観客賞座談会・室内合唱の部 その1






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倉敷美観地区 ©岡山県観光連盟




 それでは室内合唱部門、4位!


B ちょっと待って!
 なんで第5位からじゃなく
 4位からなの?


 実は……第5位相当が3団体ありまして。
  そこまで発表してしまうと、
  残りは3団体。


C 10団体中7団体まで
 発表して良いものか悩んだよね。


 コンクール順位にたとえたら
  「観客賞は全団体が金賞か銀賞並」と
  みなさんに思ってもらった方が・・・。


A なるほど、接戦だったんだね。
 じゃあ改めて発表!


 はいッ!
  室内合唱部門4位。



倉敷少年少女合唱団

https://twitter.com/kurashiki_ss_g
(女声24名)

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C ソプラノからアルトまで、
 声の同一性やハーモニーでは
 1位だったんじゃないかな。


AB文 うんうん。


B 正確な演奏と上質な声が
 非常に良かったです。
 金賞を取れるかと思っていました。


C ただ課題曲F4:いたいな、
 わらべ歌じゃないけど、
 そんな風にちょっと軽い雰囲気で
 歌っても良かったんじゃ。


B そうですか?
 ハーモニーとリズムの面で
 F4を正しく演奏できていたのは
 この団体だけだったんじゃないかと。


 倉敷さん的には
  「チエのきもちうらぎ」るような男を
  軽く歌えなかったのでは(笑)。


A プレイボーイは許さない!(笑)。
 とてもまとまっていましたね。


 順番が逆ですが
  自由曲Gustav Holst
  「Ave Maria」は?


B この人数で2群合唱!
 そして乱れないのが凄かった!


C そう、この人数でダブルコーラスは
 かなり健闘していましたね。
 だけど、もうちょっと曲を
 自分に引き付けて演奏しても……。


 え、良かったけどなぁ。


C いやもちろん良い演奏なんですよ。
 ただ、曲から距離を置いて、
 見下ろしているような。
 今回の倉敷さんは自分たちが
 マリアや天使になってた。


 少年少女合唱団で
  「天使になってる」って
  褒め言葉じゃ無いの?(笑)


C 例えば同じ宗教曲の「Kyrie」だったら
  「明日の試験勉強してないけど…
  神様助けて!」(笑)
  みたいな身近なところに
  引き付けて歌うのは、
  非・キリスト教徒にとって
  かなり大事だと思うんだけど。


B 曲の後半は
 距離が縮まっていたと思いますよ。


 もうひとつの自由曲
  松下耕
  「Ave Regina caelorum
  (幸いあれ、天の女王よ)」。
  これは文句無しに良かったですね!
  松下先生の指揮&合唱団で
  何度かこの曲の演奏を聴いたけど
  ある面では超えてた!


A 若さが非常に良い方向へ
 作用していて。
 体力あるな~~~って(笑)。


C 自分たちが歌ったら
 テンポもリズム感も
 衰えていきますよね……。


A その通り!(笑)
 反射神経がね、マネできない。


B 急に加齢臭が漂ってきた(笑)。
 旋律の絡み合い、リズム、バランス、
 すべて高水準でした。


 中間部のヴォカリーズ、
  ちょっと叙情的に歌ってね。
  ニクイな~って!


C 音のぶつかりから解決も
 実にクリアに聞こえてきて、
 とても気持ち良かったです。


 音楽の移り変わりも
  本当に鮮やかだったね。


A ハイレベルでしたね。
 この年代だから輝く発声で。
 ただ、高校3年で引退なんでしょ?
 「この先の発声は?」と
 考えてしまうところもあって。


 それは前回も言いましたけど、
  声楽のコンクールへ
  入賞するような団員さんが
  少年少女合唱団向けに整えているから
  別に問題は無いと思うんだけど。


C 「合唱団としての先」も
 聴いてみたいんですよね。
 小田原少年少女合唱隊のOB団体
 「マルベリー・チェンバークワイア」は
 大人の発声で
 かつての金賞常連団体だったし。


B なるほどね、倉敷さんが
 ここまで優れているなら
 卒団した未来にも
 興味が湧いてしまう。


 どうなんだろう……。
  難波先生に聞いてみよう(笑)。
  まぁみんな倉敷さんに
  大いに期待してるってことで。
  マスク歌唱でこれほどの演奏、
  お見事でした!





ツイッター、メールの感想です。



Holstのアヴェ・マリア良かったです。


福島のアンコン全国にも挑戦されている倉敷少年少女さんは、少ない人数にも合う選曲だったと思います。


ハーモニーが素晴らしかった!!!


