観客賞スポットライト 混声合唱の部 その1

 

 

丸山千枚田の虫送り(熊野市)
提供:三重フォトギャラリー

今日から混声合唱部門の出場団体をご紹介します。
同声合唱部門が終了した12:57から14:00まで昼食休憩の後、混声合唱部門の始まりです。

 

 

全部門お勧めですが、やはり大会の華と言えばこの混声合唱部門。
全12団体、初出場の団体は無いものの、お久しぶりの団体がいくつも。
今回は3団体をご紹介します。

 

 

三重県総合文化センター  Photo by Nodaさん

 

 


最初は言葉の扱いに長けた団体が福岡から!


1.福岡県・九州支部代表

混声合唱団うたうたい 

https://twitter.com/utautai_choir

 (混声45名・第66回大会以来9大会連続出場)


指揮者は同声合唱部門でメンズ・ウィードさんを振られる高嶋昌二先生。
昨年は

課題曲G3、
「うたをうたうのはわすれても」
ちゃんとアンサンブルしてましたね。
ここで初めて「大人の歌い方」を
聴いたというか。
旋律の歌い方も語感も非常に優れていたので
詩が心に染みてきました。


自由曲:信長貴富
「2.溢れひたす闇に」
「3.浅き春に寄せて」
こちらも良かったですね。
混声合唱の響きとしてしっかりしていて、
音楽のメリハリもあり。


どの曲も詩情の表現が味わい深く、
高嶋先生らしさが前面に出た演奏。
温和なサウンドの歌声でことばの温もりに包まれた。

……と、大変好評でした。

うたうたいさん、今年の演奏曲は

●課題曲
G1 Gaude virgo, mater Christi
Josquin des Prez 曲

●自由曲
「嫁ぐ娘に」より
「3.戦いの日日」
「5.かどで」
作詩:高田敏子
作曲:三善晃

うたうたいさんが課題曲にG1を選ばれるとは!
そして自由曲に三善先生の不朽の名作。
戦争が身近に感じられる今、戦災の過酷さ、そして平和の素晴らしさを歌うこの作品。
うたうたいさんの深い歌心によって、説得力ある演奏をされることを期待しております。

 

 

続いて北海道から豊かな音楽性の団体が久しぶりに!


2.北海道・北海道支部代表

THE GOUGE

https://twitter.com/the_gouge

(混声55名・9年ぶりの出場・第61回大会以来5回目の出場)


信長貴富先生の作品 「夏のえぐり」、
その「えぐり」の英訳である「GOUGE」を団名にされた「THE GOUGE」さんです。
今年Nコン全国へ17年ぶりに出場された札幌北高校のOBを中心に創団されましたが、今は北高出身者だけでは無く一般合唱団と捉えても良い印象です。

 

9年前の感想では

 

課題曲のコープランド
「Have mercy on us, O my Lord」
良かった、良かった!
G2で1番の演奏を選ぶならGOUGEさんかな。
自然にすっと入ってきて
スパイス、ケレン味が無くてもしっかり聴かせる演奏。


自由曲:千原英喜「おらしょ」の「II」は
指揮の平田稔夫先生の音楽がまず良いですね。
流れとメリハリが共存している良い演奏。


表情やテンポが変わるんですけど
それもスムーズに変化していました。
不自然な所が一切無く、
流れる音楽だったのが魅力です。

……と大変好評でした。

 

GOUGE代表の藤嶋美穂さんからメッセージをいただきました。

 

こんにちは!ガウジュです!!お久しぶりです!!!
一昨年は中止、昨年は北海道大会に不参加だったので私たちにとってはコンクールそのものが久しぶりでした。9年ぶりに全国大会に参加できること、団員一同とても楽しみにしております!
今回取り組む曲はG3「草原の別れ」、混声合唱のための「地球へのバラード」から「1.私が歌う理由」「2.沈黙の名」(谷川俊太郎 詩、三善晃 曲)です。
「草原の別れ」では個々の耳を鍛えつつ団員同士の交流を深めるため、パートをシャッフルした並びで歌っています。シンプルであるが故の難しさもありますが、指揮者曰く「練習が終わった後に片付けしながら誰からともなく歌い出す」ときのようなさりげなさ、温かさを大切に歌いたいと思います。
自由曲は「地球へのバラード」から2曲を選びました。三善先生の作品は何度も歌ってきましたが、コロナ禍で思うように歌えなかった時間を経て「三善を歌いたい」という思いが団員の中に溜まってきていたのか、この曲を選んだのは自然な流れでした。「人間を含む生命の星としての地球への愛」をテーマとするこの曲を、感染症との戦いに悩み、人間同士の争いにも心を痛める、今このときに歌う意味を思いながら歌います。
コロナ禍の約2年間、私たちガウジュも一時は団の存続すら危うい状況となりましたが、北海道の合唱仲間、そして日本各地にいる仲間の存在に、歌い続ける勇気をもらいました。この場を借りて深く感謝申し上げます。全国大会という場で多くの方に演奏を聴いていただけることは、長い間想像もつかなかった喜びです。少しでもいい演奏をすることが、皆さんへの恩返しになればと思います。

北海道大会での演奏直後ということ。

 

藤嶋さん、ありがとうございました。
文中の「北海道の合唱仲間、そして日本各地にいる仲間の存在に、歌い続ける勇気をもらいました。」
自分を主張するだけじゃ無く、周囲の仲間たちのおかげで今の自分たちがあるという考えは素敵だな、と本当に思いました。

 

なぜ「地球へのバラード」を選ばれたのか、この問いに指揮者の平田稔夫先生はこう答えられています。

ガウジュは全国大会こそ2013年以来9年ぶりですが、その間、単独演奏会を3回、松下耕先生ら同い年指揮者4人によるジョイント「Four Leaves Concert」を3回開催するなど、演奏会活動の方は充実していました。一方、コロナで練習がストップした期間が長く、その間に離れていってしまう団員も少なからずいて、先日開催したThe Premiere Vol.5を2021年2月から8月、さらに今年8月に延期する話をしていた頃は、存続の危機かもしれないと本気で考えていました。
昨年10月の市民合唱祭でやっと舞台に上がれるかなあと思った時、ガウジュの若手メンバーから「お試しオンステを募りたい」という意見が出て、信長先生の「未来へ」を選曲したところ、たくさんの方が歌いに来てくれ、私もみんなもやっと明るい気持ちになれました。そんな中で、歌の原点に帰りたいとの想いが地球へのバラードの選曲になったのかなと思っています。来年2月の演奏会では全曲演奏するのでたくさんの人に聞いていただきたいですね。

 

平田先生、ありがとうございました。
「歌の原点に帰りたいとの思い」から地球へのバラードを選ばれる気持ちはとても共感できますね。

「地球へのバラード」は東京大学柏葉会さんによる1983年の委嘱作品。
東京の合唱団:CANTUS ANIMAE団員の落合さんが、三善先生への委嘱の経緯を書き記して下さっています。

 

藤嶋さん、平田先生の文を読んでから、初演プログラム三善先生のメッセージがとても響いたので。
不遜かもしれませんが抜粋し、平田先生、藤嶋さん、ガウジュのみなさんへ捧げます。

バラード。それは皆さん自身の愛と生と死の場だ。皆さん自身の存在することそのことのドラマだけが、バラードを、地球への歌とするだろう。地球に歌いかけてほしい、皆さんの生きる抛物線が描くはずの地球に、地球のために。

 


続いては千葉から毎回強烈な印象を与える団体の登場です!

 

3.千葉県・関東支部代表

VOCE ARMONICA

https://twitter.com/vocearmonica

 (混声38名・7大会連続出場・第64回大会以来9回目の出場)


毎回超高いテンション、人数の倍以上に聞こえる練られた発声で強い印象を残すアルモニカさん。
昨年は観客賞第3位。

 

課題曲G2、O salutaris Hostia、
いろいろ工夫していて好きでした。
救世主に助けを請い願う気持ちが
強く伝わってきました。
歌い方すべてに感情が込められているような。


自由曲:信長貴富「とてつもない秋」。
聴いていてワクワクした。
ジェットコースターみたいな
演奏だった気が。
聴く者を強引に引きずり回す(笑)。
生で聴く意味がある、
ライブ感がある演奏だと思いました。


マスク付けてコレかよマジはんぱない
マコトとてつもない
目の前いっぱいに秋が広がりました
いつも驚かされますが、
今回も魔法の様な時間でした

……と、とても好評でした。

 

注目は黒川先生個人から千原英喜先生への委嘱作品である「女殺油地獄(おんなごろし あぶらのじごく)」。
近松門左衛門作の人形浄瑠璃が初演のこの作品は、歌舞伎や映画に何度も扱われる題材です。

指揮者:黒川和伸先生からメッセージをいただいております。

 

2022年度のVOCE ARMONICAは新メンバー16名を加えて総勢40名ほどで全国大会のステージに臨みます。

「入団オーディションなし、生え抜き育成に定評のある(?)、VOCE ARMONICA」。今年度も練習の多くの時間を、選手育成に費やしてきました。目下、チームとして万全の準備をもって全国大会に臨むべく、モリモリ最終調整をしております。

特に課題曲のジョスカンは中期ルネサンス、歌い慣れている後期ルネサンスの作品とはひと味もふた味も違います。たくさんの資料を参照し、有識者からお話を伺い、発音、ムジカフィクタ、テンポ、アルシス・テージス、フレージング、あーでもないこーでもないとアイデアを試しながら四苦八苦。鬼が出るか蛇が出るか、どのような演奏になるか、本番をご期待ください。

自由曲、9回目の全国大会となる今年は、創立15周年を記念して千原英喜先生に委嘱した新曲「女殺油地獄」を演奏します。「不義になって…貸してくだされ…」なぜ殺されたのか?なぜ彼女だったのか?借金のため、親からも金を巻き上げる荒んだ生活を送っていた油問屋の放蕩息子・与兵衛。すれ違う情愛、届かぬ思いの果て、与兵衛の心にとりつく一瞬の闇。300年の時を経た現代にも通じる若者の孤独と狂気の物語。聴いてくださる全国の皆様の心を惹きつけ、「忘れられない衝撃」を与えるような演奏をしたいと思います。

【宣伝】
VOCE ARMONICAでは一緒に合唱する仲間を募集しています。毎週日曜日に、千葉県松戸市や船橋市で練習しています。新年度、関東圏に進学、就職される皆さま、ぜひVOCE ARMONICAでアツい合唱をしませんか?ぜひ一度見学にいらしてください!

