観客賞座談会・同声合唱部門最終回



今回は5位以内には入らなかったものの
印象的な団体を出演順に。

 

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羊ヶ丘展望台

 


うとう女声合唱団

(女声29名)


東北らしい、
澄んで輝く明るい声で良かったです。


そうそう、大人の声なんだけど
透明感が凄くあって
そのバランスが良いなって。


この大会唯一の
シューベルトの課題曲F2が聴けたのも嬉しかった!


やっぱり良い曲ですよね。
フレーズの広がりなど
ケレン味は無いけれど納得の音楽でした。


自由曲、前回はアルヴォ・ペルトを
非常にストイックに演奏していたけど、
今年はヒンデミットはともかく、
マーラーの編曲という
少し観客に歩み寄った選曲で(笑)。


ヒンデミットは良いユニゾン、
フレーズの力感がありましたよ。


全体に息が流れて縫い目のない感じ!


マーラーも含めて、
自由曲3曲で歌い方を変えていて。
最後の曲の明るさと声の鳴りは印象的でしたね。








クール・ジョワイエ

(男声40名)

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課題曲M3「秋の夜の会話」はあの年代にしては
もっと寂しさを出して欲しかった気も?


いや、あの年代だからこそ
死への諦観、諦めが出て
サラッと演奏したんだと思うな。


そうそう、死がもっと身近なものとして、
感情をあまり込めない演奏もアリなんじゃ?
死と生が裏表じゃなく、隣にいるような。


うん、
「こないだアイツが死んで、
 次はオレかな・・・」みたいなさ。


「同窓会3分の1になっちゃったなー」


それは亡くなり過ぎ!(笑)
でもそうなったら「死ぬの怖い!」なんて
強く言えないよね。


やっぱり年配の方が多いから
肩の力が抜けてリラックスしているんですよ。
演奏にもそういう良さが出ていたのでは。


ヴォカリーズの透明さや
トップテノールのファルセットが良かったですね。
自由曲は若林千春「わがひとに與ふる哀歌」より。
ちょっと最近の合唱曲ではあまり聴けない、
美しく壮大なピアノをバックに
詩を歌い上げるような…。


委嘱作品だからだと思うんですけど
曲の中で「ここで何をやりたいか」が
凄く練習しているというか、
伝わってきましたね。


作品への愛着も非常に感じたし、
言葉への対応力の良さ、
意識をとてもされていたから
よく聞こえてきたし
ニュアンスも伝わってきました。


伊東静雄の格調高い名詩を
こういう年配の方が歌ってくれると
さらに深みが増すなぁと
思いながら聴いていました。
人生経験に裏打ちされた
説得力がありましたよ。


この年代になっても、
こうして全国大会などで
歌って全国を旅できるって、いいですよね。


出てきてくれて良かったです! 




ツイッターの投票では

 

「老いた発声」でも「老いに抗う発声」でもなく「老いと融合した発声」とハーモニーに感銘を受けました


…という感想がありました。


 

 

 

 

 


創価学会しなの合唱団

(男声69名)

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課題曲M3「秋の夜の会話」
かなり明るい感じで演奏されて。


昨年の関西弁の課題曲を除いて
今までの演奏は精密機械のようだったんですが
今回の課題曲は人間味が加わっていましたね。


自由曲は田中達也「III.死ト現象」。
委嘱曲ということもあり、
集中度高く、緊張感が充溢して、
最初から最後まで凄く一生懸命な演奏でした。


前田勝則先生のピアノが良かった!


ああ、良かったですね~。
巧みなピアノに乗って速いテンポなのに
日本語がとてもよくわかりました。


「昭和のアニメソング」みたいでカッコイイ曲!(笑)


あ、それ自分も思ったな。
田中先生は歌謡曲的な部分も大変上手だから
そういうニュアンスもあった。


しなのだからこそ表現できる曲という感じで
ワクワクしたし大変面白かったです。


正直に言うと今までは
「誰のために歌っているのかな?」という印象で。
でも今回は歌う対象が見えてきた演奏でした。










メンズ・ウィード

(男声29名)


課題曲M4「春」、良い始まり。
フレーズの中で語感をちゃんと
出していました。


「高嶋節」でしたね!


