結城神社(津市)
提供:三重フォトギャラリー
今回から24人以下の室内合唱部門の座談会を。
まず第5位の団体から。
第5位
東北支部代表・福島県
花凜歌
(混声24名)
文吾(以下、文)
課題曲G2、伸びやかに歌いながらも
語頭、語尾のニュアンスは
こだわってやっていたなあという印象です。
C この団体は凄く声楽的だと思いました。
リートを聴いているような感じのフレーズで。
指揮者の上村誠一先生が
全日本学生音楽コンクールで
全国第1位を受賞するような声楽家、
というのもあるかと。
B もともと重唱のために
作曲された作品なんだけど
スタッカートなど合唱では難しい、
重唱寄りのアプローチが効果的でした。
とてもこなれている演奏。
C そう、合唱ではやらないような
表現を工夫していたね。
文 なるほど、最初に言った
「伸びやか」という印象は
声楽的に歌いフレージングを
考えていたからこそなんでしょうかね。
C だと思いますよ。
ちなみに上村先生は
テノールからカウンターテナーに
転向された方なんですよね。
文 へぇ~!
自由曲の1曲目
佐藤賢太郎「前へ」は
いくらでも感情を込められる作品だけど
最初は抑えめで。
A でも、徐々に思いが湧き上がってくる。
さらに長いフレーズの処理が
本当に素晴らしくて。
ベースの跳躍なんかも上手かった!
文 彼らの歌という感じが
とても伝わってきました。
B コンクール向きじゃ無い曲を
コンクール曲として整えて。
かつ、あったかい表現で
感動的に歌っていました。
A そうですね!
心に深く響いてくるものが。
この曲は東日本大震災後の
「歌おうNIPPON」プロジェクトの
1曲ですよね。
この作品を、東北の合唱団が
こんな風に聴かせられるように
なったんだなぁと
非常に感慨深いものがありました。
文 2曲目の三善晃「地球へのピクニック」も
若い感性を活かした演奏で。
B どちらかというとワーッと
勢いで演奏しがちなところを
ちゃんと冷静に、だけど心は熱く。
詩に対し深い共感を持って
歌っていましたね。
24人で「地球へのピクニック」を
余裕綽々で演奏する
団体が出てきたとは!
A 作品の解像度が高かったですよね。
ラストはちょっと綻びもあったけど
でもあそこまで歌えるのは凄い!
C 音程が正確だったのも良かったですね。
文 個人的にこの曲の好きポイントが
「涼しい風に吹かれよう 」の「し」!
《 i 》母音で高音域という難所。
それをちゃんと「涼しい」という
言葉のニュアンスでやってくれたので
思わずプログラムに◎!(笑)
B そうそう、あそこは「涼しい」声だった!
でもその前は
あったかい表現を出来ているのが
ちょっと不思議というか
若い団体なのになかなかやるね、
みたいな感じもありました(笑)。
文 全体に飾らず、足りないところも
取りつくろわない印象なんです。
そこに惹かれました。
B 上村先生が留学のため
5年間の休止ということだけど・・・。
文 そういう事情もあって
この全国大会の場を
帰ってくる「ここ」にしようとする
強い思いが伝わった気も。
もちろん上村先生には求心力を感じたけど
指揮者に盲信的ではなく
仲間たちが集っている良い雰囲気があって。
5年後の復活を楽しみに待ちたいですね。
B 「お帰りなさい」を言いたいよね。
上村先生、もっともっと
大きく羽ばたいて欲しいな!
メール、ツイッターの感想です。
女声のクオリティが高かった
課題曲のノリ方が好きだった。
サウンドが若くて、でも粗がない、上質。雰囲気も大好き。そして泣いた泣いた泣いた…
自由曲の選曲もよかったですし、歌声が素晴らしかったです✨
シューマンのハッチャケた歌い口、心が揺さぶられた自由曲。大人の合唱団です。
颯爽の言葉そのものの課題曲。
細部まで緻密に作りながら情感も出せる技術と心のある歌声で自由曲2曲
めっちゃ良い!落ち着いて、無理なく、基礎技術がめちゃくちゃ高い人がめっちゃいるんだろうな。創団6年目で初の全国大会とのこと。もう来年演奏会行きたいこれは行きたい。
テノールの声の柔らかさに惚れた。からの神曲地ピク!
ブラーボ。最高に好きな演奏だった。少しだけテノールが弱かった?というか人数が少ないのかな?バスすごい鳴ってたから相対的にかな。いやでもよかった。ただただ心地よい好き。
花凜歌さん、色々感想はあるんだけど…… ベ ー ス 上 手 す ぎ
男声衣装が岩盤浴の館内着みたいで好き🤣
シューマン、歌もいいけどピアノが素晴らしい
自由曲はシューマンと180度違う曲で演奏会ではありえない進行が何だか面白い
指揮者の好みもあるだろうけどやっぱり日本語の作品を演奏する方がイキイキしてる、男声とても上手。好演!
花凜歌がんばえ!!!
全国大会で「前へ」の破壊力がすごすぎる
最高でした
同率第3位の2団体、出演順に。
熊本県・九州支部代表
合唱団みなまた
(混声22名)
文 課題曲「草原の別れ」、
これは・・・
「もう会えない友を思い出している」!
A Raw-Oreさんの「またあした!」と
全然違ったね(笑)。
文 もちろんRaw-Oreさんも良かったんだけど
この「二度と会えない友」という感じが
おっさんには胸を締め付けられましたね。
A まあズルいですよね!