関東支部大会、演奏後の写真ということ。

 

黒川先生、ありがとうございました。
「女殺油地獄」を聴かれた人とお話ししたときに
「殺人事件を題材にしているのに、油で滑る、つるつるつるつる……というコミカルな擬音が演奏中に何度もあってね。作品でどういう意味を持つんだろう?と」
「落語とは業の肯定である、という立川談志の言葉のように、千原先生は『つるつる』の滑稽さの向こうにある、人の根源的な哀しさ、人そのものを描きたかったのでは?」
「でも、人生が滑っているという実感はおっさんにならないと理解できないかも」
「滑りっぱなしですからね・・・」
みたいな話をしました。

滑っているおっさんの話はともかく、課題曲から「鬼が出るか蛇が出るか」。
そして自由曲の「女殺油地獄」では、

「忘れられない衝撃」を与えるような演奏をしたいと思います。

ホラー映画のCMか!と突っ込みたくなるほどの黒川先生の真剣さ。
茶化してしまって申し訳ないのですが、最近のコンクールは耳当たりが良い曲、柔らかな演奏をされる団体が多くなって。
それはもちろん肯定すべきことだし、私自身も歓迎してきたこと。
でも、それはそれとして、合唱音楽、表現の限界に挑み、聴衆を極度の緊張状態へ引き込む演奏を目指すのも、また素晴らしいことだと思うのです。

黒川先生とVOCE ARMONICAさんとのこれまでは、愚直なほど真正面に合唱音楽を、演奏を突き詰めてきたもの。
創立15周年を記念して委嘱された自由曲「女殺油地獄」。
これまで以上に、聴く者へ突き刺さる演奏になることは間違いありません。
身構え、深呼吸し、拳を握り締め、聴きましょう!

 

(次回へ続きます)

 

観客賞スポットライト 同声合唱の部 その4

 

 

鵜倉園地(南伊勢町)
提供:三重フォトギャラリー


大学ユースの部その3でもご紹介しましたが
再度、「マスクがずれないための工夫」について。


演奏中のマスク、着用か否かの議論はさておき、着用したときのマスクのズレが気になりますよね。

この記事で「マスクがずれない工夫」という文を書きました。

 

「おんがく広場」の第191号、加藤良一さんが書かれた方法。

https://www.facebook.com/photo/?fbid=5672121672876967&set=a.111355925620264


 

 

○平面型では無く、立体型のマスクを使用

 

○絆創膏の接着面を表にし、輪にしてマスク内側中央の鼻に当たる部分に貼る

 
両面テープより、絆創膏は肌に優しいし適していると思います。
マスクのズレに悩まれている方は是非とも試してみて欲しいですね。
転載をご承諾下さった加藤さん、ありがとうございました。

 

 

同声合唱部門、最後の3団体をご紹介します。

 


9.宮城県・東北支部代表

合唱団Pálinka

https://mobile.twitter.com/choruspalinka

(男声38名・2年連続出場・第50回大会から4回目の出場)


昨年は23年ぶりの出場からの連続出場!
勢いがあるパリンカさん。
ハンガリーの地酒パリンカ、そして小山章三先生の男声合唱曲「パリンカ」を団名に持つこちらの団体。
昨年の演奏では

 

課題曲M3のコンポジション、
古めかしい感じだけじゃ無く、
若い団員さんがいるためか
若さのエッセンスも
出てたんじゃないかな。
大人の男声という雰囲気が
良く出ていたと思います。


自由曲の松下耕「俵積み唄」は
名演だと思ったな。
合唱のハーモニーだったり、
掛け声だったり、
ソロだったり。
バランスが本当に絶妙で。


課題曲も自由曲も、
民謡の土着の音が鳴っていてとても好きな演奏。
特に俵積み唄は作品の持つコミカルさを
表情豊かに表現した快演、お見事でした。

……と好評でした。

パリンカさん、実は今年の自由曲が昨年の課題曲:間宮芳生「合唱のためのコンポジション6」から。
さらに松下耕「俵積み唄」は昨年と同じ演奏曲なんです。
なぜこのような選曲をされたのでしょう?

指揮者:千葉敏行先生からメッセージをいただきました

 

10月30日に念願だったパリンカ石巻公演を行うことができた。80名を超える地元合唱団のみなさんとの合同合唱、700人を超えるお客様を迎え盛況のうちに幕を下ろすことができた。

震災後、石巻で演奏しなければならないと思ってきた。東日本大震災最大の被害地であった石巻、お送り仲間や知り合いのいる石巻。二つのホールが被害を受け、演奏する場所もない。かえって地元のみなさんにご迷惑をかけてしまう……パリンカはチャンスを待ち、力を蓄えようとしてきた。 

ようやく昨年、石巻に本格的な多目的ホールが完成し、パリンカが23年ぶりの全国大会出場を決めたことから、10月、石巻公演の機が熟した。
被災地を励まし、コロナ禍で元気をなくした石巻の合唱界にエールを送り、さらにコンクールを両立させる選曲をした。
課題曲「平林」は、落語「平林」を素材とした珍しい作品。
「合唱のためのコンポジション6」よりⅡ(間宮芳生)は、青森県八戸市の権現舞は小正月の春祈祷のためのもの。
「俵積み唄」(松下耕)は青森県三戸郡に伝わる民謡・門付唄・どちらもその年の一家の繁栄、家内安全、悪魔祓いの曲である。

石巻メンネルコールのみなさんとともに歌った「斎太郎節」は、いつもとは一味違う、魂のこもった歌となった。
石巻市民合唱団、石巻メンネルコール、水明ハーモニー 、Ensembleフレーズ 、おがつオーリンクコーラス 、コール・カトレア、コールパストラーレ、ラ・シャンティーヌ、矢本コーラス愛好会、石巻のみなさんとともに、「あすという日が」「大地讃頌」を演奏できたのは、意義深く、感銘深いものとなった。

石巻市の合唱団とともに。

 

東日本大震災によって、私たちは歌の力、音楽の力を実感し、歌によってつながることの歓びを味わい、頑張ることができた。しかし、コロナ禍に入り、訪れること、つながること、そして「歌うこと」ができなかった。今年は様々なイベントなどに「3年ぶり」という形容詞が付くようになった。できるようになったこともあれば、まだできないこともある。それ以上に、ブランクの間に失われたことの多さに驚きおののくことすらある。どうすれば取り戻せるのか? やはり発想の転換やあり方を改めなければと思うことばかりだ。

しかし、石巻での体験はそればかりではないことに気づかせてくれた。合唱を通して「つながる」ことはやはり素晴らしい、感動的なのだと。これをエネルギーにして頑張っていけるのだと気づくことができた。

本日、全国大会の舞台に参加することができなかった友のために、友が再び笑い、元気に歌う日が訪れることを祈り、演奏したい。 
23年ぶりでガヂガヂになってしまった岡山のリベンジでもある。
どうぞお楽しみください。

合唱団パリンカ常任指揮者 千葉敏行

東北支部大会の集合写真とのこと。


千葉先生ありがとうございました。
昨年と同じ「俵積み唄」を選ばれたのは岡山大会でのリベンジというだけではなく

>被災地を励まし、コロナ禍で元気をなくした石巻の合唱界にエールを送り、さらにコンクールを両立させる選曲

……が理由だったのですね。
昨年の千葉先生の言葉によると「俵積み唄」は、疾走感溢れるピアノ・ソロ,ジャズのテンションコードと,日本民謡の魂が見事に交錯した作品。
東北支部大会の演奏を聴いた知人の話によると「去年からグレードアップした演奏でした!」とのことなので新たな「俵積み唄」に期待が持てます。

自由曲の2曲は「どちらもその年の一家の繁栄、家内安全、悪魔祓いの曲である。」
パリンカさんの歌、祈りによって、聴かれるみなさんへ幸せが訪れることを!

 

続いてこちらもベテランの風格の女声合唱団です。

 

10.熊本県・九州支部代表

合唱団Le Grazie
(女声16名・3年ぶりの出場・第41回大会から16回目の出場)


岩津整明先生を慕い集まった、奥深い表現を得意とする女声合唱団。
3年前の感想では

 

課題曲F3「飛翔-白鷺」は
この年代の方が歌う重みがありましたね。
熟練の演奏でした。


自由曲:信長貴富作曲 
女声合唱とピアノのための
「だましてください言葉やさしく」より
「1.もう一つのコップ(詩:高橋順子)」
「3.愛人ジユリエツト(詩:新川和江)」 、
いやこれはもう2曲まとめて・・・
凄かった!


そういう風に
作曲されているのもあるんだけど
言葉が非常にわかって。
だから音と言葉と感情が
密接に繋がって聞こえました。


ソリストのキャラクターが最高でしたね!
今大会の主演女優賞はあなただ!

