観客賞座談会・同声合唱の部 その4

 

 

のっぺ

 

前回は観客賞・室内合唱部門、第6位内には入らずとも、印象的だった団体女声合唱団「歌姫」さん、杉並学院・菊華女声合唱団さんへの感想。
そして【室内合唱部門全体を振り返って】の感想をお話ししました。

 

今回から観客賞・同声合唱部門、第4位内に入らずとも印象に残った団体の感想をお話しします。

 

北海道・北海道支部代表
HBC少年少女合唱団シニアクラス

http://www.hbc.co.jp/hbc/jr-chor/

https://twitter.com/HbcJuniorchoir

(女声44名)

 

B 全パート存在感があって
 頑張ってハーモニーを
 作ろうとしていたなぁって。


文 自由曲1曲目
 アントニーニ「Agnus Dei」
 少年少女合唱の純粋な音色が
 とても合っていて良かったですね。
 さらに2曲目のジェンジェシ
 「Laudate Dominum」
 アタッカで繋げていて。


 ジェンジェシは
 とんでもない変拍子で
 ムチャクチャ難しい曲だったんだけど
 その変拍子をちゃんと捉えて
 歌っていたのは凄いなと思いました。


 若い子の真剣さが伝わってきて・・・。


 確かにそうですね。


C 「私たちにはできない!
    この整え方!!」って。


AB文 (笑)

【メール、Xの感想です】

去年に引き続き課題曲の選択には首を傾げるところ 他の曲の方が良さを活かせそうなのに…
自由曲の現代的宗教曲は深い響きの中に瞬発力があって緊張感のある音楽だった


深い響きの大人っぽい美声◯
多彩な選曲


F3 ちょっと緊張ぎみに見えたけど、44人の人数の迫力!
ややテンポ速め、入りのブレスの深さすごい
自由曲
Ivo Antognini来たー!特有のぶつかる音、美しいけど難しい。解決した和音の神々しさ。
2曲目一転してテンポ早い、よく耳にする曲。歌いこんでる感じ。

 

 

岡山県・中国支部代表
Coro Piace
(女声20名)


 お姉様の団員さんが多い団体ですが、
 課題曲F3 街路灯
 HBCさんの街路灯と続けて聞くと
 「諦観」みたいな感情が
 伝わってきたような。


 他の団体と比べると音価をたっぷり、
 テヌート気味に歌っているなあと。


 それがまた味わい深い。


 そうそう!


 「みんなすて」ちゃった後に
 さらにまだ捨てるものを
 静かに考えている雰囲気で。
 逆に自分はそこに
 人生への希望を
 感じてしまいました(笑)


 どういう意味なの(笑)
 指揮者の大森友美子先生は
 「主役感」があって、
 合唱団を引っ張っていた印象です。


 Piaceさん、お姉様と若い方が
 混在している団体だと思うんですが
 街路灯は
 お姉様に寄せた演奏だったかなと。
 逆に若い方がやや前に出ていた自由曲、
 信長貴富「創造の草笛」
 とても意欲的な作品。


 課題曲は大人の「女性」だったけど、
 自由曲は大人の「おんな」、でしたね・・・。


 そうですね、
 音楽も官能的に作られている。


 テキストが大手拓次だから、やはりね。
 この詩人の合唱曲と言えば
 9月に亡くなられた西村朗先生の作品を
 思い出しますね。
 詩から共通する香りを少しだけ
 「創造の草笛」からも感じました。


