観客賞スポットライト 大学ユース部門 最終回






今回は大学ユース部門の最終回!
大学合唱団3団体をご紹介します。

 

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岡山駅 ©岡山県観光連盟

 

 

1団体目は5年ぶりに出場のスマートな男声合唱団!

 

 


7.東京都・東京都代表

早稲田大学コール・フリューゲル 


https://twitter.com/chorfluegel

(男声26名・5年ぶりの出場・第55回大会から9回目の出場)



「フリューゲル」、ドイツ語で「翼」という名の、1949年に関屋晋先生らに創立された団体です。
5年前の鳥取全国大会では


高嶋みどり先生の「落下傘」を昔のグリー調から脱却した新しい音楽性と響きで、聴かせてくれたのが有難かったですね。


言葉の出し方が上手くて泣きそうになりました。


男声3団体の中では一番スマートな演奏に感じました。

……などという感想がありました。

 

 


団員の皆さんからメッセージをいただいております。

 


早稲田大学コール・フリューゲルです。
今回はこのような機会を頂きありがとうございます!

コール・フリューゲルは普段は清水敬一先生、清水昭先生、真下洋介先生に指導を受けていますが、今回のコンクールでは最も若手の真下先生に指揮していただきます。
今回全国大会が開催される岡山は真下先生が初めて全国大会にフリューゲルと出場したのと同じ会場とのことで、一同気合が入っています!

今回私たちが課題曲に選んだのは、M3 合唱のためのコンポジション第6番『男声合唱のためのコンポジション』から「Ⅰ」です。
日本民謡をもとにした曲でありながらとても緻密に計算されていて、パート同士の和音のはめ方やタイミングのずれに苦戦させられました。
モチーフとなっている岩手県の「南部稗搗唄」や「掻田打唄」への理解を深めながら、民謡特有の「間」の取り方と合唱曲としての楽譜への忠実さとを調和させた演奏をお届けします。

自由曲には、三宅悠太作曲の男声合唱とピアノのための『修司の海』より、「Ⅲ.海のない帆掛船/泣いたままの壁の絵」と「Ⅳ.サンゴ」を選びました。
この曲は弊団にとって、特に今年は縁深い曲となっています。
8月に行われた甍演奏会にて清水昭先生に、コンクールでは真下先生に、そして12月にある定期演奏会では清水敬一先生によってさらにと、三人の先生の指導を受けて歌わせていただきます。
同じ曲を三人の指揮者のもと歌うという特殊な状況にはなりましたが、それぞれの先生の解釈を交えつつ、より深く曲の事を理解できるような環境になっています。

特に重視したのは、曲の中の空気感を大切にすることです。
情景の移り変わりや感情の変化などをきめ細やかに表現することを目標に練習しました。
無機質に、風のように、少女然として、波打つように……様々な表現にご注目ください。

今回は5年ぶりの全国大会出場ということで前回とはまるっきり異なるメンバーでの出場となります。
フリューゲルらしさは保ちつつも、新しいメンバーでのサウンドをお楽しみください!

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団員の皆さん、ありがとうございました。
自由曲に選ばれた「修司の海」は早稲田大学グリークラブさんが委嘱された2019年の作品。
寺山修司の心象風景が三宅悠太先生の音楽で、団員さんが書かれるように「情景の移り変わりや感情の変化などをきめ細やか」に表現されています。

YouTubeでフリューゲルさんの東京都大会の演奏を聴かせていただきました。(フリューゲルさんは今回理事長賞を受賞)。
もちろん男声合唱らしく張る箇所では十分に張っているのですが、それ以上に語り口の優しさ、その場の感情だけではない全体を通した知性が感じられ。
「ああ、やはり『スマート』な男声合唱団なのだな」という思いを新たにしました。

5年前に、古典となりつつある「落下傘」を新しく聴かせてくれたように、今回の課題曲「男声合唱のためのコンポジション」もきっと新鮮な音楽の喜びを与えてくれるでしょうし。
そして3名の優れた指揮者が、それぞれの音楽から深めた「修司の海」。
都大会から格段に進化したであろうサウンドと音楽、本当に楽しみです!







男声合唱団が続きます。







8.兵庫県・関西支部代表

関西学院グリークラブ

https://twitter.com/Glee_Kwansei


(男声51名・12大会連続出場・第59回大会から14回目の出場
 第1回大会からは28回目の出場)


一昨年はこの全日本合唱コンクール第1回でも演奏されたDuhaupas「MESSE SOLENNELLE」を演奏。

 

一昨年の感想では

 


課題曲M2、始まりのトップテナーが美声。
実声とファルセットが自由自在。

自由曲「MESSE SOLENNELLE」より「Gloria」
伝統の良さに加えて新しさがあった。

中間部で前からの流れを感じ、
体を揺らし、音楽を感じて歌っている!