……と、大変に好評でした。

 

代表の森さんからメッセージをいただきました。

 

こんにちは。「合唱団Le Grazie」です。
3年ぶり16回目の全国大会参加、 津の全国大会も19年ぶりで団員一同楽しみにしております。 
熊本県立第一高校合唱団のOGが集まり、34年前に立ち上げました。 
昨年は恩師、岩津整明先生が80歳を迎え、 先生と関わりの深い合唱団と一緒に「傘寿記念演奏会」を企画。 しかしコロナにより2度の延期を余儀なくされてしまいました。 来年こそはリベンジしたいです。

今回は3人の女性詩人の作品を選んでみました。
課題曲はF4「定点観測」
初めての詩人、初めての作曲家との出会いです。 
20歳で膠原病を発症、10代から詩と写真で受賞歴がある三角みづ紀氏の詩は、 映画のワンシーンのような一夏の情景を鮮やかに浮かび上がらせます。 流麗なピアノに誘われ、様々な表現を求められる宮本正太郎氏の旋律は美しく、 静かに熱く生を見つめながら歌います。 
自由曲は3年前にも取り上げた、女声合唱とピアノのための「だましてください言葉やさしく」より 
1曲目は「もう一つのコップ」 (高橋順子:詩)
独身女性の日常の一場面を少しシニカルかつ自虐的に綴った詩、 あたかも「ひとり芝居」の一場面のように表現してみました。 
2曲目は組曲の表題にもなっている「だましてください言葉やさしく」 (永瀬清子:詩)
3年前には組曲の中の「愛人ジュリエット」を歌いましたが、 
この2曲目も捨てがたく、今回はこちらを取り上げました。 
なんと言っても心を掴まれる冒頭の信長貴富氏のメロディ、大好きです! 
一見男性に甘える女性の詩のようにも聞こえますが、 封建的な時代と農村の生活で様々なしがらみに縛られる中、 声高に叫び抗うのではなく、優しい言葉一つで騙されたふりを演じてみせるという詩人の言葉は、 閉塞的な環境にいる女性へのエールのようです。 
3人の女性詩人の作品に登場するヒロインを私達なりに演じ分けてみました。
ゆり先生のピアノと共に私達の歌が皆様の元へ届きますように。

九州大会オンステ直後のものということ。

森さん、ありがとうございました。
「定点観測」は今回人気の課題曲で、たくさんの女声合唱団が歌います。
6番目に出場のHBC少年少女合唱団とグラツィエさんとの聴き比べが楽しみですね。

森さんの詩の背景へのご説明に興味を惹かれて。
「もう一つのコップ」はサスペンス、ホラー?!と思わせてからのシニカルな自虐。
「だましてください言葉やさしく」は一見かよわい女性の印象を受けますが、メロディーの変化と相まって実は掌の上で男を転がすしたたかな女性と印象が変わります。

> 3人の女性詩人の作品に登場するヒロインを私達なりに演じ分けてみました。

この年代だからこそ出せる味わい、と言ったら怒られるかもしれませんが。
グラツィエさんの幅広く、奥深い表現力と曲がハマったら凄い効果が生まれるのは3年前にも体験済み。
どうか今年も「主演女優賞」目指して頑張って下さい!
(・・・そんな賞は無いんですが、すみません 笑)

 


同声合唱部門、最後の団体は初出場の女声合唱団です。


11.広島県・中国支部代表

女声合唱団コール・ビビッド
(女声11名・初出場

初出場おめでとうございます!
いつから活動されているのか?どんな団体なのか?
団員さんからメッセージをいただきました。

 

はじめまして!広島県広島市から参りました、コール・ビビッドです。女声合唱大好きな私たちは、団員から指揮者まで、合唱とカワイイを追求するため日夜活動しています。(カワイイ指揮者はTwitterやFacebookで見られます!)2008年の結成以来、「ビビッド」の名にふさわしい「明るく」「鮮やかな」女声合唱を求め続けてきました。念願だった全国大会の舞台で皆様に私たちの歌を聴いていただけることが、何よりも嬉しいです。今日もビビッドな歌声をお届けできるよう、楽しんで歌います。

2008年の12月に、安田女子大学の小さな小さな教室でビビッドは誕生しました。安田女子中学校、安田女子高等学校で合唱をしてきた代表が、大学でも自分たちの歌を歌い続けたいと思い、安田女子大学の同級生と一緒に立ち上げました。その後、同じ大学に進学してきた安田女子中・高の後輩たちや、広島市内の大学に通う合唱仲間たちを新たなメンバーに加えながら、14年間歌い続けてきました。

 

ほう、今年で結成して14年になるのですね。
気になるのはカワイイ指揮者・・・
ビビッドさんは混声合唱部門に出場の「合唱団ある」さんと同じ福原泰弘先生を指揮者に擁する団体です。

 

 

カワ、イ、、い……?

今回のビビッドさんの演奏曲。

●課題曲
F1 Quam pulchra es
John Dunstable 曲

●自由曲
「Magnificat(私の魂は主をあがめ)」
Javier Busto 曲

「Hodie Christus Natus Est(今日、キリストはお生まれになった)」
Karai József  曲

自由曲の2曲にストーリーがあるとか?

 

少人数編成で歌えて、かつ歌いごたえ聴きごたえを兼ね備え、コンクールの時間制限に適した女声合唱を探すのは、毎年苦労しています。当団の指揮者が得意とするのが、現代作曲家による宗教合唱曲。いつもたくさんの案を出してくれるので、団員みんなで参考音源を聞いたり楽譜を見たりしながら、ああでもないこうでもないと悩んでいます。今年は、候補曲の中で気に入ったものを挙げた際、偶然にもキリスト誕生を待ち焦がれる待降節のMagnificat、そしてキリスト誕生の日の喜びを歌うHodie Christus natus estが並び、キリスト誕生のストーリーができあがっていました。これしかない!と満場一致の決定となりました。
当団の指揮者は、宗教音楽に取り組む理由について常々このように語っています。

「私たちは、キリスト教徒でもないのですが、人間に共通する祈りは必ずあり、それは宗教の違いを超えるものだと思います。イエスの誕生について、私たちの救世主ではないかもしれませんが、私たちの心の闇を助けてくれる存在がこの世界にはあって、それに祈ることは、この世界の平和を願うことに等しい。私はそう思っていますし、それを願わない人はいないと思うのです。」

 

ありがとうございました。
中国支部大会の演奏を聴かせていただいたのですが、課題曲F1は上方向へ心地良く解放される声、純粋な祈りのイメージが胸に迫り。
ブスト「Magnificat」は最初から最後まで、明るい曲想への表現に不足も過剰も無く、その解釈に頷きながら聴いてしまいました。
それを受けてのカライ「Hodie Christus Natus Est」は軽快なリズムが若い女声に合い、キリストが生まれた喜びが弾けるようで、素晴らしい演奏だったと思います。

三重大会、最少人数の11人で全国大会初ステージ、さらに部門最後のトリに挑むビビッドさん。
大きく、熱い拍手で出迎えたいですね。
頑張ってください!

 

 

(混声合唱部門に続きます)

 

観客賞スポットライト 同声合唱の部 その3

 

 

七里御浜ふれあいビーチ(御浜町)
提供:三重フォトギャラリー

 

 

今回は3団体をご紹介します。
最初の団体は常連の少年少女合唱団!

 

 

6.北海道・北海道支部代表

HBC少年少女合唱団シニアクラス
(女声41名・9大会連続出場・第57回大会から10回目の出場)


HBCは北海道放送株式会社(Hokkaido Broadcasting Co.,Ltd.)の略称。
1957年に前身のHBC児童合唱団。
1965年に中学生を加えたHBC少年少女合唱団を創立。
今回出場されるシニアクラスは中学生と高校生のメンバーとのこと。


昨年の座談会では

 

課題曲F2:La  Fedeは
立派な声で朗々と歌うアプローチで
この団体に合っていたのでは。


自由曲:Kim André Arnesen
Ubi caritas et amorは
音の厚みがあって
やっぱり北の大地の演奏!
スケールの大きい感じがしましたね。

……という感想がありました。

 

HBCさんの今回の演奏曲は

●課題曲
F4 定点観測
三角みづ紀 詩 
宮本正太郎 曲

●自由曲
Winter Sun (冬の太陽)
詩 Malca Janice Litovitz
作曲 Don Macdonald

Ave Generosa
作曲 Ola Gjeilo

自然に生きる全てのもの、冬の太陽を美しく讃えた「Winter Sun」。
そしてノルウェーの作曲家:イェイロの傑作「Ave Generosa」!
この曲大好きなんですよ~。
哀調を帯びた異国感ある旋律からの精妙な変化、静謐な祈りの表出。

毎回、コンクール向けとは言えない選曲で楽しませてくれるHBCさん。
今回のステージにも期待です!

 

 

 

続いては昨年、観客賞第1位のこちらの男声合唱団!

 


7.大阪府・関西支部代表

メンズ・ウィード
(男声32名・4大会連続出場・第49回大会より7回目の出場)


指揮者は混声合唱部門で「混声合唱団 うたうたい」も振られる高嶋昌二先生。
淀川工科高等学校グリークラブOBの方々が中心の団体です。

昨年の感想では

 

課題曲M3のコンポジション、
クラシックないわゆるグリー調で
旋律をどっしり歌ってくれて。
気合いに満ち満ちインパクトガーン!って
カマす感じの。
聴いていくうちに
往年の淀工の雰囲気を思い出して
「キタキタキターッ!!」


自由曲1曲目:信長貴富
「ひとりぼっち」。
やはり語り口が上手いですよね。
コロナの状況で歌う、
歌い手さんの深い共感と
聴く側の心が通じ合った感が。


2曲目の「ワクワク」
コンクールらしくない選曲だけど
本当に自分たちが楽しんで
歌っていたのが好印象でした。


この曲を高嶋先生の曲作りで
演奏されたら間違いないのは
聴く前からわかっていたけれど、
それでも一音目から感情を揺さぶられた。
詩の言葉一つ一つが聴き手の心を掴む。
この曲を演奏してくださってありがとうございます、
というひたすら感謝の気持ち。

……と、自由曲はいわゆるコンクール向けではない作品を、実に丁寧に「いま歌うべき作品」と演奏され、堂々の観客賞第1位。

 

今回のウィードさんの選曲は

●課題曲
M4 花と画家
谷川俊太郎 詩 
上田真樹 曲

●自由曲
「3.落下傘」
(「感傷的な三つの奏鳴曲」から)
金子光晴 詩
高嶋みどり 作曲


課題曲の「花と画家」は4番目に出場のWAKAGE NO ITARIさんと聴き比べが楽しみですね。
自由曲の「落下傘」は名曲としてよく知られた作品です。


団員さんからメッセージをいただきました。

 

府立淀川工科高等学校グリークラブの卒業生が主体の合唱団 メンズ・ウィードです。
今年も、現役高校生4人と共に関西コンクールに挑戦し全国大会に推薦していただき、一同大変嬉しく思っています。

大阪府合唱祭に参加した時の写真です。
淀工グリーとメンズ・ウィード合同で参加し『フニクリフニクラ』を一部『鬼のパンツ』に替歌して高校生に鬼になって踊ってもらった後の写真です、とのこと。

