観客賞の発表

 

 

 

ブログでの発表が大変遅くなり申し訳ありません。

みなさまからご投票いただいた
第69回全日本合唱コンクール全国大会の
観客賞の発表です。

 


まず大学ユース部門


第5位

早稲田大学コール・フリューゲル


第4位

北海道大学合唱団


第3位

関西学院グリークラブ


第2位

都留文科大学合唱団



そして第1位!

 

 


混声合唱団 名古屋大学コール・グランツェ

 

 



続いて室内合唱部門


第4位

マルベリー・チェンバークワイア

倉敷少年少女合唱団

 



第2位

アンサンブルVine

女声合唱団ソレイユ

✳︎ツイッターではVineさんは第3位と発表しましたが、集計間違いでソレイユさんと同率の第2位と判明しました。

申し訳ありません。

 



そして第1位!

 

 



合唱団まい

 

 

 

 




続いて同声合唱部門




第5位

La Pura Fuente

 


第4位

 

monosso



第3位

お江戸コラリアーず

 

 


第2位

インターカレッジ男声合唱団Voces Veritas



そして第1位!

 

 


HIKARI BRILLANTE

 

 

 

 

 

 

続いて混声合唱部門

 

 


第5位

 

淀川混声合唱団

 

ヴォーカルアンサンブル《EST》

 

 

 

 

第4位

 

CANTUS ANIMAE

 

 

 

第3位

 

VOCE ARMONICA

 

 

 

第2位

 

MODOKI

 

 

 

 

そして第1位!

 

 

 

 

Combinir di Corista

 

 

 

 

 

 

 

 



【観客大賞発表】

 

全50団体の中選ばれた1団体は

 

 

 

 

合唱団まい

 

 

 

 

でした!

 

 

演奏されたみなさま、

そして投票して下さったみなさま、

本当にありがとうございました。

 

ただいま観客賞の座談会を編集中ですので

今しばらくお待ちください。

 

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観客賞スポットライト最終回 混声部門 その3




この「観客賞スポットライト」も今日で最終回!


鳥取市の天気予報を。

 

 

 

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金曜は晴のち時々曇、
土曜は曇時々雨で降水確率が90%!
日曜は曇り、
月曜は曇り時々晴れ、

・・・だそうです。
土曜から鳥取入りされる方は傘が必須ですね!
気温は金曜だけ最低気温が5度ですが
他の日は最低10度から20度くらいまで上がる
暖かい日が続くようです。




さて、最終回ということで改めて観客賞のご投票について。


参加資格:「大学ユース部門」「室内合唱部門」
     「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
      それぞれ全団体を聴いていること。
      (その部門の出演者は投票できません)



投票方法は2つあります。


1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
「大学ユース部門」「室内合唱部門」
「同声合唱部門」「混声合唱部門」なら
それぞれハッシュタグ 

#大学ユース16 
#室内合唱16
#同声合唱16
#混声合唱16

を付けて
<19日>それぞれの部の終演から
審査発表の17:15まで
良かった2団体を書いてツイート。

<20日>それぞれの部の終演から
審査発表の19:30まで
良かった2団体を書いてツイート。

その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
(3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※室内合唱と混声合唱部門は
投票時間が短いので注意!


※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします!






ツイート投票の例:

 


●●大学合唱団 熱い演奏に燃えました!
合唱団▲▲ 密なアンサンブルと笑顔が良かったです。
#大学ユース16

 

 



ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。


いかがでしょうか?

さらに「観客大賞」という
「大学ユース部門」「室内合唱部門」
「同声合唱部門」「混声合唱の部」の
全50団体を聴かれた方が
良かったと思われる団体を『1団体』投票する賞もあります。

こちらも混声合唱の部終演(予定18:37)から
審査発表が始まる前の19:30まで
全50団体で良かった1団体を投票してください。

タグは #観客大賞16 で!


みなさまの投票で決定する観客賞。
よろしくお願いいたします!!



さあ、18分の休憩後、
17:15から混声合唱部門最後の6団体です。







今回のスポットライト。
3年ぶりの、これまた実力団体!




 

 

 

 


13.三重県・中部支部代表

Vocal Enesemble《EST》


(40名・3年ぶりの出場・第54大会以来12回目の出場)


 


えええ、ESTさん3年ぶりの出場なんですか?!
宝塚国際室内合唱コンクールに毎年出場されて
しかも良い成績を収められているので
お久しぶりという感じがしません。



ESTさん、今年の課題曲は
G1 Che se tu se'il cor mio 
(Giovanni Battista Guarini 詩/Claudio Monteverdi 曲)

そして自由曲はAlfred Schnittke
「Choir Concerto(合唱協奏曲)」より 第2楽章



おお、GWHさんに続いてロシアの作曲家シュニトケ!
しかも名曲の誉れ高い合唱協奏曲とは!


団員のNodaさんからメッセージをいただきました。
 

 

 三重県のヴォーカルアンサンブル《EST》です。
中部支部の混声合唱部門はなかなかの激戦で、
3年ぶりの全国大会出場になります。

今年のコンクールは一言で言うと「人数への挑戦」です。
課題曲はG1のモンテヴェルディのマドリガルですが、
この曲はご存じの通り1パート1人~数人の
少人数アンサンブルのための曲です。
それを40人という多人数で演奏するのですが、
目指すのは各パートがあたかも一人のようにまとまりながら、
自発性を失わない歌心のある演奏です。
目標は高いですが、
妖精アマリッリの愛の苦悩を表現できればと思います。

自由曲はシュニトケの合唱協奏曲の第Ⅱ楽章を選びました。
指揮者向井が以前からやりたいと思っていた曲なのですが、
音源を聴いて団員も気に入り今回選曲することとなりました。
しかしこの曲は京都エコーや新日鐵住金合唱団・
東工大コールクライネスなど、
もっぱら大規模合唱団がコンクールで演奏してきました。
最大17部に分かれ、重厚なハーモニーが求められるこの曲は
やはり大合唱団向きなのかもしれません。
私たちも一度は40人では無理かもしれないとあきらめかけました。
しかし《EST》は声の迫力で勝負するのではなく
音楽の緻密さで勝負し、
《EST》ならではの合唱協奏曲になればと思い直しました。
今度は40人という少人数での挑戦です。
ロシアの重厚なハーモニーと
絡み合う祈りの強さを表現できればと思います。  

 

 
Nodaさん、ありがとうございました。
「人数への挑戦」というテーマが
海外へのコンクール参加や
作曲家への委嘱活動を盛んに行われる
ESTさんのチャレンジ精神に重なりました。
志の高い団ですね!



3年前の全国大会、
ウィテカーの「アレルヤ」を演奏し、
ESTさんは金賞2位を受賞。
さらに当ブログの観客賞も2位を受賞。


MODOKI指揮者山本さんとの
その時の対談を抜粋しましょう。




山本 ウチの団員、呆れてたもん、上手すぎて。


そうそう(笑)。
山本さんの隣の女性団員さん2人と私が
ESTさんの演奏が終わった瞬間


山本 「ふーーーッ…」って大きなため息してね(笑)。


いやあ、あのウィテカーは凄まじかったですよ。
声が眼前まで迫って圧倒されて。
もう限界だろう…と思ったらさらに何度も何度もそれを越えて。
ホールの天井が壊れないか心配したくらい(笑)。


山本 うん、今回の仕上がりは凄かった。
   ESTさんとウィテカーの組み合わせはモノスゴイものがある。


そういえばESTさんは
昨年全国大会に出場できなかったんですよね。


山本 そう。
   昨年出場できなかった、
   失った時間を取り返したいという気持ちもあるだろうし。
   志の高さを感じたね。

   あのウィテカーを聴きながら
   「刺されそう…」と思ったよ、ちょっとだけね。


刺されそう?!


山本 なんか気合と言うか気迫と言うか・・・。


ああ、わかる気がします!
今まで聴いたESTさんの演奏の中でベストですね、私には。


山本 本当に素晴らしかった。
   言うこと無いんじゃないかな、自由曲は。

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2013/12/28/110426


 

 

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(定期演奏会の際に、ステージで魚眼レンズで撮影されたものだそうです)

 

 


シュニトケの合唱協奏曲は発声もそうですが
表現力の強さ、幅広さが求められる作品。
しかし、ESTさんならその心配は無用でしょう。


久しぶりの全国大会、
3年前よりさらに気持ちと気合が入った
ESTさんの演奏を期待しております!



 




続いて北海道から母体の高校合唱団も実力あるこの団体。



 

 

 




14.北海道・北海道支部代表

Baum

(58名・3年連続出場・第64回大会以来5回目の出場)

 



Baumさんは2009年に札幌で創立。
指揮は同声部門で出場の
HBC少年少女合唱団シニアクラスも指揮される
大木秀一先生。
大木先生は札幌の名門合唱部、
札幌旭丘高校の指揮者もされています。

Baumの団員さんは大木先生のもとに集まった人たちで
完全な札幌旭丘高OB合唱団というわけでは無いそうです。
団名のBaumはドイツ語で「木」の意味。
大「木」先生を
慕い集まって作られたことによる団名なのでしょうか。



Baumさんの今年の課題曲は
G1 Che se tu se'il cor mio 

自由曲はPärt Uusberg
「Ave Maria」

Ryan Cayabyab
「Aba Po, Santa Mariang Reyn」
(慈しみ深き、天の女王よ)

1986年生まれのエストニアの作曲家ウースベルクの
優しい曲想の「Ave Maria」。
この作曲家の「Ilus Ta Ei Ole」を
Baumさんは2年前に全国大会で演奏されています。
そしてフィリピンの作曲家カヤビャブの
「慈しみ深き、天の女王よ」!

この作品は4年前の全国大会、
旭丘高校合唱部が演奏し、
北海道の高校B団体として初めての金賞、
しかも1位の文部科学大臣賞を受賞した曲です!

静謐で美しい音楽からマリアへの強い気持ちが湧き上がります。

高校生の時にこの曲を演奏した団員さんも多いのでしょう。
学生時代思い出の栄光の曲、素敵ですね!








続いて混声合唱部門、最大人数のこの団体。

 









15.大阪府・関西支部代表

淀川混声合唱団

https://sites.google.com/site/yodokon/
(88名・6年連続出場・57回大会以来10回目の出場)



 


比較的大人数なのに透き通った音の合唱団から
文句なし大人数で透き通った音から迫力ある音まで
質実剛健な合唱団!…に成長された、通称よどこんさん。

記念すべき10回目の全国出場。
課題曲はG2 Szép könyörgés 
(Balassi Bálint 詩/Kodály Zoltán 曲)

自由曲はJózsef Karai
「Stabat Mater(悲しみの聖母)」

昨年は同じカライの「深き淵より」を演奏。


観客賞座談会では

【自由曲:カライ「De profundis(深き淵より)】

引き込まれました! 良かった!の声が次々と。


課題曲と自由曲、
全然違う世界をどっちもあれだけやれるワザは…。


ワザ(笑)。
緻密な計算と確かな実力があるんでしょうね。
どちらも的確な表現でした。


カライは揺るぎない世界!


自由曲も1曲を通した構成、盛り上がりが
周到に計算されている印象。
美しい和音に個々人の表現が乗る演奏や
多彩な表情変化はとても良かったです。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/13/232849



今年の「悲しみの聖母」も昨年に負けず劣らず
緊張感と集中力、
そして表現する力が必要とされる曲。
しかし、指揮者:伊東恵司さんの作品を見通す視点と
よどこんさんの演奏力があれば、
きっと良い演奏を聴かせて下さると思います!

 






続いて九州から「言葉の魔術師」が率いるこの団体。

 

 

 

 






16.福岡県・九州支部代表

混声合唱団 うたうたい


(45名・第66回大会以来4年連続出場)

 

 



昨年はチューブラベル、手拍子に掛け声と
楽しい千原英喜作品を聴かせて下さった
混声合唱団うたうたいさん。



【課題曲:間宮芳生「知覧節」】
の評判も良く。

ああいう風に自分たちもやりたかった!

民謡っぽさと和声を一番両立していた演奏でした。


…などという声もありました。



「高嶋節」とも言われる日本語の扱いに長けた
高嶋昌二先生が指揮者の団体です。
福岡の「らくうた」という合唱団の
第2期で集まった人たちを中心に結成された団体。



うたうたいさん今年の課題曲は
G3 むらさきの(「Little by Little」から) 
(吉行理恵 詩/池辺晋一郎 曲)

自由曲は信長貴富
無伴奏混声合唱のための「ルバイヤート」
- 中世ペルシア四行詩集 -より
「光の矢」
「時の小鳥」
「春は逝く」



中世ペルシアを代表する詩人、
オマル・ハイヤームの4行詩集
「ルバイヤート」(竹友藻風による邦訳)を
テキストとする無伴奏混声合唱のための組曲。
原詩の世界を思わせる旋法的な響きと
ロマン和声が織りなす音像が印象的に響く。
作曲者はオーソドックスな語法の範疇で
ア・カペラの多様性を試みた。
アンサンブルの形態は様々に変化し、
器楽的な面白さに富んだ作品。
http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=544850

 


3曲ともそれぞれ個性があり、
「器楽的な面白さ」
という言葉に納得がいく作品です。

言葉を大切にし、歌心もあるうたうたいさん。
課題曲を含め魅力的に4曲を演奏して下さることでしょう。








続いては今回のスポットライトPart2。
同じ九州から昨年のチャンピオン!