 オーボエがその「草笛」を模し、
 合唱を巧みに繋いでいて。


 オーボエと合わせたことで
 合唱のピッチがちょっと変わって。
 若干高め、そして明るめの音色に。


 先に合唱が入り、
 そこにオーボエの音色が加わると
 こんなミキシングになるんだ!と。
 素敵でした。


 オーボエはもともと人間の声に近いから。
 木管楽器や、あとバイオリンもそうだけど、
 協奏すると合唱のピッチや音色が
 変わるんですね。


 全国大会でオーボエとの協演は
 2019年、都留文科大学合唱団さんが
 アントニーニ作品を演奏して以来かな。

 意外と合唱とオーボエが
 合うんだなって感心しました。


 さらにピアノも加わって
 独自の世界がありましたね。


 後半の鮮烈な和音や訴え、
 凄く輝いていました!
 難しい作品だけど、
 信長先生の新境地な印象も。


 「あたらしい創造の」が
 こちらへ迫ってくるよう!
 委嘱曲で自分たちの作品を
 世に出すという気概が
 演奏にあふれていました。

【メール、Xの感想です】

F3は大人の世界だ!と思った
自由曲のオーボエの響きから立ち上がってくる世界観にゾクゾクさせられた 
楽器もあって人数も多くはないのに歌詞がはっきりと伝わってくる


街路灯、最後の巡り合わないの表現◯
自由曲、導入部のオーボエとボカリーズのつなぎ方が抜群


F3 Altoの安定感よ…余裕すら感じる。
まさに可憐なSop、色気のAlto。
ドラマチックな曲作り、ピアノ伴奏がすごく優しくて好き。
自由曲
オーボエが入る曲!尖りのない丸い音が華を添えてた。
水の波紋が広がっていくような出だしの音、かと思えば劇的に曲が変化していく。女声だけでここまでできるのか!凄まじい気迫。
歌vsピアノvsオーボエでバトル漫画の最終回見た気分。音の洪水で溺れたしやっぱりAltoめちゃくちゃ良き。

 

 

福島県・東北支部代表
合唱団L'alba

https://www.sotwe.com/Lalba_otome

(女声20名)


B 自由曲:三善晃「シャボン玉」
 声がガラッと変わって。

 

 課題曲も同じ三善先生
 街路灯なのに(笑)


 曲の雰囲気にピッタリ合った声になり
 「あ。世界が変わった!」
 曲の内容がこの音色を引き寄せたかな。
 後半、シャボン玉が
 割れるような音がしたけど
 あれは詩のどこの部分なんだろう?


 シャボン玉の「ボ」が重なって
 そう聞こえたのかもしれませんね。


 そうなんだ。
 「割れてる……」と
 不思議な感覚になって。


 言葉の意味や感情と距離を置いた
 透明でクリアな音響でした。
 

 「シャボン玉」が収められている
 「虹とリンゴ」は当時、
 団員数が多かった
 国立音楽大学女声合唱団ANGELICAさんの
 委嘱作品。
 それを20名という
 比較的少人数で演奏する場合の
 強弱記号などの難しさ……
 演奏は大変だったと思いますよ。
 

 良い意味で、歌い終わりに
 音へ執着していなくて。
 さらに後押しをしないんですよね。


 テンションが高いわけじゃない。
 自分の思いを主張せず、
 音が「在る」だけ。
 共感はあまり得られないかもしれない。
 でもそれが後半のピアノを邪魔せず、
 新鮮な音響に感じられたりも。
 宗左近の詩と
 三善先生の音楽が結びついた
 唯一無二の美しい世界だったと思います。

【メール、Xの感想です】

選曲は三善晃の初期作品と晩年の作品の対比として面白かったし、これらの曲を黎明トーンで聴かせてくれたのが嬉しい
アカペラで各パートがどんどん重なって行くところが特に良かった


ハーモニー、聞きあう力◯
自由曲、様々なロングトーンの安定感◯


少人数ながら、三善作品らしい素晴らしい演奏だったと思います。
自由曲は「ほら貝の笛」や「その日 —August 6」にも通じるものがあり、個人的に好みの楽曲でした。


F3 若々しい声、手を抜いている音が一つもない。一人ひとりの声に意志がある。リズムが明確な感じ。
自由曲
言葉がはっきりしてるから邦人曲向いてそう。緊張感漂うこれまた難しそうな曲。
矢のように飛んでいくスパッとした声、すごい息保つな…どこまで続けるの…
よくこの曲やろうと思ったなぁ…

 

 

(観客賞・同声合唱部門、印象に残った団体の感想続きます)