BC文 (笑)
A あの年代の方たちに
あんな歌を歌われたら、
そりゃ涙腺を刺激されますって!
B 団員さんたちの人生が、
まさしく歌に出ていたなと。
ひとつひとつの単語じゃ無く、
ちゃんと言葉として聞こえてくる。
シンプルに歌っているんだけど、
滲み出てくるものがある。
C そう、朴訥さと言うか。
打ち上げ花火みたいな
瞬発的な感情じゃ無く
生きてきた長い心の在りようが
自然に語られている気がしたんだな。
だから、大学ユースの感想で
「等身大」と出たけど
別の意味でみなまたさんも凄く
「等身大の表現」。
B 生きてきた日常が歌からあふれて。
シンプルだけど味がありました。
C マッチョでゴリゴリじゃない。
自分を大きくしない
あの人たちの「等身大」。
文 一生懸命生きてきた人の
節くれ立ち、
シワがある手を差し出されて。
「……黙って手を握るしかないじゃん!」
C そうだね、手を握り、
受け入れる・・・。
もう未来を切り開く、ではなく
人生を受け入れる感が。
文 歌を聴いたと言うよりは
みなまたさんの人生を感じたような。
自由曲:信長貴富「春に」は?
A 何回も出てくる
「きみに
贈りたい風景がある」
このワンフレーズにね、
もう、本当に泣かされてしまって……。
文 そうですね・・・。
A みなまたさんがどれだけ
こだわったかはわかりませんが。
今日、20団体聴いた中で
あのフレーズが最高の瞬間だったと。
文 言葉がすべてわかりましたね。
信長さんの作品って
ここまで言葉がわかる作風だったかな?と
思ったけど、みなまたさんが凄いんだな。
A いや、言葉がわかりやすいから、
メロディがわかりやすいからじゃ無いんだ。
この方々の伝える力が凄いんだ!
BC文 そうだ!
A 松下耕先生が
ある合唱団にコメントした言葉で
「素晴らしい!
音程も正確。
ハーモニーも合ってる。
強弱もぜんぶ出来てる!
……でも音楽って
それだけじゃ無いですよね?」
BC文 ……ふっふふふ(苦笑混じりに)
A みなまたさんの演奏は
正直に言うとコンクール的には
傷があるんです。
でも松下先生が仰った音楽の
「それだけじゃ無い」ものが確かにある。
文 課題曲が「別れ」の過去で
自由曲が「その先 はるかかなた」、
つまり未来でしょ。
過去と未来、その対比の選曲がね。
だから「遙か」のような言葉にも
豊潤なイメージを感じられたのかも。
B 言っておきたいのは
「聴かせるために」みなまたさんが
どうこうしているんじゃない。
本当に自然にそれが出来ているということ。
指揮者がやりなさい、じゃなく
たとえ指揮者がいなくても
そういう風に歌えてしまう自然さ。
それぐらいの歌になっていましたね。
文 観客賞でみなまたさんへの感想を読んで。
自分は団員さんとのやり取りで
選曲の意味などを知っていたけど。
それを全く知らない人たちにも
ここまで深く伝わるものなんだなぁって。
歌って、合唱って、
自分が思う以上に凄いのかも?
最初の一音から泣いて
最後まで泣きっぱなし。
マスクが濡れて困ってしまったので
マスク代を請求したい(笑)。
ABC ケチくさい!(笑)
文 あと、38年ぶりの出場でしたが
次回はもっと早くにお願いしたい!
B 次回も38年ぶりだったら
この座談会メンバーみんないないよ(笑)。
文 じゃあ来年ですね!(笑)
いやぁ、良い体験をさせていただきました。
出ていただいて本当に感謝です。
メール、ツイッターの感想です。
日本語の響きがとても美しい。
「草原の別れ」も年輪を感じる味わい深さ!
課題曲、自由曲ともに今この音色で歌うことで心を震わせる演奏。
あるべき社会人合唱団の音色、そして歌心。素晴らしい!
声のバランスが良く胸に沁みました。
九州大会の演奏、素晴らしく、感動しました
今日は、力みからか、緊張が伝わってきましたが、歌う喜びに溢れた演奏でした。
このような演奏が全国大会でどんどん増えてほしいと思います。
この年代でこその音色、演奏が自課ともにはまり涙
円熟の声でしか表現できない大中恩があった。からのこの自由曲!こんなん泣かずに聞けるわけないよ。
年輪を重ねたこの年代にしか出せない音でこのG3、そして「春に」
自由曲は色々と心にくるものがあってボロボロ泣きながら聴いてた…
課題曲のはじめの方の歌詞の「空」からずっと想像力を掻き立てる歌で、素敵な時間を過ごさせてもらったなあと感慨深かったです。
好きなタイプの合唱団だ〜〜ー
課題曲も自由曲も言葉を自分ごとにしてる感じがあって味わい深くて最高!いい曲!!!
この年代で、長く共に歌い続けてきた仲間とじゃないとできない演奏
かつて見てきたであろう景色を想起させるようで、目頭が熱くなった
合唱団みなまたさん、団体名でも「さん」って付けたくなる位、歌声だけで敬意を示したくなるアンサンブル。
日本語の歌い方、処理、色が小手先では辿り着けない歴史を感じさせてくれる
こういう団体が全国大会に出場してくれるのはどこか希望なのではと感じる。