 

 

 

 





17.佐賀県・九州支部代表

 

MODOKI

 

http://www3.hp-ez.com/hp/modokiss/page1
(59名・3年連続の出場・第50回大会以来18回目の出場)





昨年、金賞、そして文部科学大臣賞を受賞。
さらに優れた邦人作品の演奏に与えられるカワイ賞も受賞。

当ブログの観客賞では混声部門でCAさんと並び1位。
そして全50団体の中から選ばれる観客大賞を受賞。



昨年の座談会の感想では

【自由曲:三善晃「嫁ぐ娘に」より
 「戦いの日日」「かどで」】


1曲目はいつものMODOKI。
集中力のある悲しみや絶望を表して。
…そこからの「かどで」ですよね。


そう! あのギャップ、振り幅が・・・。


「さようなら」の言葉ひとつひとつに
説得力がありましたね。


娘いる人、聴いて全員泣いたと思う。


これが聴きたくて来た感じ。
全国で聴けて良かったです。


こういう演奏を全国で聴けるという
楽しみがありますよね。
わざわざ長崎まで来て良かった、という。


ここまで感動する「嫁ぐ娘に」は
そうそう聴けないかと。
本当に素晴らしい演奏でした。


何も言うことはないですね。
ただただ、泣いていました・・・。


自由曲の「戦いの日日」は
ソリストに代表されるように
男声の見事な表現が絶望を描き。
そして「かどで」。
やわらかくあたたかな音に言葉が包まれ、
胸を打ちます。
ステージが真空になったように
客席の意識がすうっ…と吸い込まれていくのが
目に見えるようでした。
想いのこもった、
繰り返される「さようなら」に目が潤み。
そして愛や平和というものを音にすれば
こういう音になるのでは、と思わせる
最後のフォルテッシモの長和音。
ほほえむ女性の横顔がステージに浮かび、
徐々に遠ざかっていくような、
そんな幻視がありました。

時が経って。
長崎の全国大会で聴いた
MODOKIの「嫁ぐ娘」は素晴らしかった!
そう、後々まで語られるほどの演奏だったと思います。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/22/172924



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MODOKIさん今年の課題曲は
G3 むらさきの(「Little by Little」から) 

そして自由曲はSamuel Barber
「Agnus Dei」



おお~、弦楽のためのアダージョ Op.11から合唱編曲された名曲。
多くの映画やドラマなどに使われたので
ご存知の方も多いでしょう。
14年ぶりにコンクールへ参加される松下耕先生が
2002年にGaia Philharmonic Choirさんで
この曲を指揮されて文部科学大臣賞を受賞し、
そのままコンクールを引退されたことも記憶に残っています。


MODOKI指揮者の山本啓之さんに
10月15日に岐阜で行われた
CANTUS ANIMAE+MODOKI ジョイントコンサート終演後に
お話を伺いました。





お疲れさまです!
こんな凄い演奏会の一月後に全国大会なんですよね…。




「ねえ? ・・・どうしよう」



どうしようって(笑)。
えー、まず選曲からお話を。
課題曲はG3の「むらさきの」
MODOKIさんが池辺晋一郎先生の作品は意外のような。



「サウンドや言葉の扱いに
 繊細な感じがして良いなあと思って。
 ダイナミクスの上限は
 メゾフォルテまでしかない曲だから
 下限までの細かい音量のニュアンスが必要やね。
 ふるさとを想う心を丁寧に表現されているのも
 選曲した理由かな。

 とにかく風景が浮かぶような、
 そして心の移ろいが見えるような演奏がしたいな!」




つづいて、自由曲のサミュエル・バーバー
「Agnus Dei」ですが。




「質実剛健な印象を目指して。
 以前歌ったことがある作品を
 歌い直す意味もあるかな」




以前というと6年前のコーラスガーデンの合同曲でしょうか?




「そう、あの時歌った団員は3分の1いるかなあ…。
 バーバーは改めて取り組んでみると
 本当に素晴らしいメロディーと和声。
 そしてそれらが絡み合うさまは見事!
 迫力だけでなく、
 そんなところを少しでも
 感じてもらえる演奏になればと思います」




誰もが知っている作品ですからハードルが…。




「高いよね(苦笑)。
 でも、こういう良い曲に挑んでみることが大切。
 コンクールってもちろん結果が大事かもしれないけど
 良い曲を長い時間集中して練習することによって、
 その結果学べることの良さがあるので。

 ・・・実は今年、ジョイントのために
 コンクールを休むつもりだったんだよ。
 それなのに幸運にもシード権をいただいて。
 だからこれからは毎年
 『来年は休むぞ!』って言おうと(笑)」




「コンクールなんて出るもんか!」と?(笑)




「もちろんそれは冗談だけど(笑)。
 今年は東京都大会に審査員として
 ありがたくも呼んでいただいて。

 CANTUS ANIMAEさんの委嘱曲も良かったけど、
 Combinir di Coristaさんの『春と修羅』も
 素晴らしくてびっくりした!

 今年の全国大会もシュニトケの合唱協奏曲や
 プーランクの人間の顔や
 ブラームスの2つのモテットなど
 名曲をそうそうたる実力団体が演奏するわけでしょ。
 結局、今の混声部門って
 いろんな曲が聴ける良い演奏会みたいなもので。

 その中の1ステージを担わせてもらうMODOKI。
 ・・・いや、やはり、気合を入れて
 精一杯がんばらないかんな!
 また命削ります!!」



山本さん、ありがとうございました。
Agnus Deiという名曲に挑み、
また新たな側面を聴かせていただけることを
期待しています!




 




さて、今回のスポットライトPart3。
2日間全50団体のトリを飾るのは…


 

 

 

 




18.奈良県・関西支部代表


Chœur Chêne

(43名・15年連続・第50回大会以来16回目の出場)



 



クール シェンヌさんは
指揮者:上西一郎先生が
団員さんひとりひとりを鍛え上げ、
優れた発声と響きで
本格的な音楽を指向されている団体です。

昨年は自由曲にシェーンベルクと
メシアンを選曲されたシェンヌさん。
特にメシアンの超難曲「5つのルシャン」が
単に演奏したに留まらない水準の高いものでした。

精緻な音楽、今回も楽しませていただきました。

…などの感想も。



シェンヌさんの今年の課題曲は
G1 Che se tu se'il cor mio 

自由曲はMax Reger
「Drei Motetten op.110(3つのモテット)」より
「O Tod, wie bitter bist du
 (おお死よ、なんと汝は苦きことか)」


後期ロマン派から近代へ向かおうとするマックス・レーガー。
複雑な和音進行から後半の美しさが光ります。



シェンヌ広報:山氏@安芸さんからメッセージをいただきました。

 

 

こんにちは。奈良県橿原市で生まれ、
現在は「奈良市内」を
活動拠点としているクール シェンヌです。
今年2016年10月に日本語表記を
「クール・シェンヌ」から「クール シェンヌ」に改めまして、
今年はフレッシュな気持ちで出場致します(笑)!

さて、G1の課題曲といえば、
少人数の合唱団がパート毎に息のあった
精緻なアンサンブルを繰り広げる演奏を
思い出す方も多いのではないでしょうか。
筆者も、近年大人数の合唱団で
演奏されている様な印象がありません。

A部門で出ていた以前のシェンヌでしたら、
何も躊躇すること無く
G1のモンテヴェルディを選曲したのでしょうが、
ここ1~2年、大学生や若いメンバーが増え、
今回はなんと「43名」での出場となりました!

それでも敢えてG1を選曲したのは、
主宰・音楽監督の上西曰く、
「人数が多くても、各パート1人ずつで
 アンサンブルをしているような演奏を目指す!」
とのことで、
人数が増えるとどうしても
分厚い音の幅の演奏になりがちですが、
そこで敢えてG1を選曲することで、
合唱団一人一人のスキルを
ストレッチさせることを目指したということです。
※言葉だと簡単なんですがねぇ~。
なかなか実践するのは難しい・・・。おっふ。(+_+)

自由曲はここ数年継続してシェンヌが取り組んでいる
M.レーガー(独:1873-1916年)の、
3つのモテット作品110より
「おお死よ、なんと汝は苦きことか」。

「旧約聖書続編」の「シラ書」41章1-2節が
歌詞となっており、曲の前半では、1節の歌詞の内容、
「幸福な生活を送っている者にとっての
 死の苦きこと(避けたいこと)」について、
最大8声部へのディヴィジョン、
半音進行、増音程や減音程を含む長いフレージング、
非常に印象的なfffでのユニゾン等により歌われます。
そして曲の後半では一転してpppで、2節の歌詞の内容、
「貧しき者や年老いた者には死は心地よきこと
(受け入れるべきこと)」が、
Sopのコラール旋律に和声付けされ、
「♪=60」というそれまでの半分の、
非常にゆっくりとしたテンポで歌われます。

この1節と2節の歌詞の対比に沿った音楽の内容(違い)を、
どこまで表現することが出来るかが、
今回一番苦労したところでもあり聴きどころです。
ご注目ください!

 

 

 

 

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 ★今年の写真は、8月に行った奈良県吉野での
夏合宿の「バーベQ」での全体写真です。
花火も楽しみました!
奈良県(大阪、京都のメンバーの方が多いですが)に
就学、就職、転勤他で来られた方、是非クール シェンヌへ!

【広報:山氏@安芸】

 

 

山氏さん、ありがとうございました!
ESTさんと同じく、このG1という曲を
「人数が多くても、各パート1人ずつで
 アンサンブルをしているような演奏を目指す!」
シェンヌさんは素晴らしいですね。

そしてレーガーの
「おお死よ、なんと汝は苦きことか」。
かなりの難曲でありますが、
シェンヌさんなら人生と同じような
複雑な味わいと、そして豊かさを
聴いた人にもたらして下さると期待しております。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


<ありがとうございました>



以上で、
大学ユース部門、
室内合唱部門、
同声合唱部門、
混声合唱部門、
全50団体のご紹介を終わります。

 


まずメッセージ依頼に応えて下さった
各合唱団担当者のみなさまにお礼を申し上げます。

そしてその担当者の方へ紹介の労をとって下さったみなさまにも
お礼を申し上げます。

ツイッター、フェイスブックで
リツイート、シェア、いいね!などの行動をされたみなさま、
さらにこのブログを今読まれているみなさまにもお礼を。


ありがとうございました!



昨年で「全国大会あれやこれや:出張版」を締め、
今年からこの「観客賞スポットライト」を始めたわけですが
いかがだったでしょうか?

観客賞自体は続けるつもりでいたものの、
それだけで良いのか?
しかし全50団体を「あれやこれや」のやり方で続けるのは無理だ。
では・・・と考えたのがこの「観客賞スポットライト」です。

メッセージに字数制限、
さらに各部門から数団体の選出というやり方。

団体の選出には出演順などさまざまなことを考えて
選ばせていただいたのですが、いや、辛かった!
特に室内部門、混声合唱部門の団体には
連絡が付く団体にはずっとメッセージをお願いしていたので
なにか縁を切ってしまう気がして非常に辛かったです。

嫌いになったわけでも縁を切ったわけでもありませんので
見捨てず、どうかこれからもお付き合いお願いいたします。

 


先日、NHKの番組で今年75歳になられた
宮崎駿監督のドキュメンタリーを観ました。

そこで制作の動機に関するこんなやり取りが。


「30代40代の湧き立つような気持ちは今は無い」
そう仰る宮崎監督に
じゃあ宮崎さんは何によって作品を作るんですか?
という質問への答え。

「何もしないってのがつまんないんじゃない?
 結局そういうことなんじゃない?
 老監督と言われる人はそうですよ、映画作ってるのが一番面白い」
「だけどヘボは作りたくない。違うところに行きたい」



あぁ、そうだよなあ…と。
高尚な目的も高い理想も置いといて、
自分はこの全国大会を前にして
「何もしないってのがつまんない」んだ。
だから何かを始めたかったんだ。


それは数々の名演奏、
それに向けて命を削るようにしてがんばる人たちの姿を
見てたからなんだ・・・と。



このブログ連載がどう読まれるか私にはわかりませんが、
できれば読んだ後に何かしたくなる
…それは鳥取のホテルを探したり、
楽譜を開いたり、
練習音源を聴いたり・・・とにかくなにか!

 

 


「何もしないってつまんない!なんかしよう!!」


そう、思うようなきっかけになれば幸いです。

 


それでは鳥取でお会いしましょう!
ありがとうございました!



