観客賞スポットライト 大学ユース部門 その4

 

 

 

 


大学ユース部門、最後の3団体です。

 

 

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 Photo by ピアノストさん

 

 

 

 

 



続いては昨年のチャンピオン。
日本最古の名門男声合唱団の登場!

 

 

 

 

 

 



9.兵庫県・関西支部代表

関西学院グリークラブ

(男声89名・9年連続出場・第59回大会から11回目の出場
 第1回大会からは25回目の出場)



前の北海道大学合唱団と同じ課題曲M2
プーランクの「Seigneur, je vous en prie」なので
聴き比べも楽しいのですが、
なんと言っても自由曲!

 


Bob Chilcott作曲
「Newton's Amazing Grace」
「Thou, my love, art fair」


「A Little Jazz Mass」を作曲されたチルコットなので
どんな「Amazing Grace」か楽しみ。
(かなりの変化球な編曲だとか…)
そして「Thou, my love, art fair」、これまた良いんですよ~。
キングズ・シンガーズの演奏、ちょっと聴いてみましょう。

 


The King's Singers - Thou, my love, art fair (Bob Chilcott)

 

 

・・・どうですか?
こういう曲を自由曲にするということ。
これこそシード、王者の余裕!
センス良く演奏できたら最高にカッコイイ!

きっと

 

「あれ? コンクール聴きに来たはずなのに
 これって関学グリーのリサイタル??」

 

となるに間違いありませんよ!









次は大学ユース部門、いや、今大会の最大人数。
昨年は観客賞1位で大人気だったこの団体です。


 

 

 

 

 

 



10.愛知県・中部支部代表

混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ

 

(混声136名・2年連続出場・第64回から3回目の出場)




昨年、鳥取民謡で会場を沸かしたグランツェさん。
それがどんなものだったかは↓の記事をどうぞ!


●鳥取県民の心を騒がせた演奏
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/11/24/235113

●観客賞座談会:大学ユースの部 最終回
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/12/19/114859



前回は5年ぶりの出場なのに金賞2位と実力の高さも証明。
今年の演奏曲は
課題曲G4「まぶしい朝」
自由曲はEric Whitacre作曲
「Leonardo Dreams of His Flying Machine」
(レオナルドは空飛ぶマシーンを夢見る)

指揮は1番目に出場の同志社グリークラブも振られる
伊東恵司さん。

さて、昨年は108名で出場のグランツェさん。
一気に人数も増えましたが良いことばかりでは無いようです。

代表の内藤正太郎さんからメッセージをいただきました。

 


混声合唱団名古屋大学コール・グランツェです。
この度はこのような機会をいただきありがとうございます。

コール・グランツェは昨年度からさらに団員数を増やし、
総勢130名で活動しております。
これだけ人数がいるというのは
私たちの最大の強みでもありますが、
その裏で苦労の連続でもあります。
これは多くの大学合唱団の特徴でもあるのですが、
毎年三分の一の団員が入れ替わります。
人数が多い分雰囲気もガラッと変わります。
新入団員の多くは合唱初心者であり、
4月にはまた一からのスタートなのだと痛感したのを覚えています。
また、練習場所の確保にも苦労しました。
これまで利用していた施設に
収まりきらなくなってしまったためです。

そんな中、私たちが追い求めてきたのは
130人という人数を生かした演奏です。
例えば、130人で演奏すれば、
かなり表現の幅をつけることができます。
しかし裏を返せば、
130人に見合った表現の幅がなければ
聴き手の期待を裏切ることになります。
これを実現するために、
少人数グループに分かれて練習したり発表しあったりと、
ひとりひとりが一人前に歌えるような工夫をしてきました。

最後になりましたが、音楽監督の伊東恵司先生、
ピアノ伴奏を引き受けていただいた小見山純一先生、
いつも私たちを見守り応援して下さる家族、友人、地元の方々、
この大会に関わる全ての方々に感謝し、
少しでも成長できるように、
そして何よりも心から楽しんで、
このかけがえのない舞台で演奏したいと思います。

