観客賞バックステージ 室内合唱の部 その1

 

 

(棚田・田園風景 小千谷市)

 

昨日までは大学ユース部門へ出場の団体をご紹介していました。
今回から24名以下の室内合唱部門をご紹介します。
 
毎回同じことを書きますが・・・大学ユースのみなさん、そりゃ演奏が終わって新潟ラーメンやイタリアンを堪能したい気持ちもわかります!

 

しかし室内合唱部門は人数が少なめなため、個々の「これがやりたいんだ!」という想いが強く伝わってくる部門です。
選曲や年代の幅広さを感じたり、社会人になっても合唱を続けることの喜びが伝わる団体もあったりするので、大学ユースのみなさんにもぜひ聴いて欲しいんです。
演奏から、続けることの意味と強さを感じて欲しいと思うんですよ。
 

 
今年の全国大会は新潟県新潟市!
11月25日(土)、26日(日)に行われます。
ちなみに新潟県新潟市での全国大会、大学職場一般の部は2005年(平成17年)以来、18年振り。 

 

全国大会の会場は新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」。

 
 
13:45から室内合唱部門の開始。
はじめましての団体が2団体。
ちょっとお久しぶり、常連さんが計11団体揃いました。
 
 
最初の団体は、はるばる沖縄から4年ぶりに出場されたこちらの団体です!
 
1.沖縄県・九州支部代表
 合唱団「い~すたん」

https://www.facebook.com/Chorus.EASTERN/

https://twitter.com/easternokinawa

(混声・4年ぶりの出場・第71回大会から3回目の出場)
 
4年前は課題曲G3、自由曲に信長貴富「言葉」、三善晃「若さのイメージ」を選ばれ、熱く生命力ある声で作曲家の違う邦人作品を見事に歌い切った「い~すたん」さん。
 
今回の演奏曲は
課題曲
G3 水上(「三つの無伴奏混声合唱曲」から) 北原白秋 詩 柴田南雄 曲
 
自由曲
無伴奏混声合唱のために「廃墟から」より
「第三章 葬送のウムイ」
(沖縄の伝承詩 作曲:信長貴富)        
無伴奏混声合唱のための「なんと なんと なんしょ」より
「とほせんぼ」
(作曲:瑞慶覧尚子)                
 
ここで大学ユースでは演奏されなかった課題曲G3「水上」が初めて登場。
自由曲の「ウムイ」は「神歌」とも呼ばれ、沖縄の神事、葬儀の際に歌われる供養歌。
沖縄の合唱団が演奏されることに意味を感じてしまいます。
「とほせんぼ」は熊本・水俣出身の詩人:淵上毛銭の言葉による問答合戦。
奥深い響きのヴォカリーズから楽しくリズミカルな(しかし難易度高し!)旋律のやり取り。
 
昨年結成20年、今年の11月4日にはAutumn Concertを開催されたばかりの「い~すたん」さん。

 
4年前と同じように無伴奏の邦人作品3曲、またそれぞれ作品の真髄に至るような「い~すたん」さんの熱い演奏を期待しております!
 
 
続いては昨年初出場で人気を得た女声合唱団。
 
 
2.愛知県・中部支部代表
エシュコル
(女声・2年連続出場)
 
金城学院中学校高等学校グリークラブOG会「エシュコル」を母体に、1997年8月、有志により、「卒業しても歌い続けたい」との思いから結成。
「ぶどう」のヘブライ語「エシュコル」が団名由来のエシュコルさん。
昨年は課題曲F1「Quam pulchra es」を安定感あり、華やかな声で歌い。
自由曲は木下牧子「あけぼの」「春は来ぬ」を演奏し、それぞれハーモニーの移り変わりと、身体に入れたリズムと貫くフレーズの説得力。
初出場19名にして、室内合唱部門らしく団員さん個々の力を発揮していただきました。
 
エシュコルさんの今年の演奏曲は
課題曲
F2 Sanctus(「Messe à trois voix」から) André Caplet 曲
 
自由曲
淵上毛錢の詩による女声合唱組曲「約束」より
「無門」
「野原」
「暮情」
「再生」
(詩:淵上毛銭 作曲:瑞慶覧尚子)
 
病床から旺盛に詩を創り、生と死の狭間でも生きたいと願う思いを綴り、35歳の若さで亡くなった淵上毛錢。
コンクールではピアノが入る最終曲「約束」が演奏されることが多いのですが、エシュコルさんは無伴奏の最初の4曲。
風や雲や雀、そして野菊から自身の生を見つめる毛錢の姿が浮かぶようです。
 
エシュコルさんは昨年12月には小原恒久先生の指揮、YouTubeでクリスマスコンサートを配信。
今年3月福島での声楽アンサンブルコンテストでも素敵な演奏をされていました。
今回もチャーミングな演奏の奥から、確かな実力と作品の本質を伝えていただけると期待しております。
 
 
 
続いては作品の心情に迫った演奏が話題を呼んだ団体!
 
 
3.千葉県・関東支部代表
AF合唱団

https://twitter.com/af_gasshodan

(混声・2年連続出場)


2019年設立のAF合唱団さん。
団名は「Artistic and Fantastic」の頭文字から取っており、芸術的な素晴らしい音楽を生み出そうという思いなどから名付けられたそう。
昨年の自由曲:小林秀雄「I.爽やかな五月に」「II.さびしき野辺」は優れた発語と共に、情感と情景が伝わる演奏と評判を呼びました。
指揮の石橋遼太郎先生、そして団員さんも20代後半が中心ということで、まさに「いま」の若者の等身大の恋愛、ナイーブさが実に良く表れた演奏でした。
 
AF合唱団さんの今回の演奏曲は
課題曲
G2 Les fleurs et les arbres(「Deux choeurs」から)
Camille Saint-Saëns 詩曲
 
自由曲
無伴奏混声合唱曲集「四つのソネット」より
「2.溢れひたす闇に」
「3.浅き春に寄せて」
(詩:立原道造 作曲:信長貴富)

立原道造のソネット(14行詩)からの曲集。
信長先生によると、作曲の欲求としては大きく分けて「映像的な音響への指向と、歌謡性を重視する指向」があり、今回AF合唱団さんが選ばれた2曲は「歌謡性」が特徴付けられるものとか。
信長先生らしい人の声を活かした音響と、自然描写とともに、恋を失った人物が生き方や在り方について苦悩する、現代にも通じる繊細な心情が伝わってくる作品です。
昨年の「優しき歌」の名演を思い出すに、今回もAF合唱団さん等身大の「いま」の想いをステージに表出していただけるのでは、と期待が高まります。

 
(※次回に続きます)