 

昨年のコンクールの後、いくつかの曲を並べて軽く譜読みを始めました。そこに並んでいたのは人類の普遍的な願いである『平和』への祈りを込めて書かれた曲ばかりでした。
その中から選んだのは『落下傘』
メンズ・ウィードと淀工グリーの歴史(大した歴史ではありませんが…)を振り返ると、数々の平和を祈る曲を取り上げ、その度に戦争や争いの歴史と向き合い、『平和』を祈り、歌ってきました。
私も28年前、高校3年生の時、この『落下傘』を通じて、漠然とですが、平和の尊さを学びました。
今の現役高校生や若いメンバー達にも『平和』への想いを持って歌ってもらいたいとの想いから、練習を始めました。
そして、練習を始めて少し経った時…
世界情勢の大きな変化により、私たちがこの曲を演奏する意味はより大きなものになりました。

私たちが歌うくらいでは何も変わらないかもしれません。それでも『平和』を祈り私たちは歌います。

「昨年1月の淀工グリー定期演奏会のリハーサル風景です。
感染拡大の為、現役高校生が1人も舞台に立てなくなり、メンズ・ウィードのみで開催した悔しい演奏会でした」

 

ありがとうございました。
淀工グリーさんとの合同演奏は単にOBだから、だけではない強い繋がりを感じさせます。
団員さんも高校生の時に歌われた「落下傘」。
時を経て、現役の淀工グリーさんたちと歌うことで生まれる、新たな強い想いがあるのでしょう。


昨年の観客賞第1位への団員さんからのメッセージの一部。

 

僕らは現役高校生がいるから活動しています。
彼らが一緒に歌ってくれているからあの素晴らしい舞台で楽しく歌うことが出来たのだと深く感謝しています。

 

歌う意味、合唱を続ける意味は、合唱団や人それぞれ理由はあるのでしょうが、その理由の中でも、非常に強く訴えかけるものだと感じました。

「落下傘」は金子光晴が戦時下に書かれた反戦詩。
変拍子があふれる緊張感に満ちた難曲ですが、どこか音画的なピアノと中間部の故郷:日本を歌った美しくも皮相な箇所。
そして日本の行く末を神に祈る最後…と印象に残る曲です。

現役の淀工グリーさんとOBの方たち。
世代を越えて訴える平和への思いを、強く歌い上げていただきたいと思います。

 

 


続いては人気も実力も高い女声合唱団の登場です。

 

8.神奈川県・関東支部代表

La Pura Fuente
(女声34名・第66回大会から8大会連続出場)

La Pura Fuenteとはスペイン語で「清い泉」とのこと。
神奈川県の合唱名門校、清泉女学院の卒業生さんが2010年に作られた団体。
全日本では5大会連続金賞、昨年の観客賞座談会でも第2位と実力・人気の団体です。

 

課題曲F3 夜来香、
メリハリがとてもありました。
マスクしてるのに
日本語も凄く明瞭に聞こえて。
しかもパートに抜けが無く
音楽に説得力もあり。


自由曲1曲目、デュブラ
「Laudate…(讃えよ…)」。
わりあい単純な作品なんだけど
流麗だし、フレーズを長く取り、
さらに自然な明るさと優しさを
感じさせる。
旋律が上手く歌え、
さらに音楽的な深さも。
真の実力をたくわえている団体。


2曲目のプラウリニュシュ
「VAKARDZIESMAS(夕べの歌)」も
インパクトありましたね~。
演出が浮かず、
歌をさらに引き立てる理想の形。
本当に良かったですよ!


Fuenteさんのなにが凄いって、
発声と踊りと言葉がちゃんと結びついてたから
バルト音楽に最適な音楽作りをしてた事なのよね。
高校の時から求めてた表現の最適解を
目の当たりにした気分。

……と非常に好評でした。

 

団員さんからメッセージをいただいています。

 

皆さまこんにちは、La Pura Fuenteです!
全国大会の地、三重で歌えることを幸せに思います!

今年の課題曲ではF4「定点観測」を選びました!
抒情的で美しい旋律の揺らめき、詩が紡ぐ物語と色彩感を味わいながら、大切な人と過ごす一瞬の輝きをお届けできるように歌いたいと思います。

自由曲では、どちらも平和を切に願う祈りが込められていながら、ベクトルの異なった宗教曲2曲を選びました。
1曲目のAve Regina Caelorumは、ラトヴィアの作曲家DUBRA, Rihardsの作品です。
「めでたし天の女王」と訳されるように、聖母マリアに神への取り次ぎを願います。優美さと力強さを併せ持つ、アカペラでのホモフォニックな響き、甘美な旋律と和声を通じて、慈愛に満ちた力強い祈りをお届けできるよう演奏したいと思います。

2曲目のDa pacem Domineは、厚い信仰を持ち、数々の宗教曲で知られるハンガリーの作曲家Levente Gyöngyösiによる作品です。
1曲目とは打って変わってfpのついたクラスターから始まり、音響的にも衝撃が走る和声の上に、グレゴリオ聖歌を彷彿とさせる旋法的なメロディーが乗せられます。旋律はパートや調性を渡り歩き、繰り返されたり変奏されながら徐々に熱を帯び「主よ、平和を与えたまえ」の主題でタムタムが加わり、熱烈な祈りを歌う音楽の火蓋が切られます。激しく、時にリズミカル!そして切実に噛み締めるように、平和を祈る楽曲です。

コロナウイルスも未だ衰えない中でウクライナ戦争が勃発し、不安なニュースは絶えません。全国大会では、ウクライナの人々に思いを馳せ、衣装にも国旗を想起させる青を取り入れました。

聴いていただく方に愛と希望の光が降り注ぎますよう、祈りを込めて歌います。

 

ありがとうございました。

課題曲の「定点観測」はラプーラさん独特の「大人の香り」がする演奏を期待してしまいます。
昨年も演奏されたDubraの「Ave Regina caelorum II(めでたし天の女王)」は優しく切ない旋律、それでもときおり強い想いが湧き上がるような。
まさにラプーラさんの旋律を上手く歌う特長が発揮されそう。
そしてGyöngyösi「Da pacem Domine(主よ、平和を与えたまえ)」、タムタムを伴う激しい曲!
どこか民族的なリズムも感じさせるこの作品。
ラプーラさんは過去にヴァイオリンやボンゴとの協演もありましたが、優れた演出と共に楽器が浮かず、いつも合唱と一体化した強い説得力で聴かせてくれるんですよね。

>全国大会では、ウクライナの人々に思いを馳せ、衣装にも国旗を想起させる青を取り入れました。

今回のお写真ではわからないのですが、これは本番でのお楽しみですね。
倉敷少年少女合唱団さんの青黄のタスキと同じように、歌はもちろん、衣装にも平和の祈りが込められたラプーラさんのステージ。
課題曲の日本語作品、ベクトルの異なった宗教曲2曲と、女声合唱の幅広さ、可能性を示していただけるものになることでしょう。

 


(次回に続きます)

 

観客賞スポットライト 同声合唱の部 その2

 

観客賞の投票についてご説明します。

 


参加資格:
「大学ユース部門」「室内合唱部門」
「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
それぞれの部門、全団体を聴いていること。
(その部門の出演者は投票できません)


そして昨年に続き今年もLIVE配信が予定されていますので、配信で全団体を聴かれた方も投票できることにします!

 

投票方法は2つあります。
※生演奏を聴かれている方と、配信を聴かれている方ではハッシュタグが違うので注意!

 

 

1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで「同声合唱部門」なら
生演奏を聴いた方はハッシュタグ 

#同声合唱22

 

 

配信を聴いた方は

#同声合唱22H


を付け。

20日同声合唱の部終演(12:57)から審査発表前まで(18:10)に良かった2団体を書いてツイート。
※できれば審査発表直前では無く、終演後すぐにお願いします。

その際、各団体の後に感想を書いていただけると、とっても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※前回、ハッシュタグを間違えた方が何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので正確にお願いします!


ツイート投票の例:

メンズヴォーカル●● 漢を感じる迫力ある演奏!
▲▲レディースコア 繊細で正確なハーモニーに聴き惚れました。
#同声合唱22

 

ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間はツイッターでの投票と同じです。
※できればメール投票にもハッシュタグを付けていただければありがたいです。

いかがでしょうか?
つまり


1)その部門の出演者じゃない全団体聴いた人が

2)2団体もしくは1団体を書いて

3)生で聴いた人はハッシュタグ #同声合唱22
  配信で聴いた人はハッシュタグ #同声合唱22H (←最後に【H】を付けるのを忘れずに!)

4)部門終了後すぐに投票

…してくださると、とってもありがたいです。

 
たくさんのご投票をお待ちしています!

 

伊勢神宮・内宮の正殿(伊勢市)
提供:三重フォトギャラリー

 


今回は昨年チャンピオンの男声合唱団から!

 


4.東京都・東京支部代表

合唱団WAKAGE NO ITARI

https://twitter.com/WAKAGE_choir

(男声41名・2年連続出場)


昨年初出場のWAKAGEさん。
団名も「若気の至り」によるもので、聴くまではちょっとだけ軽く見ていたところもあったのですが(ごめんなさい)。
しかし、結果は金賞&文部科学大臣賞!

 

WAKAGEさんは響きが軽やかで
流れを重視するような。
課題曲のM3 コンポジションも
音楽を止めない。
東京の団体っぽさがあった。
スタイリッシュ!


自由曲:三善晃「路標のうた」
2群合唱を巧みに
コントロールしていて。
真下先生上手いなー!って。
どちらかと言えば
課題曲と同じく現代的な演奏だった。


あらゆる要素がバランス良く纏まった演奏。
ハーモニーがびしっとはまり、
要所要所でおいしい音が聴ける。
課題曲は低音をすっと支える安定のベース、
味のある旋律を唄うテナーの組み合わせにぐっときた。
路標のうたはクレバーな音のなかに
ハートの熱さも感じる。

……と、とても好評でした。

 

WAKAGEさんの今回の演奏曲は

●課題曲
M4 花と画家(「そのあと」から)
谷川俊太郎 詩 
上田真樹 曲

●自由曲
「6.ごびらっふの独白」(男声合唱組曲「青いメッセージ」より)
草野心平 詩
高嶋みどり 作曲

昨年は自由曲に三善先生の「路標のうた」を選ばれましたが、今回は高嶋先生の「青いメッセージ」からと、また傑作を!