(観客賞スポットライト2016 おわり)

 

 

観客賞スポットライト 混声部門 その2

 

 

 

 



全国大会まであと3日!
いま、衣類とお土産を鳥取のホテルへ
宅急便で送ってきたところです。

さてこの時期、風邪などひかれていませんか?
毎年恒例?某合唱団MLに流れた看護師さんたちの
「なんちゃって健康のお便り」をご紹介します。

↓ こちらは昨年の分。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/09/175801

 

 

「なんちゃって健康のお便り 2016」

 

 


最近のMLでは体調を崩したり、
喉が痛いなどの記載も多く、
辛い症状をかかえて
頑張っていられる方もいらっしゃるようですね。

この時期はどんな方でも体調を崩しやすい季節です。
皆さん各自で色々と対策をとられているとは思いますが、
私達からもいくつか
簡単に出来る対策を提案したいと思います。



1.乾燥・喉を潤す対策

空気が乾燥してきています。
室内も例外ではありません。
洗濯物はよく乾いて便利ですが。。。
朝起きたら、まず歯磨きしてみてください。
喉が途端に潤います。
外を歩くときはマスクを1枚つけるだけで大分違います。
マフラーで首回りは保温です。
室内ではなるべくカビの生息のない加湿器を利用したり、
それこそ洗濯物の部屋干し、
出張先ではホテルの浴槽に水をはるなどして
少しでも湿度を保ちましょう。
適度な湿度は喉の保湿のほかにも
ウイルスの活発な移動を阻害するのに効果的です。



2.食べ物で対策

秋の味覚にアルコールは付き物ですよね。
しかし、アルコールは取りすぎると
身体を冷やしてしまうので注意しましょう。
仕事が山積みでついコーヒーを飲む。。。
カフェインも身体を冷やしてしまいます。

昨年同様ですが、ネギや生姜、
ニンニクに唐辛子はよく効きます。
鍋が美味しくなってきました。
ラーメンならネギ山盛り、
蕎麦・うどんに七味かけまくり、
湯豆腐に生姜醤油、
飲み会に参加するなら中華の時に!

普段の飲み物は、
お湯にインスタントコーヒー抜き、
お湯にティーパック抜き、
お湯にお茶っぱ抜き、、、
お昼はインスタントの豚汁。
わかめスープ。野菜スープ。。。

喉の潤いを保つための粘液増加のためには、
ネバネバ系の食べ物!
トロロ、昆布、なめこ、納豆、もずく、
なんか色々あるじゃないですか?!
喉の痛みには、ハチミツの入った飲み物も効果的!



3.喉の痛み対策

まずは鼻水が出てる方!要注意です。
バイ菌入りの鼻水は初期段階で治さないと
いずれは喉に降りてきて喉に炎症を。
ひどいときには気管支、肺全体に炎症を広げます。

水分を多目にとり、食事に気を使うだけで、
軽症状のうちに治ることもあります。
喉に痛みがあったり、咳が出る、
声枯れの症状のある方は
喉を休ませる必要もあるかもしれません。
喉に炎症のある方、香辛料は炎症を悪化させるので少な目に。。

無理矢理の練習の参加は炎症を悪化させたり、
咳でバイ菌を皆に撒き散らす可能性も否定できません。
また声帯は、人の声に反応します。
自分が話さなくても聞こえてきた声に反応して
活動してしまいます。
声帯を休めたい方は、練習見学も時には逆効果です。
より休めるには、外を歩くときにも、
イヤホンやヘッドホンを
音を出さずに付けるのも効果的です。


ひどい炎症を鎮めるには、やはり受診をオススメします。
最近は夜遅めまでやっているクリニックも増えていますし、
合唱のためだけではなく、
生活していくことに支障をきたしたまま
過ごすことはオススメ出来ません。
全国大会当日、観客席から咳の音を出してしまったら、
きっと悲しくなるでしょう。

楽しい全国大会のために、
少しでも皆さんが健康でいられるために。。。
長文失礼致しました。

なんちゃって●●看護師会より

 

 

なんちゃって●●看護師会さん、ありがとうございました!
健康に留意して鳥取へ向かいたいものですね。




会場のとりぎん文化会館梨花ホール、
鳥取男声合唱団様のHPから
許可をいただいたので転載します。

 

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鳥取男声合唱団様HPより転載

 

鳥取男声合唱団様、ありがとうございました。




混声合唱部門、15:17から最初の休憩予定です。
そして15:35からセンスあふれる若き団体の登場!


 




7.埼玉県・関東支部代表

scatola di voce

(27名・3年連続出場)





scatola di voceは、イタリア語で「声の箱」の意。

初出場時はエセンヴァルズの「Stars」で
グラスハープを使い鮮烈なデビューを。

公式HPに掲載されている
プロフィール写真などがとにかくオシャレで
私のような日陰者には「ま、まぶしい…ッ!」と思うほど。

見た目だけでなく、
指揮者:森田悠介先生の音楽センスもとても良く。
昨年の演奏の感想では


課題曲G2が少人数でも美しい響きを指向し、
フレーズ末の処理など、オシャレでデリケートな印象。
自由曲:コダーイ「夕べ」もロングトーンが美しく、
ジェンジェシ「ベツレヘムに幼な子生まれぬ」は
リズムの入れ子など、
音楽上のポイントを効果的に演奏していて
好感を持ちました。
全体に指揮者と歌い手さんのセンスが光るステージ。
次回、聴くのが楽しみです。

・・・などと。



scatolaさん、今回の課題曲は
G2 Szép könyörgés 
(Balassi Bálint 詩/Kodály Zoltán 曲)

自由曲は Johannes Brahms
「Zwei Motetten Op. 74」より
「Warum ist das Licht gegeben dem Mühselig」
 (何故悩み苦しむ人々に光が与えられたのですか)


ほー! ブラームスの名曲を!!
「ヨブ記」や「ヤコブの手紙」から取られたテキスト。
神への問いかけ、慈悲を、何度も繰り返される
「Warum(何故)」とともに。

それにしてもエセンヴァルズ、ジェンジェシと来て
ブラームスという選曲・・・ちょっと不思議?

しかし、昨年のスカートラさん記事で
団員さんはこう答えられていました。


今はあらためて自分たちの目指す音楽とは何なのかを
思い返しながら日々練習に励んでいます。
常に成長を追い求め、
変化を恐れずに歩み続けた結果、
今回再び全国の出場機会をいただくことができました。
年を追うごとにメンバーが入れ替わりながらも、
その土台には今まで変わらずに抱き続け、
積み重ねてきた『スカートラの音楽』があります。
コンクールという評価される場においてこそ、
より多くの観客の皆さまに私たちの想いを
音楽にのせて届けられたらと、心から思います。
そしてその先に広がる可能性を信じ、
これからも私たちらしい音楽を追求していきたいと思っています。

 


常に成長を追い求め、
変化を恐れずに歩み続けた結果

その土台には今まで変わらずに抱き続け、
積み重ねてきた『スカートラの音楽』があります


この選曲もスカートラさんの成長ということなのでしょう。
今年も「スカートラの音楽」楽しみにしています!








続いて歴史ある団ながら進取の心が盛んなこの団体。








8.大分県・九州支部代表

 

大分市民合唱団ウイステリア・コール

http://www.wistaria-chor.net/pc_index.html
(40名・4年ぶりの出場・第37回大会以来25回目の出場)

 



ウイステリアさん4年ぶりの出場なんですか!
そんなに長い時間が経った気がしないのは
3年前に大分まで演奏会を聴きに行ったり
http://bungo618.hatenablog.com/entry/20130625/1372112260

↑ いろんな気づきがあった非常に良い演奏会でした!


昨年の九州大会で各声部をきっちり、
クリアに聴かせたパレストリーナや
ラターのレクイエムが印象的だったからかもしれません。


4年前はアンジェルス児童合唱団と
大分市民合唱団ウイステリアコールの合同団体である
アンジェルス&ウイステリアで出場。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/20121116/1353076271

自由曲に委嘱作品の佐藤賢太郎作曲
「ウミガメの唄」より
「月夜の旅立ち」「白い奇跡」を演奏し、
会場中の涙を誘っていました。
だって富山県合唱連盟のスタッフさんも泣いてたんですよ!?
http://bungo618.hatenablog.com/entry/20121201/1354367717


指揮者は飯倉貞子先生から猿渡健司先生に代わり。
(演奏会では飯倉先生も指揮をされているとか)


今回のウイステリアさんの課題曲は
G1 Che se tu se'il cor mio 
(Giovanni Battista Guarini 詩/Claudio Monteverdi 曲)

自由曲はアメリカの作曲家NICHOLAS WHITE
「O Magnum Mysterium(おお大いなる神秘)」

アルゼンチンの作曲家Ariel Quintana
「Psalm 95(詩篇95)」
「Here I Am(私はここにいる)」


優しい空気に満ちたホワイトから
輝かしいファンファーレのようなキンタナの詩編95と
美しく歌い上げる「私はここにいる」。

どの曲も旋律がとても美しく良い曲です。
特に「私はここにいる」の盛り上がり!
梨花ホールをウイステリアのクリアな音色で
きっと満たすことでしょう!








続いて美しい響きを持つ若い団体。









9.岡山県・中国支部代表

合唱団こぶ

https://www.facebook.com/kobsoja/
(46名・8年連続出場・第62回大会以来8回目の出場)



 


こぶという団名は
指揮者:大山敬子先生のイニシャル「K」と
中学校での教え子「OB」たちの
文字をつなげた「K + OB」から。
今では教え子の中学出身以外の団員さんも
多くいらっしゃるそうです。


最近の演奏ではクリスタルな響きも連想できるような。
そして曲の心をまっすぐ伝える真摯な表現が特長。

今回のこぶさんの課題曲は
課題曲G4 角を吹け(「印象」から)
(北原白秋 詩/市原俊明 曲)

自由曲はEdvard Grieg
「Fire salmer(四つの詩篇)」より
「Hvad est du dog skjön(うるわしきかな神の子よ)」

NICHOLAS WHITE
「O Magnum Mysterium(おお大いなる神秘)」


グリーグの「うるわしきかな神の子よ」は18年前の課題曲。
男声のソリストと合唱が呼応します。

そしてホワイトの「おお大いなる神秘」は、
アレ?前の団体のウイステリアさんと同じ!
それでもウイステリアさんは最初、
こぶさんは最後に持ってくるところが面白い。



中国大会を聴いた印象では


課題曲G4 角を吹け。
まず第一声から鳴る!鳴り響く!!
立派な男声、この輝くようなサウンド。
うつろい、煌めく和声の色彩感は素晴らしい。
そういう印象を受けたのは全団体で「こぶ」さんだけ。
減衰やロングトーンもただ音量が少なくなる、
ただ伸ばすではなく、隅々まで神経が通っていました。

自由曲2曲目Nicholas White
「O Magnum Mysterium」
この良い曲を丁寧に、
そして良い曲と感じながら一心に歌う姿…。
過去のGuy Forbes「O Nata Lux」の名演奏を思い出しました。
中間の男声と女声の旋律が絡む箇所では
涙腺がゆるんでしまうほど。

2日間全団体の中で最高位の団体へ贈られる
「コンクール大賞」も納得の高い水準の演奏でした。
きっと鳥取での全国大会でも良い演奏をして下さると
大いに期待しております。


・・・などと書いておりました。

 


昨年のこぶさん、
ちょっとホールの響きを
掴めていなかった印象があったのですが、
この鳥取の梨花ホールでは何度も演奏されているはず。


さあこぶさん、本気出しちゃってください!!







今回のスポットライト!
中国支部から初出場のこの団体です。







10.広島県・中国支部代表

Kammerchor "Hiroshima Kantorei"

https://www.facebook.com/HiroshimaKantorei/
(35名・初出場)

 


初出場おめでとうございます!

