観客賞座談会・同声合唱の部 その1

 

前回は室内合唱部門第1位のこそりさんについてお話ししていました。

 

今回から観客賞の座談会・同声合唱の部をお届けします。

 

まず「観客賞とは?」を簡単に。

 

この観客賞は、13年前から当ブログで続けている企画です。

「各部門の全団体を聴かれた方の投票のみ」で決定する、当ブログ独自の賞になります。

 

審査員による賞や順位は、音楽のプロフェッショナルが真摯に演奏へ向かわれた結果であり、もちろん最大限に尊重されるべきものです。

ただその一方で、

 

「傷はあったのに、とにかく胸をつかまれた!」

「コンクール向きじゃないと分かっていても、涙がこぼれた」

 

そんな声を多く耳にしてきました。

そこで、「観客による投票であれば、審査とは別の価値観が浮かび上がるのでは?」と考え、この企画を始めました。

また「この団体が銅賞だからこそ投票する!」といった判官贔屓を避けるため、投票は審査結果発表前に締め切っています。

 

会場で聴かれた方はもちろん、配信で聴かれた方からも、X(旧ツイッター)やメールで投票を受け付けました。

 

ご投票くださったみなさま、感想を寄せてくださったみなさま、本当にありがとうございます。

専門用語でも、ポロリと出た一言でも、何に心が動いたのかが伝わる感想ばかりで、読んでいて胸が熱くなりました。

「感想を表に出すのは気が引ける」という方も多い中、言葉にしてくださったこと自体が尊いことだと感じています。

 

終演後、私、文吾が司会となって座談会開始です。

同声合唱部門、5

男声合唱団ノヴァーリス(男声42名)

 

 新進気鋭の

 石橋遼太郎先生が指揮者の団体です。

 

 

C イケメンでイイ人なんだってね。

 

 

 イイ人なんですか?!

 

 

A イイ人です、イイ人です。

 

 

C 「お友達になりたいわ~」と

 思う人が多くて評判も良いとか。

 

 

 才能があってイケメンで

 イイ人とか完璧超人じゃん。

 ……なんか急にやる気が失せたな。

 

 

B コンプレックスを爆発させるな(笑)

 楽曲の性質もあるけど、

 全2日間の中で

 この課題曲M4「いきよう」

 いちばん優しさにあふれていたかな。

 いわゆる無骨なグリー調とは

 まったく違う世界だった。

 

 

A 作曲者の相澤直人先生が

 ニヤッと笑うのが目に浮かぶような、

 「こうしたい」と思っていた音楽を

 きれいに具現化した演奏でしたね。

 出だしのユニゾンも本当に美しかった。

 

 

C 石橋先生、バトンテクニックが

 ものすごく巧いですよね。

 「こういう表現をしよう」という意図が

 全部指揮棒に出ていて、

 団員全員がそこに

 きちんと乗ってきている。

 

 

A 社会人の男声なのに、

 声のトーンが驚くほど揃っていて。

 ピッチ感も

 「よくここまで合わせたな」と

 素直に感心しました。

 

 

 確かに。

 社会人男声にありがちな

 荒々しさやはみ出しがなくて、

 常にデリケート。

 各パートの音楽が

 きちんと見えていましたね。

 

 

A 天上天下唯我独尊!

 みたいな人がいなかった(笑)

 

 

C 今回この課題曲は

 2回しか聴いてないけど、

 「……あれ、良い曲じゃん」って

 思わせられた。

 

 

 良い曲を、

 ちゃんと良い曲だと

 感じさせる演奏だったと。

 自由曲は新実徳英「祈り」です。

 43年前に発表された作品。

 

 

A ああ、

 「祈りの虹」を思い出したのは

 そのためかもしれない。

 

 

 同時期に

 「やさしい魚」も書かれていて、

 それを思わせる響きもありましたね。

 中原中也の死へ向かう強烈な想いを

 音楽にした作品だと思いますが。

 

 

C でも、演奏自体は

 かなり抑制が効いていた。

 感情を煽りすぎず、

 節度を保っていた印象。

 

 

 そうそう、抑制と節度。

 ……正直、

 「いつ爆発するんだろう?」

 とは思ったけど。

 

 

B それは文吾さんが

 グリー的なカタルシスを

 期待しすぎ!(笑)

 確かに渋い曲だったけど、

 深く裡に沈み込むような祈りは、

 確かにあった。

 

 

A ダイナミクスや

 音楽の揺れも自然で、

 無理がなかったですね。

 

 

C そういう細部への配慮を見ると、

 石橋先生は

 音楽で要求したいことを

 言葉にする力が

 とても高い指揮者なんだと思う。

 

 

 なるほど。

 音楽の言語化が

 きちんとできるからこそ、

 あの揃ったトーンや

 精度の高い演奏に

 つながっているのかもしれない。

 

 

C 合唱団にわかりやすく要求できる。

 だからこそ、社会人団体でも

 あれだけ統一感が出るんだろうね。

 

 

A クレバーでデリケート。

 派手さや荒さを

 売りにするタイプではないけど、

 新しい時代の男声合唱団として

 とても魅力的でした。

 

 

 近年あまり取り上げられなかった

 「祈り」という作品をあえて選び、

 現在の感性で

 丁寧に掘り起こしたこと自体が、

 音楽への誠実さを

 物語っているように思いました。

 これからどんな楽曲に

 光を当てていくのか?