団員さんからメッセージをいただいております。

 

皆様こんにちは!東京からやって参りました「わかげ」こと合唱団WAKAGE NO ITARIです。昨年に続き全国大会の舞台で演奏できることを嬉しく思います。
2022年は東京都合唱連盟の主催事業に加えて、おかあさんコーラス東京支部大会へのアトラクション出演、ジョイントコンサートや賛助出演など多くの本番に恵まれた1年になりました。全国大会はそんな2022年最後の本番となります!

当初はM3 平林を選ぶ予定で、作品のイメージを膨らませるために指揮者の真下さんによる一席披露の場があったこともありました。
そんな中、コンクールの演目を決める際に真下さんの「シードで1年間、作品に取り組める今年だからこそ、敢えてわかげがあまり得意でない作品を選んだ方が今後のためになるんじゃないか」という一声で、最終的に花と画家に決まりました。歌えば歌うほど課題が見えて四苦八苦することもありましたが、それ以上に魅力が詰まった素晴らしい作品です。

今年の自由曲は男声合唱組曲《青いメッセージ》から「ごびらっふの独白」です。
言わずと知れた男声合唱の名曲で、これまで数々の名演が生まれており、「ごびらっふと言ったらこの演奏!」と思い浮かべることができる方もたくさんいらっしゃるかと思います。全国大会ではこれまでになかった新しい「ごびらっふの独白」像を目指して歌わせていただきます!どんな「ごびらっふ」になるのかはコンクール当日のお楽しみ。皆様に思いっきりの幸福(るてえる)を届けられますように。

第1回演奏会に撮影とのこと。

 

ありがとうございました。
自由曲の「ごびらっふ」に関してはYouTubeで東京都大会の演奏を聴かせていただきましたが、冒頭のハーモニーの作り方、叙情的な旋律、リズミカルな部分と「ここぞ!」という箇所の押し出し、そしてクライマックス……と歌い分けに知性が感じられる素敵な演奏と思いました。
「これまでになかった新しい『ごびらっふの独白』像を目指して歌わせていただきます!」とのことで、全国大会の演奏にも期待してしまいますね。
なんと言ったって同声部門最初に出場の、男声合唱団Le Terreさん団名の理由(のひとつ)でもある深く愛されてきた作品なんですから!

そして課題曲M4「花と画家」へ至る過程も興味深かったです。
真下先生の「平林」一席披露……?は置いといて。
「シードで1年間、作品に取り組める今年だからこそ、敢えてわかげがあまり得意でない作品を選んだ方が今後のためになるんじゃないか」というお言葉。
過去に別指揮者の「シードは遊べる!」という言葉もありましたが、敢えて得意ではない作品に取り組む姿勢。
自由曲も、燦然と輝き名演が連なる傑作にまた新たな印象を加えようとする。
「その意気や良し!」とWAKAGEさんの挑戦に大きく手を叩いてしまいます。

 

2023年3月5日に第2回演奏会を開催します。
昨年に負けないバラエティ豊かなプログラムとなっている中、今回一番の注目は宮崎県から有川サチ子先生をお呼びして演奏する男声合唱曲集《そのひとがうたうとき》です!
通常チケットに加え、当日は有料でLIVE配信も実施し、全国どこからでも演奏を楽しめるようになっています。皆様ぜひご視聴ください!

 

藤嶋美穂さんの新曲や、清水脩先生の懐かしい曲。
そしてなんと言っても有川サチ子先生の客演指揮と非常に興味を惹かれる演奏会ですね!
生演奏でも、LIVE配信でも多くの方が観られますように!

 

 

続いて初出場の女声合唱団の登場です。

 

 

5.東京支部・東京都代表

mokumé

(女声39名・初出場

 

初出場おめでとうございます!
これまた面白い団名の団体。
どういう経緯で創団されたのでしょう?

団員さんからメッセージをいただきました。

 

皆さん初めまして、mokuméです!
この名前を初めて耳にする方も多い方と思いますが、それもそのはず。私達は第77回全日本合唱コンクールに出場したいという想いで結成された団体です。
きっかけは「ただサウンドが美しいだけではなく、心の底から抉られるような、表現力豊かでドラマチック、かつパワフルな女声合唱をやりたい」という想い。そして、あい混声合唱団の団員でもある作曲家の宮本さんが作り上げた課題曲F4「定点観測」に挑戦したいという声。さまざまな想いが重なり、あい混の女声メンバーが中心となって声かけを行い、多様なバックボーンを持つメンバーが集結しました。
課題曲F4「定点観測」では、音のグラデーションを意識した練習を重ねてきました。音が一定の形で止まることなく、広がり変化する歌い方を模索。練習回数が少ない分、団員一人ひとりが主体的に表現して積み重ねてきました。

 

なるほど、mokuméさんは今回室内合唱部門で出場される「ゆめの缶詰」さん、混声合唱部門で出場される「あい混声合唱団」さんと同じ、相澤直人先生が指揮者の団体なんですね。
それにしても宮本正太郎先生作品への思い入れっぷりは、同じ団員というだけではない深いものを感じます。
mokuméさんの自由曲
「2.アウギユスト」
「4.明日」
(「不可思議のポルトレ〜与謝野晶子の四つの詩〜」より)
与謝野晶子 作詞
信長貴富 作曲

与謝野晶子の四男・アウギュストへの深い愛情を劇のようにお茶目に表現した「アウギユスト」。
「私の前にはまだまだ新しい無限の明日がある」と強く未来を信じる「明日」の2曲。

 

自由曲は、課題曲とは異なる感情を露わに出来る曲を求めて選曲しました。そうしてたどり着いたのが与謝野晶子作詞の「アウギユスト」「明日」です。独特の世界観に惹き込まれる詩とメロディー。女性詩人の詩に対して、女性(声)だからこそ表現できる力強さ、エネルギーを感じさせる曲でもあります。

全国大会で再びこの曲を演奏できる素敵な機会に恵まれ、団員一同身が引き締まる思いです。演奏いたします3曲で異なる世界観を表現できるよう、練習しています。本番は「曲が喜ぶ演奏」を目指して舞台で躍動したいと思います。

(文吾より:今回のコンクールを機会に立ち上げられたばかりの団のためちょうど良い写真が無いそうで、この企画のため練習日にわざわざ撮影していただきました。
 演奏曲の楽譜も写していただき、本当に感謝です!)

 

ありがとうございました。
初舞台の東京都大会の演奏をYouTubeで聴かせていただきましたが、女声らしい輝きと説得力が存在する演奏で、本当に感服いたしました。
「明日」の優れたピアノに乗ったリズム感と両立する発語の明晰さも素晴らしかったです。
全国大会でも「曲が喜ぶ演奏」を大いに期待したいですね。

そう言えば「なぜmokuméという団名なんだろう?」と疑問に思った私に、親切な方がこっそりヒントを与えてくれました。
「mokuméを漢字にすると木目。これって『ある方』の最初の一文字じゃないですか?」
・・・な、なるほど~!

 

(次回に続きます)

 

観客賞スポットライト 同声合唱の部 その1

 

ともやま公園(桐垣展望台)(志摩市)
提供:三重フォトギャラリー

 

昨日までは室内部門へ出場の団体をご紹介していました。
今日から20日(日曜日)午前10時から開会式の後、10:10から同声合唱部門の始まりです。


ここで伝統(?)の #全国で朝カツ推進運動 について。
同声合唱部門2番目に出場のmonossoさんよりアピールしていただきましょう、どうぞ!

 

 

そうなんです、朝10時10分に本番であれば、どれだけ早く起き、早朝に練習場所を借り、眠気と寒さに耐えなければいけないか!
そこまでして向かった朝イチの会場は、お客さんが少ないことが多く・・・。

1日目、人数が減ったのに二重合唱へ挑む都留文科大学合唱団さん。
そして今日ご紹介する男声合唱団 Le Terreさんは全国大会初出場。
同じ合唱を愛する者として、朝イチ出場の団体に心意気で応えてあげたいじゃないですか!
そんなわけで2日目の同声部門も聴き所いっぱい!遅刻厳禁でお願いします!!

朝カツ推進運動創始者(?)の島根:女声合唱団フィオーリさんからも。

朝1番から会場で良質な演奏を聴き、沢山の拍手を送りませんか(^^)??

同声合唱部門は女声合唱と男声合唱の部門。
年代の幅が広いのが特徴で、少年少女合唱団からベテランの団体まで。
同じ課題曲が全く違うように聞こえるのも面白いですね。
さらに大学ユース部門で少なくなっている男声合唱に比べ、同声では昨年と同じ数の4団体ものタイプの違った男声合唱団が出場されているのが嬉しいことです。


今年の全国大会は三重県・津市の三重県総合文化センターにて行われます。
ちなみに三重県津市での全国大会、大学職場一般の部は2003年(平成15年)以来、19年振り。

三重県総合文化センター 広場より大ホール中ホール Photo by Nodaさん

 

それでは始めましょう!
2022年同声合唱部門全国大会。
各支部から11団体、はじめましての団体さんは3団体。

 

 


最初の団体は初出場の男声合唱団です!

 


1.埼玉県・関東支部代表
男声合唱団 Le Terre
(男声27名・初出場


初出場おめでとうございます!
なんとも特徴的な団名のこの団体。

YouTubeでLe Terreさんの「青いメッセージ」を聴かせていただいたのですが、高い歌唱力と確かな音楽性が感じられ、何度も聴いたこの名曲から新しい魅力が引き出されることに大変惹かれるものがありました。

 

Le Terre・・・ん? 青いメッセージ……ごびらっふの独白・・・るてぇる??