結成して3年で全国大会という広島カントライさん。
最初の練習は17人だったとか。


課題曲はG1 Che se tu se'il cor mio

自由曲はJ.G.Rheinberger

「Mass in E-Flat Major, Op. 109」
(ミサ曲 変ホ長調 Op. 109)より
「Credo」

 

ラインベルガー、1878年の作。



中国大会で聴いた感想では


課題曲G1はパートごとのまとまりは良く、
音楽の各箇所での主従をちゃんと理解し、
さらにダイナミクスの選択も優れたもの。

自由曲J.G.Rheinberger「Credo」。
おお、コンクールでラインベルガー!
全体にキビキビと躍動感を感じられる演奏。
各部始まりの男声はとても良く、
後半からは来て欲しい声がズバッと鳴り、
華やかに世界を広げるイメージがありました。

カントライさんの演奏を聴くのは初めてですが、
指揮者の寺沢希先生は
同じ広島の男声合唱団”寺漢”さんでも指揮をされていて
宝塚のコンクールや演奏会で聴いていました。
楽曲を高みから大きく見つめ、
しっかりとした骨格の音楽を作られるのが良いなあ…と。

カントライさんの選曲と音楽、
鳥取でもその個性を発揮してくれると信じています。




指揮者の寺沢希先生からメッセージをいただきました。


Kammerchor "Hiroshima Kantorei"は
2014年に結成された広島の室内合唱団です。
ロマン派の無伴奏宗教曲を
その中心的レパートリーとして活動しております。   
管弦楽やピアノ等ではレパートリーの中核となっている
古典派・ロマン派の作曲家には
合唱でも素晴らしい作品が多く残されています。

言語の問題、宗教的背景もあるかと思いますが
日本の合唱団がそれらを取り上げる頻度は
決して多いとは言えません。
それは演奏者にとっても聴衆にとっても
決して幸せなことではないと考えます。

私は特に個性豊かな巨人が輩出した
ロマン派の時代に強く惹かれます。
調性音楽の爛熟、個と伝統のバランスの中で
素晴らしい作品が生み出されました。
その中でも宗教作品は普遍的な価値でもって
その生命力を保ち続けています。
私はこの合唱団でそれらの作品に触れることで
その偉大さを実感し、
それによって併せてルネサンスや、
近現代の作品の価値をも再認識したいと考えています。

今回、演奏するラインベルガーの変ホ長調ミサ曲は、
私が10代の頃、
皆川達夫先生の「合唱音楽の歴史」の一文に惹かれて
辿り着いた作品です。
全6章を貫く歌謡性に加え、
穏やかさ、晴れやかさがみなぎっていて、
キリスト教音楽の一つの理想に到達している作品と考えます。
この曲を知った時からこの曲の最高の演奏をすることが、
私の音楽人生の目標の一つとなりました。
この度、幸いにもその可能性を持つ
この合唱団と出会うことが出来ました。
ミサの中でも核心の「信仰宣言」である「クレド」を、
ラインベルガーが楽譜に込めた篤い信仰心を、
私たちの共感の声にのせて
皆様に届けることが出来ましたら幸いです。

 

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(広島流川教会にて開催した第2回定期演奏会後とのこと)

 

 


寺沢先生、ありがとうございました!
ロマン派の無伴奏曲を主要なレパートリーに。
そして10代の頃に知った憧れの曲を
合唱団と出会うことで実現する・・・
素晴らしいことです。

どうかその喜びを力強く
客席へ伝えていただきたいと思います。









続いて東北の唯一無二の選曲をされる団体です。


 

 

 

 



11.宮城県・東北支部代表

グリーン・ウッド・ハーモニー

(54名・18年連続出場・第2回大会以来34回目の出場)

 



グリーン・ウッド・ハーモニーさん(以降GWHさん)は
自由曲に現代曲を選択することでも知られています。

昨年の作曲家もシェーンベルク。
…この方は有名ですよね?

ウェーベルン。ご存知ですか?

クルターグ・・・だれ?という感じでしょうか。


でもね、幅広い年代層の団員さんが
指揮者:今井邦男先生の深い考察の元、
一生懸命に演奏する姿が説得力あるんです。
ちなみに昨年は金賞2位の長崎県知事賞を受賞。


GWHさん、今回の課題曲は
G1 Che se tu se'il cor mio

自由曲はGyörgy Kurtág
「8 Choruses to Poems by Dezso Tandori, Op. 23」より
(デジェー・タンドリの詩による8つの合唱曲)
I 3つのカノンより
「カノンi お前から離れるか?」
「カノンii 今やじっとして」

Alfred Schnittke
「Stikhi Pokayanniye(12の回心の詩編)」より
「My soul, why are you in a state of sin?(わが魂よ)」
「O Man, doomed and wretched(呪われた貧しきものよ)」



昨年も演奏されたルーマニアの作曲家クルターグと
ロシアの作曲家シュニトケの作品を。

張り詰めた空気が満ちるクルターグの後に聴くと、
シュニトケも現代音楽なんですが
ずっと「歌」に聞こえます!

どちらもかなりの難曲。
しかし、名指揮者、今井先生の音楽で
GWHさんがまた説得力ある
独自の世界を展開して下さることでしょう!








東北からもう1団体の登場です。



 




12.山形県・東北支部代表

鶴岡土曜会合唱団

https://twitter.com/tsuruokadoyokai
(50名・4年ぶり・50回大会以来10回目の出場)


 



4年前に演奏を聴かせていただいた時は
三善晃先生の「地球へのバラード」より
「私が歌う理由 」「夕暮」。
さらにその前の年は
混声合唱とピアノのための「その日 -August 6-」でした。



今年の課題曲はG2 Szép könyörgés 

自由曲は三善晃
「嫁ぐ娘に」より
「時間はきらきらと」
「かどで」


おお、今回も三善先生の作品!


鶴岡土曜会混声合唱団さんの演奏は
聴くたびに誠実な音、
真摯な演奏だなあと感じていました。

9年前の出場時にも「嫁ぐ娘に」から
「戦いの日々」と「かどで」を演奏。


「嫁ぐ娘に」は
高田敏子さんの結婚される娘さんを想い書かれた詩に、
三善先生が初めての無伴奏混声合唱の作品として
世に出されたもの。

当時、独身で子供もいなかった三善先生は
この詩に作曲されることに不安があったそうですが


これは、高田さん母娘の真情の絆ではあろう、が、
高田さんの言葉がその「個」の情感を経る前にここに、
ひとりの人間の祈りがある。 
高田さんは、お嬢さんへの語りかけを通じてそれを綴ったのだ。

 


三善作品を何度も取り上げ、
真摯に誠実に作品へ向かう鶴岡土曜会混声合唱団さん。

「ひとりの人間の祈り」、
ぜひ聞かせていただきたいと思います。

 

 

 

 

(明日夜の最終回へ続きます)

 

 

観客賞スポットライト 混声部門 その1

 

 




お江戸コラリアーずさんのFacebookで
私のブログでおえコラさんが
紹介されたという記事があるのですが、
その文章がとても良かったので
許可を得て転載いたします。

 

 

東京での通常練習も終わり、
あとは鳥取での直前(泥縄)練習と本番を残すのみ。
週末は男フェスの本番もあったおかげか、
練習後にふと見ると大きな荷物で来ているメンバーがちらほらと。
北海道、鳥取、福島、長野から来ている学生のメンバーたちが、
仲よく笑いながら話しているのが
たまらなくいい風景だなと思いました。
交通費もかかってんのに、ほんとバカやつらw(賛辞) 
毎年それなりの人数が入っては来れなくなり、
ということを続けてて、
団ができたときの話なんか
知らないメンツのほうが多くなっていますが、
こうやって自分たちの活動を楽しみつづけていけたら、
なんて思います。

ということで鳥取での全国大会。
迎え入れていただく中国支部のみなさま、
参加団体の皆様どうぞよろしくお願いいたします。
地震やら火山やら台風やら、
鳥取もほかの地域も大変なことが多かった今年ですが、
邪魔にならないように注意して直接伺って、
歌って飲んで話して(で、お金を落とすw)
ってのが一番だと思うのです(元東北民の勝手な思い)
当日券は十分あるようですし
宿泊も今からでもなんとかなりそうです。
まだ聴きに行くのを迷ってる方もぜひ!
全国から集まった素敵な演奏と
鳥取のおいしい食事と温泉と、ぜひ楽しみましょー!

https://www.facebook.com/oekora/posts/1174752902561929

 



…うん、楽しみましょう!!

 


さて、混声合唱の部の演奏は13:55から開始の予定です。


出場団体ご紹介の前に観客賞の投票について!


投票方法は2つあります。
(必ず各部門の全団体を聴いてくださいね!)



1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
ハッシュタグ 


#混声合唱16



を付けて
20日混声合唱の部終演(予定18:37)から
審査発表が始まる前の19:30までに
良かった2団体を書いてツイート。
(時間が短いので注意!)

その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
(3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします!



ツイート投票の例:

 

 合唱団●● 壮麗な混声合唱のお手本!
▲▲ヴォイス 大人数でも繊細な表現が素晴らしかった。
#混声合唱16

 

 

 


ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。


さらに「観客大賞」のお知らせ。

大学ユース、室内、同声、混声、
全50団体を聴かれた方は
ツイッターなら

#観客大賞16

とハッシュタグを付けて全部門で良かった団体を
「1団体だけ」書いてツイートして下さい。

メールでの投票は件名を「観客大賞」にして
上記のメールアドレスへ送って下さい。

ご投票よろしくお願いいたします!



では、混声合唱部門に出場される団体をご紹介します。
いずれも実力団体ばかり!






最初は団員さんも指揮者も若いこの団体です。


 

 




1.愛媛県・四国支部代表

I.C.Chorale

(35名・第67回大会から3年連続出場)

 



2014年3月、
松山市内の若者を中心に結成されたI.C.Choraleさん。
通称:いよコラ。
団員の平均年齢20代前半!
指揮者の村上信介先生も今年25歳の若さ。


いよコラさんの今年の課題曲は
G4 角を吹け(「印象」から)
(北原白秋 詩/市原俊明 曲)

自由曲は木下牧子作曲
「ティオの夜の旅」より「祝福」
「方舟」より「方舟」


木下牧子先生の初期の代表作2組曲から
それぞれ最初のアカペラ曲と終曲を。

「光あれ」と緊張感に満ちた旋律で始まる
池澤夏樹の詩による「祝福」。
終末の世界観のもと
華麗なピアノと速いテンポの5拍子が特徴的な
大岡信の詩による「方舟」。


いよコラさんの
愛媛県大会を終えた時のブログ記事によると
「方舟」が先に決まっていて
一曲だけでは時間に余裕があったため、
幾つかの候補曲の中から「祝福」が選ばれたそう。

 

 

老若男女、様々な合唱団に歌われている
この「方舟」という作品は、
作詞者の大岡信も作曲者の木下牧子も、
私たちI.C.Choraleの団員と
ほぼ同年代の時に書かれたものです。
だからこそ、私たちにしか鳴らせない音、
発せられないエネルギーがあり、
発しなくてはならないエネルギーがあると感じています。
静の「祝福」と動の「方舟」。
代表曲同士ですが、
対比して歌えたらかっこいいなぁと思いました。

 

陸(=角を吹け)海(=祝福)空(=方舟)、
すべてを制覇した3曲に恥じない演奏が
四国大会でもできるよう、
精進して参ります!


第64回全日本合唱コンクール愛媛県大会に出場しました!

 

…上記の記事、
オチが決まっていて笑ってしまいました(笑)。



2年前は信長先生の「くちびるに歌を」。
昨年は松下先生の「今年」を選曲されたいよコラさん。
邦人作品の名曲を、
若い感性で共感を持って演奏してくれることでしょう。








続いては全部門唯一の職場合唱団の登場です。








2.大阪府・関西支部代表

新日鐵住金混声合唱団

(73名・第1回大会から46回の出場)

 



昨年はレーガーの「朝の歌」「夕べの歌」を
重量感溢れる演奏で聴かせて下さった
新日鐵住金混声合唱団。


1947年に扶桑金属混声合唱団として創立されたので
混声合唱部門では一番歴史ある団体です。


今年の課題曲は
G2 Szép könyörgés 
(Balassi Bálint 詩/Kodály Zoltán 曲)

自由曲はアメリカの作曲家Z. Randall Stroopeの
「We Beheld Once Again the Star」
(我々は再び空の星を仰いだ)

イタリア中世を代表する詩人ダンテの
「神曲」第1部の地獄篇から引用されているテキスト。
3部に分かれていて、第1部と3部はイタリア語。
男声合唱から始まる2部はラテン語。

アメリカ合唱指揮者協会に多大な貢献をした
レイモンド・ブルック氏追悼のため、
2004年に書かれたダブルコーラスの
美しさと激しさが存在する作品。


歴史ある団体、きっと深みのある響きが聴けるはずです。



 





続いては選曲にこだわりがある団体の登場です。







3.愛知県・中部支部代表

合唱団ノース・エコー

(68名・6年連続・第47回大会以来19回目の出場)


 



昨年はNystedtを自由曲に選ばれたように
北欧の合唱曲、
特にスウェーデンの作曲家
Sven-David Sandströmの作品を多く演奏されている
合唱団ノース・エコーさん。


今年の課題曲はG3 むらさきの(「Little by Little」から) 
(吉行理恵 詩/池辺晋一郎 曲)

自由曲はSven-David Sandström作曲
「Four Songs of Love(4つの愛の歌)」より
「Until the Daybreak(夜明けまで)」
「Awake, o North Wind(目覚めよ、北風)」
「His Left Hand(彼の左手)」


おお~、今年もサンドストレーム!
北欧らしい透明感、どこか静けさを感じさせる音が
ノースさんに非常に合っていることでしょう。
そしていつも大曲1曲を演奏するのが常だったのに、
今年はいろいろな表情を見せる3曲を。


昨年、今年とマーラーの交響曲第2番「復活」を共演。
来年の3月5日に2014年以来の演奏会を開催されます。

コンクールに留まらない活動が
音楽に彩りを加えてくれるのでは。







続いて超実力団体の出場です。







4.東京都・東京支部代表

Combinir di Corista

(36名・3年連続出場・第61回大会から8回目の出場)


 


なんと全国大会へ出場した8回、
すべて金賞のCombinir di Corista、通称コンビニさん。


レパートリーの「品揃えの豊富さ」にこだわるということから、
コンビニエンスストアーにちなんで
「コンビーニ・ディ・コリスタ」としました

(団HPより)



指揮者は同声部門に出場された湘南はまゆうさんと同じ
松村努先生。


今年の課題曲はG2 Szép könyörgés 

自由曲は信長貴富作曲
混声合唱とピアノのための「春と修羅」より「II」




初演団体VOX GAUDIOSA演奏会の
プログラムから再度抜粋しましょう。

 


「修羅」は仏教思想における六道
(天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄)の一つで、
人間と畜生の間に位置し、
常に戦い合う世界とされる。
これに対して「春」は涅槃
(悟りの世界、究極の理想の境地)の象徴である。
この二つの相反する要素を対立させながら、
宮沢賢治は自分=修羅の精神世界を描いている。
身悶えしつつ思いが抑えきれず溢れ出したような、
エネルギーに満ちた詩だ。(中略)

曲は単一楽章で、
いくつかのシーンに分かれているが続けて演奏される。
冒頭、地の底から聞こえてくるような呼吸音に始まり、
生命が誕生の叫びを上げる。
灰色の世界から輝きの春の世界へと、
音楽は次第に色彩感に満ちていく。
日本の伝統音楽的な粘着質の音使いと、
そこから解放されたロマンティックな音響の対比が、
音楽的な特徴と言えるだろう。
曲中しばしば登場する「ZYPRESSEN」という語句は
本来「糸杉」を意味するドイツ語で、
宮沢賢治は音楽的効果をねらって
それを用いたと言われている。
私も語義にとらわれず、
春の輝きを象徴する響きとしてそれを曲に挿入した。
(後略)


(信長貴富・初演プログラムより抜粋)


東京都大会を聴かれた方の感想によると
「精度がとても高く、
 整った演奏をする印象のコンビニさんだったけど
 今回の『春と修羅』では
 物凄くエモーショナルな演奏だった!」とのこと。


えええ、あの上手い団体が心に訴える演奏をしたら
どうなってしまうんでしょう?
超期待です!!