コンクールというより演奏会の1ステージな印象。

……という感想がありました。



今回の関西学院グリークラブさんの演奏曲は
課題曲M2 Preghiera(Giuseppe Torre 詩 Gioachino Rossini 曲)
自由曲「艫」「引き念佛」(「男声合唱のためのコンポジションIII」から)(間宮芳生 曲)
1963年作曲の男声合唱の古典とも言うべき名曲です。
「艪」は秋田のハタハタ漁の唄で、網の仕掛けまで船を出す「出船の艪押し」の掛け声と「網起こし」の仕事唄。
「引き念佛」は岩手の悪霊を鎮める鬼剣舞が元で、ササラや太鼓、刀など鳴り物の声態模写が特徴的。


団員さんからメッセージをいただいています。

 


関西学院グリークラブは例年外国語曲を選定してきました。
単純に音をきれいにはめるだけでなく、発音においても各パート、部員全員で統一することで「まるで声の大きい4人が歌っている」ようなサウンドを創り上げることができるのが弊部の特徴だと考えています。
ただ、昨年度は大学による規制でほとんど活動ができず、コンクールに向けて本格的に始動できたのは今年度になってからです。
ただ、コロナ禍を言い訳にせず、正々堂々自分たちの「今の実力」で勝負したいと考えています。

コロナ禍において、全国のいろんな団体は様々な規制がかかった活動を余儀なくされてきたと思います。
その中で、自分たちができる最大限の活動を継続し、何とかこの日までたどり着いたのではないでしょうか。
それは合唱コンクールのどの部門の団体にも言えることです。
特に学校の合唱団では昨年、コンクールで歌うことが叶わないまま引退した人たちがいます。
その方々の分も今年岡山で演奏したいと考えています。

関西学院グリークラブのサウンドは「関学トーン」と呼ばれます。
それは、これまでの先輩方が残してくださった伝統が脈々と受け継がれているからです。
ただ、その音色は毎年少しずつ違います。
日々進化し続ける関西学院グリークラブの「第122代のサウンド」をお楽しみください。

 

 

団員さん、ありがとうございました。

過去にDuhaupas、そして多田武彦先生の古典の名曲を選び、話題を呼んだ関学グリーさん。
その音楽やサウンドは団員さんが語られるように、良き伝統を受け継ぎながらも、現代の風を感じさせます。
10年連続金賞受賞の実力で、今回も古典から新たな魅力を引き出した演奏をしてくれることでしょう。







大学ユース部門最後の団体です。
連続11年金賞受賞、そして観客賞では上位常連の混声合唱団!


 

 



9.山梨県・関東支部代表

都留文科大学合唱団


(混声64名・13大会連続出場・第51回から14回目の出場)

 



都留文さん、団員数を減らす団体がほとんどの中、前回の48名から64名と大きく増えたのは驚きます。
一昨年の感想では

 


48人中、男声が8人、本当にあの男女比なのか?と思わせるほど男声が鳴ってた。
女声ももちろん素晴らしく、特にアルトの声が熟成されてて本当に大学生か?ってなった(褒

テノールとアルトを合わせた響きなど海外の合唱団を思わせるサウンドでした。

歌声に合唱の美しさが全て詰まっていた。

……などと大変好評でした。


課題曲G3、そして自由曲にJake Runestad作曲「Let My Love Be Heard」。
かすかな哀しみと美しさ、緻密な響き。
さらにBrian Edward Galante作曲「Exsultate」、こちらは激しさもあり、壮大に喜びを歌う曲想。
この全国大会で演奏がおそらく初めての作曲家なのも興味が湧いてしまいます。

団員さんからメッセージをいただいています。

 


こんにちは!
都留文科大学合唱団です。
今年もこのような機会をありがとうございます。

58年の歴史を持つ幣団は、自然に囲まれた山梨県都留市で、顧問・常任指揮者の清水雅彦先生のもと、精力的に活動しています。

今年の自由曲は、テロ、戦争、災害、そしてコロナウイルス⋯、世界中で辛く苦しい思いをされている多くの方々への平和,平穏を祈る思い込めてお届けいたします。

山梨県は全国的に見ると感染者が少ない方であり、だからこそ私たちも感染者数をゼロに抑えたい意識が強く、行動の制限と自由の間で悩む、厳しい日々が続いていました。
本来であれば最も合唱漬けになれる8月から10月までは対面練習が全く叶いませんでしたが、関東大会では山梨県合唱連盟さまをはじめとした多くの方々のご協力のもと、ギリギリでの決定にも関わらず温かいご支援のもと出場することが叶いました。
改めて、感謝の思いでいっぱいです。

制限がある中、諦めずに暗中模索し、オンラインで筋トレや体幹といった体づくりや、歌詞及び曲の解釈をして対面練習に備えて参りました。
団員と実際に声を合わせることが出来ない日々は、もどかしく、悔しい気持ちの繰り返しでしたが、だからこそ今年は歌えることの喜びや楽しさ、そしてその環境を与えてくださっている方々への感謝の気持ちでいっぱいです。

世界中の人々への平和,平穏を祈る気持ちを文大サウンドにのせてお届けします。
ぜひ、私たちの演奏をお楽しみください!

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関東大会後の写真ということです。


団員さん、ありがとうございました。

自由曲Jake Runestad作曲「Let My Love Be Heard」はパナムジカサイトによると
「パリ同時多発テロ事件で犠牲になったアメリカ人大学生を追悼するコンサートで演奏されたことから、深い哀悼の意味を含んだ音楽として知られるようになりました。大きな哀しみと嘆き、混迷する暗い世界に一条の光が射してくる…絶望の中にも希望を胸に秘めた音楽は、多くの人の心を揺さぶることでしょう。」

 

 

「今年の自由曲は、テロ、戦争、災害、そしてコロナウイルス⋯、世界中で辛く苦しい思いをされている多くの方々への平和,平穏を祈る思い込めてお届けいたします。」

「大きな哀しみと嘆き、混迷する暗い世界に一条の光が射してくる」

大学ユース部門最後の出演。

このコロナ禍、都留文さんの演奏が心に射す一条の光になることを願って。



(明日からの室内合唱部門のご紹介に続きます)