曲のピアノ、
絶妙な間とバランスとタッチが素晴らしかったです」
「屈折率の前奏、あんなに弱音で小さく、
しかも美しく叩けるものなんだ!」
「前奏・・・素晴らしい。
音取りから次の音への鳴りが 『うわーっ!』って!!」
「神だった」
など平林知子先生のピアノを賞賛する声が多数。
そして自由曲:三善晃先生の「であい」の感想は。
「凄かったね・・・」という声が出た後、一同しばし沈黙。
誰かがぽつりと 「言葉にならない」。
一同(笑)。
「うん、言葉にしちゃうとね、なんかね」
「感動が小さくなってしまうと言うか」
それでも、ぽつりぽつりと。
「泣けた。…泣けた」
「圧倒的でした!」
「元々そういう魂がある団体だったけど
今回は期待通りと言うか期待以上の演奏で」
「命を削って演奏している感じ」
「1月、東京でのNouvelles Rencontre。
合同演奏の『であい』も
あれはあれで凄い良かったんですけど、
今回は気持ちの入り方が違うな、と。
集中度なども、やっぱり」
「最後のピアニッシモ。
あんな弱音を、あんなに美しく出せるんだ。
そして気持ちもちゃんと入っている!」
という発言に同意の声が多かったです。そして
「三善先生の訃報の後だけに
最後の『さようなら』という言葉が・・・」
「最後、天へ昇っていくような気がしました」
さらに
「あの音楽は三善先生に届いたんじゃないかと」
その言葉にうなずく人が多くいました。
「演奏を聴いて泣きましたが、
ありがとう、と言いたくなる涙でした」
三善先生へ音楽が届いたと感じたのはもちろんですが、
CAさんがあれだけ音楽へ、演奏へ全てを捧げ尽くしていたのなら。
三善先生は、きっとあの時あの場所にいらしていたと思うのです。
そしてこれからも、そんな演奏があるかぎり。
(観客賞:番外編に続きます)