 

 






今回のスポットライト!
エモーショナルな演奏と言えばこの団体です。







5.東京都・東京支部代表

CANTUS ANIMAE


(57名・6年連続出場・第52回大会以来13回目の出場)





昨年は4手ピアノによるブラームス
ドイツ・レクイエムから第2楽章を演奏された
CANTUS ANIMAE(通称CA:シーエー)さん。
観客賞では1位を獲得。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/20/195646


室内部門の合唱団まいさん、
同声部門のHIKARI BRILLANTEさんも指揮される
雨森文也先生が指揮者です。


CAさんの今年の課題曲は
G4 角を吹け(「印象」から)

団員のMariさんからメッセージをいただきました。

 

 

1.課題曲「角を吹け」について


作曲の市原氏は、ハーモニーの解説に、
「この曲を聴いたあとの印象が、
 詩を読んだ時の印象と重なり合うこと」を
祈っていると書いています。
だからというわけではないのですが、
私たちも、まずは白秋の詩の世界を
ひも解くことから始めました。
白秋の詩を市原氏がどう読み解き曲に何を託したのか、
詩と楽譜をいったりきたりしながら練習を進めました。
が、なかなかうまくいかないのです。
転機は、指揮者の雨森先生が、
詩の舞台となった天草を訪れたこと。
そして、同時期に、団員の一人も天草を旅行し、
大量の写真を撮ってきてくれたこと。
百聞は一見にしかず。
二人が私たちに語った天草の風景、空気、人々……。
白秋が友と旅した彼の地のイメージが、
全員の中で一気に膨れました。
さあ、皆様を、どんなドラマに誘うことができるでしょう。
作曲者の期待に応えて、聞いてくださった皆様が、
「ああ、旅はいいなあ」と
解放感に満ちてくださったら幸いです。

 

 
この課題曲「角を吹け」、
冒頭にPastorale(牧歌的に)という指示があるのですが
演奏を聴かれた人の話によると
CAさんはその解釈が独特?
いや、これこそ本質だ!と言う方も。
楽しみですね。

 

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そして自由曲、
宗左近:詩  松本望作曲
「二つの祈りの音楽〜混声合唱とピアノ連弾のための〜」より
「2.永遠の光」

 

 


2.自由曲「永遠の光」について


今年の5月に委嘱初演した
「二つの祈りの音楽〜混声合唱とピアノ連弾のための〜」の
2曲目です。
曲名のごとく、永遠の光が包み込むような
美しいラテン語のコラールで始まります。
でも、まだ最初のコラールには、
私たち人間の息遣いがかすかに響いているような
低い濁りがあります。
それが、その後日本語のテキストによる主題が提示され、
ラテン語のコラールと交互に繰り返されるうちに、
高まり、浄化され、最後にたどりついたコラールには、
何の濁りもない、ただただ美しい永遠の光がすべてを満たします。

作曲の松本望先生は、
初演のプログラムにこんな文章を寄せてくださいました。

『最近のことだけを思い返しても、
 昨年秋には私の第3(?)の故郷パリで
 大規模な無差別テロが起き、
 この原稿を書こうとした矢先には熊本で大地震が起きた。
 こういう時、遠く離れた所にいて
 音楽で一体何が出来るのか、いつも無力感に苛まれる。
 大変なことが起きてすぐ(今が正にそうだが)は
 音楽を楽しむ心の余裕は当事者の方々には無いと思うし、
 音楽による励ましなんて鬱陶しいかもしれない。
 偽善にも自己満足にもなり得るかもしれないが、
 それでもやはり音楽をする我々には、
 大変な状況にいる方々への気持ちを音に託して祈り、
 伝えようとすることが、
 自分達に出来る精一杯のことなのかなと思う。』


全国大会を前に、鳥取でも大きな地震が起きました。
世界では、今も紛争が絶えず、
多くの善良な人々が犠牲になっています。
松本先生が楽譜に託した「祈り」を、
私たちが鳥取の地でどう伝えられるか。
お聴きになった皆様が、永遠の光に包まれて、
誰かのために何かを祈ってくださったら、
それはとても嬉しいことです。

演奏時間11分30秒の曲なので、
コンクールでは一部カットした
短縮バージョンで演奏します。
もしフルバージョンをお聴きになりたいと思った方、
来年の6月の定期演奏会で再演しますので、
ぜひ聴きにいらしてください。
お待ちしています!

 

 

 

Mariさんありがとうございました。
今年のハーモニー秋号
「歌を生む・歌を育てる わたしたちの委嘱作品」
この作品が生まれる経緯が詳しく書かれていますので
ぜひお読みください。


なにかの薬効をうたっているわけではないため
音楽作品をむやみに「泣ける!」
などと書くのは好きではないのですが、
この「永遠の光」は
不思議に多くの人の胸を打つようです。

先月10月に岐阜で行われた
CAさんとMODOKIさんのジョイントコンサートで
私はこの曲についてこんな感想を書きました。



これは、「祈り」という行為を演奏者それぞれが、
どう声、音に表せるかが問われる作品ではないだろうか。

1曲目とは逆に体が解放される思いの中、
浮かんできた感情を言葉にすると
絶望にあっても、いや、
絶望の中だからこそ祈らずにはいられない人間という存在。
そしてその存在が受容され、肯定されている実感・・・。

初演の際、演奏が終わり、
ピアノを弾かれていた作曲者の松本望さんが
あふれる涙をぬぐってもぬぐっても
抑えられない状態になったそうだ。

それも実感できる演奏だった。
影と光。
三善先生が仰った
「絶望を胎生としない愛を信じない」
その言葉を作品にしたような2曲。

単に美しい、涙を誘われる曲というだけではなく、
一見シンプルな作品の中に潜む深い祈りを、
演奏を通して多くの人へ、
なにより自分自身へ問うて欲しいと思う。


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/11/04/211036

 


このコンサートの演奏後に雨森先生へ

「素晴らしい作品でした。
 …でも、コンクールの自由曲としては、
 あまりふさわしいとは思えないのですが?」
と言ったところ

「そうなんだよ、
 いわゆるコンクール曲としては
 全然ふさわしくない。
 でもね、この曲を選んだのは、そうじゃないんだ・・・」


なぜ雨森先生はこの「永遠の光」を選ばれたのか。
ぜひ、聴かれるみなさんに確かめていただきたいと思います。






続いては若い実力団体が名曲を演奏します。







6.千葉県・関東支部代表

VOCE ARMONICA

https://www.facebook.com/VOCEARMONICA/
(33名・2年連続出場・第64回大会以来4回目の出場)





昨年、観客賞3位だったARMONICAさん。


【自由曲:鈴木輝昭「春と修羅」】

凄いね、凄かったね! の声が次々と。


輝昭作品もちゃんとやれば、
これだけ魅力が伝わる演奏になるという証明だね。
・・・まあ、ちゃんとやるのが難しいんだけど(笑)。


模範演奏というか、
ひたすら真面目に真摯に取り組んだ演奏で。


そうそう、ずっと全力で最後まで
やり続けていた!
あれはおっさんおばさんにはムリだわ(苦笑)。


指揮の黒川さんも最初から最後まで
全力で振ってたね(笑)。


指揮者と歌い手の一体感、
一生懸命さが伝わりました!


いや、それにしてもこの若い合唱団で
これだけの発声、音作り。
本当に見事な演奏でした。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/17/222539


若さゆえの勢いと集中力以外にも
発声と音作りに風格も感じさせるようになった団体です。


ARMONICAさん、今年の課題曲は
G2 Szép könyörgés

自由曲はFrancis Poulenc
「Figure humaine(人間の顔)」より
「La menace sous le ciel rouge(脅威は赤い空の下に)」
「Liberté(自由)」



テキストは詩人ポール・エリュアールが第2次世界大戦中、
ナチス占領下のパリで書いた反戦詩。
混声6部の2重合唱を33名で。
特に「Liberté」は最後のソプラノにHi-E(高いミ)が!

 

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指揮者の黒川さんは3年前、
福山での中高の全国大会で
郡山第2中学校が
この「人間の顔」を演奏された時に
楽譜を購入されたとか。


難曲ですが、詩も音楽も名曲と呼ぶにふさわしい
素晴らしい作品です。

黒川さん、ARMONICAさんのこの曲へ懸ける想いが
客席へ伝わりますように。





(1日休み、次は水曜日に更新予定です)

 

 

 

観客賞スポットライト 同声部門 その2

 



同声部門のご紹介、続きです。


今回のスポットライト!
昨年、同声部門で金賞1位の団体!








6.東京都・東京都代表

合唱団お江戸コラリアーず

(男声82名・第62回大会から8年連続出場)




東京に越してきた
「なにわコラリアーズ」のメンバー中心に
1998年に設立されたが、
現在残っている団員は少ないそう。


通称:おえコラさん、昨年の観客賞は2位。
自由曲:信長貴富先生作曲の
「飛ぶものへの打電」が2人の打楽器奏者、
そして用意された打楽器がもの凄い数で!



観客賞座談会では


いや、もう、あのパーカッションには
特別賞を差し上げたい(笑)。
目が釘付け!


課題曲もそうでしたが、
自由曲も魅力を引き出して「良い曲!」
と思わせる演奏でしたね。


自分の辞書には無い感じの演奏!


…凄いものを聴かせていただきました。

などと。
私は地元の男子大学生数人が身を乗り出して
聴いていたのが印象に残っています。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/11/194914



おえコラさん、今年の課題曲は
M2 Fölszállott a páva 
(Ady Endre 詩/Kodály Zoltán 曲)

自由曲は今年も信長貴富先生の
「無伴奏男声合唱のための Credo」

これは今年のおえコラさん第15回演奏会
「信長貴富作品展 vol.2 ~錯綜する時代~」
委嘱初演された作品。


団員さんからパンフレットに寄稿されたインタビューを
送っていただきました。

 


■委嘱作品 「無伴奏男声合唱のためのCredo」について


― 典礼文を扱うのは初めてでしょうか。


信長 以前、片山みゆき先生が指揮する団体で、
グレゴリオ聖歌に近いものを扱ったので、
初めてではありません。

私は信仰を持っておらず、
典礼文を素材としてしか見られないため、
これまで宗教的テキストを使っての作曲は
ほとんどして来ませんでした。
しかし、「信じたい」と思うことは
宗教を抜きにしても人類共通なのかな、
という所を拠り所に立ち向かっていこうと思いました。


― どのようなイメージを持って、
曲を書かれたのでしょうか。


信長 音の塊がスタッカートで上昇していく、
言葉の断片が目の前に迫ってくる、という
映像的なイメージが最初にありました。
Credoというテキストで
どのような音楽を書くか苦心していた時に、
スタッカートで上昇する音像の閃きがあったのです。


― あるフレーズが来たら、
気付いたら過ぎ去っていくように感じました。
スピード感を感じますね。


信長 言葉が消費されていくと
曲目解説にも書きましたが、
一度言ったことは戻らないように書きました。
まぁ、これは何と言うか、
「ニコニコ動画」のような…。
文字が無機質に目の前を通過していくような
視覚的なイメージといえばいいでしょうか。


