お待たせいたしました。
観客賞の座談会、大学ユースの部をお届けします。
観客賞とは…?
9年前から当ブログで始めた観客賞。
各部門の、全団体を聴かれた方の投票で決定する賞です。
この観客賞の意義を説明しますと。
音楽のプロフェッショナルたる審査員による順位、賞の決定は、それぞれ真剣に誠実に演奏へ向かわれ出された結果であり、尊重すべきだと思います。
しかし、
「傷はあったが凄く良かった!」
「コンクールに向いてない選曲はわかるけど涙があふれた!」
…などという声を多く聞いていた自分は、
「観客による投票を行ったら 演奏への新しい価値観が生まれるのではないか?」と考えました。
さらに「この団体が銅賞だったから私は投票する!」…のような判官贔屓を無くすため、投票は審査結果前に締め切っています。
生演奏、そして今回は配信で聴かれた方からツイッター、メールで投票を募りました。
ご投票していただいたみなさま、感想を送っていただいたみなさまに深く感謝いたします。
有志4人は岡山駅から近い、とある居酒屋へ。
私、文吾が司会となって座談会の開始です。
観客賞:大学ユース部門
第5位
酢だこ
https://twitter.com/Chor_Sudako
(混声27名)
文吾(以下「文」)
初出場ですね。
初々しい、素直な声で。
C そうそう、聴いていて気持ちが良かった。
出てくるサウンドがやさしいね。
B やわらかい響きでとても聴きやすい。
すっと入ってくる。
A ソプラノが凄く団体を
引っ張っていたのが印象的だったな。
B 男声がその分、おだやか。
A 高校生では無く、
でも完全に大人にはなっていない
さわやかな青年の声でした。
文 テノールに繊細さがあって良かったです。
この課題曲
「うたをうたうのをわすれても」、
いろんな解釈があって良いと思うんだけど
わーっ!と歌い上げる曲じゃ
無いと思うんですよね。
寂しさや広い野原で可憐に咲く花とか、
そういうニュアンスを上手く掴んでいた。
C サラッと歌うのも良いけど
やっぱりコンクールだから
どういう風に歌うのか試されている。
B 気持ち良い流れもあったし、
ユニゾン、また和音を重ねる箇所なんか
丁寧に考えられていると思ったな。
文 自由曲:信長貴富「初心のうた」「泉のうた」。
この曲の持つリズムが自然な感じで。
C 大学一般ではなかなか聴けない選曲。
文 そうですね(笑)、
コンクールではね。
C でも中高生とは違う経験など
いろんなものを重ねてきて
深みがある演奏になっている。
課題曲にも思ったけど、
等身大の演奏なんですよ。
とても共感を込めて歌っている。
AB文 うんうん。
C 声高々に
「ぼくたちはこういう歌を歌いたいんだ!」
……では無いんだけど、伝わってくる。
文 テクニックで朗々と歌い上げる感じでは
無かったですね。
C 細かいところも練られているし、
なんで銅賞だったのかな。
自由曲2曲とも似た感じだったのが惜しい。
文 うーん、朝一は厳しいですね!
ただ、自由曲は「初心のうた」で
悲しみを表わすピアノ前奏の旋律が
「泉のうた」で長調に変化し、
希望を奏でるという。
つまり絶望から希望へ向かう
意図もあったんじゃないかな。
A 指揮者の縄裕次郎さん、
前から知っていたけど
年齢を重ねて洗練されてきたな、と。
文 以前はクセがあったと(笑)。
A そうね(笑)。
前はゴリゴリ引っ張っていく
タイプだったけど、
今回はみんながどう歌いたいかを
引き出す方向に変わってきて
とても印象的でした。
文 そういやCさん、
「酢だこ始まったら泣くかも」
……と言ってて(笑)。
C あれは文吾さんが
ブログ連載の最終回で
縄さんのあんな言葉載せるから!
文 狙い通り!(笑)。
C でもね、いざ酢だこさんの演奏始まって
文吾さん見たら、泣いてんの!
