観客賞スポットライト 混声合唱部門 その4

 

 



お江戸コラリアーずさんの記事でもご案内しましたが、
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/11/14/125506

今年は部門による客席入れ替えのため、
「客席への荷物置き」をされると
スタッフさんが非常に困ってしまいます。
お気を付けください。


そして出演者のみなさま!
ホール内のクロークのキャパがそれほど大きくないので、
出演者側は極力外部のロッカーを利用してくださると
大変助かるそうです。
ご協力よろしくお願いいたします。


↓ こちらのリンクが参考になるかと。

池袋駅のコインロッカー攻略!
安くて絶対空いてる穴場スポットを紹介!

http://tokyolucci.jp/ikebukuro-coinlocker 

 

 

 

 

また東京芸術劇場には
託児サービスも用意されているそうです。



 

 

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さあ、今日も3団体をご紹介します。
最初はなんと全国大会3日前に
●●●を予定されている団体です。


 

 

 

 




10.山形県・東北支部代表

鶴岡土曜会混声合唱団

https://twitter.com/tsuruokadoyokai

(54名・2年連続出場・第50回大会以来11回目の出場)




昨年は三善晃先生の「嫁ぐ娘に」を自由曲に選ばれ
「テノールが軽やかですごく良かったです」
「明るい響きでバランスも良かったね」
…などと好評だった鶴岡土曜会さん。


今年の選曲は
課題曲はG1 Adorna thalamum tuum, Sion

自由曲は谷川俊太郎詩・三善晃作曲
「五つの願い」より
「1.春だから」
「2.子どもは……」
「3.願い 一少女のプラカード」

ええっ?! 課題曲の「子どもは……」を自由曲に?

代表の阿部さんからメッセージをいただきました。 

 

 

今回は「名曲シリーズ」を見ながら、
「どの曲も歌ってみたい」とか
「うちの合唱団にはどれが合ってるかな」とか
考えた挙げ句、
課題曲をどれにするかという議論の前に
「自由曲では、この "子どもは……" を
 歌うことにしよう」と決まりました。
これを課題曲にしてしまうと、
自由曲の選曲がちょっと難しくなるかなというところ、
「あ、自由曲にしてしまえば
 『五つの願い』からあと何曲か歌えるし、
 課題曲で別のテイストを見せることができそうだ」と、
ストンと落ちた感じでした。

結局は、曲集での流れや時間的な要因から、
「春だから」「子どもは…」
「願い 一少女のプラカード」という順で
演奏することにしましたが、
それぞれの曲の特徴を
どのように表現できるか悩んでいるうちに、
「子どもは……」のいわば「課題曲感」というものは、
少なくとも自分たちの中では薄れていきましたので、
聴いて下さる皆さんにも
そのあたりが違和感なく伝わると良いなあと思っています。


課題曲については
G1とG2とのどちらにするかで少し迷いましたが、
G1の方が私たちの良さを引き出してくれそうな感じでしたので、
G2は泣く泣く(笑)あきらめました。
(が、いつかきちんと取り組んでみたい曲ではあります)

私たちは、約50名の中型合唱団で、
団員の年齢層が幅広い(高校生から60代まで)こともあり、
「爆発的な何か」を持ち合わせているわけではありませんが、
私たちなりの精一杯の演奏をお届けしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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東北支部大会演奏後とのこと。

 

 


阿部さん、ありがとうございました。

なるほど~。
「子どもは……」は
「五つの願い」では2曲目の順になりますが
自由曲として選べば曲集での流れそのままにできます。
課題曲で演奏するのとは
また違った魅力が表出されるのでは。

東北大会を聴かれた方の感想では
「課題曲を自由曲にする。
 三善先生の作品へのああいうこだわりが凄いと思った。
 そしてこれがまた良いサウンドでした!」

三善先生の作品を多く演奏されてきた
鶴岡土曜会さんのこだわり、
今回も堪能したいと思います。

…ってそうそう、この全国大会前の予定のお話!

 


ここからは宣伝になりますが、
11月23日(祝・木)には
第66回定期演奏会を開催致します。
昨年、お江戸コラリアーずさんが歌われた曲集
「若者たち」を信長貴富さんに
混声版としても編曲していただき、
初演させていただきます。
「昭和歌謡とともに成長してきた世代」と、
「まったくの平成世代」とが融合して、
ひとつの世界を歌うことができたらなあと思います。

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なんと全国大会3日前に演奏会とは!
これは応援せざるを得ません!