OBが多いからかもしれないけど、
人数以上の密集した
音圧ある声が届いてきました。


淀工グリー伝統の後押し発声が
いわゆる「泣き節」にとても有効でした。
…この発声、音の幅が大きいから
ハモリを邪魔する部分もあるんだけど。


自由曲の信長貴富「2.春愁のサーカス」
「ここを聴かせるぞ!」という所は
バッチリ決めてきましたね。
言葉も明晰でしたし。


こぶしと言ったら言い過ぎだけど、
音価の中で言葉の色彩を変えていく、
ゆらぎのようなものが上手でした。


藤澤篤子先生のピアノも
細かいパッセージが
実に粒立った音で素晴らしかったです。


合唱がやはり説得力というか、
「歯ごたえのある音」って
メモに書いてあるんですけど。


実直なんですよね。
「青春バカ」って感じで。
決して嫌いになれない演奏(笑)。


母校愛にあふれていますよね~。


あちこち浮気しない
「これ一筋!」みたいな(笑)。
現役生もステージに乗っていたそうで、
母体の淀工グリーも6人に増えたそうです。


奇蹟の復活!
こういう全国大会の経験を糧にして
現役生もますます盛り上がって欲しいですね。












Coro Collegamento


(女声21名)

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若い人たちが一生懸命に演奏してました!


うんうん、「高校生が頑張ってます!」って
音がしてましたよね。


課題曲F3「麦藁帽子」
一列になって声が届くように工夫していて。


よく練習してきた音が鳴っていましたよ。
九州大会よりずっと上手になって
驚きました。


全国大会出場が決まってから
凄く練習してきたんだろうな、と。


ユニゾンがとても揃ってました。


それと、九州人の持つ
太陽の光をサンサンと浴びた声ね!


自由曲の信長貴富「III.伴奏」
ひたむきな演奏が魅力でした。
続けての「IV.明日」
強く歌い上げる、
気持ちが入った演奏でしたね。


指揮の大原先生が朝日新聞の取材や
文吾さんのブログでも書いていたけど
熊本の震災に関連して、
この「明日」にかける想いを強く感じました。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/11/14/074809


一同 格段に気持ちが入っていた、
   力強かった、など同意の声。


結成から1年半ぐらいでしょ?
これからどんどんいろんな経験をしながら
歌い続けていって欲しいな!


若さは武器!(笑)
でも引き出しの多さも求めたいですよね。


大原先生にお会いしたら
「…修学旅行の引率のようなものです」と
お話されていて(笑)。


こういう全国大会もそうだけど
歌以外の経験もすることで
歌にも深みや広がりが出てくると思うから。
次に聴く時はもっと深みが増した演奏を
期待しています!




ツイッターの投票では

 

薄いガラスのような音が印象に残り、何度も聴きたくなる演奏でした。
CD買って帰る💿

 


メールの投票では

  

 県大会、九州大会、そして、昨夜の試演会と聴いてきましたが、昨夜のあと、急激によくなりました。
覚醒した感があり、想定を超える演奏でした。
素晴らしかったと思います。

 
…という感想がありました。













湘南はまゆう

(女声33名)

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課題曲F3「麦藁帽子」はこの年代の女性だと
子どもや孫を思い浮かべそうだけど
今回の演奏は小さい頃の自分を
思い出しながら歌うような…。


そうそう!
「遠い思い出」ってメモに書いてる!
なにか嬉しさが
にじみ出てくるような演奏でしたね。


味があって好きな演奏でした。


お上品なご婦人方で、
発声のポイントが高かった印象です。
それも下から突き上げるんじゃなく、
上から回すような・・・。


自由曲:西村朗「はたち妻」
良い曲を良い演奏で聴かせてくれましたね。


やっぱり与謝野晶子の詩には
西村朗先生の激情が映えると思うんです。


ピアノも官能性たっぷりで!


「私たちが『はたち妻』なんて…」
みたいな言葉を見かけたんですけど、
血が通っているというか、
体温が伝わってくる良い演奏でした。


逆に若いと、この味は絶対出せないよね。
あの、セクハラと言われるかもしれないけど、
「ちょっとあまった肉の魅力」
…ってメモに書いてあって(笑)。


一同 セ・ク・ハ・ラー!!(笑)


曲のドラマ作りがしっかりしていましたよ。
骨格もそうだし、肉付きも良かった(笑)。


この年代になっても
こうやってちゃんと歌えるのは良いなあ。
私もこうやって歌いたいな!と思いました。


…と、20代前半女子が申しております。


一同 (笑)。



メール投票では

 

やさしさ、慈しみを感じました。
聞けてよかったと思える素敵な女性たちでした。


…という感想がありました。








HBC少年少女合唱団シニアクラス

(女声62名)


課題曲F3「麦藁帽子」
まさにそれをかぶっている本人たちが
歌っているような演奏でしたね。


自由曲のホルスト「Ave Maria」は好きでした。
彼女らの良い持ち味が出ていた演奏で。


初の金賞受賞、おめでとうございます!



ツイッターの投票では

 

HBC、揃ってますねー


…という感想がありました。


 

改めて観客賞・同声合唱部門の結果です。

 

第5位 VOCI BRILLANTI

第4位 La Pura Fuente

第3位 monosso

第2位 Men’s Vocal Ensemble“寺漢“


そしては…


合唱団お江戸コラリアーず


でした。


(観客賞座談会・同声合唱部門最終回 おわり
 次回からは混声合唱部門の座談会を)