― 信長さん、「ニコニコ動画」を
見ていらっしゃるんですね(笑)。
― テキストからも離れて、
音のイメージで書かれていると思って良いですか。


信長 前半は個々の言葉の意味を
説明していくということよりも、
視覚的なイメージ、
音像が動いていくイメージで書いていますね。
ただ、”Crucifixus”の箇所のように、
意味に引っ張られる箇所もでてきます。
書いていると、言葉にどうしても
引力を感じる部分もありまして。


― 音の配置はオーソドックスな作品と
評されているようですが、音形の関係ですか。


信長 そうですね。
はっきりとした音階があり、無調ではない。
音選びの狙いは最初に決めて取り組みましたね。


― 他の作品にも見られるのですが、
教会旋法なども曲に織り込んでいらっしゃいます。
何か狙いがあるのでしょうか。


信長 調性から離れて書く場合、
何かしらのシステム、
例えば旋法を基本に置くなどしないと、
ア・カペラの合唱は形が作りづらいと思います。
邦楽器が日本の旋法でないと
楽器が鳴らないことと似ていて、
声は五度に落ち着きたがる感じています。


― お江戸コラリアーずが委嘱するオリジナル作品は、
パート分けが多いという印象があります。


信長 やはり人数が多いからね。
それを利用しない手はないと思って。
ただ、書き方は迷いました。
どうやったら歌いやすいのか、
どのように音を移していくのか、
例えば群にしてしまった方が良いのか考えました。
本当に混乱したのだけど、
今回はパートの中で声部を分ける形で確定させました。


― どのパートとどのパートが
繋がっているか分かりやすいように、
12色の色鉛筆を買いにいきました(笑)。

 

 

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おえコラ団員さん談
「体幹を鍛える系の体操だったはずです。
 いろんな体の鍛え方を調べては
 いろいろ試してくれるやつでして」





自由曲の音源を聴かせていただいたところ、
「Credo!!!」とフォルテッシモで始まり、
張り詰めた高いテンションが続きます。
「Credo」という単語が
「音の塊がスタッカートで上昇していく、
 言葉の断片が目の前に迫ってくる」
という信長先生の言葉通り、
エコーに聞こえたり。
「Credo」という言葉への想いが変容していくよう。

インタビューの通り、スピード感がある、
一瞬も聞き逃せないインパクト抜群の作品です!
今年のおえコラさんも必聴ですよ!!



団員さんからは


毎回共演者の方に助けられております。
去年の『打電』なんて最たるもの。
今回はどちらもアカペラということで、
自力の無さがばれる状況ですが、
がんばります!

 

…とのことでした。
自分たちが委嘱した新曲を
広く多くの人に問うという面で
コンクール、そして全国大会というのは良い場所。

昨年の身を乗り出し、目を輝かせ
おえコラさんの演奏を聴いていた大学生のように、
今年も合唱の新しい魅力を
伝えていただきたいと思います。







20分の休憩後、
若者とベテランが合わさった妙味の男声が!




 

 



7.大阪府・関西支部代表

大阪メールクワィアー

(男声50名・第68回大会から2年連続出場)




20数名ほどの大阪経済大学グリークラブさんが
大阪メールクワィアーさんの中に入っている団体だそう。

この団体の注目すべき点は、
1931年生まれという
今年も全日本合唱コンクール全国大会で
間違いなく最高齢の指揮者:須賀敬一先生の存在でしょう。


昨年の観客賞座談会でも

 


指揮者の須賀敬一先生が
ステージに登場された時の拍手が!


凄かったね!


さすが、「指揮者が憧れる指揮者」だなぁ、と。


背中が語る指揮でしたね〜。

…などと。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/12/202907



大阪メールクワィアーさん、
今年の課題曲はM3 松よ(「三つの時刻」から)
(丸山 薫 詩/三善 晃 曲)

自由曲は髙田三郎作曲
「ヨハネによる福音」より
「初めにみことばがあった」

髙田三郎先生のスペシャリストでもある
須賀敬一先生の編曲。
力強く、敬虔な信仰を思わせる音楽です。


昨年も自由曲は髙田先生の作品を演奏されたのですが

高田三郎作品を構成する要素を
絶対『外さない』演奏で
非常に説得力がありました。

派手さは無いものの、
わかる人にはわかる、
高田三郎作品が好きで良かった・・・
そんな演奏でしたね。

などという感想を残していました。
全国大会で高田三郎作品を聴ける貴重な機会。
楽しみです!






続いては本州最北端からの女声合唱団。



 



8.青森県・東北支部代表

うとう女声合唱団

(女声31名・第66回大会から4年連続の出場)


ぜんぱくさんの3年前のブログ記事によると
http://talk21self2.blog111.fc2.com/blog-entry-1798.html
 

 

 「うとう」とは漢字で「善知鳥」と書くそうです。
青森市はその昔、
「善知鳥村(うとうむら)」と呼ばれていたとの事。
詳しい解説のあるwebサイトがありましたので、
リンクを貼っておきます。
コチラです↓

善知鳥神社

 

 



初出場時にはブラームス、
そしてヒンデミットやレーガー、
メンデルスゾーンという
自由曲に海外の名曲を選択されてきました。


今年のうとう女声合唱団さんの課題曲は
F4 木のように(「悲しみの意味」から) 
(星野富弘 詩/なかにしあかね 曲)

自由曲はエストニアの作曲家Arvo Pärt
「Zwei Beter(祈る二人)」


ペルトらしい深い精神性も感じさせる
5分ほどのドイツ語作品。
テキストは「ルカによる福音書」の
ファリサイ派の人と徴税人を意味しているそう。

・・・渋い!
ペルトの研ぎ澄まされた響きを
どう表現していただけるか、期待しております。







続いては高校の若き実力OG合唱団。







9.神奈川県・関東支部代表

La Pura Fuente

(女声27名・第66回大会から3年連続出場)

 

 



La Pura Fuenteとはスペイン語で「清い泉」とのこと。
神奈川県の合唱名門校、
清泉女学院の卒業生さんが2010年に作られた団体。


昨年の観客賞座談会では

 

 

 力強く直線的な声がカッコイイ!


良く整えられていましたね〜。


みんなキレイだった・・・。
(ため息混じりに。ちなみに発言者は女性)


一同(笑)。


立ち方が良いんですよ!


そう、立ち姿が美人!
ちゃんと立っているかどうかで
歌が上手いか下手かわかるからね。
だから良い立ち方をマスターしてるのでは。


良く練習されているのがわかる、
硬質で力強い発声は会場を満たしていました。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/10/192220

 

 



La Pura Fuenteさん、
今年の課題曲はF4 木のように(「悲しみの意味」から)

自由曲はハンガリーの作曲家Levente Gyöngyösi
「Parvulus natus est nobis
(そのみどりごは我らのために生まれたり)」
「Alleluia(主をほめ讃えよ)」


昨年に続き、ジェンジェシの作品。
緊張感ある音楽からAlleluiaが入る箇所ではリズミカルに。
2曲目はボンゴも入り、さらに明るく華やかに。

La Pura Fuenteさん、昨年もボンゴ、
それとタンバリン、手拍子を使う曲でした。
若い団体の雰囲気にボンゴの響きが合っていましたね。
今年も会場を沸かせてもらえるのでしょうか。








今回のスポットライトPart2。
初出場の女声合唱団です!



 

 




10.香川県・四国支部代表

monosso

https://www.facebook.com/monosso.kagawa/

(女声34名・初出場)



monosso指揮者、混声合唱部門のMODOKI指揮者でもある
山本啓之さんにインタビューを受けていただきました。



初出場おめでとうございます!
なんでも結成してまだ1年経っていないとか。



「ありがとうございます。
 結成は去年の12月だね」



それで全国出場! 凄いですね。



「それは運が良かっただけ…」


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(高松の海に向かって。「もう一度 仲間と呼んでくれますか?!」)

 

 


まず、団名の「monosso(モノッソ)」の意味はなんですか?



「讃岐弁で『ものすごい』とか『いっぱい』とか
 とにかくエネルギッシュな言葉。
 いろいろ案は出たけど
 自分が出したのが採用されちゃったね。

 monossoは香川県のさまざまな高校の卒業生、
 合唱を止めていたかもしれない人の
 受け皿になればいいなと思っている。

 大阪や広島から一生懸命に来てる子もおるんやけど
 香川の地元の子たち、大学生が入って来てくれる。
 それが嬉しい」



なるほど・・・。
選曲についてお尋ねします。
課題曲はF1
「The Nightingale(Thomas Weelkes作曲)」ですが?



「高校の合唱しか知らない団員が多いので
 あまり演奏したことが無いという
 外国の作品をやろうかと」



全国大会ではmonossoさんだけの選曲ですが
可愛らしいマドリガルですよね。



「いや、演奏するとなると難しいのよ。
 上2声で軽くやっているのに対し
 アルトに芯が必要で。
 monossoではアルトに2人いる男声が力になってる」



意外な男声の力!(笑)
自由曲は信長貴富作曲
「不可思議のポルトレ」より
「伴奏」「明日」。

この作品、音楽もそうですが
詩が与謝野晶子という自立した女性の
非常に力強いものですね。



「これも三善晃先生のお言葉、
 『絶望を胎生としない愛を信じない』からの選曲。
 どんなことがあっても
 『明日』を目指していくんだ!…という。
 音楽も彼女らの今のサウンドに合っているかなと思って」



楽しみです!



「…と言ってもね、
 しょせんできたばかりの合唱団なので。
 練習も月に1回、日曜だけだし。

 そんな中で『行くぞコンクール!』だけじゃない、
 良い音楽をしようと。
 コンクールに出場すればmonossoがこんな団体で
 こんな活動をしていると知ってもらえるしね。
 それでできれば『こんな合唱団いいよね』と
 思ってもらいたい。

 まあ彼女たちは初めての全国大会でビビるだろうけど、
 これもライブだからね。
 命削ってがんばるつもり!」



がんばってください!
ところでこの「君たちの歌はずっとカルビだ!」って


どういう意味なんですか?(笑)





「(笑)。
 最初から最後までずっと脂身多めの歌じゃ飽きるやろ、って。
 やっぱり最初は塩タンから始まってハラミとかを挟み、
 ロースも突っ込んで・・・」



山本さんありがとうございました!
monosso全国大会初お披露目、
すべての味わいが出せることを願っております!








同声部門最後の団体は…こちらも初出場!








11.福岡県・九州支部代表

NHK福岡児童合唱団MIRAIシニア科

(女声69名・初出場)


 



初出場おめでとうございます!

NHK福岡児童合唱団MIRAIシニア科さんは
NHK福岡放送局開局75周年を記念して、
2005年4月に発足。
小学生から高校生まで総勢151名ですが、
今回は中学・高校生のシニア科で出場。


NHK福岡児童合唱団MIRAIシニア科さんの
課題曲はF3 じいちゃん(「まどさんの詩によるみっつのうた」から)
(まど・みちお 詩/松下 耕 曲)

自由曲は三善晃作曲
ピアノの無窮連禱による女声合唱曲「生きる」


へえ~、「生きる」!
私、この曲の演奏は高校生のを聴いたのが
一番若い団体の演奏で、
中学生も混じっている団体の演奏が
どういう風に聴こえるのか興味が湧きます。

谷川俊太郎氏が書かれた詩の
「生きているということ」と始まるこの曲が
おっさんの私とは
かなり違った実感として歌われることでしょう。


NHK福岡児童合唱団MIRAIさんは
合唱祭やクリスマスコンサートだけではなく、
過去に人形劇やオペラへの賛助出演もされているとか。

多彩な活動の結果が
今回、彩りを加えた演奏に繋がることを!






(同声部門のご紹介を終わり、
 明日からは混声部門のご紹介を始めます)

 

 

 

観客賞スポットライト 同声部門 その1





11月20日の日曜日。
全国大会2日目。
午前10時からの開会式を終え、
同声の部の演奏は10:08から開始の予定です。


出場団体ご紹介の前に観客賞の投票について!


投票方法は2つあります。
(必ず各部門の全団体を聴いてくださいね!)



1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
ハッシュタグ 


#同声合唱16

を付けて
20日同声合唱の部終演(予定12:58)から
審査発表が始まる前の19:30までに
良かった2団体を書いてツイート。


その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
(3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします!



ツイート投票の例:

 

 メンズヴォーカル●● 漢を感じる迫力ある演奏!
▲▲レディースコア 繊細で正確なハーモニーに聴き惚れました。

#同声合唱16

 

 

 

 



ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。
ご投票よろしくお願いいたします!



それでは同声の部の紹介を始めましょう。




…早速今回のスポットライト!



 

 

 



1.東京都・東京都代表

インターカレッジ男声合唱団Voces Veritas


(男声37名・初出場)

 

 

 


特定の学校を母体としない
インターカレッジサークルとして、
首都圏在住の男子学生により結成された男声合唱団。
団名は「真実の声」を意味するラテン語。
世の中に溢れる嘘偽りに惑わされることなく、
自分たちの信じる音楽を
追及したいという想いが込められている。

Voces VeritasHPより

 

 

初出場おめでとうございます!

そして音楽監督・常任指揮者の松下耕先生が
コンクールへ参加されるのは実に14年ぶり!