 ますます楽しみな、

 石橋先生とノヴァーリスさんですね。

 

 

【メール、Xの感想です】

※感想をお寄せいただいたみなさま、

引用を許可していただいたみなさま、ありがとうございました。

 

技術はあるが技術頼りではない品のある演奏。好き!

 

エレガント&ワイルド。

 

課題曲のレガートさプラス包容感、自由曲の緻密なシリアスさが凄かった

県→関東と聴いて今日がベストだった

 

繊細な響きが美しい

ずっと冷静に物事を見つめているかと思ったら、急に感情が剥き出しになって、また見えなくなって驚いた

最後の方石橋さんのうなりが配信にのってた気がする?

 

弱音もすてき。

大人数の力を借りた力の歌い方でなく、すてきな祈りでした。

 

寺漢とノヴァーリスのM4も最高やった

情感たっぷりのしなやかな優しい男声アンサンブルでグッときた🥹心の浄化ソング

 

 

同票第3、出演順に

La Pura Fuente(女声42名)

 

A 全然無理しない声で、

 とても美しかったです。

 

 

C 難しい箇所も

 軽々と歌ってましたよね。

 

 

 普通の人が凄く努力して

 ようやく辿り着く地点が……。

 

 

C その地点が

 彼女たちのスタート!

 

 

 そんな感じしますよね(笑)

 課題曲F3間宮芳生

 Motet Vernaleから「I」が、

 発声や音圧の次元で

 他とまったく違って聞こえて。

 最初の一音で一気に引き込まれました。

 

 

A 日本語のイントネーションが

 自然に演奏に溶け込んでいるのが

 本当に凄い。

 

 

B 音の広がりも圧倒的だったよね。

 「なんだろう、この人たち?」って

 素直に思った。

 清泉女学院のOG団体なんでしょう?

 

 

A 中学は違う先生ですけどね。

2023年から佐々尾優佳先生に代わられています

 

 

B みなさん同じメソッドで

 育っているから、

 音の共鳴が「うわっ」と

 驚くほど揃っていた。

 

 

C クールなのも好印象でした。

 冷静に声のトーンを保ったまま

 音楽を進めてくれるのが

 とても良かった。

 

 

 自由曲は

 Levente Gyöngyösiへの委嘱曲

 「Exsultate, iusti(神のみ前で歓び踊れ)」

 これもとんでもない曲でしたね。

 あれだけ速いテンポで

 リズムに乗りながら、

 歌心もあって、

 細かいニュアンスもきちんと届く。

 

 

B 楽譜を見たら絶句するやつだ(笑)

 

 

A 団員さんも「難しかった」と

 言ってましたよ。

 

 

B そうなんだ。

 でもメモには

 「難しさを感じさせない」と

 書いてあった(笑)

 本当にサラッとやってのけた感じ。

 

 

C 曲の構成で、

 「ここでこうする」という意図が

 全部クリアに出ていた。

 だから新作なのに、

 聴いていて納得感が

 強かったんだと思う。

 

 

 ラプーラさんは

 ジェンジェシ作品を

 これまでも多く演奏してきたから、

 その積み重ねも

 大きかったのかもしれない。

 

 

A カッコイイ曲だったね。

 女声でああいうタイプは

 あまり聴かないかも。

 ラストもきれいに決まってた。

 2曲目は

 Manolo Da Rold「Regina Coeli

 (天の皇后よ、お喜びください)」

 

 

B ここで声のトーンを

 ガラッと変えてきたのが

 印象的でした。

 

 

 この曲は他の団体にも

 歌われそうな難易度だし

 魅力がありましたね。

 「アレルヤ」、

 リズムが可愛らしい箇所なので

 ラプーラさんはどんなかな〜ぁ?❤️

 と、期待してたら予想以上で!

 

 

A それは「おじさん」的な

 期待だった?(笑)

 

 

C いまの言い方、

 かなり「おじさん」だった(笑)

 

 

 すいません(笑)

 マイナスプロモーションでした!

 

 

B 途中で拍子が変わって、

 印象をサラッと

 鮮やかに切り替えたのも、

 すごく自然だったよね。

 

 

 金賞第1位も納得の演奏でしたし、

 間宮、ジェンジェシ、ロルドと

 国も、曲想も違う作曲家の3作品を

 見事に歌い分ける

 ステージでもありました。

 これからもラプーラさんならではの

 選曲と演奏を期待してます!

 

【メール、Xの感想です】

※感想をお寄せいただいたみなさま、

引用を許可していただいたみなさま、ありがとうございました。

 

F3で響きの柱が何本も立っていた。間宮芳生のサウンドだった。

 

上質な音楽を堪能させていただきました。

 

ソプラノの音圧がすごいことになってて圧倒された

キラキラなお声が素敵

 

(課題曲)

・伸びやかな入り。発語も◎。

・弱音でも息のスピードが落ちず◎。

・パートの絡みも良く、レガート感もあり、ハーモニーもしっかりまとまっている。

(自由曲1)

・キレもよく、音もしっかり当たっている。流れも◎。上質な音楽。

・ソプラノ、高音でも乱れず◎。

(自由曲2)

・全体として、しっかりまとまっていて、上質な音楽。

 

F3の不穏さみたいなのが上手く出てる。

アルトが力まず素敵。自由曲よかった!

 

ピアノ系からフォルテ系まで音の安定感と自由曲2曲目の変拍子ながら澄み渡るアレルヤが好きだった

 

(同票第3位の団体感想に続きます)