AB (笑)
文 いや、あの素直な声で
「うたをうたうのはわすれても」と
歌われたら急に鼻の奥がツーンって。
B 自分に効いてんじゃねーか(笑)。
文 また「泉のうた」の前奏が涙腺にねぇ。
まさに今、酢だこのみなさんが
「ひろい道をつくりだ」していると思ったら
ぐっと来て、しまっ……て・・・(泣く
B ダメだこりゃ、次の団体行こう(笑)。
ツイッター、メールでの感想です。
酢だこは最初の音取りで持ってかれました。
とても良かった。
G3はパート間を行き来する旋律の受け渡しが自然で、フレーズ感や息の繋ぎ方も絶妙。
何より、自由曲含め、詩が切々と伝わってくる演奏だった。
課題曲は酢だこの表現が一番好きでした。
初出場とは思えないほど肩の力を抜いた且つ堂々たる演奏。
パートの統一感も良くてすっきりした響きだし表現がよく練られてる。
比較的少人数でもホールを味方に付けてるので声量負けしてない。
酢だこさん、美しい演奏でした。
酢だこ超大好きな清潔感。
俺やっぱり中学校も高校もうまいと思うけど、この大学卒業前後の?この少しの粗さと清らかさが混ざった音楽大好き。
酢だこの課題曲めっちゃ好き✨
透明感ありながら支えのあるしっかりとした発声に、歌心ある歌唱に表現力。
どれをとっても曲に合い、素晴らしい!
最後の「見失います」のユニゾンはシビレました😆
じんと来ました。
久々に聴く合唱というだけでなく、ピアノに男声女声とが重なり盛り上がりへ向けて声が一つになっていきます。
その瞬間、気持ちがとても熱くなりました。
第4位
福島大学混声合唱団
https://twitter.com/fukukon_u
(混声35名)
文 今回の演奏、とても良かったです。
今まで聴いた福島大の演奏の中で
個人的に一番ですね。
C 課題曲のシュッツが
凄くドイツっぽい響きで。
AB文 うんうん。
文 どのパートも穴が無く
バランスが良かった。
格調高く宗教的緊張感がある演奏。
B 今までの福島大って
自分たちと作品の距離を置く印象が。
もちろんそれは
悪いことばかりじゃないけど
今回はその距離がぐっと近かった。
文 気持ちが入ってたよね。
後半の「Kyrie」の盛り上がりも!
A 凄く丁寧に歌っている、
丁寧に曲を表したいんだろうなぁ、
という印象ですね。
文 自由曲:木下牧子「水底吹笛」、
昔からの名曲を名曲として
しっかり聴かせてくれました。
C とても良かったんだけど一点だけ。
「ひょうひょうと」の「ひ」の子音。
強く息を当てるんじゃなく、
柔らかく発音すれば
言葉のニュアンスが活きたんじゃないかな。
文 うーん、始まりに
インパクトを与えたかったのかも。
自分は違和感なかったですけど。
B 課題曲と自由曲で
声を変えてきましたね。
C 「水のような響きの声」と
メモに書いていて。
深みがあるけど透明感を失わない。
A そうそう、
この詩は情景を表わしているでしょう。
だから情景を音色でも
表わそうとしている気がしたな。
C ピアノが入ってきたら
どうしても合唱のハーモニーが
聞こえなくなったりするんだけど、
福島大は特に前半で
ハーモニーが聞こえてきて。
一番盛り上がる「ふこうよ」の
不協和音から解決する音が
ばっちりハマって
「あぁ~!!(歓喜)」。
文 (笑)。
木下作品の繊細な和音ですね。
A 繊細なところをちゃんと決めてきた!
B 「そこを決めて欲しい」という
作品のポイントを決めてくれましたよね。
表情も良かったし、
説得力ある演奏だったと思います。
ツイッター、メールでの感想です。
福大!!!よかった!!!
和音の運びなど丁寧で上質なシュッツ、
フィクションでなくリアルな思いの詰まった水底吹笛
水底吹笛…方舟…なんだろう、合唱界の懐メロなんだろうけど古さ全くないし最高に好きだし、1980年出版?41年前?まじ?木下牧子曲の旋律の美しさたるや…飛び道具なし、自然の味で勝負感ある。もうまじ好き。
誠実で実直な音楽で素晴らしかったです。
深い響きの"大人"のサウンドを志向しているのでG1は教会音楽らしい響きでとても良かった。
自由曲のパートソロはとても綺麗だし言葉のニュアンスもかなり練られてる。
大ユ部門唯一のG1、繊細で緻密な曲作りに感服しました。
自由曲もハーモニーの重厚さと色彩の変化が非常に良かったです。
透明感ある女声に惹かれました!
また、男声と重なった声は厚く和音が耳にスッと入ります。
体をゆったりとさせ、心落ち着く時間でした。
(第3位の団体に続きます)