Voces Veritas団員さんから
メッセージをいただきました。
(Voces Veritasさんは
 ご自分の団を『 VV 』と略されるとか)

 


まず特定の学校を母体としない
インターカレッジサークルについて。

 


インカレ団体の良し悪し


インカレ団体は団員集め、練習会場の確保が大変です…。
でも様々な大学から男声合唱が大好きな学生が集まるので、
音楽に没頭できる事が楽しいです。
何より『松下耕』という存在ですね。
息子世代でもある僕たち学生に対して
時には熱く檄を飛ばし、
時には涙を流して喜び合ったり、
そしてお酒を飲んで下らない話をしたり(笑)。
大学合唱団では味わえないこともたくさんあると思います。

 

 

なるほど…。
単体の大学の合唱団は
サークルとしての側面は避けられないと思うのですが
より音楽活動に集中できるのが
インカレ合唱団の特長でしょうか。



Voces Veritasさんの課題曲は
M2 Fölszállott a páva (Ady Endre 詩/Kodály Zoltán 曲)

そして自由曲はEric Whitacre
「Lux Aurumque(黄金の光)」
松本望「天使のいる構図」より「Finale」

宇宙の広がりを感じさせる響きのウィテカー、
優しい語り口から弾むような命を感じさせる松本作品。

さらに松下先生14年ぶりのご参加の理由は?

 

 


今回の出場に際して、団員から先生に出場打診をし、
先生と団員でかなり相談を重ねて決めました。
創団7年目の今年、創団当初の団員が全員卒団し、
「VV再スタート!」という気持ちで挑戦してみよう!と。

そのタイミングで課題曲が
コダーイだったことは大きかったです。
松下耕といえばコダーイと言っても過言ではないでしょう。
なので一番力を入れて練習してきました。
自由曲の取り合わせについてはVVの良さが発揮でき、
VVが歌うことに意義がある曲を選曲していただきました。
作曲家の国籍も、言語も異なる三曲ですが、
それらを超越した“祈り”と“希望”という
大きなテーマを歌にのせて届けられるプログラムですし、
それだけにしっかりと歌わなければという責任も感じています。

 

 

ハンガリーで学ばれた
松下先生の手によるコダーイは楽しみですね。
そしてこのご選曲、
「祈りと希望」というテーマに
納得する気持ちがあります。

最後に全国大会への意気込みは?


初出場の全国大会、しかもトップバッター!
ステージではありのままの自分たちを全てさらけ出し、
1人でも多くの方の印象に残る"さわやか”な演奏を目指します!
この大舞台での演奏がVVという団の
大きな一歩となるように頑張ります!
早朝ですがぜひ会場で聴いてください!(笑)

 

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(コンクール前日練習での円陣の様子だそうです)




VV団員さん、ありがとうございました!
文面からしっかり熱い意気込みが伝わりました。

全日本合唱連盟公式ツイッターさんの
合唱団紹介によると
VVさん、首都圏以外での演奏は今回が初めてだとか!
…首都圏を飛び出して初めての演奏が鳥取、
しかも朝10時の演奏!!
https://twitter.com/JCA_from1948/status/796550035471212544?lang=ja


このブログをご覧のみなさん、
遅刻厳禁ですよ!





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コンクール当日の打ち上げの様子だそうです。
VVのみなさんと松下先生が
充実した演奏をされて、
美味しいお酒(とノンアルコール)を飲めますように!(笑)









つづいておかあさんコーラスでも活躍されるこちらの団体。










2.神奈川県・関東支部代表

 湘南はまゆう

http://www.k4.dion.ne.jp/~s-hamayu/


(女声37名・2年ぶり・第61回大会から7回目の出場)




混声部門に出場の
Combinir di Coristaさんを指揮される
松村努先生が指揮者の団体。
言葉にこだわられた優しい響きが特徴です。


はまゆうさんの課題曲は
F4 木のように(「悲しみの意味」から) 
(星野富弘 詩/なかにしあかね 曲)


自由曲は信長貴富作曲
「君死にたまふことなかれ」より
「君死にたまふことなかれ」



「木のように」は先日の高松での全国大会で
女子高生が歌うのを何度も聴きましたが
はまゆうさんの年代の方々が歌われると、
詩によりいっそう深みが出そうです。

信長先生の「君死にたまふことなかれ」は
与謝野晶子の言葉の熱さに負けない劇的な曲想。
こちらもさまざまな想いがこもった演奏を期待できそう。


ここではまゆう団員muffさんのブログ
 「はまゆう練習のーと」。

http://blogs.yahoo.co.jp/muffmuffalf

全国大会出場が決まった時の記事「復活」から
抜粋させていただきましょう。
muffさんの文章はこのブログでも
何度も掲載させていただきましたが
とても味わいがあるものです。

 


なんと!全国大会に復活しました!!
本当に行きたかったけど、
本当に行けるなんてビックリです!!!
自分たちで掲げていた目標ではありましたが、
最初は本当に遙か彼方のかすかなもので、
正直なところバクチかハッタリに近かったかもしれません。
合唱コンクールはどこを見ても若い人ばかり。
子どもどころか、階段ですれ違うのは
孫に近いような児童合唱団・・・
それでも、私たちのような合唱団が醸し出す音楽だって、
何か伝わるものはあるはず。
リオオリンピックの陸上400メートルリレーのように、
ファイナリストが一人もいなくても
チームの力で銀メダルが取れるじゃないかと
自分たちを励ましてきました。
(中略)
この先もこの曲とともに成長して、
鳥取でももっと進化したいい演奏を
全国の方に聴いていただきたいです。
少しずつできなかったことが
できるようになってくるのはとても嬉しいし、
まだまだできることがあると思えるのは
もっとわくわくします。
年を重ねてもこんな経験ができるのですから、
やりがいがありますね。
またがんばりましょう♪
 

 

 

はまゆうさん、来年の1月29日に
創立30周年、第15回目のコンサートがあるそうです。


 

 
まだまだできることがあると思えるのはもっとわくわくします。

 

 

…うん、良い言葉です。
はまゆうのみなさん、がんばってください!








続いては・・・本当に「孫に近いような児童合唱団」が(笑)。







3.北海道支部・北海道代表

HBC少年少女合唱団シニアクラス

http://www.hbc.co.jp/hbc/jr-chor/index.html

 

(女声62名・4年連続・第57回大会から5回目の出場)

 



HBCは北海道放送株式会社(Hokkaido Broadcasting Co.,Ltd.)の略称。
1957年に前身のHBC児童合唱団。
1965年に中学生を加えたHBC少年少女合唱団を創立。

今回出場されるシニアクラスは
中学生と高校生のメンバーとのこと。

指揮は混声部門で出場のBaumも指揮される大木秀一先生。


HBC少年少女さん、
課題曲はF2 Hegyi éjszakák Ⅲ(Kodály Zoltán 曲)

自由曲はGuy Forbes
「O Magnum Mysterrium(おお大いなる神秘)」
Efrem Podgaits
「Dithyramb(酒神讃歌)」


アメリカの作曲家Guy Forbesの作品は
2年前Baumで「O Nata Lux」を演奏されていました。
大木先生お気に入りの作曲家なのかな?
少しの哀しさと美しい旋律が最後の輝かしいアレルヤに。

ロシアの作曲家Efrem Podgaitsの作品。
タイトルの「Dithyramb」はギリシャ語由来の言葉で、
元来ギリシャ神話の酒神ディオニュソスを称える
誉め歌だったとのこと。
https://www.panamusica.co.jp/ja/product/19172/



・・・中学・高校生がそんな詩を歌って良いのか(笑)。


リズムやダイナミクスの激しい変化がある曲想らしいので
自由曲2曲の対比が楽しみですね!








さて、今回のスポットライトPart2!
同声部門だけでなく、
この日最大人数の女声合唱団です!!




 

 





5.愛知県・中部支部代表

HIKARI BRILLANTE

(女声129名・4年連続・63回大会から5回目の出場)




光ヶ丘女子高校合唱部OGを中心に結成。
現在は光ヶ丘女子OG以外の方の参加も歓迎しているとか。


昨年、この観客賞では圧倒的な得票数で第1位。


課題曲の「夏へ」は異世界へ連れて行かれるよう。
そして信長先生の名曲「百年後」は
「音の洪水に圧倒された」
「前奏から涙が飛び出た」
「百年後に届かせようとする強い意志を感じた。
 …いや、実際届いているのかも?と信じさせる演奏」
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/14/204837




大人数の団体ですが
人数の多さに頼らない、
団員さんひとりひとりが
しっかりと歌われている団体です。



HIKARI BRILLANTEさん、
課題曲はF2 Hegyi éjszakák Ⅲ(Kodály Zoltán 曲)

自由曲は三善晃作曲
「三つの夜想」より「或る死に」



ブリランテのみなさんからメッセージをいただきました。

 

 

皆様、こんにちは!HIKARI BRILLANTEです。
全国大会は4年連続5回目となりますが、
今年も素敵な舞台で歌わせていただけることを、
団員一同とても嬉しく思っております!

私たちは今回、
コダーイの「山の夜」を課題曲として歌うに当たり、
ハンガリー動乱について学びました。
繰り返してはならない争いの歴史を知り、
平和の尊さを伝えられるように、
一つ一つのヴォカリーズに思いを込めて練習しました。

自由曲は「三つの夜想」から「或る死に」を演奏します。
この曲は、村松英子さんが18歳の時に書いた詩に
三善先生が作曲をされたものです。
ブリランテは、当時の村松さんと同年代の
高校生・大学生・社会人から成っています。
立場が違う団員同士、普段から一緒に練習することで、
歌詞にある「私は知る」という言葉に、
とても共感できました。
また、天国へ旅立った先人たちが残したものが、
私たちの大きな支えになっていることに気づかされました。

そして、いつも私たちを支えてくださっている白鳥先生は、
高校生の指導をされるのは今年が最後になりましたが、
ブリランテは来年以降も指導してくださいます!
いつまでも、先生と共に音楽をしたい私たちにとって、
本当に嬉しいことです。
そんな大好きな白鳥先生のピアノで
「或る死に」を歌うことができ、本当に幸せです。

「或る死に」の村松さんのように、
私たちはたくさんの方々の温かさに触れながら、
日々成長しています。
全国大会では、すべての方への感謝と、祈りを込めて、
三善先生とコダーイの世界を、
大好きな雨森先生、白鳥先生、たくさんの仲間とお届けします♪!

 

 

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ブリランテのみなさん、ありがとうございました。

そう、ピアノを弾かれる白鳥先生は
今年度で光ヶ丘女子高のご指導は最後なんですね。
先日聴いた高松の全国大会でも
信長先生の女声合唱・チェロ・ピアノのための「麦」より
「悪意~異教徒の祈りから~」を指揮の雨森先生と共に
息の合った、素晴らしい演奏を聴かせていただきました。
ピアノとチェロと100人を越えた女声合唱のアンサンブルが
室内楽を思わせる精妙さと音色。
「主よ」と強く何度も呼びかける最後は
身体全体に寒気がはしるほど強烈な印象を残す演奏でした。



「或る死に」は死を題材にした作品ですが、
若さゆえの生の不安定さというのでしょうか。
死者を身近に感じ、憧れをも思わせる、
繊細な心の揺れに三善先生が美しく、
そしてドラマティックに曲想を付けられています。

雨森先生にお話を伺うと、
この「三つの夜想」は雨森先生が三善先生から
初めてレッスンを受けられた曲だとか。

「頭が真っ白になるほど無我夢中で振って。
 そうしたら三善先生が一言。

 『雨森君。…ぼくは君の演奏、好きだな』と」




メッセージから
 

 

また、天国へ旅立った先人たちが残したものが、
私たちの大きな支えになっていることに気づかされました。

 

 


村松英子さん、「或る死に」の最後の章はこう結ばれています。

 



私は知る -私を
支えてくれる堅固な柱を
私のために かるい笑いをたたえたままで
旅に立った者を




HIKARI BRILLANTEのみなさんの心、
いまを生きられている、
その心のありようのままの演奏が、
どうかまっすぐ客席に伝わりますように。








最大人数の女声合唱の次は
最少人数の女声合唱の登場です。









5.島根県・中国支部代表

女声合唱団フィオーリ

(女声26名・4年連続・第45回大会から17回目の出場)



全国大会出場はベテランの域に達しているフィオーリさん。

課題曲はF3 じいちゃん(「まどさんの詩によるみっつのうた」から) 
(まど・みちお 詩/松下 耕 曲)

自由曲は三善晃作曲
こどものための合唱組曲「オデコのこいつ」より
「けんか」
「なぜ」


蓬莱泰三氏がアフリカ・ビアフラ共和国の
ビアフラ戦争を題材にした詩。
日本の少年の頭の中に
飢餓に苦しむビアフラの子供が入り込むという内容。

1972年の作品ですが
三善先生の音楽は現代にも通じる新しさを持っています。


中国大会でフィオーリさんの演奏を聴いたのですが
課題曲は人数以上の豊かな声がシンフォニーホールに響き。
音色、表情変化も巧く、語り口も優れていて。
この時点で「1位だな!」と思いました。