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中部大会前の円陣とのこと。


 


内藤さんありがとうございました。
なるほど、人数が多いというのも大変なんですね。

今までの練習場所が使えなくなるというのも難儀ですが、
「130人に見合った表現の幅がなければ
 聴き手の期待を裏切ることになります」
というのは本当にそうだなあ、と。

 

今回の演奏曲
「Leonardo Dreamimg of his flying machine」は
ルネサンス後期、バロック的な音楽、
そしてウィテカーらしいクラスターなど様々な音楽が
ドラマティックに展開します。
最後は打楽器も加わり、かなり盛り上がる作品です。

グランツェさんの「130人に見合った表現」で、
見事飛翔して欲しいですね!




 

 



大学ユース部門最後の団体は
九州からこの団体。
こちらも団員数が多いです!



 

 

 

 

 

 



11.福岡県・九州支部代表

 

九大混声合唱団

 

(混声111名・2年連続出場・第40回大会から16回目の出場)

 

 


今年の九大混声さん、
課題曲はG3「子どもは……」
自由曲は宮澤賢治詩、
信長貴富作曲「春と修羅」より「II」


団員さんからメッセージをいただきました。

 


第70回という記念となる全日本合唱コンクールにて
演奏できることを団員一同心より嬉しく思います。

九大混声合唱団(以下、九混)は東工大クライネスさん、
名大グランツェさんと並んで大学ユース部門において
全国的にも最大規模の団員数を誇ります。
大所帯でいつもワイワイとしていますが、
東京芸術劇場ではみなさんの邪魔に
ならないような行動を心がけます(笑)

課題曲は、三善先生の音楽を受け止めつつ
九大混声の特徴である「大人数」が
最も生かされるように
ディナミークやフレーズ感を工夫し、
美しい詩が見えるように丁寧に練り上げた、
九混だからこそ表現できるG3「子どもは…」を演奏します。

自由曲は、宮沢賢治の詩との対話を幾度も重ね
彼の悲哀や「春の輝き」と「修羅」の明暗を感じ、
「能」の表現を織り交ぜるなど、
テキストの持つエネルギーを
存分に表現できるような音楽を目指し
曲を創り上げてきました。
宮沢賢治は25歳の時に
詩「春と修羅」を書いたといわれています。
大学合唱団だからこそ魅せられる
私たちの「若さ」のエネルギーも音楽に乗せて、
東京芸術劇場で九混の「春と修羅」を響かせます。

大学ユース部門の最後を飾るにふさわしく、
この部門ならではの「若さ」と「熱量」も
お届けできればと思います。
一年ごとに団員が入れ替わる大学合唱団。
今年も合唱経験の有無に関わらず
個性的な新入団員に恵まれました。
そういった環境を力に変えて、
他にはない「今年の九混」の演奏を、
東京にて皆様にお聴かせします。

 

 

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九州大会で金賞受賞直後の写真とのこと。


 


団員さん、ありがとうございました。

九混さん、昨年の観客賞座談会では
自由曲の信長先生「廃墟から」に
「大人数の声の奥行きが効果的に働いていた」
「凄い空間の広さを感じました」
「構成が良かったですね」…など
まさに大人数を生かした演奏という感想でした。


「春と修羅」では、信長先生ご自身はこの曲の特徴を
「日本の伝統音楽的な粘着質の音使いと、
 そこから解放されたロマンティックな音響の対比」
と仰ったそうです。
この曲の演奏を何度か聴いていますが
大変な熱量を必要としている作品だと感じます。

九混さんの魅せる「若さ」と「熱量」が
宮澤賢治の魂とぶつかり合い、
芸劇に「春と修羅」の世界を
見事、生み出されることを願っています。



 


(明日に続きます)