鶴岡土曜会合唱団さん、
演奏会も、全国大会もがんばってください!!


 

 

 

 

 

 




続いては昨年の観客賞混声部門で第1位!
出場された前8回すべて金賞の超実力団体です!


 

 

 

 

 

 

 

 



11.東京都・東京支部代表

Combinir di Corista

(38名・4年連続出場・第61回大会から9回目の出場)


 


昨年は自由曲に信長貴富「春と修羅」より「II」を演奏し

 

一曲の中でいろんな声を使い分けてましたね。

サウンドスケープの世界がもの凄かったです。
あと最後の修羅感ヤベェ!

ヴォカリーズで鳥肌立った!!

心に刻み込まれました。

緊張感が充溢する中、
さまざまな声、声の演技が錯綜し、
宮澤賢治の世界を眼前に迫るまで創り上げていました。


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/02/19/203458

 

 
…など、持ち前の素晴らしい発声と知的な表現に
さらに熱さが加わり、観客賞座談会でも大人気!
混声部門で第1位の結果となりました。

 

 

レパートリーの「品揃えの豊富さ」にこだわるということから、
コンビニエンスストアーにちなんで
「コンビーニ・ディ・コリスタ」としました
(団HPより)


そんな通称:コンビニさん、今年の演奏曲は
課題曲G3 「子どもは……」

自由曲はGyörgy Ligeti「Lux Aeterna」。

おおお、リゲティの「ルックスエテルナ」を自由曲に?!
これはかなり凄い選曲です。

コンビニ店員さんからメッセージをいただきました。

 


こんにちは!私たちコンビニについて
紹介する機会を頂きありがとうございます。

自由曲である
〝LUX AETERNA"を歌うことが決まったのは、
東京カンタートへの出演の詳細が決まった昨年末。
まさかの難曲に店員一同驚くとともに
武者震いしたものです。

それから始まった練習は
コンビニにとって困難の連続でした。
〝LUX AETERNA"は単一の旋律を各パートが
異なるリズムで歌っていくという曲なのですが、
細かいリズム指定、密集したクラスター和音のため
自分のパートのリズム、
音があっているのか分からなくなり、
長い期間思うように練習が進みませんでした。

しかし松村先生の的確な楽曲分析により
徐々に皆が〝LUX AETERNA"の全貌をつかみ始め、
練習も熱を帯びていきます。

そして東京カンタート、
クールシェンヌさんとのジョイントコンサートを無事終え、
コンクールは…? となった時、
「この機会を逃したらこの曲を演奏する機会は
 もう二度とないかもしれない」、
「もっともっとLigetiの世界観を深めて表現できるはずだ」
という思いが皆の中で強くなり
自由曲として選ばれることになりました。

10年前東京で行われた全国大会、
コンビニは出場することが出来ず
勉強のために皆で聴きに行ったそうです。
(筆者はその時入団していませんでした。) 
そこで仙台のグリーンウッド・ハーモニーさんが
演奏していたのがなんとLigetiの 〝LUX AETERNA"でした。 
あれから10年、再び東京の全国大会で
同じ曲を演奏する機会を頂けたことに不思議な縁を感じます。

また課題曲の作曲家、
三善晃とLigeti二人の少なからぬ共通点は、
第二次世界大戦中における壮絶な戦争体験です。
子供への願いを繰り返し
「なおも…」と切に歌い上げる課題曲、
神秘的な音響で宇宙のような世界観
(それこそKubrickの映画のような!)を表現する自由曲と
一見すると対極に位置するように思える二曲ですが、
それらに込められた彼らの祈りや思いを
少しでも感じ取って頂けたら幸いです。

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6月の合宿での写真とのこと。

 

 



コンビニ店員さん、ありがとうございました。


このリゲティの「LUX AETERNA」は大変な曲で
文中にもキューブリックの映画が言及されていましたが
まさに「2001年宇宙の旅」?!
人の声とは思えない、
宇宙を感じさせる響きが存在する作品です。

この手の曲って「どんな演奏でも同じなのでは?」
という疑問の方がいらっしゃるかも。
でも、こういう曲こそ、音、声に対する想像力、
創造力が問われる作品だと思います。

10年前の東京での全国大会で
グリーンウッド・ハーモニーさんが
同じ曲を演奏されていたというのも
確かに不思議な縁ですね。


昨年の「春と修羅」ではサウンドスケープを
見事に演奏されたコンビニさん。
今回の「LUX AETERNA」でも
芸術劇場のホールとは思えないほどの異空間に
私たちを誘ってくれるかと思うと
楽しみでなりません!