自由曲の「オデコのこいつ」初演は
ひばり児童合唱団によるもの。
「こどものための合唱組曲」を
大人が歌う意味を
しっかり伝えていただきたいと願っております。

 

 



(明日の夜更新予定の同声合唱部門後半に続きます)

 

 

観客賞スポットライト 室内部門 その2








17分の休憩後、15:20から
室内合唱部門の後半が始まる予定です。



後半最初の団体は初出場の団体。

 

 

 




6.岡山県・中国支部代表

倉敷少年少女合唱団

(女声24名・初出場)


初出場おめでとうございます!
私が住んでいる倉敷から
全国大会へ出場する団体が出るとは。


全日本合唱コンクールの全国大会は初出場ですが
福島県で行われた声楽アンサンブルコンテスト全国大会で
金賞を受賞された実力ある団体。

私も今年の中国大会で演奏を聴き


課題曲F2 Hegyi éjszakák Ⅲ(Kodály Zoltán 曲)
中学生ぐらいの年代が多く

小学生もいると思うのに
整備され、とても良く鳴る声。
ドラマを作り音楽の表情も優れていました。

自由曲1曲目ナンシー・テルファー「Kyrie」
2曲目ヨーゼフ・ヴォルフガング・ツィーグラー「Gloria」

カナダとオーストリアの違った作曲家のミサ曲。

並々ならぬ緊張感と表現に懸ける迫力!
1曲の中での音楽の変化はしっかり表現され良かったです。


…などと感想を書いていました。

倉敷少年少女合唱団さん、
12月18日にコンクール曲や
ミュージカルも演目に入れた
クリスマスコンサートを開催されるそうです。

コンクールが終わってから間もないですが
がんばって欲しいものですね。




 



続いて菅野正美先生が指揮される若き実力合唱団。


 





7.福島県・東北支部代表

L'Aube des Temps(ローブ・デ・タン)

(混声19名・第66回大会から4回目・4年連続出場)



昨年の観客賞座談会では
 

 

派手さは無いけど、誠実に演奏しているのが伝わる。
正統派というかキチンと音楽を作ってましたね。

 


などという感想のほか、
英語の発音など細やかなところに
名匠:菅野正美先生のお力を感じました。

昨年の自由曲は
Leo Sowerby作曲
「Eternal Light」 (永遠の光)
Xabier Sarasola作曲
「Neskatx' ederra」(美しい女)

…と『歌』を前面に出した選曲で。

こういうストレートに「良い曲!」と思わせる選曲を、
東北らしい澄んだ発声で演奏されると
また格別な感じがします。
次回の選曲も楽しみです!
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/12/14/165758


そんな風にまとめた昨年。
さて、今年の選曲は?


課題曲はG1 Che se tu se'il cor mio 
(Giovanni Battista Guarini 詩/Claudio Monteverdi 曲)

自由曲はAnton Bruckner
「Virga Jess(エサイの枝は芽を出し)」
スペインの作曲家Julio Dominguez
「Deus, qui illuminas(すべての人を照らす神よ)」


ブルックナー、モテットの名曲と
「Deus, qui illuminas」は
神秘的な女声から、
繰り返され、高まる「Deus(神よ)」が
シンプルながら説得力を持つ作品。


L'Aube des Tempsさん、
昨年より人数が5人減ってしまったのが
少し心配なのですが
きっと繊細で歌を活かした
胸を打つ演奏をして下さることでしょう。




 

 

 

 


さて、今回のスポットライト!
Vineさんとは別の意味で
コンクールを感じさせない演奏をするこの団です。




 

 



8.長野県・中部支部代表

合唱団まい

(混声23名・8年連続出場・49回大会から14回目の出場)



昨年は自由曲のブラームス「愛の歌」で
指揮者の雨森文也先生が
ピアニスト平林知子先生と連弾で演奏し
話題を呼んだ団体。

 


19世紀の人たちは、
こんな風にブラームスを歌っていたのかな、と
思いました。


サロン的な雰囲気でね!


…などと(笑)。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/07/203747



今年の課題曲はG1 Che se tu se'il cor mio 

自由曲は三善晃
「五つの童画」より「やじろべえ」
信長貴富
「もし鳥だったなら」より「唄」


昨年は他の室内混声の7団体がすべてG1。
まいさんだけがG2を選ぶほどだったのに今年はG1。
そして三善先生と信長先生とのカップリングにどんな意味が?
まい団員さんからメッセージをいただきました。

 

 

 

長らくイタリアマドリガーレ、
フレンチシャンソンを歌ってきていたまいが、
これまでレパートリーになかった
ブラームスのドイツロマン派合唱作品に
真正面から取りくみ石の上にも三年。
そこで得たものを踏まえ、いざ、原点回帰!
ということで満を持して選ばせていただいたのが
モンテヴェルディ「Che se tu se'il cor mio」です。
私たちが愛してやまない
劇的なモンテヴェルディをぜひお聴きください!


自由曲は、三善晃作曲「五つの童画」より「やじろべえ」 

走馬灯のように目まぐるしく広がる戯けた音楽は、
まるでやじろべえがはしゃいでいるようにも聞こえます。
最後に説かれるかなしいやじろべえの真実。
訪れる絶望、失意。
「私は、それらを胎生の糧としない愛を信ずることができない」
と記す作曲者の深い愛は、
哀しいやじろべえの真実をも引き受けてゆきます。
短い曲の中の濃密なドラマをどんな風に表現できるか。
がんばります!


そして、信長貴富作曲「もし鳥だったなら」より「唄」 

「唄」は、詩人、建築家として嘱望されながら、
24歳という若さで亡くなった
立原道造の詩がテキストになっています。
亡くなる半年前の10月、
病身をおして東北地方への旅を強行した折に書かれました。
明らかにいのちを縮めるようなこの旅で、
「ああ、私は生きられる・・・・よい 時をえらんだ」と、
歌った道造。
彼にとって生きることは、現実を遠く置き去りにして、
ただ歌うことの中だけに見出されていたのかもしれません。
道造の見た東北の明るい秋の情景がそのまま浮かぶような、
穏やかな秋の日差しや青空を感じる信長貴富の音楽。
道造の言葉とともに湧き上がる生きることへの喜び、確信、
熱い思いをどのように歌いきるか。
団員一同精一杯挑みたいと思います。

 

 

 

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まい団員さん、ありがとうございました。
今回のまいさんの選曲について
雨森先生に伺った時、

「信長先生が小学校5年生の時に聴いて
 衝撃を受けた演奏があった。
 それは安積女子高校(現:安積黎明高)の演奏する
 三善晃先生の《狐のうた》から「訓戒による」。
 人生を変えたと言っても過言ではないほどだったという」

そうお聞きしました。
まい団員さんのメッセージはこう続きます。

 

 

三善晃の最高傑作の一つといえる五つの童画のやじろべえと、
三善晃を師と仰ぎ心から敬愛している作曲家 
信長貴富の原点ともいえるような初期作品のひとつ、唄。
並べて歌うことで、
根底に通じるものが見えてくるのではないでしょうか。
特に、現在演奏される機会の少ない「唄」について、
この曲に再び光を当てたいという
指揮者のたっての願いも選曲の理由の一つとなりました。

 

 

 

 

身体は現世から失われても作品に宿り、
さらに師と仰ぐ者の作品へ受け継がれる命。
合唱団まいさんの演奏なら
それを感じさせて下さると期待しております。

 

 

 

 

 






つづけて今回のスポットライトPart2!
実力も人気もNo.1の団体と言えば…?



 

 

 

 

 

 



9.佐賀県・九州支部代表

女声合唱団ソレイユ

(女声24名・11年連続出場・59回大会から11回目の出場)

 


3年連続1位金賞、
当ブログの観客賞でも2年連続1位の団体!


以前は「私たち、こういう曲をやります」
…みたいな、得意不得意があったんですけど、
今は何を持ってきてもソレイユの色という。
強靭さ、合唱団としての揺るぎなさが
備わってきた。


横綱相撲的な!

 


さらに昨年は課題曲のメンデルスゾーンで
オルガンを使用し、その完成度の高さも
話題になりました。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2016/01/09/094910



ソレイユさんの課題曲は
F2 Hegyi éjszakák Ⅲ(Kodály Zoltán 曲)

自由曲はPetr Eben
"Medicamina sempiterna(永遠の美容法)"より
De Facie formosa(1.美しい顔について)
De arte faciem colorandi(2.化粧の仕方について)
De crinibus(3.髪のお手入れについて)
De pulchritudine sempiterna(4.永遠の美しさについて)



ほう、「永遠の美容法」は高校生の演奏で
何度か聴いた覚えがあります。
一般の部では最近あまり演奏されないかな?




ソレイユ代表池田さんから
メッセージをいただきました。

 


課題曲

ヴォーカリーゼ、しかもA(ア)だけの曲は初挑戦です。
山の夜の静寂さや神秘的な空気感が伝えられるように、
色々なAの音を試行錯誤しながら練習しています。
鳥取のホールでどんな世界を表現できるか、
私達も楽しみにしています!



自由曲

古代ローマの詩歌をもとに作られた曲です。

まず、歌詞が面白いです。
日本語で歌えないのが残念でもあります(笑)。
ツッコミどころも多く、2曲目なんかは
「え!そんなに素顔見られちゃダメ!?」と
やるせない気持ちになりますが、
4曲目の歌詞でやっと、
「でも結局は中身が大事だよね」と
少し報われたような気持ちになります(笑)。
女性ってお化粧とか髪のお手入れとか
オシャレしたりとかめんどくさい!
って思うこともありますが、
それがまた楽しくもあります。
女性の醍醐味ですよね。

エベンの精巧で力強い曲の中に、
とても温かいメロディがちりばめられたりしていて、
歌うたびに感動しています。

結成11年が経って、お肌の曲がり角を曲がった人も
まだまだピッチピチの人もいますが、
少し大人な「永遠の美容法」をお届けできたらと思います。

 

 

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池田さんありがとうございました。
詩は古代ローマの詩人
プブリウス・オウィディウス・ナソ
(Publius Ovidius Naso 紀元前43年生)らしいのですが。

詩の全訳も送っていただいて読んでみたら
これが面白い!
全部載せたいところですがそれは控えて、

池田さんも
「え!そんなに素顔見られちゃダメ!?」と
やるせない気持ちになったという
「2. 化粧の仕方について」を抜粋しましょう。


 

 2. 化粧の仕方について

女の子たちよ、
毎日君たちの顔を手入れすること、
そしていかに美を長く留めるかを学びなさい
君たちは、元々は花が咲くように輝いてはいない顔を
化粧という技術によって
器用にそれらしく染められることを知っているだろう
(中略)
ただ、あなたの恋人に
このお化粧のツボというのを
発見されないようにだけ気をつけなさい
ただただこっそり、秘密にお化粧を使いなさい
朝早くに素のぼやっとした顔で出てくるのではなく、
完全にお化粧を仕上げてから恋人の前に現れなさい
君の化粧してない青ざめた頬を知ったところでどうなるだろうか?
(化粧している姿を見せないために)寝室のドアをしめなさい
誰が化粧していない未完成なあなたを愛するだろうか?
女の子たちよ、
毎日君たちの顔を手入れすることを学びなさい 女の子たちよ・・・!

 

 



化粧しなくても美しいソレイユのみなさんをご覧あれ!・・・あれ?

 

 

 

 

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(練習中に作ったハートマークだそうです!)


 

 

 

 



室内部門、最後の団体です。

 

 

 

 

 



10.徳島県・四国支部代表

Serenitatis Ensemble

(混声20名・4年ぶり・第65回大会から2回目の出場)

 


結成が2005年の「セレアン」とも呼ばれる
Serenitatis Ensemble。
Serenitatis (セレニターティス) には、
ラテン語で「晴れやかな」「穏やかな」という意味があるそうです。


課題曲はG1 Che se tu se'il cor mio 

自由曲は武満徹
「うたうだけ」
「恋のかくれんぼ」


どちらも谷川俊太郎氏の詩。
ジャズが自分の原点と語られた武満氏らしく
とても洒落たメロディとハーモニーを持っている曲です。
「恋のかくれんぼ」は
1987年の選択曲(課題曲)にも選ばれていますね。

4年前に出場された時は
指揮者の白神直之さんは
 

 

それぞれメンバー個人がもつ希望や幸福感、
はたまた絶望感や悲壮感、
そんなものが歌にこめられてこそ、
指揮者主導ではなく合唱団主導の
「団らしい演奏」ができるのではないかと思っています。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/20121108/1352379257

 


…と語られていました。
最近はジャズコーラスにも挑戦中だというセレアンさん。
まさに「うたうだけ」の詩にふさわしい団体ではないでしょうか。





1. むずかしいことばは
  いらないの
  かなしいときには
  うたうだけ
  うたうと、うたうと、うたうと
  かなしみはふくれる
  ふうせんのように
  それが わたしの よろこび


(谷川俊太郎「うたうだけ」より)

 

 

 

 

 

 



(明日の夜の同声部門のご紹介に続きます)