団代表さんと団内指揮者さんからメッセージをいただきました。

 

【Le Terreについて】
男声合唱団Le Terre(るてえる)は埼玉県立浦和高等学校グリークラブ(以下浦高グリー)OB合唱団として、2015年に発足しました。
指揮者には同校元教諭で顧問を務めた小野瀨照夫先生を迎えました。

特徴的な団名には3つの意味を込めています。
古今東西の曲に挑戦する意気込みから、フランス語で「地球」を意味する「La Terre」
小野瀨照夫先生の「てる」
男声合唱作品『ごびらっふの独白』から、「幸福」を意味する「るてぇる」

特に③の『ごびらっふの独白』は、浦高グリーがコンクールの自由曲として2度、すなわち6代に渡って挑戦した思い入れの深い曲で、今年3月に開催した第1回演奏会でも披露しました。

 

おお!草野心平の蛙語「るてぇる」が関係しているとは思いましたが、まさかトリプルミーニングとは!
名門:浦和高等学校グリークラブのご活躍はよく知られているところですね。

Le Terreさんの演奏曲は

●課題曲
M3  平林
落語「平林」より 作曲 大中 恩 

●自由曲 
「那須与一」(平家物語による「男声合唱のためのエチュード」より)
作曲:千原英喜

これらの曲はどのような経緯で選ばれたのでしょうか?

【演奏曲目について】
創団7年目にして初出場となる今回のコンクールでは、課題曲・自由曲ともに和風テイストの演奏を披露します。
課題曲「平林」は、古典落語の名作・平林に、西洋音楽的な和声とメロディーを与えた作品です。原作の落語からは非常に短いフレーズのみの抜粋となっており、その分音楽的な進行がストーリーの展開を助ける構成となっています。私たちLe Terreの演奏では、小野瀨照夫先生のこだわりが詰まった、遊び心満載の表現にご注目ください。
自由曲「那須与一」は、平家物語に登場する弓の名人・与一を主人公に据えた、ドラマ風のエチュードです。与一が扇を射るエピソードで有名な、屋島の戦いがその舞台となっています。平家物語をはじめとした数々の古典がコラージュ的に配置され、千原作品らしい世界観が展開されます。コーダには明治時代の尋常小学校歌『那須与一』が挿入され、明治らしい素朴で古拙な響きとともに幕を閉じます。ストーリーと連動するダイナミックなコード進行と、男声合唱ならではの語り口調によって、屋島の戦いの様子が眼前に浮かびあがるような、大変聴いていて面白い楽曲かとおもいます。ぜひお楽しみください!

【コンクールに向けて意気込み】
関東大会の演奏直後、小野瀨先生が団員に向けてこんなことを伝えました。
「みんな高校生の頃とは違い、大人の余裕が出てきて、私も楽しかった。こんな活動を続けられたらいいね。」(要約)
懸命にコンクールに向き合ってきた高校時代があるからこそ、こうして余裕を持った演奏ができるようになってきたように思います。

トップバッターとして、皆様の目を一瞬で覚ますような演奏をお約束いたします。

どうぞお楽しみください!

関東支部大会の演奏後に撮影ということ。

 

団代表さん、団内指揮者さんありがとうございました。
課題曲の平林も自由曲の那須与一も少しコミカルな部分がある曲の取り合わせ。
しかし、いただいたメッセージからはそれだけで終わらせない、こだわりの表現、劇的な物語の迫真性や抒情も伝えてくれそうで実に楽しみです。

小野瀨先生のお言葉から、かつての高校生たちの成長に目を細められるお顔が見えるよう。
「皆様の目を一瞬で覚ます」「お楽しみください!」という言葉にも、浦高グリーさんから続く、巧さだけではない男声合唱の魅力を指向する姿が伺えて嬉しいですね。

よぅし、Le Terreのみなさん、20日の切り込み隊長は任せました!
初出場のステージ、思いっきりカマしてください!期待してます!!

 

 

続いてはうどんの国から人気の女声合唱団です。

 

2.香川県・四国支部代表

monosso

https://twitter.com/monosso_kagawa

(女声36名・6大会連続出場)


讃岐弁で「とても」の意味を持つ団名のmonossoさん。
昨年の観客賞では第3位。
常に観客賞では上位に入賞する人気の女声合唱団です。

 

課題曲F1、O sacrum conviviumの
最初から曲のイメージが豊かに伝わってくる。
指揮の山本啓之さんの得意なところですよね。


自由曲:瑞慶覧尚子「約束」は
言葉のニュアンスを伝える面でピカイチ!
ソプラノの「ていねいに生きて行くんだ」
そこに泣きそうになったし、
「刹那」という言葉にドキッとした。


課題曲は透き通った三声の絡み合いが美しく、
特にアルトの柔らかで深みある支えが心地好い。
自由曲は詩人の思いを繊細な歌声で切々と表現、
輝かしくもそっと寄り添う
ピアノの音色も相俟って心に沁みる演奏でした。
言葉が「聞こえる」のではなく
「伝わってくる」演奏で心を打たれました。

……と大変好評でした。

 

monossoさんの今年の演奏曲は

●課題曲
F2 Lied(「3 Gedichte」から)
Emanuel von Geibel 詩 
Robert Schumann 曲

●自由曲
「オンディーヌ」
吉原幸子 詩 
木下牧子 作曲

課題曲F2のLiedは三重大会の全団体でmonossoさんだけの演奏。
木下先生の女声版「オンディーヌ」は混声版の後、1994年に女声合唱団るふらんさんの委嘱により初演された作品。
指揮者・山本啓之さんと団員さんからメッセージを送っていただきました。

【指揮者 山本より】
課題曲については、ドイツリートはいつかmonossoもやらなければならない作品と思ってましたので、シューマンの作品が選ばれた今年、迷わず選びました。 
重唱の作品なので、一人一人が歌に向き合うということにチャレンジしたいと思っていました。
オンディーヌについては、以前ひなまつりジョイントコンサートの合同演奏で多くのメンバーは歌ったことがあったのですが、その時からいつかはmonosso単独でもやりたいなと思っていました。 
結成からの時間も経ってきた今、実はもう歌ったことがある人が少ないという感じにもなってきたので、今回チャレンジしようと思い選曲しました。

今回の2曲はどちらも恋をテーマにした歌です。 
恋を失い心を失う、というガイベルの詩と、恋ゆえに我を失う、という吉原幸子さんの詩。 
シューマンと木下牧子先生がそれぞれ音に魂を込めて作曲された作品に、比較的若いmonossoのメンバーが挑む事で、今までにない歌声が聞こえたらと思っています。 
やはり作品は演奏者を育ててくれます。
人の情念が音に乗り移るそのさまを聞いてもらえたらと思ってます。

今年はもっとコロナの影響がない状況で活動できると思っていましたが、まだまだそんなことはありませんでした。 
それでも少しだけ明かりが差し込んできているとも思いますので、指揮者、ピアニスト、今のmonossoの全身全霊で演奏したいと思います。


【団員より】 
指揮者の言葉にもあったように今年も試練の続くシーズンとなりましたが、困難な状況においても良い音楽を追求することを諦めず、進化を遂げておられる合唱団が日本中(きっと世界中)にあり、勇気づけられます。 
私たちもそうありたい、そうなりたい!と、ちょいちょい転びそうになりながらも歩みを止めずにやってこられました。
いつも応援してくださる方にはもちろん、私たちの演奏を初めて聴いてくださる方にも「monossoいい!この曲いい!」と思っていただけるような演奏をしたいです。

画像は今年の香川県大会の日のもの。
珍しく指揮者・ピアニストと一緒に写っているところと、やけに立体感のある並びがお気に入りのショットです、……とのこと。

 

山本さん、団員さん、ありがとうございました。

>オンディーヌについては、以前ひなまつりジョイントコンサートの合同演奏で多くのメンバーは歌ったことがあった

おお、3年前のジョイントコンサートは私も感想を書いています。

あの「オンディーヌ」は合同合唱とは思えないほどの良い演奏でしたね。


>やはり作品は演奏者を育ててくれます。
>人の情念が音に乗り移るそのさまを聞いてもらえたらと思ってます。

山本さんのmonossoのみなさんへの期待が伝わるようです。
吉原幸子さんの詩は難解ですが、何度も読んでいるうちに純粋について、人間の本質について考えさせます。
その奥深さ、繊細さを見事に音にされた木下先生の世界をどれほど表現していただけるか。

団員さんの言葉。
>困難な状況においても良い音楽を追求することを諦めず、進化を遂げておられる合唱団が日本中(きっと世界中)にあり、勇気づけられます。 

さて、偶然にもひなまつりジョイントコンサートで一緒だった「VOCI BRILLANTI」さんが次の出演です。
monossoさんツイッター では

「盟友ブリちゃん@Brillanti0202❤️

ステージに、置き土産として覇気を残して去ろうと思ってます。」とのこと。


伝えよう!と思った演奏は、演奏者が思う以上に聴いた人の心に響き、大きな力を生むことを知っています。

多くの合唱団から力をもらい勇気づけられたmonossoさんの演奏が、また多くの人たちへの更なる力になりますように。

 


そして、monossoさんの盟友が3年ぶりに登場です。


3.愛知県・中部支部代表

VOCI BRILLANTI
(女声22名・3年ぶりの出場・第63回大会から8回目の出場)


3年前の感想では

課題曲F4「その木々は緑」、
ブリランティの持ち味を存分に聴かせたね。
ピアニストの白鳥先生のテンポの緩急が
作為的じゃなく、本当に自然で。
それに歌い手が良い影響を受けていたのかなと。


自由曲は木下牧子
女声合唱曲「オンディーヌ」。
この演奏には痺れました!
ヴォカリーズにゾクゾク。
ソロ、パートソロ、合唱。
それぞれに個性があったんですよ。
「あー、ソロでしか、合唱でしか、
 この表現はできないな!」
そういう説得力がありました。


それぞれの曲の世界に引き込まれ、
まさに曲の情景が見える演奏。
若く瑞々しいF4はまるで十八番。
そしてついに仕上がったオンディーヌの冒頭、
自分には水の精が見えました。
素敵でした。

……と、とても好評でした。

団員のみなさまからメッセージをいただいています。

 

みなさま、お久しぶりです!
愛知県岡崎市を拠点に活動している女声合唱団、VOCI BRILLANTIです。
3年ぶりに全国大会に出場できることを団員一同大変嬉しく思っております。