続いては室内部門でも出場された
若き指揮者が率いる団体がこの部門でも登場します!















12.広島県・中国支部代表

合唱団ぽっきり

(39名・4年ぶりの出場・第66回大会から2回目の出場)




『一回一回の本番を
 その一回ぽっきりのように大切に演奏していこう』
という願いから名付けられた合唱団ぽっきりさん。

指揮者は室内合唱団“零”でも指揮をされた
縄裕次郎さん。
4年前はE.Whitacre作曲
「Leonardo Dreamimg of his flying machine」を演奏し、
そのフレッシュな持ち味と共に
「若き指揮者が仲間と一緒に!」という一体感が魅力でした。


今年の演奏曲は
課題曲はG1 Adorna thalamum tuum, Sion

自由曲は谷川俊太郎詩・三善晃作曲
ピアノのための無窮連祷による「生きる」


縄さんからメッセージをいただきました。

 


昨年度、9年ぶりに県大会を突破できませんでした。
この一年、“ぽっきり”は苦しみました。
今年のコンクール出場は、
団員全員で議論をして決めました。
私たちは評価されるために演奏するのではなく、
私たちの“うた”を歌おうと。
果たして私たちの“うた”とは何なのか。
様々な曲を検討しました。
曲が決まらず、ため息をついて、
ふと手に取ったのが《生きる》でした。

指揮者の縄にとって《生きる》は
触れることの出来ない曲でした。
初めて《生きる》を聴いたのは、
高校2年生の秋、
広島で活動された合唱指揮者、
田畑政治さんの追悼演奏会でした。 

2度目に聴いたのは、
合唱団松江ファイナルの演奏でした。
この2つの体験が意識的に私を
《生きる》から遠ざけていました。
まだ、自分には無理だ。
この曲の持つ重みに私は耐えられない。
しかし、曲を手に取った時、感じたのです。
今年の、一緒に苦しんできたこのメンバーとなら、
《生きる》が演奏できるかもしれない。
それは私が《生きる》を演奏するんじゃない。
歌い手ひとりひとりの集合として
《生きる》を演奏するんだ、と。
練習ではひとりひとりの《生きる》と向き合いました。
そうして、今の、今しかない
“ぽっきり”の《生きる》が形作られていきました。
決して予定調和などではない、
生のほとばしる営みを、
これが私たちの“うた”なんだ、と!
ホール全体に歌いあげたいと思います。

余談ですが、いくつもの舞台で《生きる》を聴きましたが、
しっくりくる演奏がありませんでした。
特に後半部分がどうしても冗長に感じられて・・・。
印象を根本から変えたのは栗友会さんが演奏された
『じゅういちもんめコンサート』のCDです。
第1音から最後の音まで衝撃的でした。
初めて無窮連祷の意味が分かった演奏でした。
この演奏に出会わなかったら私は
《生きる》を選択することは無かったと思います。

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今年3月に行われた《ぽっきりコンサートⅨ》の写真

ぽっきりコンサートⅩは
萩京子さんへの委嘱初演+萩京子さんの
ピアノでの個展となっております!
HPで委嘱会員も募集しております、とのこと。
http://hiroshimachoral.wixsite.com/gassyoudanpokkiri

 



縄さん、ありがとうございました。
若くして亡くなられた田畑政治さんのことは
私も死後に少し追ったことがあります。

三善先生の「生きる」作曲の動機には
亡くなった方たちへの想いがあり。
その中には田畑さんがいらっしゃったとか。

遠ざけていた名曲に新たに向かい合う決心。
その傍らには苦楽を共にした仲間が。


多くの団体で聴いた曲ですが、
26日はぽっきりのみなさんそれぞれの「生きる」を
また新鮮な気持ちで聴けそうです。



(明日に続きます)