自由曲は音響のホールへの乗せ方が巧みで、2曲目は1パート3人程度とは思えない豊かなハーモニーだった。


今回ここの自由曲が楽しみで、期待を裏切らない演奏だった。
1曲目はアルトの低音の響きが前面に出てドンピシャな選曲。
ホルストAve Mariaは輝きと透明感のある歌声がホールの天井まで満たされていたようでとても素敵だった。


透き通った歌声がとても心地よく、芯があって伸びてくる声に圧倒されました!
去年を振り返り、素敵な歌声を聴けた今のこの時間はとても得難いものだったと実感しました。







続いて3位!



マトリカリアコール


https://twitter.com/matricaria_chor

(混声18名)

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文 課題曲G2:O salutaris  Hostia、
  ポイントを掴んだ的確な演奏でした。


C 声が曲にぴったり!


A 声の強さが合っていたんだよね。


B うんうん。
 混声合唱としてのバランスも良いし、
 流れも優れていました。


A パートの並びが、
 テノール、バス、新見先生(笑)。


B文(笑)


C いや!(笑)新見先生も含めて
 良い効果が出ていたと思うな。
 歌の中で存在感を出し、
 他の子たちが影響されて
 好ましい方向へ進んでいました。


 声楽を指向する人たちが
  野放図に歌っているのでもなく、
  「合唱」としても優れた演奏で。
  心のまま盛り上がる音楽が
  自然で心地良かった。


A サウンドが伸びやかだったし。
 あと、この曲のメロディを使った
 ロッシーニの歌曲があって。
 マトリカリアのみなさんが
 歌曲の世界に触れ、
 世界が繋がった感があったね。


B 21年前の課題曲の再選なんですよね。
 当時優れた演奏を何度も聴いたのに
 今回も良かったと感じたから
 間違いなく良い演奏!(笑)


文 自由曲:荻久保和明
  「ゆめみる」は?


A 「ピアノコンチェルト」!


BC文 (笑)


A 悪い意味じゃなく、合唱が
 オーケストラっぽくてね(笑)。


C ああ、そういう意味でね。
 ピアノ伴奏自体が
 そういう風に作曲されているから。


 「季節へのおくりもの」という
  ピアノ独奏版もありましたね。


C 歌い手さんが山台に上がって、
 ピアノと離れていた。
 近づいて一体感を出すんじゃなく、
 ピアノと協奏する狙いもあったのかな。


B ピアノに近いと一体感は出るけど、
 どうしても聞こえにくい箇所が
 出てくるので、
 それを聴かすために
 離れていたのかもしれないですね。


 後藤秀樹先生が弾くピアノなら
  ジャズっぽく遊ぶのかと思ったら
  真正面からの演奏で、気迫が!


C ピアノはもちろん、
 合唱も変化球じゃなく直球。
 それでこの人数で
 これだけ聴かせるというのは
 凄いことだと思う。


B 自分は大学生の時に歌って、
 他の演奏もいろいろ聴いたり。
 マトリカリアさんの今日の演奏は
 この曲の伝えたいものが
 しっかり伝わる演奏だったと。


A 30年以上前に大流行した曲が
 こうして若い人に「今の歌」と
 演奏されるのは
 胸が熱くなりますね。


 新見先生って
  合唱指揮だけじゃなく、
  オーケストラも振るし、
  声楽家でもあって。
  そういう現役の音楽家ならではの
  表現に賭ける意志と言うのかな、
  それが感じられて嬉しかった。


C インパクトあったし、
 演奏者は熱く、
 聴衆も熱くさせる演奏でした。





ツイッター、メールの感想です。



説得力のあるG2にパワフルで情熱的なゆめみる最高!


声楽家の先生が主宰しているだけあって発声がとても充実していてよく響く。
選曲が団体の力強いサウンドに合っている。
最後まで興味深く引きつけられた。


終始決然とした演奏で、息をつく間を与えない圧巻さ。
気付いたら前のめりになって聞き入ってました。


その声は太く伸びやか。
全員が揃った声は力強くて気持ちに素直に響いてくる感覚。
重い響きに何かこう迫ってくるものがあり、特にラストの盛り上げに圧倒されました!


今年結成というマトリカリアコールさん、すごくカッコ良かったなあ……。
今日1日で一番好きな演奏だったかも。
課題曲の冒頭でしっかりと客席をツカみ、自由曲でとてつもないパワーをぶち撒けながらも、決して乱れることのない丁寧で心のこもった演奏。
指揮も熱くてよかったです。





(第1位の座談会感想に続きます)