私達が今回演奏する曲は
課題曲 F3「寂庵の祈り」(詩:瀬戸内寂聴  作曲:千原英喜)
自由曲 無伴奏女声合唱のための「風のこだま・歌のゆくえ」より「風のような歌は」(作曲:信長貴富)です。

幸せなときには ありがとう」から始まる「寂庵の祈り」を歌うとき、私たちはいつも隣にいる団員と微笑みあって、幸せを感じてから歌っています。
2020年春、演奏会が中止となり、全国の合唱団の皆様と同じように、対面練習が出来ない苦しい時期がありました。

現在は、感染対策をしながら週1回の練習を行っています。コロナ禍でも、大好きな合唱を大好きなみんなと続けられることは本当に幸せで、かけがえのないことです。全国大会の舞台では、そんな幸せを噛み締めながら歌います。
そして、この曲には「地球のすべての人が 幸福で 平和で ありますように」という、瀬戸内寂聴さんの祈りが込められています。私たちも、争いのない平和な世界を強く願って歌います。

「風のような歌は」は、「放浪記」で有名な作家、林芙美子さんの詩をもとに作られた曲です。

2015年第15回ブダペスト国際合唱コンペティションで、当時光ヶ丘女子高校合唱部に所属していた団員は総合1位を受賞し、白鳥先生が優秀指揮者賞を受賞しました。その時のプログラムの1曲が、「風のこだま・歌のゆくえ」の2曲目である「月色の羽音」でした。思い入れのある曲集の1曲目も歌いたいという思いと、今年度の新入団員7人だけでなく、ずっとブリランティで歌っている団員も含め、一人ひとりが成長できる曲に挑戦しよう!という思いから、無伴奏で抒情的なこの曲を選びました。

この曲は、風が吹く様子を声で表現している「lololo」などのフレーズが沢山あります。その一つひとつがどこで吹いているどんな風なのか、音色や歌い方をどのようにしたいか、意見を出し合いました。
風はいつも私たちのそばで吹き流れ、見守ってくれています。全国大会では、私たちの歌が響き合い、風となって、会場で聴いてくださるみなさまをあたたかく包み込めるよう歌います。

9月に富山県魚津市にて行われた中部大会で撮影したものということ。


団員のみなさん、ありがとうございました。

課題曲「寂庵の祈り」が白鳥先生の弾き振りなんですね!
前回の感想でも触れましたが、白鳥先生のピアノの自然な緩急が、合唱へとても良い影響を与えられていると思うので、今回も楽しみです。
自由曲「風のような歌は」は2005年鹿児島女子高等学校音楽部の委嘱曲。
爽やかな旋律が気持ち良く流れると思いきや、音響・サウンド的な部分や、ときに深い叙情性を求められたり。
多面的な要素を含む作品ですが、幅広く優れた表現力をお持ちのブリランティさんなら、きっと素晴らしい演奏になることでしょう。

風はいつも私たちのそばで吹き流れ、見守ってくれています。
全国大会では、私たちの歌が響きあい風となって、会場で聴いてくださるみなさまをあたたかく包み込めるよう歌います。

激動の時代を生きた林芙美子氏が、どんな身分、状態の者にも吹く自由な風に歌を託したこの詩。
ブリランティさんのメッセージを読むと、本当にそんな「風のような歌」が優しくあたたかく吹いてくる気がしてきます。
「盟友」とブリランティさんを呼ぶmonossoさんの後の出番。
舞台袖とステージで繋がった心が、風のように歌う力となりますように。

 

 

(次回に続きます)

 

観客賞スポットライト 室内合唱の部 その5

 

 

青山高原(津市)
提供:三重フォトギャラリー

 

全日本合唱連盟から出演スケジュールが発表されましたね。

 

今年は表彰式の復活が喜ばしい!

 

 


今回は室内合唱部門、最後の2団体です。
毎回客席を湧かせる人気の団体と言えば?

 


9.京都府・関西支部代表

アンサンブルVine

http://yumemirusakana.sakura.ne.jp/chorus/play-list/vine.html

(※上の団名リンクはVine指揮者:伊東恵司さんのHP
「~目をひらく 耳をすます つぶやく~」内のものです)

(混声24名・10大会連続出場・第57回大会以来17回目の出場)

 

課題曲を含めた、それぞれスタイルの違う4曲で、演奏会の1ステージのような華やかな世界を繰り広げてくれるVineさん。
昨年は金賞、そして観客賞でも女声合唱団ソレイユさんと同票の第1位と、実力と人気も高い団体です。

 

課題曲G1は熱さもあって強い説得力を感じる
とても良い演奏だったと思います。
自由曲1曲目
Orbán György「Elefánt voltam
(私はかつて象であった)」
 リズムと旋律をなんと軽やかに
 お洒落に演奏されることか!


2曲目のVytautas Miškinis
「Tenebrae factae sunt
(地上は暗闇となった)」
ハーモニーが巧みで和声感があって、
色彩もわかりやすく、
曲の良さを伝えてきた。


3曲目のJake Runestad
「Alleluia」もさすが!
ハンドクラップがこなれているだけじゃなく、
こんなに楽しげにふつう歌えないですよ! 
こんなん拍手するしかないじゃん。
全4曲のプログラミングが本当に絶妙!

……と大変好評でした。

 

団員の藤森さんからメッセージをいただきました。

 

みなさまこんにちは!アンサンブルVINEの藤森と申します。
今年は三重県での全国大会ということで、愛知県在住の私としては近場で楽!笑 音響の素晴らしいホールですし、ぜひ日本中からご来場ください。交通の便はあまりよろしくないので、下調べもしっかりと…

さて、課題曲は相変わらずのG1。ジョスカンの作品に取り組むことはパレストリーナを演奏するのとは違う難しさがありますね。様々なアプローチがあると思いますが、伊東さんの考えるVINEとしての演奏、楽しみにしていてください。

自由曲は今年も3曲。まずは
「Riant du ciel et des planètes(空と惑星たちを笑う)」(曲:F.Poulenc「Figure humaine」より)

20世紀最高峰の作品である人間の顔を!24人で…笑
第二次世界大戦下に書かれ、ピカソに献呈された作品の5曲目にあたるこの曲は、かしこぶってる人や権力者を皮肉る内容を極めて速いテンポで演奏します。小品ですが、プーランクの魅力が詰まった作品です。

2曲目は
「There Will Come Soft Rains(やさしく雨は降り始め)」(曲:Ēriks Ešenvalds)

ラトビアの人気作曲家の作品。VINEでバルセロナの世界シンポジウムに参加した際、あるセミナーで本人指揮による自作自演を聴講したことを思い出します。JCAユースに来日できなかったことは残念でした。
こちらは、第一次世界大戦後に書かれた詩。破壊行為によって人類がいなくなった大地にふりそそぐ優しい雨を、儚くも美しい音で描きます。

そして最後は
「Sing a song of sixpence(6ペンスの歌を歌おうよ)」(編曲:John Rutter)

マザーグースを原曲とする作品で、軽快で可愛らしい!そろそろ動き回りたいなぁ、と思いますが、まだ難しいので、こっそり動きます笑
振り落とされないよう頑張るので、疾走感のある演奏を楽しんでいただけたらと思います!

ぜひ、応援してください!

 

 

藤森さん、ありがとうございました。
Vineさんの課題曲がG1なのは定番で、他の団体とちょっと違う味付けをされるのが面白いですね。
……とか書きながら昨年のシュッツは本当に真正面からの熱い演奏で、それも実に良かったのですが。

最初に書いたようにVineさんのプログラミングは絶妙。
今年もプーランクの「人間の顔」とは意外でしたが、エリュアールの詩は戦争を行う政治家たちを皮肉り。
2曲目の「There Will Come Soft Rains(やさしく雨は降り始め)」は詩の「And not one will know of the war, not one Will care at last when it is done.(戦さを知るもの、ひとりとてなく、そのいつ終るとも、知る者ついになし)」は優しい雨に濡れる動植物の姿と戦争後の荒廃を対比させるようで、2曲の流れが現在の世界情勢から考えられた、とてもメッセージ性を感じさせる選曲だと思いました。
最後の「Sing a song of sixpence(6ペンスの歌を歌おうよ)」が明るく軽快で救われますね。

「振り落とされないよう頑張るので、疾走感のある演奏を楽しんでいただけたらと思います!」

コンクールを忘れさせると評判のVineさんのステージ。
みなさん、これはライブです!大きな拍手で出迎えましょう!!

 

 


室内合唱部門、最後は初出場の混声合唱団です。

 

 

10.千葉県・関東支部代表

AF合唱団
(混声20名・初出場


初出場おめでとうございます!

YouTubeでAF合唱団さんの演奏を聴かせていただいたのですが、若い団体の印象なのに良く練られた歌唱と叙情性、1曲全体を見通した構成力に惹かれ。
三善先生の「かどで」も良かったですが、「Deus, qui illuminas」(Dominguez)は良い曲を良い演奏で知ることが出来た!と嬉しくなりました。

 

団名の意味は?どのような経緯で創団されたのか。
指揮者の石橋遼太郎先生からメッセージをいただきました。

 

 

2019年に私と同世代の友人によって設立され、団員が一緒に歌いたいお友達を呼んでくる形で規模を広げています。
団名は「Artistic and Fantastic」の頭文字から取っており、芸術的な素晴らしい音楽を生み出そうという思いなどから名付けました。

 

「Artistic and Fantastic」!
なるほど、いったいAFとは……と疑問に思っていたのでお答えいただき良かったです。

うーん、Fantastic!
(団員さんのお話によると、同世代でとても仲が良い団とのこと)

 


AF合唱団さんの演奏曲は

●課題曲G1
Gaude virgo, mater Christi
Josquin des Prez 曲

●自由曲
混声合唱曲集「優しき歌」より
1.爽やかな五月に
2.さびしき野辺
詩:立原道造 
曲:小林秀雄

課題曲にジョスカンを選ばれる意欲の高さ。
そして自由曲に不朽の名作「優しき歌」を選ばれたことに少し驚きました。
石橋先生は1994年生まれ。
若い方が1967年に出版されたこの曲を選ばれたのはどんな理由があるのでしょう?

