グランツェさんの定演配信が良かった!




昨年、京都での全国大会にも出場され、金賞2位の優れた結果を残された混声合唱団名古屋大学コール・グランツェさん。
3月1日に定期演奏会の予定だったのですが、コロナウィルスの影響で一般のお客様の入場をお断りすることに。
その告知が2月27日と演奏会3日前。
しかも「演奏会当日は、弊団公式YouTubeにて演奏会のライブ配信いたします」と。
え・・・大丈夫なの?

 

 

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3月1日、16時の少し前からPCの前で配信を待ちます。
コンクールのステージは何回も聞いているものの、演奏会は初めて。
結論から言うと、これがとても良かった!

 

 

 

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グランツェさんの高い実力はもちろんのこと、音もホールトーンを感じられる良いもの。
驚いたのは固定カメラだと思ったアングルが、複数あったこと。
ステージマナーの良さ、コンクールステージでは伊東さんの指揮を見ずに正面を向いて歌っているんだなぁ……なんて発見もあり。


第3ステージ「Folk Songs from All Over the World 〜東京オリンピック開催によせて〜」では「アリラン」に合わせた舞踏。


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愛唱曲「湯かむり唄」では「そういや4年前、鳥取の全国大会、この曲と『貝殻節』を演奏して、客席にいた地元のおばあちゃんが途中で拍手しちゃったんだっけ」と懐かしく。

↓ 「鳥取県民の心を騒がせた演奏」


あの時の1年生がこの演奏会で卒団なんだねぇ・・・と親戚のおじちゃんモードに。

前述のステージマナーも1曲が終わると男性だけが退場、暗転。
舞台袖でスポットライトに照らされた司会役の女性が曲紹介。
それが終わるとすかさず照明が明るくなり、すぐ女声合唱が始まる。
ほとんどの団体は司会をステージ上の団員から出すと思うんですよ。
でもそれだと司会の移動、マイクを取る時間が出てしまう。
グランツェさんのテンポの良さ、観客にストレスを与えない進行は、学生団体に限らず真似して欲しいなぁ。




ツイッターの公式アカウントから

演奏と同時中継的に今日のプログラム、さらには演奏に懸ける想いを伝えているのも良かったです。
演奏会が終わると「ライブ放送を聴かれた人向けにWebアンケート」告知と、細かいところまでこの配慮、凄い。


最終ステージは山下祐加先生への委嘱・初演作品。
混声合唱とピアノとヴァイオリンのためのメルヒェン 『エレンと時まもりの木』。
木と人の成長、時代と世界の移り変わりを親しみやすいメロディで描き。

 

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学生さん個々の演技だけだと学芸会っぽくなるのを、広田ゆうみさんというプロの俳優によるナレーターを絡めた進行でしっかり芯を押さえ。
動きとストーリーが歌に力を与え、合唱が終わった後、ヴァイオリンだけが美しく響くこの曲は深い余韻を残しました。

 

 

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最初から最後まで、伊東さんの名プロデューサーぶりを確認でき、予想を大きく超えた演奏会でした。
コンクールの難曲は最初に、ポップス的な千原先生の日本語曲、ワールドワイドな女声・男声合唱曲の魅力を演出付きで。
さらにヴァイオリン、ピアノ、ナレーターとの協演でストーリーと歌の力を……と合唱初心者にも間口を広げた飽きさせないプログラム。
アンコールのなかにしあかね先生「今日もひとつ」、万感の想いがこもった演奏、そして映像で間近に見る団員さんの涙もその感興を倍増させました。

もちろん、入場規制などせず、満員のお客様の大きな拍手があった方が良かったのでしょうが、私のように遠方で滅多に聴けない者にとっては、グランツェさんのこの配信は最高のプロモーションでした。
そして私と同じような地方の合唱人のことを考えたら、こういう優れた団体の素晴らしい配信が、全国の合唱のレベルアップに繋がるのかもしれません。

 

グランツェさんからは

 

アーカイブとしては残りませんが、編集したものを後日アップロードする予定です。
ぜひ公式チャンネルにてご覧いただきたいと思います。


・・・とのこと。
観れなかった方はアップロードの日を待ちましょう。

 

 



届かないと知りながら、配信が終わった時、PCの画面へ向かって大きく手を叩きました。
グランツェのみなさん、素晴らしい演奏と配信、本当にありがとう!