 

課題曲にはG1を選曲しました。
選曲理由としては特に「音楽が自然的にもつ旋律の運動を美しく歌うトレーニングになる」点が大きいです。
ルネサンス期の音楽には現代音楽のような強弱や表現記号などが楽譜に書かれていないからこそ、音楽が根源的に持つ「形」を合唱団が自発的に考えながら探る経験ができると思い、選曲しました。

自由曲には小林秀雄「優しき歌」より2曲を選びました。
この曲集の終曲「また昼に」は私が高校2年の頃、Nコンの自由曲として取り組んだことがある曲で、恩師である当時の合唱部の顧問(国語教師)の指導で、詩の表現に強いこだわりを持って演奏したことが良い思い出でした(恩師が若かった頃、古本屋で立原道造のこの詩集を手に取り、涙を流したというエピソードは今でも印象に残っています)。
それから10年以上が経ち、現在指揮者になって改めてこの作品をもう一度作り上げたいと思い、この度選曲しました。
弦楽器のコンチェルトの様な、いわば「声のオーケストラ」とも言えるこの曲集は、室内合唱部門の人数で取り組むにはとても重厚な曲で、それなりの覚悟を持って選曲しましたが、表現にこだわりを重ね、なんとか全国大会という舞台で演奏ができることを嬉しく思っています。

ここまで述べた通り、AF合唱団は「言葉がもつエネルギーを自然な旋律の形に描くこと」を大切に音楽作りをしています。
全国大会は上位大会もなく、真の意味でプレッシャーなく自由に演奏ができる場ではないかと楽しみにしています。
自分達が美しいと思う音楽を信じて歌いますので、ぜひ聴いていただけますと幸いです。

北とぴあ合唱フェスティバル(荻久保先生の指揮で「しゅうりりえんえん」を演奏)の時に撮影とのこと。

 

石橋先生、ありがとうございました。
課題曲をまさに合唱団に与えられた「課題」に、成長の糧として取り組む姿勢は素晴らしいですね。
「優しき歌」は絶版になった楽譜を、都立八潮高校教諭の平松剛一先生が倉庫で6部だけ見つけ、1980年のNHK全国学校音楽コンクールでの名演から全国に広まったという話があります。
石橋先生も高校生の時に歌われたそうですが、若い方の琴線に触れる立原道造の詩と、小林秀雄先生の音楽の組み合わせから生まれた傑作。

全国大会は上位大会もなく、真の意味でプレッシャーなく自由に演奏ができる場ではないかと楽しみにしています。

こちらのお言葉も、勝ち負けだけでは無くこの演奏が良かった!と、観客が言い合うコンサートのようなコンクールになって欲しいという私の願いとも重なり、とても嬉しくなりました。

記念すべき初出場のステージ。
石橋先生とAF合唱団さんの、日本語の優れた扱いと若い感性で、この作品から新たな魅力を引き出していただけることと期待しております。

 


(同声合唱部門へ続きます)

 

観客賞スポットライト 室内合唱の部 その4

 

 

大曽根浦漁港(尾鷲市)
提供:三重フォトギャラリー

 

 

今回は愛媛で活動を続けている混声合唱団さんをご紹介します。

 


8.愛媛県・四国支部代表

Chorsal《コールサル》

https://twitter.com/chorsal

(混声18名・8年ぶりの出場・第61回大会以来3回目の出場)

 

8年前は自由曲に千原英喜先生「おらしょII」を演奏され
観客賞第4位。

 

最後のかくれキリシタン、見つかったら命が無い…
その緊張感がピアニッシモの表現に表れていた!


全体的に技術が先走らず、
「表現のための技術」
「やりたいのはコレなんだな!」というのが
ひしひしと伝わる、実に気持ちの良い演奏でした。

……と、とても好評でした。

 

今回はコールサル指揮者:大村善博さんことぜんぱくさんにお話を伺いました。
お住まいの尾道から倉敷まで来ていただいてとても感謝しております。

 

文吾(以下、文)
コールサルさん、
8年ぶりの全国出場おめでとうございます!

 

ありがとうございます。
8年ぶりと言っても、全国出場だけが目的じゃ無く、
マラソンの先頭集団にいることが大事だと思って。
今年も四国大会でやり切った感じがあり
結果はあまり気にしなかったんだよね。

 

 はー、続けていると
  そういう心持ちになるもんなんですねえ……。

 

いや、ほとんどの人はならないんじゃない?(笑)
実は、演奏会が来年の2月12日にあるんですよ。
けっこう大変だから四国大会が終わったら
頑張らなきゃね、というところに
全国がボンッ!と入ってきたので。
こないだ久しぶりにコンクール曲をやったら
「おィ~~~?!」
これはヤバイぞ!と。

 

 (小声で)みなさん、これは10月18日の録音です!

 

(笑)。
現時点では時間を空けすぎてどうしようかなと。
乞うご期待です!

 

 選曲について伺いたいんですが。
コールサルさんの今回の演奏曲は
●課題曲
G2 Es ist verrathen(「Spanisches Liederspiel」から)
Robert Schumann 曲

●自由曲
「5.If I hear a voice」
(無伴奏混声合唱のための「Faraway」より)
作詞:木島 始 作曲:信長貴富
「3.唄」
(混声合唱とピアノのための「もし鳥だったなら」より)
作詞:立原道造 作曲:信長貴富
信長先生で揃えた自由曲。
「もし鳥だったなら」は信長先生初期の作品ですね。

 

まず自由曲に「唄」をやりたいと思ったんだよね。
それだけでは足りない気がしたから
もう1曲に悩んだんだけど。
「唄」としっくりくる作品は無いものか。
「もし鳥だったなら」の他の曲は
時間的に厳しいし。

6年前に合唱団まいさんが「唄」を演奏したときは
三善先生の「やじろべえ」を持ってきていて。
もちろん三善先生の作品は凄くしっかりしているし
何を選んでも大丈夫なんだろうけど
特に関連性は無いしアラカルト的に選びたくなかった。
だから信長さんの作品からずーっと探しててね。
「Faraway」の1,4で春こんに出たときがあって。
楽譜を見直したら、やったことのない
「5.If I hear a voice」の詩が
「唄」に上手く引っ付きそうだ。
曲も上手く繋がりそうだという直感で選びました。

 


 「If I hear a voice」
  もしもはっきり私むけの声を聞くなら
  はるか山の木々のさわさわ鳴る振るえのなかに(後略)
  「聞く」という行為から「唄」に繋がるわけですね。
  ではそもそも「唄」を選ばれた理由は?

 


6年前に合唱団まいさんが
素晴らしい演奏をされたことは大きいんだけど
それだけでは自分の強い動機にはなり得なかった。
清水敬一先生の「合唱指揮者という生き方」という本で

 

三善晃先生がNHK東京児童合唱団へ
「音楽は、皆さんが演奏した音の中で、
 聴いている人たちが、
 生きられなければならないのです」
とおっしゃったと書かれているんだね。
そこで清水先生は悩むわけ。
自分が聞き間違えて
「音楽が、聴いている人たちの中で、
生きられなければならない」の方が
意味を取りやすいんじゃないか。
悩み、20年経って三善先生に質問することにして。
最初は覚えているわけないじゃない!
と笑った三善先生もしつこく清水先生が
「音楽が、聴いている人たちの中で、
生きられなければならない」と
「音楽の中で、聴いている人たちが、
 生きられなければならない」
どちらだと思いますかと尋ねると
「私が申し上げたとすれば、
間違いなく後者です」きっぱり答えられたと。

 


文 「音楽の中で、聴いている人たちが、
  生きられなければならない」
  それが「唄」とどう繋がるんでしょうか?

 


清水先生の本には続いて。

私は聴き手として音楽の中で、
ああ、私は生きられる」と思うときがあります。
このことばは、信長貴富さんの混声合唱曲
《もし鳥だったなら》のIII楽章によって知った
立原道造の最晩年の詩、
『唄』の中のことばでもあります。
 聴き手が生きられなければならない、ということばは、
今も私の中でこだましています。
音楽家として生きていく私の、
これからを磨き続けてくれる大切な路標です。

……と書かれているんだね。
このご時世で合唱をする意味はなんだろうと
考えた時に「唄」が入ってきた。

 


 「唄」は立原道造が病気の中、
  明らかに命を縮める東北旅行で詠んだ
  「ああ、私は生きられる」というものですね。

 


そうだね。
何かしら自分なりの思いを語るに
ふさわしい内容。
この詩、この音楽の中で
生きていける演奏をしたいなと。
・・・何か、上手い下手や勝ち負けじゃ無く、
記憶に残る演奏をしたいね。
もちろん上手いに越したことは無いけれど、
四国にこういう団体、音楽がある、
いろんな音楽の多様性を示すのが大事だと思って。
聴く人が楽しんで幸せな気持ちになって欲しい。

 


 コールサルさんの音楽の中で
  生きていけると実感できたら素敵ですね。

 


そうなると良いけどね!
あと師匠の辻正行先生が乗れなかったステージなんだよ、
この津の全国大会は。

 


 2003年の大久保混声合唱団さんが
 「ラプソディー・イン・チカマツ」を
 演奏されたときですね。

 

東京都大会は振られたんだけど、
11月1日に亡くなられたので全国大会は行けなかった。
だから曲も考えていることも辻先生とは全然違うんだけど、
亡き師匠の立てなかったステージに立つ。
その一点に対しては感慨深い。

師匠の話が出たけど、
コンクールに参加するのは
勝ち負けじゃなく、
自分を越えようとしているから。
みんなに言っているのは
「自分が出来ないことを
 出来るようになりたい」って。
だから自分の可能性を広げるために
出ているというのが多分にあるな。

 


 辻先生もどこかでぜんぱくさんを
 ご覧になっているかもしれませんね。

 


だと良いね。
・・・うん、目標は過去の自分を越えること、ですね。

 


 ぜんぱくさん、ありがとうございました!

 

 

 

 

7月の愛媛県コンクール後の撮影とのこと。

 

 

(室内合唱の部 最終回に続きます)